ドリフターズですよ!シリーズ
前回の続きである。ドリフ映画全21作のうち東宝系は5作あるのだが、69年までに集中している。松竹ドリフ映画と合わせると4作目~7作目まで連続で東宝の「ドリフターズですよ」シリーズなっているのだが、それ以降は松竹の「全員集合」シリーズのみとなり、東宝では制作されていない。これは69年10月に「8時だヨ!全員集合」が始まったことと関係しているかもしれない。
「8時だヨ!全員集合」以前のドリフの人気はどうだったか記憶にないが、「進め!ドリフターズ」「突撃!ドリフターズ」(68年)といった冠番組も作られており、人気は高かったに違いない。なにしろ「全員集合」以前に8本の映画が公開されていたのが人気を証明している。
で、今回は東宝で公開されたドリフ映画について見ていきたい。1作目は前回触れた「ドリフターズですよ!前進前進また前進」(67年)だが、東宝2作目(通算4作目)が「ドリフターズですよ!盗って盗って盗りまくれ」(68年)である。これは5人が」泥棒に扮している。制作は東宝傍系の東京映画で「駅前シリーズ」などを制作しているところだ。
ゲストにはフランキー堺、酒井和歌子、藤村有弘、木の実ナナ、小山ルミ、桜井センリ、左とん平など。木の実ナナは桜井輝夫とドリフターズ時代にその専属歌手を務めていたことがある。ちなみにまだ16歳の頃だ。1,2作目共に「マイティジャック」で隊員役を演じていた大屋満が端役で出演している。
東宝3作目(通算5作目)が「ドリフターズですよ!冒険冒険また冒険」(68年)。いかりやが「進め!ドリフターズ」の収録でケガをしたため、出番は少なめ。ゆえに加藤が主役兼リーダー役となっている。藤田まことは1作目と同じ役で登場。他に野川由美子、小山ルミ、真理アンヌ、藤村有弘、そして人気を二分していたコント55号も「アングラ男優」役で出演した。冒頭には弟子入りしたばかりの志村けん(志村康徳名義)が顔を見せている。
東宝4作目(通算6作目)が「ドリフターズですよ!特訓特訓また特訓」(69年)。本作は放送禁止用語が飛び交い、ドリフ映画の中では最もブラックな作品と言われているようだ。脚本の東盛作とは森崎東の変名。ゲストは山本陽子、中原早苗、西村晃、三木のり平、有島一郎、大坂志郎、内田裕也など。志村は本作にも端役で出演している。
そして東宝5作目(通算7作目)が「ドリフターズですよ!全員突撃」(69年)で、東宝ドリフの最終作品だ。ドリフ映画で最初で最後となる海外ロケ(ハワイ)が行われている。ゲストは梓みちよ、じゅんとネネ、子役だった西崎緑(みどり)などで、西崎は74年に「暗闇仕留人」主題歌である「旅愁」で大ヒットを飛ばすことになる。内田裕也は前作に続いて端役で出演(今作はスリ、前作は糞尿舟の親父)。また当時のドリフの付き人で後に志村とコンビ「マックボンボン」を組む井山淳が端役で出演している。
これらの東宝ドリフ映画はDVD化もBD化もされていないようである。配信系でも松竹ドリフはあるが東宝はないらしく、CSなどでもたまにしか放送されていないので、見るのが難しい作品群かもしれない。
ザ・ドリフターズの映画
新年を迎え、今年は何を取り上げて行こうか迷ったが、久々に映画をやってみようかと思っている。その第一弾としてザ・ドリフターズの映画を取り上げてみたい。全21作あるのだが、DVD化、BD化されていない作品も多く、CS等でもほとんど放送されていない。というわけで、個人的にはまともに見た記憶のある作品はほぼないのだが、U-NEXTやAmazonプライムビデオなど配信系のチャンネルで見ることは可能なようである。
20年に志村けん、22年に仲本工事が亡くなり、加藤茶と高木ブーの二人になってしまったドリフだが、その歴史について簡単に触れておく。
