お宝映画・番組私的見聞録 -33ページ目

ララバイ刑事'93

「ララバイ刑事'91・'92」の終了から丁度1年。その続編である「ララバイ刑事'93」(93年)が放送された。
1年しか経っておらず設定も舞台も変更はないのだが、出演者はかなり変更されている。前回から引き続き出演しているのは、主演の片岡鶴太郎(浅倉守刑事)は当然として、松村雄基(本田勉刑事)、前田吟(丸山誠一刑事)、そして浅倉の別れた妻役の岡まゆみ(小泉昌子)のみである。ヒロインだった有森也実(椎名深雪警部)も第1話のみの出演で、他署へ移動してしまうのである。で新ヒロインとなるのが中村あずさ(本宮淳子警部)である。やはりキャリア採用の新人警部で、西新宿署へ赴任してくるのである。
中村あずさの抜擢は、次のヒロインは誰がいいか聞かれた鶴太郎が彼女の名を挙げたからということらしい。鶴太郎と中村はここでも取り上げた「ザ・刑事」(90年)で共演していた。その時の中村は普通の婦警さん役だった。彼女は当時26歳で、実年齢では有森より1歳上である。
西新宿署の新メンバーだが、的場浩司(赤川猛刑事)、蛍雪次朗(草野大吉刑事)、そして竜雷太(西村圭一課長)が加わっている。的場はこれが初の刑事役で、松村雄基と共に不良生徒イメージの強い二人が若手刑事役を担った。蛍雪次朗は、当時既に役者として20年以上のキャリアがあったが、アングラ演劇やピンク映画での活動が主であったこともあり、テレビでの初レギュラーは90年になってからのこと。ゆえに、あまり知られていない存在だったと思われる。ちなみに「ほたる・ゆきじろう」であり「けいせつ・じろう」ではない。竜雷太は「ゴリさん」も50歳を過ぎ、こうした上司の役が普通という感じになっていた。
他にも松井紀美江、羽賀研二、鼓太郎などがレギュラー出演。鼓太郎はあの彦摩呂も在籍していた「幕末塾」のメンバーで、当時から芸名を変えていないのは、この鼓太郎と彦摩呂の二人だけである。
前作も全21話で終了しているが、今回も全17回で終了となり、現時点(2022年)ではテレビ朝日の日曜20時枠で放送された最後の連続ドラマとなっている。
最終話のゲストは鶴太郎と「季節外れの海岸物語」で共演していた可愛かずみであった。可愛は「ララバイ刑事'92」にもゲスト出演していた。彼女は97年に自ら命を絶っている。中村あずさは98年に結婚の為、引退している。

