私鉄沿線97分署
「あきれた刑事」「真夏の刑事」で、主演を務めた時任三郎だが、それよりも前に出演していた刑事ドラマが「私鉄沿線97分署」(84~86年)である。この番組はあの「西部警察」の後番組であるが、ガアリと雰囲気は変わり、リアルに近づけた路線へと変更されている。時任その初期において実質的な主役だったのである。当時26歳で、レギュラー刑事役は本作が初だった。
舞台は東京都多摩西部にある架空の多摩川市にある第97分署。タイトルはエド・マクベインの人気小説「87分署シリーズ」から取ったものだろうが、米国ではドラマ化もされているし、日本でも「87分署シリーズ・裸の街」(80年)が放送されている。
さて、この「97分署」は結構、レギュラーの入れ替えが多かったのだが、初期レギュラーは捜査課が時任三郎(片山大刑事)、坂口良子(本多杏子刑事)、小西博之(松元良平刑事)、高橋長英(倉田徳夫警部補)、鹿賀丈史(奈良龍治警部補)、長門裕之(滝村兼三捜査課長)となっており、奈良はシナリオ上は係長ということだが、本編では名言されていないようだ。
交通課が白バイ隊の野村将希(三木敦史隊員)、古城裕章(望月亮隊員)、柄沢次郎(谷口夕介隊員)。警務課が武藤章生(丸岡吾一警務課長)、そして第1話で検視官として着任する渡哲也(榊俊作警視)となっている。その助手を少年課勤務の早見優(相原恵子巡査)が兼務する。
そしてセミレギュラーではあるが、池部良が山崎署長として、節目節目に登場する。
ちなみにOPの順番は、時任・坂口→早見・小西→武藤・柄沢・野村→長門・高橋→鹿賀→渡というようになっており、長門がピンでないのが驚く。
入れ替わりが多いと書いたが、まず早見優が15話にて降板、後任として原口弥生(新庄めぐみ婦警)が23話より登場している。そして26話にて主役だった時任と柄沢次郎が降板。まあ時任はスケジュールの都合であろうが、物語上の退職理由が自転車で世界一周の旅をしたいからというものであった。柄沢といえば、とんねるずや可愛かずみらと出演していた深夜ドラマ「トライアングル・ブルー」が印象に深い。
で、時任の後任として登場したのが歌手の新沼謙治(九十九圭介刑事)である。これが初のドラマレギュラーで、その後もドラマへの出演は少ない。で、OPの順番は渡→坂口→小西→野村・古城→新沼→原口・武藤→高橋→長門→鹿賀という順番になったのである。渡は物語上の主役ではないが「格」でトップクレジットへ。事実上の主役となった鹿賀がトップで良いような気がするのだが。
それもつかの間、今度は坂口良子が30話で降板となる。つまり、前述のバージョンOPは27~30話のみの仕様ということになる。次回に続く。
大都会25時
順番が前後するのだが「ベイシティ刑事」の前番組だったのが「大都会25時」(87年)である。
最近、ここで取り上げた刑事ドラマは個人的にはほとんど見ていなかったものが多く、本作もさほど見たわけではないのだが、記憶には結構残っている。「太陽にほえろ」の小野寺昭(殿下)と山下真司(スニーカー)が再び刑事役で共演することが当時、話題になったのである。
舞台となるのは千草署刑事課で、安達班と仙川班の二班が存在し、両班が競う合いながら一つの事件を解決していくという構成になっている。当初はその対立構造が強調されていたが、次第に両班が合同捜査を行うなどオーソドックスなスタイルにシフトしていったようだ。