1962年「桜井輝夫とドリフターズ」に当時19歳の加藤英史(加藤茶)と当時31歳の碇矢長一(いかりや長介)が加入した所から始まる。ほぼ同時期と言われているが、加藤の方が若干早かったらしい。桜井はドリフをコミックバンドに転換しようと考え、コミックに精通する碇矢をヘッドハンティングしたのである。
64年碇矢は正式にリーダーに就任し、桜井はオーナーという立場になる。しかし、碇矢は現代で言うパワハラ気質で、メンバーが反発。小野ヤスシ、ジャイアント吉田、猪熊虎五郎、飯塚文雄の四人が脱退し「ドンキー・カルテット」を結成する。加藤も脱けたいと思っていたが、少し人気が出ていたことや小野にも「残ったほうがいい」と言われ、結局残留となる。この時点で二人だけになったという記事も多いが、正確には他に小山威、綱木文夫も残っていた。
碇矢と加藤がいれば、何とかなると考えた桜井は直ぐにメンバー補充を指示。そこで碇矢が高木友之助(高木ブー)、荒井安雄(荒井注)、石川サダオを見た目重視でスカウトしてくる。しかし、石川は直ぐに辞め、小山もコミックには興味がなく脱退。65年になって高木が顔見知りだった仲本興喜(仲本工事)を連れてきてお馴染みの顔ぶれが揃う。この時点で綱木はまだ在籍しており、六人体制だったのだが、綱木は笑いに向いていないとの判断から脱退させることになる。
オーナーの桜井も渡辺プロにドリフの利権を譲って身を引き、お馴染みの五人体制となったのである。
それぞれの芸名は66年になってから、ハナ肇によって付けられたもの。この頃テレビにはちょくちょく顔を出すようになっており、初の冠番組は「ドリフターズドン!」(67年)である。
そしてこの67年に初映画となる松竹「何はなくとも全員集合」と東宝「ドリフターズですよ!前進前進また前進」が公開されている。前者は実質的には三木のり平が主役で、中尾ミエがマドンナ役で敵役が名和宏である。「全員集合」がタイトルにあるがこの時点では「8時だヨ!全員集合」はまだ始まっていない。「全員集合」は元々ステージでいかりやが使っていたフレーズなのである。
後者は渡辺プロも制作に関わっており、大原麗子、酒井和歌子、松本めぐみがヒロイン役。藤田まこと、ザ・タイガース等も出演している。次回に続く。
2022年回顧録 その2
前回の続きだが、今年亡くなった人を調べて見ると漫画家が多いことに気付く。
藤子不二雄Ⓐ(安孫子素雄・88)、水島新司(82)、とりいかずよし(75)、よこたとくお(85)、村生ミオ(69)、おおつぼマキ(63)、宮谷一彦(76)、石井隆(75)、高橋和希(60)、石井いさみ(80)、かざま鋭二(75)、永田竹丸(88)、聖悠紀(72)、御厨さと美(74)などである。
藤子不二雄Ⓐは説明不要だと思うが、87年までは藤子・F・不二雄(藤本弘)との共同ペンネームとして「藤子不二雄」を使用していた。しかし実際の共作は「オバケのQ太郎」(64~66年)が最後だったようだ。今、見れは作風や絵の違いでどちらの作品か判断できると思うが、リアルタイムで読んでいた時はわかるはずもなかった。藤子といえばトキワ荘だが、よこたとくおも住人の一人であった。永田竹丸は住人ではなかったが、通い詰めていたようだ。
手塚治虫、石ノ森章太郎、藤本弘がいずれも60そこそこで亡くなったのに比べると、安孫子、永田、よこたは長生きしたなと感じる。
水島新司は野球漫画専門なイメージだが、昔は違うのも描いていた。「ドカベン」なんかは柔道マンガとしてスタートしている(元から野球マンガにシフトしていく予定だったようだ)。掲載誌は「少年チャンピオン」だったが、同時期に長く連載していたのが石井いさみの「750ライダー」であった。元々不良少年を主役とした劇画タッチな作風だった石井だが、「750ライダー」は、ほのぼの青春マンガに変化していった。かざま鋭二の「朝日の恋人」もほぼ同時期に「チャンピオン」掲載されていた。ちなみにこの作品「朝日の恋人」→「太陽の恋人」→「夕日の恋人」とタイトルが変わって行った。「太陽の恋人」として桜木健一主演でドラマ化もされている。