ララバイ刑事'91・'92

また話が刑事ドラマに戻るのだが、石原プロの「代表取締役刑事」と「愛しの刑事」の間に放送されたのが「ララバイ刑事‘91」(91~92年)である。「Gメン75」(75~80年)は、年が変わろうとタイトルが変わることはなかったが、本作は10話の放送から92年になったのでご丁寧にタイトルも「ララバイ刑事'92」に変更している。
主演は片岡鶴太郎。この辺からであろうか、芸人としての顔はほとんど見せず、役者として出演している時はほぼ二枚目として演じるようになったのは。小太りだった体型が痩せてシャープな感じにはなっていたが、見ている方としては違和感を感じたりしたものである。俳優を目指して清川虹子に弟子入りを志願したが追い返され、子供の頃に夢見た芸人の道に進んだ。しかし本人が人気を得た「オレたちひょうきん族」に出演していて、周りが天才ばかりで芸人としては限界を感じていたという。
さて「ララバイ刑事」だが、西新宿署の刑事課に有森也実演じるキャリア採用の椎名深雪警部が課長代理として赴任する。他の男性刑事とうまくいかない中、鶴太郎演じる浅倉守部長刑事が間を取り持ち、二人の間に恋愛感情が芽生えていく、といったもの。制作は大映テレビだが、同社の刑事ドラマはその警察菅同士の恋愛関係が描かれる傾向が強いという。
有森也実は大人気となったドラマ「東京ラブストーリー」の直後だったが、役で演じただけなのに同性からは嫌われてしまうという理不尽さで話題になっていた。「ポケベルがならなくて」の裕木奈江も同様だった。
他のメンバーは、松村雄基(本田勉刑事)、渡辺正行(工藤鉄夫刑事)、菊池健一郎(中山春樹刑事)、前田吟(丸山誠一刑事)、梅宮辰夫(萩原賢造課長)、そして特別出演扱いで丹波哲郎(山口一男署長)。加えて岡まゆみ(小泉昌子)、かとうれいこ(夏木由加)など。岡が演じる昌子は浅倉の別れた妻である。
梅宮、前田、松村、岡などは大映ドラマの常連であった。菊池は当時19歳で「3年B組金八先生3」や「はいすくーる落書き」でいずれも生徒役を演じていた。渡辺はご存知「コント赤信号」のリーダー。鶴太郎とは「ひょうきん族」仲間とでも言おうか。11話には山田邦子が本人役で、13話には「ひょうきんベストテン」を担当していた山村美智子元フジテレビアナがゲスト出演している。
ちなみに岡まゆみ、有森也共に美人女優だが、実は現在まで未婚である。

ただいま絶好調!

石原プロと言えば、アクション刑事ドラマばかりやっているようなイメージだが、「西部警察」終了後に違うジャンルのダラマに挑戦していたのだ。その名も「ただいま絶好調!」(85年)。「ただいま〇〇〇」というタイトルのドラマは桔構あるのだが、ホームドラマか青春ドラマが大半で、本作も青春ドラマのジャンルに入るのだろうか。まあタイトルからは中身が想像しにくいことは確かだ。
個人的にも存在すら知らなかったドラマだが、結構知らない人も多いのではないだろうか。実は再放送は一度だけ、CS等の衛星放送でも放送されたことがないという幻のドラマだったのだが、2012年にDVD-BOXが発売されているのだ。逆に言えば、見たい人はそれを購入するしかない。しかし収録は全22話中の16話で、現状未収録6話分については見ることは困難となっている。
舘ひろし初の主演作で、役柄はロックバンド「ガレージバンド」のリーダーでボーカルの戸川史郎。舘は元々「クールス」の出身なので、そこからインスパイアされた企画だろう。ちなみにクールスは舘と岩城滉一の出会いをきっかけに結成されたバイクチームだが、バンドとしてのクールスに岩城は参加していない。
ガレージバンドの他のメンバーだが、太川陽介(前田健三、ギター)、峰竜太(松本昭、ドラムス)、西山浩司(若原剛志、ベース)、松本伊代(高井マキ、キーボード)で、そのマネージャーが勝野洋(柴田八郎)という面々。
実際に楽器が弾けたかどうかは不明だが、恐らくできないのでは?舘と峰は「西部警察」、勝野は「太陽にほえろ」と刑事イメージが強い。西山の「太陽にほえろ」出演は翌86年のことで、当時はまだイモ欽トリオの人である。太川は今やバス旅の人だが、元々はアイドル歌手だし、松本伊代も当時はまだバリバリのアイドル。
他のレギュラーだが、当然のように渡哲也(鳴海貴志)。マキの伯父で、とび職人衆「五番組」の頭。史郎たちが使用しているガレージの地主でもある。その五番組の顔ぶれは、御木裕、山口弘和、竹田高利、草薙良一、石山雄大など。御木は「西部警察」の北条刑事。96年に引退したが06年に復帰し主にVシネマで活動しているようだ。山口と竹田は「コント山口君と竹田君」。最近テレビではほとんど見かけない気もするが活動は続いている。
他にも多岐川裕美、玉川良一、なべおさみ、中村玉緒といったところが出演していた。
ただのバンド活動を主とした人情喜劇ではなく、運営費を稼ぐために危ないバイトも行うというアクション探偵ドラマ的な要素も含まれていたという。いずれにしろレアなドラマであることには違いない。