主役となる安達班のメンバーは小野寺昭(安達武郎警部補、係長)、山下真司(冨田一平部長刑事)、大和田獏(亀山宏部長刑事)、真梨邑ケイ(片桐小夜子刑事)、塩野谷正幸(清水栄三刑事)、湯江健幸(本間悟刑事)の六人。当時、小野寺は43歳、山下は35歳と「太陽」では若手刑事だった二人もかたや係長かたやリーダー格と年齢も重ねたわけである。この中ではベテラン感のある大和田獏は当時36歳と山下とは1歳違い。真梨邑ケイはジャズ歌手としてのイメージが強いと思うが芸能界でのスタートは女優である。ちなみに、この87年にデビュー当時からのマネージャーと結婚している。塩野谷正幸は役柄上は真梨邑より年下だったが、実際は4つ上の33歳だった。テレビよりも映画や舞台を中心に活動している役者である。湯江はほぼ設定どおりの当時19歳だった。
対する仙川班であるが平田満(仙川登警部補、係長)をリーダーに、菊地太(渡辺部長刑事)、きくち英一(山口刑事)、重松収(輪島刑事)、伊藤克信(鶴田刑事)、古藤芳治(青田刑事)という顔ぶれ。見た目も派手な安達班と違って地味なサラリーマン刑事といった雰囲気の集団である。伊藤克信辺りは安達班でも違和感ないかもしれない。平田は当時33歳とレギュラーでは若手の方なのだが、設定上は小野寺演じる安達とほぼ同世代となっている。OPで紹介されているのは平田、伊藤と重松の三人だけである。
きくちは当時44歳と小野寺よりも年長。特撮ファンにはお馴染みの役者で「帰ってきたウルトラマン」のスーツーアクターとして知られる。「電人ザボーガー」では、中野刑事役で出演する傍ら殺陣師も兼任していた。菊地太は「特捜最前線」には30回ほどゲスト出演している。
この二班をまとめる課長が財津一郎(坂東清五郎警部)で、署長を久富惟晴が演じている。ちなみに11話より「大都会25時・千草警察事件ファイル」に改題されているが、映像上のタイトルは変わっていない。第1話のゲストは沖田浩之と川上麻衣子の「三年B組金八先生」コンビ。直江喜一も16話にゲスト出演している。
ベイシティ刑事
前回の「あきれた刑事」とほぼ同時にスタートしたのが「ベイシティ刑事」(87~88年)である。こちらは「デカ」ではなく「コップ」と読む。実は放送日が同じ水曜日で、20時から日テレで「あきれた刑事」、21時からテレ朝で「ベイシティ刑事」というタイムテーブルになっていたのである。「ベイシティ」が二週間早くスタートしているが、終了日は同じである。
「ベイシティ刑事」の制作は東映だが、こちらも「あぶない刑事」を意識していたと言える作りになっている。なにしろ舞台は同じ横浜で署名も港町署(あぶ刑事は港署)である。その捜査課別働班の面々が主役で、藤竜也(小池柾警部補)、世良公則(星野秀夫刑事)、石川秀美(河合あゆみ刑事)、いかりや長介(山崎末彦警部補、班長)の四人組。まあ実質、藤と世良のバディものと言え、時任三郎と永島敏行コンビに比べれば、藤と世良の方がよりスタイリッシュな感じがあり、こちらの方が「あぶ刑事」に近かった気がする。ただ、藤は当時46歳、世良は32歳で大きな年齢差があり、普通に先輩後輩コンビなのは違いといえよう。
スタッフも監督の村川透、成田裕介、脚本の大川俊道,峯尾基三、柏原寛司など「あぶ刑事」と共通している人が多い。
石川秀美は当時21歳で、バリバリのアイドル歌手だった。特にファンというわけではなかったが、「ゆ・れ・て湘南」とか「涙のペーパームーン」とかは個人的に好きな曲であった。89年末に薬丸裕英と結婚し、事実上引退となったが、夫婦でCMに顔を出すこともあった。ちなみに5児の母となり既に初孫もいるという。