とりいかずよしと言えば「トイレット博士」。これは文字通り「うんこマンガ」とでも言うのだるうか。徐々にギャグマンガへと変化していき、主役だった博士は後半から全く登場しなくなる。
村生ミオ、聖悠紀、御厨さと美は字面だと女性っぽいが男性である。逆にさとうふみや、荒川弘(現在は荒川ひろ)は女性だったりする。御厨さと美は小学館の「小学六年生」で「みく・さとみ」名義でページの余白部分を利用した「おしゃべりらくがき」というのを書いていたのを思い出す。
昨年もそうだったが、今年もベテラン声優が数名亡くなった。小林清志(89)、大竹宏(90)、清川元夢(87)、近石真介(91)、松島みのり(81)などである。小林は「ルパン三世」の次元大介を昨年まで担当していた。大竹といえば藤子アニメには必ずいるイメージだった。近石は初代マスオさん。「二人の事件簿」(75年)では刑事役で顔出し出演していた。
他にも石原慎太郎(89)、西村京太郎(91)、上島竜兵(61)、山本コウタロー(73)、アントニオ猪木(79)、仲本工事(81)、水木一郎(74)など。全員に合掌。
本年の更新はこれにて終了。2023年も週二のペースで続けて行こうとは思っている。ただ何をやるかは思案中である。
2022年回顧録 その1
いつの間にか年末を迎えているので、恒例となっている回顧録である。要するに、今年亡くなった有名人を振り返るだけなのだが。
川津祐介(86)と言えば、欠席も多かったが個人的には「ザ・ガードマン」(65~71年)だ。七人の中では若手隊員だった三人が残っていたが、これで藤巻潤と倉石功の二人になってしまった。スタート時に並行して出演していたのが「スパイキャッチャーJ3」(65年)だったが、J3が川津でJ1が丹波哲郎、そしてJ2が江原真二郎(85)だった。亡くなったのは9月ということだが、明らかにされたのは12月になってからだった。妻の中原ひとみ、長男の土家歩、長女の土屋里織による一家そろっての歯磨きCMが印象に深い。ちなみに長男の歩は90年に交通事故死。26歳であった。
川津のスタートは松竹であったが、その同世代の松竹スターの一人が石濱朗(87)であった。木下惠介の「惜春鳥」(59年)では、川津、石濱と津川雅彦、小坂一也、山本豊三の五人が主役として描かれている。ちなみに、この作品ゲイ・フィルムであるなどと論じられることもあるようだ。
東宝出身のスターでは宝田明(87)。この22年も現役で映画主演を務めたりしていた。芸名っぽいが本名(正確には旧字体の寶)である。同じく東宝出身では藤山陽子(80)。主に青春映画・ドラマで活躍し、宝田との共演は少なかったようである。67年に結婚し早々と引退したが、昨年同期だった桜井浩子のYouTubeチャンネルに姿を見せていた。
西郷輝彦(75)は歌手としてスターになったが、元々は俳優志望だったという。「どてらい奴」(73~77年)で主演に抜擢され、俳優活動を本格化させ数々のドラマで主演を務めた。その「どてらい奴」の原作は花登筺だが、「あかんたれ」(76~77年)も花登である。その主演と言えば志垣太郎(70)だ。この手のドラマはまず見ない自分だが、何故か平日の昼間に見ていた記憶がある。恐らく中学生で、夏休みだか冬休みだかにたまたま見ていたような気がする。そこで放蕩息子を演じていたのが沢本忠雄(86)であった。沢本は「どてらい奴」にも出演していた。元々は日活の役者で主演映画も数本ある。ところで、志垣が亡くなったのは3月ということだが、公表されたのは12月になってからだった。
他に今年亡くなった俳優・役者を挙げて行くと、山本圭(81)、柳生博(85)、佐野浅夫(96)、古谷一行(78)、佐藤蛾次郎(78)、小畠絹子(90)、渡辺裕之(66)、渡辺徹(61)、島田陽子(69)、桑原幸子(74)、松原千明(64)などがいる。佐藤蛾次郎、松原千明、渡辺徹なんかは、まだ記憶に新しいだろう。