愛しの刑事

「代表取締役刑事」終了から1年、90年代最後の石原プロ制作ドラマとなったのが「愛しの刑事」(92~93年)である。本作も個人的にはチラッとしか見たことがないのだが、石原プロらしさは影を潜め、大人しい普通の刑事ドラマといった印象だろうか。
それもそのはずで、本作はバブル崩壊後ということもあり予算削減が計られている。今までのように日産自動車や三菱自動車の劇用車協力もなく派手なカーアクションをするわけにもいかない。また警察署内のシーンは、移転したばかりの調布の石原プロ事務所内で撮影されているという。派手さにかけるのも仕方ない話なのである。
今回の舞台は城西署刑事防犯課・捜査係。城西署はかつて「大都会」シリーズで使われていた署名である。主演はやはり舘ひろし(羽山了刑事)で、現場主任的な存在。宅麻伸(川村丈彦刑事)は、本庁から城西署へ転属してくる刑事。井上順(中野慶一係長)は羽山の上司で、三人とも階級は警部補である。
他のメンバーは高樹澪(桜井弓子刑事)、坂上忍(岡本刑事)、谷川竜(山下刑事)、細川ふみえ(松原事務員)、そして渡哲也(高倉大介課長・警部)といった布陣で、特にその他のサブレギュラーはいないようである。まあ、主演が舘で上司が渡で、メンバーに谷川もいるということで前作の「代表取締役刑事」と本作を混同している人もいるのではないだろうか。
宅麻伸はデビューが「七人の刑事」(79年)だったりする。番組後半に新人刑事(当時23歳)としてレギュラー入りしたが、個人的には人気俳優になるとは思えなかった。しかし現在も活躍中だ。井上順はこういった刑事ドラマへの出演は珍しい。坂上忍も当時は子役の成長した姿といった印象だろうか。谷川竜は三作続けてレギュラーということで石原プロ期待の若手だったのだろうが、95年には俳優を引退してしまう。高樹澪、高木美保、高樹沙耶(益戸育江)はほぼ同世代で名前もよく似た美人女優ということで混同していた人もいるのではないだろうか。
17話にゲストとして仲本工事が出演している。役柄は拳銃の密売人ということなので悪役なのだろう。メインゲストというわけではないようだ。
同枠(日曜20時)では、最低でも約1年の放送期間を得ていた石原プロの刑事ドラマだったが、予定通りなのか打ち切りなのか不明だが、本作は20話で終了となる。最終話で川村は再び本庁へ帰って行くようだ。