いかりや長介は説明不要なザ・ドリフターズのリーダーで当時56歳。「全員集合」が85年に終了し、この87年から本格的に俳優としての活動を始めている。ゆえに、レギュラーとしての刑事役は本作が初めてであった。
レギュラーはこの四人だけだが、セミレギュラーとして神山繁(桜井捜査課長)、捜査一係のメンバーとして大川ひろし(佐伯)、市山登(工藤)、寒川直人(渡辺)、浜崎一也(木下)、田辺達也(土屋)、新富重夫(春日)、窪園純一(臼井)、川村浩之(和田)らが出演していた。捜査一係のメンバーは見事に知らない名前が多く、唯一、市山登(現・市山貴章)を知っているだけだ。
ゲストに目を向けると、高樹沙耶、安岡力也、内藤剛志、高樹澪、三上寛、又野誠治、成田三樹夫、中野誠也、小松方正、団時朗、蟹江敬三、竹内力など。内藤や竹内はまだブレイク前であった。
まあ時間帯などの関係もあろうが、結局視聴率は「あきれた刑事」よりも低く、前述のとおり両番組とも2クールで同じ日(88年3月23日)に終了となっている。
あきれた刑事
時任三郎繋がりで刑事ドラマといえば「あきれた刑事」(87~88年)が思い浮かぶ人もいるのでは。そのタイトルから「あぶない刑事」を意識していることは明白で、実際「あぶ刑事」終了の翌月にスタートした、同じ日テレとセントラルアーツ制作によるバディ刑事ものである。
翌週から同じ日曜21時で放送された後番組と思っている人も多いだろうし実際にその予定だったようだが「あぶ刑事」の後番組は「巨泉のこんなモノいらない」だったのである。つまりバラエティ枠になり、ドラマ枠は3週間後の水曜20時へと移動となったのである。
さて「あきれた刑事」だが、主演は時任三郎(内海法道)と永島敏行(黒木達男)のコンビ。普通にコンビ刑事と思いきや、刑事なのは時任だけで、永島演じる黒木は元ヤクザ。内海から報酬を貰って捜査に協力しているという設定である。
内海の身分は特殊強行犯捜査課の巡査部長(後に警部補)。潜入捜査が基本で、表向きの職業を探偵としていた(後に身分を明かす)。永島敏行の過去の刑事ものと言えば「大空港」(79年)の西条刑事役があるが、この時は18回の登場で殉職してしまっている。
内海の上司となるのが小林稔侍演じる藤田課長で、12話で転勤となり新たに着任するのが吉田日出子演じる川口課長である。実は藤田も潜入捜査の任務ぬついていたための一時的な離脱で20話に復帰する。まあ、小林のスケジュールの都合であろう。
他のレギュラーは内海が居を構える「ダコタ・ハウス」の住人である。まあ「ダコタハウス」と言えば、ジョン・レノンが住んでいて、その門の前で射殺されてしまった場所として知られるが、名をそのまんま用いている。
関根勤(石田健)、松井哲也(木下昭夫)、河合美智子(朝倉みどり)、網浜直子(岡崎由香里)、中村あずさといった面々。石田と木下は内海の捜査協力も行う。松井は当時19歳で、倉田保昭の内弟子だった。後にアクション監督としても活躍する。その妻は元アイドルの芳本美代子だ(16年に再婚)。芳本の前夫といえば金山一彦だが、その不倫相手と言われたのが河合美智子だった。
他に近所の交番の警察官役で藤井一男(小森巡査)、越川大介(吉田巡査)のお笑いコンビ「ちびっこギャング」が出演していた。当時人気のあったコンビだが94年に解散している。越川の妻は声優の島本須美である。
視聴率だが第1話が一番良く(14.1%)その後は10%を超えることはあまりなかった。興味本位で1話は見たもののすぐに見切った人が多かったということだろうか。「あぶ刑事」の二番煎じにならないようにしていたのは感じるが、「あぶ刑事」のようなムーブメントは起こせなかったようである。