次回は芸人、声優、漫画家などに触れたいと思う。
私鉄沿線97分署 その2
前回に続いて「私鉄沿線97分署」(84~86年)である。
30話で坂口良子が降板し、31話から斉藤慶子(仁科順子刑事)と四方堂亘(田島修刑事)の若手二人が捜査課に加わる。斉藤は当時かなりの売れっ子で、四方堂はそのまま「しほうどう」と読む。四方堂は個人的にあまり見かけたことがないが、今も現役でVシネマへの出演が多いようだ。
しばらくは動きがないが、50話にて原口弥生(新庄めぐみ婦警)は降板し、翌51話より後任として北原佐和子(清水あゆみ婦警)が登場する。北原は高校在学中にミス・ヤングジャンプに選ばれ、81年には同じ事務所の真鍋ちえみ、三井比佐子とアイドルユニット「パンジー」を結成し、翌82年の18歳の誕生日にソロデビューしている。ちなみい、北原にはデビューまもなくCMオファー26社、レコード会社19社からオファーがあったといい、業界では注目の的だったようだ。
ちなみに「パンジー」としては曲を出してはおらず、それぞれのソロ作品のみである。真鍋と三井は早いうちに引退したようだが、北原は85年頃から女優業に専念している。
60話からはベテラン山口果林(橘礼子警部補)が着任するが、入れ替わるように高橋長英(倉田徳夫警部補)が62話を持って降板している。そして、67話を持って新沼謙治(九十九圭介刑事)が降板となっている。物語上の退職理由は伯父の牧場を継ぐというものである。
この時期のOPの基本は渡哲也→新沼謙治→小西博之→斉藤慶子→四方堂亘→野村将希・古城裕章→北原佐和子・武藤章生→山口果林→高橋長英→長門裕之→鹿賀丈史というものになっている。山口と高橋が被っていたのは60~62話のみなので、前述のはその3回のみのバージョンということになるが、入れ替えがあるたびにOPが変わっていたかどうかは不明だ。
時任三郎が出演していた期間(1~26話)を第一シーズン、新沼謙治が出演していた期間(27~67話)を第二シーズンとすると、第三シーズンに新たに登場するのが古尾谷雅人(本城功刑事)である。他に新キャラはいないが、白バイ隊の野村と古城は準レギュラー扱いとなりOPから消える。実際、第三シーズンでは二回しか登場しないようだ。野村将希はこの後「水戸黄門」で柘植の飛猿役が当たり役となり14年(87~00年)に渡って演じることになる。OPは渡→小西→斉藤→四方堂→北原・武藤→古尾谷→山口→長門→鹿賀となっており、古尾谷がベテランの位置に置かれている感じだが、当時29歳である。
この第三シーズンでは本城と斉藤慶子演じる仁科が恋仲となり、89話で婚約する運びとなる。翌90話が最終話で、新庁舎が完成し、プレハブの仮庁舎から別れを告げるところで終了となっている。
私鉄沿線97分署
「あきれた刑事」「真夏の刑事」で、主演を務めた時任三郎だが、それよりも前に出演していた刑事ドラマが「私鉄沿線97分署」(84~86年)である。この番組はあの「西部警察」の後番組であるが、ガアリと雰囲気は変わり、リアルに近づけた路線へと変更されている。時任その初期において実質的な主役だったのである。当時26歳で、レギュラー刑事役は本作が初だった。
舞台は東京都多摩西部にある架空の多摩川市にある第97分署。タイトルはエド・マクベインの人気小説「87分署シリーズ」から取ったものだろうが、米国ではドラマ化もされているし、日本でも「87分署シリーズ・裸の街」(80年)が放送されている。
さて、この「97分署」は結構、レギュラーの入れ替えが多かったのだが、初期レギュラーは捜査課が時任三郎(片山大刑事)、坂口良子(本多杏子刑事)、小西博之(松元良平刑事)、高橋長英(倉田徳夫警部補)、鹿賀丈史(奈良龍治警部補)、長門裕之(滝村兼三捜査課長)となっており、奈良はシナリオ上は係長ということだが、本編では名言されていないようだ。
