お宝映画・番組私的見聞録 -34ページ目

あんちゃん

「キッド」の後、堺正章は土曜9時の「グランド劇場」の枠から外れ、水谷豊、西田敏行、石立鉄男がローテーションで主演を務めるような形となるのだが、中でも水谷は78~84年までほぼ毎年、この枠で主演ドラマが制作されていた。「キッド」の後、石立の「天まであがれ!」を挟んで、スタートしたのが「あんちゃん」(82~83年)である。
水谷演じる田野中一徹は女子プロレスのマネージャー兼トレーナーであった。しかし、父が急死し実家の安楽寺の住職を継ぐことになる。一徹が一人前の住職になって行く姿を描いているドラマだ。で、彼の妹・徳子を演じたのが伊藤蘭である。キャンディーズ解散から約5年、アイドルのランちゃんイメージもまだ残っていた頃だろうか。後に結婚することになる二人が出会ったドラマだったわけである。
82年と言えば、水谷がミッキー・マッケンジーと結婚した年であり、新婚ホヤホヤの状態だったわけだが、半年後にはミッキーが帰国し別居状態となった中で、伊藤と出会い、元々ファンでもあったのか彼女に惹かれていったようである。個人的なことを言えば、自分もランちゃんのファンではあったが、このドラマに関しては全く見ていない。何故かは忘れたが、昔からホームドラマの類はほぼ見ていなかった。
さて、他の出演者だが弟の文太に西山浩司、一徹の幼馴染みが三浦洋一(川上音次)、岡本富士太(馬場一郎)、ピーター(小林伸一)、市川好郎(木又圭六)、河西健司(杉山米夫)、先輩が寺田農(林田元)、徳子の幼馴染が藤真利子(宇佐木静)、蜷川有紀(山田とみ子)。市川好郎は「キューポラのある街」(62年)などで知られる名子役であったが、成長してからはほぼ悪役であり、チンピラや凶悪犯を演じることが多かった。93年に45歳の若さで亡くなった。蜷川有紀は自分もたまに勘違いするのだが、蜷川幸雄の娘ではない。母方の叔父であり、幸雄の娘・蜷川実花は従妹である。現在はほぼ画家として活動しており、夫は猪瀬直樹である。
大御所としては淡島千景(田野中頼子=一徹の母)、東千代之介(内田国夫=一徹の叔父)、村田英雄(森山岩男=檀家)などがいる。
ゲストとしては、ミミ萩原、ジャガー横田、初井言栄、長塚京三、水島道太郎、山下真司、花沢徳衛、蟹江敬三、千石規子、浅野真弓、大友柳太郎、そして松田優作も15~16話に出演している。

熱中時代・刑事編

今回は堺正章から離れて時代が少し遡るのだが「キッド」(80~81年)と同じ土曜夜9時枠で、放送されていた刑事ドラマが「熱中時代・刑事編」(79年)である。「熱中時代」と言えば、学園ドラマとして有名だが、水谷豊が主演で、出演者も結構被ってはいるが刑事編との繋がりはない。違うタイトルでも良かったと思うが、「熱中時代」人気の肖ろうとしたのかもしれない。本作も以前ここでやった気がするが、そこはスルーしませう。
水谷が演じるのは大門署捜査一係の新米刑事・早野武である。その捜査一係りのメンバーは藤岡琢也(潮田衛太郎)、宍戸錠(菅谷一平)、小松方正(矢頭文司)、細川俊之(前原国彦)、森本レオ(間哲雄)、谷隼人(千馬隆盛)という顔ぶれ。パッと見て誰が係長で誰が部長刑事がわかるだろうか。正解は藤岡琢也が係長で、宍戸錠と森本レオが部長刑事なのである。最年長の小松方正やエリートっぽく見える細川俊之はヒラ刑事ということになる。実年齢では水谷、谷に次いで若い森本が部長刑事というのも意外な気がしたが、彼もエリートっぽく見える。だが、警察にてホントのエリートは警部補からスタートなので、部長刑事な時点で早めに昇進試験に受かった人に過ぎないということになる。ちなみに藤岡演じる潮田の階級が警部補だったと思う。ところでこのメンバーは谷隼人以外は前年である78年の「オレの愛妻物語」のレギュラーメンバーである。主演はやはり水谷でスタッフもほぼ一緒で、放送時間帯つまり「グランド劇場」枠というのも一緒である。
本作の第1話でミッキー・マッケンジーと出会い、8話で結婚してしまうのである。知っている人も多いと思うが、水谷とミッキーは82年にホントに結婚するのである。ミッキーはハリウッドで女優デビューして、どういう経緯かは不明だが本作に出演。他には日本でのドラマや映画出演実績は無いようである。86年に離婚するが、水谷はやはり「事件記者チャボ」(83年)で共演した伊藤蘭と89年に結婚することになる。水谷はミッキーと結婚し半年後には日米での別居状態になっていたといい、すぐに伊藤との熱愛が噂されていた。元々伊藤のファンであり、共演も自らの指名によるものだった。
話が逸れたが他のレギュラーは木内みどり、宇都宮雅代、神保美喜、片桐夕子、竹井みどり、松金よね子、草笛光子、伴淳三郎などである。
水谷自ら歌う主題歌「カリフォルニアコレクション」は大ヒットとなり、「ザ・ベストテン」では4週連続で1位を獲得している。