真夏の刑事
テレビ朝日の日曜夜20時枠は「ゴリラ・警視庁捜査第8班」から刑事ドラマが続いていたのだが、恐らくその中で一番影が薄そうなのが「真夏の刑事」(92年)ではなかろうか。まあ個人的に全く見た記憶がないということもあるのだけれども。ちなみに「ララバイ刑事'92」と「愛しの刑事」の間の放送されており、「ララバイ」は大映テレビ、「愛しの」は石原プロだが、「真夏の刑事」は東宝の制作だ。
舞台は架空の品川南署刑事課である。主演は時任三郎(咲田勇介部長刑事)で、当時34歳。刑事役は何度か経験しているが、いずれも印象は薄い気がする。そこに新人として赴任してくるのが別所哲也(木之本太郎刑事)。当時27歳で、ど新人というわけではなくデビューから5年目くらいで、主役経験もあった。ドラマはこの二人を中心に展開するようだ。
他のメンバーは、藤田朋子(小野崎刑事)、柳沢慎吾(宮川刑事)、阿藤海(河原刑事)、矢崎滋(松木警部補)、中条静夫(市住課長)となっている。藤田朋子は別所と同い年、阿藤海(後に快)はまだ悪役イメージもあったと思うが「裸の街」で既に刑事役の経験もあった。中条静夫は「あぶない刑事」等で刑事部屋の課長といえば、この人というようなイメージがあった。ちなみにこの2年後に亡くなっている。また時任と柳沢慎吾と言えば「ふぞろいの林檎たち」。この前年91年にパートⅢが放送されている。
この他にも越智静香(咲田純子、咲田刑事の妹)、荒井乃梨子(倉田薫婦警)、そして布施博(神野署長、警視)が友情出演扱いで準レギュラーとなっている。荒井はANAのキャンペンガール出身で、97年頃に一度引退したようだが、2014年頃に活動を再開させたようだ。布施博はエリートのようには見えないと思うが、何故かそういう役柄が多いようなイメージがある。
全20回で最終話のサブタイが「殉職悲恋!刑事を愛した女」というものだが、殉職するのは主演の二人ではなく、柳沢慎吾演じる宮川刑事である。「太陽にほえろ」の山さん(露口茂)のモノマネがイメージにあり、柳沢慎吾のシリアスシーンは想像もしにくかったりもする。
刑事の殉職シーンって結構話題になるものだが、当時は話題になっていたのだろうか。
ララバイ刑事'93
「ララバイ刑事'91・'92」の終了から丁度1年。その続編である「ララバイ刑事'93」(93年)が放送された。
1年しか経っておらず設定も舞台も変更はないのだが、出演者はかなり変更されている。前回から引き続き出演しているのは、主演の片岡鶴太郎(浅倉守刑事)は当然として、松村雄基(本田勉刑事)、前田吟(丸山誠一刑事)、そして浅倉の別れた妻役の岡まゆみ(小泉昌子)のみである。ヒロインだった有森也実(椎名深雪警部)も第1話のみの出演で、他署へ移動してしまうのである。で新ヒロインとなるのが中村あずさ(本宮淳子警部)である。やはりキャリア採用の新人警部で、西新宿署へ赴任してくるのである。
中村あずさの抜擢は、次のヒロインは誰がいいか聞かれた鶴太郎が彼女の名を挙げたからということらしい。鶴太郎と中村はここでも取り上げた「ザ・刑事」(90年)で共演していた。その時の中村は普通の婦警さん役だった。彼女は当時26歳で、実年齢では有森より1歳上である。