交通課が白バイ隊の野村将希(三木敦史隊員)、古城裕章(望月亮隊員)、柄沢次郎(谷口夕介隊員)。警務課が武藤章生(丸岡吾一警務課長)、そして第1話で検視官として着任する渡哲也(榊俊作警視)となっている。その助手を少年課勤務の早見優(相原恵子巡査)が兼務する。
そしてセミレギュラーではあるが、池部良が山崎署長として、節目節目に登場する。
ちなみにOPの順番は、時任・坂口→早見・小西→武藤・柄沢・野村→長門・高橋→鹿賀→渡というようになっており、長門がピンでないのが驚く。
入れ替わりが多いと書いたが、まず早見優が15話にて降板、後任として原口弥生(新庄めぐみ婦警)が23話より登場している。そして26話にて主役だった時任と柄沢次郎が降板。まあ時任はスケジュールの都合であろうが、物語上の退職理由が自転車で世界一周の旅をしたいからというものであった。柄沢といえば、とんねるずや可愛かずみらと出演していた深夜ドラマ「トライアングル・ブルー」が印象に深い。
で、時任の後任として登場したのが歌手の新沼謙治(九十九圭介刑事)である。これが初のドラマレギュラーで、その後もドラマへの出演は少ない。で、OPの順番は渡→坂口→小西→野村・古城→新沼→原口・武藤→高橋→長門→鹿賀という順番になったのである。渡は物語上の主役ではないが「格」でトップクレジットへ。事実上の主役となった鹿賀がトップで良いような気がするのだが。
それもつかの間、今度は坂口良子が30話で降板となる。つまり、前述のバージョンOPは27~30話のみの仕様ということになる。次回に続く。
大都会25時
順番が前後するのだが「ベイシティ刑事」の前番組だったのが「大都会25時」(87年)である。
最近、ここで取り上げた刑事ドラマは個人的にはほとんど見ていなかったものが多く、本作もさほど見たわけではないのだが、記憶には結構残っている。「太陽にほえろ」の小野寺昭(殿下)と山下真司(スニーカー)が再び刑事役で共演することが当時、話題になったのである。
舞台となるのは千草署刑事課で、安達班と仙川班の二班が存在し、両班が競う合いながら一つの事件を解決していくという構成になっている。当初はその対立構造が強調されていたが、次第に両班が合同捜査を行うなどオーソドックスなスタイルにシフトしていったようだ。
主役となる安達班のメンバーは小野寺昭(安達武郎警部補、係長)、山下真司(冨田一平部長刑事)、大和田獏(亀山宏部長刑事)、真梨邑ケイ(片桐小夜子刑事)、塩野谷正幸(清水栄三刑事)、湯江健幸(本間悟刑事)の六人。当時、小野寺は43歳、山下は35歳と「太陽」では若手刑事だった二人もかたや係長かたやリーダー格と年齢も重ねたわけである。この中ではベテラン感のある大和田獏は当時36歳と山下とは1歳違い。真梨邑ケイはジャズ歌手としてのイメージが強いと思うが芸能界でのスタートは女優である。ちなみに、この87年にデビュー当時からのマネージャーと結婚している。塩野谷正幸は役柄上は真梨邑より年下だったが、実際は4つ上の33歳だった。テレビよりも映画や舞台を中心に活動している役者である。湯江はほぼ設定どおりの当時19歳だった。
対する仙川班であるが平田満(仙川登警部補、係長)をリーダーに、菊地太(渡辺部長刑事)、きくち英一(山口刑事)、重松収(輪島刑事)、伊藤克信(鶴田刑事)、古藤芳治(青田刑事)という顔ぶれ。見た目も派手な安達班と違って地味なサラリーマン刑事といった雰囲気の集団である。伊藤克信辺りは安達班でも違和感ないかもしれない。平田は当時33歳とレギュラーでは若手の方なのだが、設定上は小野寺演じる安達とほぼ同世代となっている。OPで紹介されているのは平田、伊藤と重松の三人だけである。
きくちは当時44歳と小野寺よりも年長。特撮ファンにはお馴染みの役者で「帰ってきたウルトラマン」のスーツーアクターとして知られる。「電人ザボーガー」では、中野刑事役で出演する傍ら殺陣師も兼任していた。菊地太は「特捜最前線」には30回ほどゲスト出演している。