代表取締役刑事

「ゴリラ・警視庁捜査第8班」終了から「ザ・刑事」を挟んで、石原プロ制作の刑事ドラマが復活。その名も「代表取締役刑事」(90~91年)である。アクションが無くなったわけではないが、爆破などはほとんど無く、前作とは打って変わって、まあ普通の刑事ドラマに近い。タイトルの意味だが、「社会で市民を守る刑事は企業で社員を守る代表取締役に近い」ということらしい。無理矢理な感じもしてしまうけれども。
主役に添えられたのは舘ひろし。この頃の舘は刑事役ばかりで見た目は当然だがほぼ一緒で「刑事貴族」「あぶない刑事」「西部警察」と区別はつかない。本作の舞台は辰巳署刑事防犯課で、舘の役柄は係長の兵頭真警部補。舘も40歳を迎え役職のあるキャラを演じるようになった。
他のメンバーだが、高松英郎(岩田利夫部長刑事・主任)、川野太郎(松本正義部長刑事)、谷川竜(中西大吉刑事)、池田政典(小早川竜一刑事)、市川翔子(五十嵐直子刑事)、荒井玉青(牧野ひろみ婦警)、秋山武史(中川巡査)、安部譲二(大島茂三署長)、そして渡哲也が課長の橘謙司警部を演じる。
石原プロ所属の谷川や秋山は「ゴリラ」から引き続きの出演だが、川野、池田は恐らく石原プロ作品は初めての出演と思われる。高松は当時60歳の大ベテランだが、裕次郎や渡との共演はほとんどなかったのではないだろうか。
市川翔子は25話で降板し、26話から木之原賀子(南条冴子刑事)が登場する。現在は本名の犬塚賀子で活動している。安部譲二は元ヤクザで服役経験のある作家として有名で何本か映画出演もあったが、レギュラーとして出演したテレビドラマは本作のみのようである。渡が「橘警部」というキャラを演じるのは「太陽にほえろ」に続いて二度目である。
他の出演者だが、沖田浩之(兵頭裕介)、福家美峰(松本の妻)、酒井法子(橘日向子)、阿木燿子(橘麻子)、北村和夫(橘喜一)といった身内キャラがいる。沖田と福家は共に「三年B組金八先生(第二シリーズ)」の生徒役で出演していた。
ゲストに目を向けると歌手・アイドル歌手が多い。西川峰子、MIE、増田恵子、西村知美、鹿取洋子、藍田美豊(少女隊)、小柳ルミ子、石野真子、河合奈保子、網浜直子、浜田朱里、石川ひとみといったところだ。28話では坂上二郎と高木ブーという55号とドリフメンバーのめったに見られない共演があった(同一シーンに出たかどうかは不明)。関連して斉藤清六、風見しんご、西山浩司という欽ちゃんファミリーも登場している。
また、最終45話には神田正輝が出演している。

ゴリラ・警視庁捜査第8班 その2

前回に続き「ゴリラ・警視庁捜査第8班」(89~90年)だが、フタを開けてみれば視聴率は芳しくなく、渡哲也自身が撮影で負傷し、あまりアクションシーンに参加できなくなっていた。
テコ入れが必要となり、まずは、サブタイトルが横文字カタカナだったのを第9話より普通の日本語に変更している。ちなみにその9話は本放送時は「ゲッタウェイ」、CS等では「逃げて!逃げて」という2種類のサブタイが存在するらしい。コマンドアクション要素も減って行き、次第に「西部警察」のような地方ロケを多くした物量アクションへと変化していった。
24話からはOPも変更となり服装もコンバットスーツからDCブランドスーツへと、まあ他の刑事ドラマとさほど変わらないものへとなっていたのである。
そして、36話以降は完全な路線変更へと踏み切ることになる。渡哲也演じる倉本省の名の基となっている倉本聰が脚本監修として参加することになった。ライターも倉本率いる富良野塾出身のメンバー(石井信之、相葉芳久、吉田紀子)に一新されたのである。倉本聰といえば、本作のようなドラマとは水と油。爆破と銃撃戦メインのアクションドラマなどもってのほかなのである。倉本メインの「大都会-闘いの日々-」と倉本不参加の「大都会partⅡ」「Ⅲ」との違いを見れば一目瞭然だ。
今まで描かれなかったキャラクターの背景が細かく設定され、渡演じる倉本は進行性認知症の病床の妻を抱え、舘演じる伊達は不治の病で余命半年という設定が急遽加えられたのである。美奈子はそんな伊達(病のことは知らない)に徐々に惹かれていくことになる。まあ、どれもありがちと言えばありがちな設定ではある。
辛気くさい設定が加えられたことで、当時の視聴者がどう思ったのかは不明だが、本作の根底になるアクション部分を完全に廃したというわけでもなかったようだ。最終話で余命幾ばくも無いない伊達は全身に集団を浴びて殉職する(タチが演じるダテがタテになった)。
ちなみに最終46話は初回と同じ2時間スペシャルで、浅田美代子、竹中直人、松本朝夫、伴直弥などがゲストであった。まあ、結局ヒットドラマとは言い難い結果に終わり、石原プロ最後の爆薬、カーアクション主体の大掛かりなアクションドラマとなったのである。