西新宿署の新メンバーだが、的場浩司(赤川猛刑事)、蛍雪次朗(草野大吉刑事)、そして竜雷太(西村圭一課長)が加わっている。的場はこれが初の刑事役で、松村雄基と共に不良生徒イメージの強い二人が若手刑事役を担った。蛍雪次朗は、当時既に役者として20年以上のキャリアがあったが、アングラ演劇やピンク映画での活動が主であったこともあり、テレビでの初レギュラーは90年になってからのこと。ゆえに、あまり知られていない存在だったと思われる。ちなみに「ほたる・ゆきじろう」であり「けいせつ・じろう」ではない。竜雷太は「ゴリさん」も50歳を過ぎ、こうした上司の役が普通という感じになっていた。
他にも松井紀美江、羽賀研二、鼓太郎などがレギュラー出演。鼓太郎はあの彦摩呂も在籍していた「幕末塾」のメンバーで、当時から芸名を変えていないのは、この鼓太郎と彦摩呂の二人だけである。
前作も全21話で終了しているが、今回も全17回で終了となり、現時点(2022年)ではテレビ朝日の日曜20時枠で放送された最後の連続ドラマとなっている。
最終話のゲストは鶴太郎と「季節外れの海岸物語」で共演していた可愛かずみであった。可愛は「ララバイ刑事'92」にもゲスト出演していた。彼女は97年に自ら命を絶っている。中村あずさは98年に結婚の為、引退している。
ララバイ刑事'91・'92
また話が刑事ドラマに戻るのだが、石原プロの「代表取締役刑事」と「愛しの刑事」の間に放送されたのが「ララバイ刑事‘91」(91~92年)である。「Gメン75」(75~80年)は、年が変わろうとタイトルが変わることはなかったが、本作は10話の放送から92年になったのでご丁寧にタイトルも「ララバイ刑事'92」に変更している。
主演は片岡鶴太郎。この辺からであろうか、芸人としての顔はほとんど見せず、役者として出演している時はほぼ二枚目として演じるようになったのは。小太りだった体型が痩せてシャープな感じにはなっていたが、見ている方としては違和感を感じたりしたものである。俳優を目指して清川虹子に弟子入りを志願したが追い返され、子供の頃に夢見た芸人の道に進んだ。しかし本人が人気を得た「オレたちひょうきん族」に出演していて、周りが天才ばかりで芸人としては限界を感じていたという。
さて「ララバイ刑事」だが、西新宿署の刑事課に有森也実演じるキャリア採用の椎名深雪警部が課長代理として赴任する。他の男性刑事とうまくいかない中、鶴太郎演じる浅倉守部長刑事が間を取り持ち、二人の間に恋愛感情が芽生えていく、といったもの。制作は大映テレビだが、同社の刑事ドラマはその警察菅同士の恋愛関係が描かれる傾向が強いという。
有森也実は大人気となったドラマ「東京ラブストーリー」の直後だったが、役で演じただけなのに同性からは嫌われてしまうという理不尽さで話題になっていた。「ポケベルがならなくて」の裕木奈江も同様だった。
他のメンバーは、松村雄基(本田勉刑事)、渡辺正行(工藤鉄夫刑事)、菊池健一郎(中山春樹刑事)、前田吟(丸山誠一刑事)、梅宮辰夫(萩原賢造課長)、そして特別出演扱いで丹波哲郎(山口一男署長)。加えて岡まゆみ(小泉昌子)、かとうれいこ(夏木由加)など。岡が演じる昌子は浅倉の別れた妻である。
梅宮、前田、松村、岡などは大映ドラマの常連であった。菊池は当時19歳で「3年B組金八先生3」や「はいすくーる落書き」でいずれも生徒役を演じていた。渡辺はご存知「コント赤信号」のリーダー。鶴太郎とは「ひょうきん族」仲間とでも言おうか。11話には山田邦子が本人役で、13話には「ひょうきんベストテン」を担当していた山村美智子元フジテレビアナがゲスト出演している。
ちなみに岡まゆみ、有森也共に美人女優だが、実は現在まで未婚である。
ただいま絶好調!