この二班をまとめる課長が財津一郎(坂東清五郎警部)で、署長を久富惟晴が演じている。ちなみに11話より「大都会25時・千草警察事件ファイル」に改題されているが、映像上のタイトルは変わっていない。第1話のゲストは沖田浩之と川上麻衣子の「三年B組金八先生」コンビ。直江喜一も16話にゲスト出演している。
ベイシティ刑事
前回の「あきれた刑事」とほぼ同時にスタートしたのが「ベイシティ刑事」(87~88年)である。こちらは「デカ」ではなく「コップ」と読む。実は放送日が同じ水曜日で、20時から日テレで「あきれた刑事」、21時からテレ朝で「ベイシティ刑事」というタイムテーブルになっていたのである。「ベイシティ」が二週間早くスタートしているが、終了日は同じである。
「ベイシティ刑事」の制作は東映だが、こちらも「あぶない刑事」を意識していたと言える作りになっている。なにしろ舞台は同じ横浜で署名も港町署(あぶ刑事は港署)である。その捜査課別働班の面々が主役で、藤竜也(小池柾警部補)、世良公則(星野秀夫刑事)、石川秀美(河合あゆみ刑事)、いかりや長介(山崎末彦警部補、班長)の四人組。まあ実質、藤と世良のバディものと言え、時任三郎と永島敏行コンビに比べれば、藤と世良の方がよりスタイリッシュな感じがあり、こちらの方が「あぶ刑事」に近かった気がする。ただ、藤は当時46歳、世良は32歳で大きな年齢差があり、普通に先輩後輩コンビなのは違いといえよう。
スタッフも監督の村川透、成田裕介、脚本の大川俊道,峯尾基三、柏原寛司など「あぶ刑事」と共通している人が多い。
石川秀美は当時21歳で、バリバリのアイドル歌手だった。特にファンというわけではなかったが、「ゆ・れ・て湘南」とか「涙のペーパームーン」とかは個人的に好きな曲であった。89年末に薬丸裕英と結婚し、事実上引退となったが、夫婦でCMに顔を出すこともあった。ちなみに5児の母となり既に初孫もいるという。
いかりや長介は説明不要なザ・ドリフターズのリーダーで当時56歳。「全員集合」が85年に終了し、この87年から本格的に俳優としての活動を始めている。ゆえに、レギュラーとしての刑事役は本作が初めてであった。
レギュラーはこの四人だけだが、セミレギュラーとして神山繁(桜井捜査課長)、捜査一係のメンバーとして大川ひろし(佐伯)、市山登(工藤)、寒川直人(渡辺)、浜崎一也(木下)、田辺達也(土屋)、新富重夫(春日)、窪園純一(臼井)、川村浩之(和田)らが出演していた。捜査一係のメンバーは見事に知らない名前が多く、唯一、市山登(現・市山貴章)を知っているだけだ。
ゲストに目を向けると、高樹沙耶、安岡力也、内藤剛志、高樹澪、三上寛、又野誠治、成田三樹夫、中野誠也、小松方正、団時朗、蟹江敬三、竹内力など。内藤や竹内はまだブレイク前であった。
まあ時間帯などの関係もあろうが、結局視聴率は「あきれた刑事」よりも低く、前述のとおり両番組とも2クールで同じ日(88年3月23日)に終了となっている。
あきれた刑事
時任三郎繋がりで刑事ドラマといえば「あきれた刑事」(87~88年)が思い浮かぶ人もいるのでは。そのタイトルから「あぶない刑事」を意識していることは明白で、実際「あぶ刑事」終了の翌月にスタートした、同じ日テレとセントラルアーツ制作によるバディ刑事ものである。
翌週から同じ日曜21時で放送された後番組と思っている人も多いだろうし実際にその予定だったようだが「あぶ刑事」の後番組は「巨泉のこんなモノいらない」だったのである。つまりバラエティ枠になり、ドラマ枠は3週間後の水曜20時へと移動となったのである。
さて「あきれた刑事」だが、主演は時任三郎(内海法道)と永島敏行(黒木達男)のコンビ。普通にコンビ刑事と思いきや、刑事なのは時任だけで、永島演じる黒木は元ヤクザ。内海から報酬を貰って捜査に協力しているという設定である。