ゴリラ・警視庁捜査第8班

前回「ザ・刑事」の前後が石原プロ制作のドラマと書いたが、その前番組となるのが「ゴリラ・警視庁捜査第8班」(89~90年)である。石原裕次郎の死去(87年)後に初めて制作された石原プロのドラマで、アクション・刑事ドラマは「西部警察」(79~84年)以来となる。
そのためか、渡哲也、舘ひろし、神田正輝の三枚看板を初めてレギュラーとして揃えている。それまで、舘と神田がレギュラーでの共演をしたことはなかった(はず)。
設定も気合が入っており、当時は映画「ランボー」等が流行っていたこともあってか、警察組織から独立した傭兵部隊のような存在として警視庁捜査第8班(通称ゴリラ)が組織され、コマンド色を強く押し出したアクションドラマを意識していた。
実行部隊メンバー4人は全員が元刑事という設定で、第8班の設立のため集められ復職したという形となる。その班長役はもちろん渡哲也(倉本省)である。役名は明らかに倉本聰からだろうが、その倉本聰自身も終盤に本作に関わってくることになる。そして舘ひろし(伊達健)、神田正輝(風間有悟)の他、石原プロの新人である当時25歳の谷川竜(谷川竜太郎)が加わる。役名の谷川竜太郎が本名でもあるようだ。
他にも無線等を担当する女性アシスタントとして加納みゆき(高峰淳子)、専属のヘリコプターパイロットである秋山武史(冬木武)、予算面を請け負う管理官として谷啓(塩田直次郎)がいる。加納は30話で前触れなく降板し、31話から田中美奈子が登場する。役名も田中美奈子である。当時はボディコンスタイルでの美脚が有名で、学園祭の女王とも言われていた。秋山は「あぶない刑事」では吉田刑事役。基本的にヘリが出動する回のみの登場である。谷啓はこういったドラマのレギュラーは珍しいといえる。
その第8班を創設したのが警視庁刑事部長である鈴木瑞穂(麻生公義)で、ミッションは彼が直接下す。警視庁にしろ政府関係にしろ幹部の役と言えば、鈴木瑞穂か神山繫というイメージがあった。
セミレギュラーとしえては仲村トオル(中田透)。神奈川県警の刑事で伊達の後輩。役名からして「あぶない刑事」を意識しているようだ。16話までの登場。柏木由紀子(倉本静江)は倉本の妻で進行性認知症を患い入院中。北村総一朗(土井医師)は静江の主治医。金井大(日下医師)は伊達の主治医と柏木、北村、金井は終盤に登場するようである。
制作には今までの石原裕次郎ではなく渡哲也がクレジットされ、スタッフも「西部警察」を担当していた者が多かった。サブタイトルは横文字で、挿入歌も英語。第1話はコマンドアクションの聖地といえるフィリピンを舞台に展開し、ゲストは原田芳雄、佐原健二、亀石征一郎、佐野浅夫とまあ、肝入りで始まった本作であったが世間には受け入れられなかったようで、早々と路線変更を余儀なくされるのである。次回に続く。