石原プロと言えば、アクション刑事ドラマばかりやっているようなイメージだが、「西部警察」終了後に違うジャンルのダラマに挑戦していたのだ。その名も「ただいま絶好調!」(85年)。「ただいま〇〇〇」というタイトルのドラマは桔構あるのだが、ホームドラマか青春ドラマが大半で、本作も青春ドラマのジャンルに入るのだろうか。まあタイトルからは中身が想像しにくいことは確かだ。
個人的にも存在すら知らなかったドラマだが、結構知らない人も多いのではないだろうか。実は再放送は一度だけ、CS等の衛星放送でも放送されたことがないという幻のドラマだったのだが、2012年にDVD-BOXが発売されているのだ。逆に言えば、見たい人はそれを購入するしかない。しかし収録は全22話中の16話で、現状未収録6話分については見ることは困難となっている。
舘ひろし初の主演作で、役柄はロックバンド「ガレージバンド」のリーダーでボーカルの戸川史郎。舘は元々「クールス」の出身なので、そこからインスパイアされた企画だろう。ちなみにクールスは舘と岩城滉一の出会いをきっかけに結成されたバイクチームだが、バンドとしてのクールスに岩城は参加していない。
ガレージバンドの他のメンバーだが、太川陽介(前田健三、ギター)、峰竜太(松本昭、ドラムス)、西山浩司(若原剛志、ベース)、松本伊代(高井マキ、キーボード)で、そのマネージャーが勝野洋(柴田八郎)という面々。
実際に楽器が弾けたかどうかは不明だが、恐らくできないのでは?舘と峰は「西部警察」、勝野は「太陽にほえろ」と刑事イメージが強い。西山の「太陽にほえろ」出演は翌86年のことで、当時はまだイモ欽トリオの人である。太川は今やバス旅の人だが、元々はアイドル歌手だし、松本伊代も当時はまだバリバリのアイドル。
他のレギュラーだが、当然のように渡哲也(鳴海貴志)。マキの伯父で、とび職人衆「五番組」の頭。史郎たちが使用しているガレージの地主でもある。その五番組の顔ぶれは、御木裕、山口弘和、竹田高利、草薙良一、石山雄大など。御木は「西部警察」の北条刑事。96年に引退したが06年に復帰し主にVシネマで活動しているようだ。山口と竹田は「コント山口君と竹田君」。最近テレビではほとんど見かけない気もするが活動は続いている。
他にも多岐川裕美、玉川良一、なべおさみ、中村玉緒といったところが出演していた。
ただのバンド活動を主とした人情喜劇ではなく、運営費を稼ぐために危ないバイトも行うというアクション探偵ドラマ的な要素も含まれていたという。いずれにしろレアなドラマであることには違いない。
愛しの刑事
「代表取締役刑事」終了から1年、90年代最後の石原プロ制作ドラマとなったのが「愛しの刑事」(92~93年)である。本作も個人的にはチラッとしか見たことがないのだが、石原プロらしさは影を潜め、大人しい普通の刑事ドラマといった印象だろうか。
それもそのはずで、本作はバブル崩壊後ということもあり予算削減が計られている。今までのように日産自動車や三菱自動車の劇用車協力もなく派手なカーアクションをするわけにもいかない。また警察署内のシーンは、移転したばかりの調布の石原プロ事務所内で撮影されているという。派手さにかけるのも仕方ない話なのである。
今回の舞台は城西署刑事防犯課・捜査係。城西署はかつて「大都会」シリーズで使われていた署名である。主演はやはり舘ひろし(羽山了刑事)で、現場主任的な存在。宅麻伸(川村丈彦刑事)は、本庁から城西署へ転属してくる刑事。井上順(中野慶一係長)は羽山の上司で、三人とも階級は警部補である。