内海の身分は特殊強行犯捜査課の巡査部長(後に警部補)。潜入捜査が基本で、表向きの職業を探偵としていた(後に身分を明かす)。永島敏行の過去の刑事ものと言えば「大空港」(79年)の西条刑事役があるが、この時は18回の登場で殉職してしまっている。
内海の上司となるのが小林稔侍演じる藤田課長で、12話で転勤となり新たに着任するのが吉田日出子演じる川口課長である。実は藤田も潜入捜査の任務ぬついていたための一時的な離脱で20話に復帰する。まあ、小林のスケジュールの都合であろう。
他のレギュラーは内海が居を構える「ダコタ・ハウス」の住人である。まあ「ダコタハウス」と言えば、ジョン・レノンが住んでいて、その門の前で射殺されてしまった場所として知られるが、名をそのまんま用いている。
関根勤(石田健)、松井哲也(木下昭夫)、河合美智子(朝倉みどり)、網浜直子(岡崎由香里)、中村あずさといった面々。石田と木下は内海の捜査協力も行う。松井は当時19歳で、倉田保昭の内弟子だった。後にアクション監督としても活躍する。その妻は元アイドルの芳本美代子だ(16年に再婚)。芳本の前夫といえば金山一彦だが、その不倫相手と言われたのが河合美智子だった。
他に近所の交番の警察官役で藤井一男(小森巡査)、越川大介(吉田巡査)のお笑いコンビ「ちびっこギャング」が出演していた。当時人気のあったコンビだが94年に解散している。越川の妻は声優の島本須美である。
視聴率だが第1話が一番良く(14.1%)その後は10%を超えることはあまりなかった。興味本位で1話は見たもののすぐに見切った人が多かったということだろうか。「あぶ刑事」の二番煎じにならないようにしていたのは感じるが、「あぶ刑事」のようなムーブメントは起こせなかったようである。
真夏の刑事
テレビ朝日の日曜夜20時枠は「ゴリラ・警視庁捜査第8班」から刑事ドラマが続いていたのだが、恐らくその中で一番影が薄そうなのが「真夏の刑事」(92年)ではなかろうか。まあ個人的に全く見た記憶がないということもあるのだけれども。ちなみに「ララバイ刑事'92」と「愛しの刑事」の間の放送されており、「ララバイ」は大映テレビ、「愛しの」は石原プロだが、「真夏の刑事」は東宝の制作だ。
舞台は架空の品川南署刑事課である。主演は時任三郎(咲田勇介部長刑事)で、当時34歳。刑事役は何度か経験しているが、いずれも印象は薄い気がする。そこに新人として赴任してくるのが別所哲也(木之本太郎刑事)。当時27歳で、ど新人というわけではなくデビューから5年目くらいで、主役経験もあった。ドラマはこの二人を中心に展開するようだ。
他のメンバーは、藤田朋子(小野崎刑事)、柳沢慎吾(宮川刑事)、阿藤海(河原刑事)、矢崎滋(松木警部補)、中条静夫(市住課長)となっている。藤田朋子は別所と同い年、阿藤海(後に快)はまだ悪役イメージもあったと思うが「裸の街」で既に刑事役の経験もあった。中条静夫は「あぶない刑事」等で刑事部屋の課長といえば、この人というようなイメージがあった。ちなみにこの2年後に亡くなっている。また時任と柳沢慎吾と言えば「ふぞろいの林檎たち」。この前年91年にパートⅢが放送されている。
この他にも越智静香(咲田純子、咲田刑事の妹)、荒井乃梨子(倉田薫婦警)、そして布施博(神野署長、警視)が友情出演扱いで準レギュラーとなっている。荒井はANAのキャンペンガール出身で、97年頃に一度引退したようだが、2014年頃に活動を再開させたようだ。布施博はエリートのようには見えないと思うが、何故かそういう役柄が多いようなイメージがある。
全20回で最終話のサブタイが「殉職悲恋!刑事を愛した女」というものだが、殉職するのは主演の二人ではなく、柳沢慎吾演じる宮川刑事である。「太陽にほえろ」の山さん(露口茂)のモノマネがイメージにあり、柳沢慎吾のシリアスシーンは想像もしにくかったりもする。
刑事の殉職シーンって結構話題になるものだが、当時は話題になっていたのだろうか。