ザ・刑事

「ハロー!グッバイ」終了から半年、連続するように水谷豊主演で始まった刑事ドラマが「ザ・刑事」(90年)である。ちなみにタイトルは「ザ・デカ」ではなく、そのまま「ザ・けいじ」と読む。水谷のテレビ朝日系での刑事役はこれが初となるようだ。
舞台は六本木署(架空)の捜査一係で、水谷が演じるのは矢島慎吾警部補。課の№2という存在である。そのライバル的存在が片岡鶴太郎演じる田中秀行部長刑事である。捜査方針を巡りよく矢島と対立する。実年齢は鶴太郎が水谷より2歳下である。他の一係メンバーは榊原郁恵(藤田かおる)、江口洋介(坂上圭介)、中村繁之(津村純)、吉村明宏(土居拓矢)、小林克也(篠丸係長)。他に鑑識係の鶴見辰吾(丹内浩太郎)、少年課の中村あずさ(榎本直子)、そして署長の丹波哲郎(寿署長)がレギュラーである。
見た感じコミカルなイメージのメンバーが多い。鶴太郎は今は役者イメージが強いが、元々はものまね芸人だし、吉村明宏も同様。小林克也もスネークマンショーの印象が強い。江口洋介は10話で殉職という形で降板するが、後任は小西博之(中西剛)で、欽ちゃんファミリーである。
江口は当時はバリバリのロン毛。刑事役は既に「NEWジャングル」(88年)で、経験していた。他のドラマに出演するための降板だったようだが、当初からの予定だったかどうかは不明だ。映画「湘南爆走族」の江口洋助役で主演デビュー。主人公名を芸名にしたわけではなく本名である(助の字は異なる)。「湘南爆走族」も原作は長く続いていた人気マンガで、つまり名前は偶然の一致だったわけである(オーディションを受けたのは偶然ではないだろうけれども)。
中村繁之は江口と同じ当時23歳で、ジャニーズに所属していた。「イーグルス」というユニットでデビュー。同メンバーには後に光GENJIとなる大沢樹生、内海光司がいた。この中村と小西博之は「大陽にほえろ」の復活版スペシャルドラマである「七曲署捜査一係」(97~99年)でも共に刑事役を演じることになる。
主なゲストは山西道広、畑中葉子、小林昭二、三ツ木清隆、本郷直樹、丹波義隆、南条弘二、御木本伸介、安部徹、下塚誠、蜷川有紀、中島ゆたか、佐藤仁哉、佐原健二、和崎俊哉、三條美紀、小高恵美など。三ツ木、下塚、佐藤などヒーロー経験のある役者がいずれも犯罪者の役。丹波義隆は丹波哲郎の長男。第一話ゲストの土屋歩は江原真二郎、中原ひとみ夫妻の長男。この放送一か月後に交通事故死。26歳であった。
全23話での終了だが、おそらく予定通りと思われる。本作の前後は石原プロ制作番組で、その繋ぎ的な番組だった感じもある。

ハロー!グッバイ

水谷豊と言えば、今は「相棒」の杉下右京警部を20年以上続けているわけだが、初の刑事役は「夜明けの刑事」(75年)の山本刑事役である。その後は「熱中時代・刑事編」などがあったが、刑事役が続くようになったのは「ハロー!グッバイ」(89年)の辺りからであろうか。
「ハロー!グッバイ」というタイトルで思い浮かぶのは柏原よしえの歌だったり、ビートルズの楽曲だったりで、刑事ドラマを思い浮かべる人はあまりいないだろう。タイトル案に苦しんだのだろうか、と勝手に思ったりする。
ドラマの内容だが、銀座署(架空)の刑事課分室を舞台に同期のキャリア警察官3人を中心とした刑事たちの活躍を描くとある。
そのキャリアを演じるのが水谷豊(伊達晋作)、三田村邦彦(安藤泰彦)、賀来千香子(小宮真理子)で、安藤は警部であり課長で、伊達と小宮が警部補である。水谷も37歳となり永遠の若手イメージからこういった多少偉い人の役をやってもいい年齢となってきたと言える。ちなみに三田村は当時36歳だが、賀来は28歳である。まあ、若く見えた水谷と三田村、大人びて見える賀来ということで同じ世代に見えないことはない。
他の刑事課分室メンバーだが、大地康雄(東郷署長)、布施博(真鍋譲)、川崎麻世(風間勉)、五十嵐いづみ(牧村とも子)、石井章雄(田川優)など。大地は81年に起きた「深川通り魔殺人事件」のドラマ化(83年)での犯人役で注目を浴びた。その実際の犯人とよく似た風貌であり、当時だとまだそのイメージが強かったと思うが、本作では署長の役だ。五十嵐は当時21歳で「少女コマンドーIZUMI}(87年)の主演いずみ役で注目されていた。石井章雄はコント赤信号のラサール石井のことで、本作には本名で出演した。他のレギュラーに福崎和宏(屋台のよねちゃん)がいるが、福崎と水谷は「泣くな青春」で同じ不良生徒役として共演している。
本作は日テレの金曜夜8時、つまり「太陽にほえろ」と同枠で「もっとあぶない刑事」の後番組であったが、フィルムではなくVTR撮影で全19話で終了した。まあ打ち切りだったのではないだろうか。
伊達が海外研修という名目で飛ばされたロンドン警視庁から復帰するところから始まるのだが、最終回の問題行動により伊達はニューヨーク市警へ、安藤はモスクワ市警へ、小宮はパリのICPOへとそれぞれ研修、出向となる。意味合いは左遷のはずだが、海外研修って左遷には思えない。番組タイトルはこの辺を意味しているのだろう(無理矢理だが)。 