他のメンバーは高樹澪(桜井弓子刑事)、坂上忍(岡本刑事)、谷川竜(山下刑事)、細川ふみえ(松原事務員)、そして渡哲也(高倉大介課長・警部)といった布陣で、特にその他のサブレギュラーはいないようである。まあ、主演が舘で上司が渡で、メンバーに谷川もいるということで前作の「代表取締役刑事」と本作を混同している人もいるのではないだろうか。
宅麻伸はデビューが「七人の刑事」(79年)だったりする。番組後半に新人刑事(当時23歳)としてレギュラー入りしたが、個人的には人気俳優になるとは思えなかった。しかし現在も活躍中だ。井上順はこういった刑事ドラマへの出演は珍しい。坂上忍も当時は子役の成長した姿といった印象だろうか。谷川竜は三作続けてレギュラーということで石原プロ期待の若手だったのだろうが、95年には俳優を引退してしまう。高樹澪、高木美保、高樹沙耶(益戸育江)はほぼ同世代で名前もよく似た美人女優ということで混同していた人もいるのではないだろうか。
17話にゲストとして仲本工事が出演している。役柄は拳銃の密売人ということなので悪役なのだろう。メインゲストというわけではないようだ。
同枠(日曜20時)では、最低でも約1年の放送期間を得ていた石原プロの刑事ドラマだったが、予定通りなのか打ち切りなのか不明だが、本作は20話で終了となる。最終話で川村は再び本庁へ帰って行くようだ。
代表取締役刑事
「ゴリラ・警視庁捜査第8班」終了から「ザ・刑事」を挟んで、石原プロ制作の刑事ドラマが復活。その名も「代表取締役刑事」(90~91年)である。アクションが無くなったわけではないが、爆破などはほとんど無く、前作とは打って変わって、まあ普通の刑事ドラマに近い。タイトルの意味だが、「社会で市民を守る刑事は企業で社員を守る代表取締役に近い」ということらしい。無理矢理な感じもしてしまうけれども。
主役に添えられたのは舘ひろし。この頃の舘は刑事役ばかりで見た目は当然だがほぼ一緒で「刑事貴族」「あぶない刑事」「西部警察」と区別はつかない。本作の舞台は辰巳署刑事防犯課で、舘の役柄は係長の兵頭真警部補。舘も40歳を迎え役職のあるキャラを演じるようになった。
他のメンバーだが、高松英郎(岩田利夫部長刑事・主任)、川野太郎(松本正義部長刑事)、谷川竜(中西大吉刑事)、池田政典(小早川竜一刑事)、市川翔子(五十嵐直子刑事)、荒井玉青(牧野ひろみ婦警)、秋山武史(中川巡査)、安部譲二(大島茂三署長)、そして渡哲也が課長の橘謙司警部を演じる。
石原プロ所属の谷川や秋山は「ゴリラ」から引き続きの出演だが、川野、池田は恐らく石原プロ作品は初めての出演と思われる。高松は当時60歳の大ベテランだが、裕次郎や渡との共演はほとんどなかったのではないだろうか。
市川翔子は25話で降板し、26話から木之原賀子(南条冴子刑事)が登場する。現在は本名の犬塚賀子で活動している。安部譲二は元ヤクザで服役経験のある作家として有名で何本か映画出演もあったが、レギュラーとして出演したテレビドラマは本作のみのようである。渡が「橘警部」というキャラを演じるのは「太陽にほえろ」に続いて二度目である。
他の出演者だが、沖田浩之(兵頭裕介)、福家美峰(松本の妻)、酒井法子(橘日向子)、阿木燿子(橘麻子)、北村和夫(橘喜一)といった身内キャラがいる。沖田と福家は共に「三年B組金八先生(第二シリーズ)」の生徒役で出演していた。
ゲストに目を向けると歌手・アイドル歌手が多い。西川峰子、MIE、増田恵子、西村知美、鹿取洋子、藍田美豊(少女隊)、小柳ルミ子、石野真子、河合奈保子、網浜直子、浜田朱里、石川ひとみといったところだ。28話では坂上二郎と高木ブーという55号とドリフメンバーのめったに見られない共演があった(同一シーンに出たかどうかは不明)。関連して斉藤清六、風見しんご、西山浩司という欽ちゃんファミリーも登場している。
また、最終45話には神田正輝が出演している。