事件記者チャボ!

「あんちゃん」の終了から半年、土曜グランド劇場枠は西田敏行の「明石貫平35才」、石立鉄男の「天まであがれ!2」を挟んで、再び水谷豊主演ドラマとして「事件記者チャボ」(83~84年)がスタートする。
事件記者と言えば、NHKドラマの影響もあってか、昔は花形職業だったといえる。だが、現代このご時世ではどちらかといえば、疎まれている感じがある。個人情報とプライバシーが重んじられる時代においては、やりにくい職業かもしれない。ただ、ドラマとしては事件記者ものというのは今も存在する。
タイトルだけで調べて見ると、「事件記者」とタイトルにつくドラマは本家「事件記者」、フジテレビ版「事件記者」(67年)の後、この「事件記者チャボ」まで実に16年の間なかったようなのである(間違っていてもスルーしませう)。まあタイトルになくても「いろはの“い”」のような、内容は事件記者ものはあったりするのだが。
で水谷が相手役に指名したのが「あんちゃん」で共演した伊藤蘭であった。82年に結婚したミッキー・マッケンジーとの関係も既に冷え込んでいたとの噂もあった中での再共演だったが、本人曰く「純粋に役者として再共演したかった」ということらしい。まあ、結果的には二人の仲を決定的なものにすることになったようだが。
さて「事件記者チャボ」だが、水谷が演じる中山一太は東和日報松山支局の記者だったが、鬼丸キャップに警視庁記者クラブへ引き抜かれる。この鬼丸を演じるのが藤岡琢也で、元祖「事件記者」や前述の「いろはの“い”」にも出演している事件記者俳優だったりする。記者クラブの女性記者が伊藤演じる一之江ツルで、一太はツルに一目ぼれするのだが、彼女は若き未亡人で、子供もいるのである。ところで、チャボというあだ名はその独特なトサカのような髪型から来ている。特にこの髪型が流行ったということはなかったと思う。
他の出演者だが、加藤治子(一之江貴子)、賀原夏子(鬼丸フジ)、木ノ葉のこ(鬼丸めぐみ)。記者クラブメンバーが渡辺篤史(松岡)、有川博(大河原)、園田裕久(板西)、井上高志(近藤)、相田寿美緒(浜野)、警視庁の刑事が藤木悠(平塚)、小林昭男(今野)等である。木ノ葉のこって懐かしく感じるが、ちゃんと現役女優のようだ。
OPの構成は「熱中時代・刑事編」とよく似ており、スバル360に対して、「チャボ」ではVWビートルが登場する。共に水谷がが主題歌を歌うが大ヒットした「カリフォルニアコレクション」に比べ、今回の「何んて優しい時代」は、ヒットしなかった。