キッド

今回は、堺正章主演は変わらないのだが、放送時間帯は日曜夜8時ではなく土曜夜9時である。日テレの「グランド劇場」という枠で放送された「キッド」(81~82年)である。以前、ここで取り上げたこともあるのだが、それからCS等で放送されることもなく、個人的に見たことがないという状況は変わっていない。前と書くことも、ほとんど変わっていないかもしれないが、遡って見るのも面倒くさい人もいるだろうからということで。
タイトルだけだとわからないと思うが、刑事ドラマなのである。主人公は堺演じる黒金署の刑事・木戸一平。妻に先立たれ一人息子イサム(柴田一幸)を一人で育てている。一平は捜査一係の所属だったが、その強引な捜査っぷりなどが問題となり、捜査二係に転属となる。
ほとんどの刑事ドラマは殺人・強盗などを扱う捜査一係が舞台だが、本作では詐欺・汚職など知能犯を扱う捜査二係が舞台となる。一係と二係の対立が描かれるようだが、刑事ドラマの対立構造といえば、本庁と所轄とか、同じ事件を扱う二つの班というのが普通だと思う。通常は性質の異なる事件を扱う一係と二係の対立というのは珍しい構図と言える。
捜査二係の係長は船越英二(春日智之)で、所属メンバーは宍戸錠(北垣竜)、前田吟(宮部八郎)、蟹江敬三(赤根憲三)、ポール牧(大江良寛)、古尾谷雅人(村岡誠)。今見るとかなり豪華な顔ぶれ。健在なのは前田のみで、ポールも古尾谷も自殺という形で世を去っている。蟹江敬三は70年代は悪役であったが、善人役へと転換し始めた頃である。
対する捜査一係。係長は金子信雄(小笠原剛太郎)で、他のメンバーは小松方正(竜野忠)、大前均(佐久間大)、安原義人(間戸公一)、峰竜太(真木隼人)、小林昭男となっており、安原と峰以外は悪役っぽい顔ぶれとなっている。小林のみ役名が不明。後に「11PM」のディレクターになったという。峰は「大都会シリーズ」と「西部警察」の間にも刑事役をやっていたということになる。まあ。一係と二係の顔ぶれが入れ替わってもさほど違和感はない気がする。
他の出演者だが、松尾嘉代(春日博子)、友里千賀子(春日めぐみ)、真行寺君枝(春日しのぶ)、山本みどり(小笠原桃子)、柏原よしえ(平野マリ)、神保美喜(美奈子)、朝丘雪路(小笠原花江)、細川俊之(有馬文彦)など。
刑事ドラマとして以外にも息子のイサムが脳腫瘍に侵されるというという展開がある。イサム役の柴田一幸は当時7歳でこれがデビュー作。20代で病気のため亡くなったそうである。
本作は「熱中時代」の出演者やスタッフが多いが、噂では水谷豊と堺のW主演が予定されていたとの話がある。当時この枠は水谷豊の枠みたいなイメージもあったので、不思議ではない話である。

天皇の料理番(80年版)

堺正章の日曜8時シリーズ。「西遊記Ⅱ」が終了して、半年後に始まったのが「天皇の料理番」(80~81年)である。今回は古巣?であるTBSに復帰である。
実はこの番組、全く見たことがない。数年前にCSで放送されていたが、その時も見ていなかった。何話か録画したかもしれないが、見てはいないと思う。録画してDVDなりBDなりに焼いても、それっきり見直さないパターンは結構多いのである。
堺正章が主演ということぐらいは知っていたが、他の出演者、たとえば明石家さんまとか鹿賀丈史とかは知らなかったことに改めて気づいた。
原作は杉森久英の小説で、宮内省の料理長を務めた秋山徳蔵の実際の経歴を基にしているが、細部はフィクションのため、小説版もドラマ版も名前はちょっと変えている(本作では秋山篤蔵)。明治末期、少年だった篤蔵は軍隊の田辺伍長にカツレツを食べさせてもらったことをきっかけに料理人を目指すことになる。上京し見習い仲間の新太郎や辰吉と共に修行に励み、やがて「天皇の料理番」にまで出世するというのが、大まかなストーリーだ。
主人公の篤蔵は勿論、堺正章で、その妻トシ子が壇ふみ。見習い仲間の高村新太郎が鹿賀丈史で、平野辰吉が明石家さんまである。鹿賀は劇団四季を退団し、テレビドラマに出始めた頃である。後に「料理の鉄人」の司会になるとは夢にも思わなかっただろう。
さんまもこの頃はまだ大阪を拠点にしていた。ゆえに、このドラマでさんまのことを知った人もいるはずである。この後、すぐに全国区の人気者になるのだが、それより早くドラマのメインキャストに抜擢されていたというのも意外な気がする。当初は直ぐに退場する予定だったらしいが、スタッフに気に入られ辰吉の人生も描かれることになったという。篤蔵の一代記の予定が辰吉、新太郎を加えた三者の群像劇として展開されるようになったという。
ちなみに本作のメインライターは鎌田敏夫。さんまと鎌田といえば後に「男女七人夏物語」を大ヒットさせることになる組み合わせだ。
他の出演者だが、財津一郎(宇佐美修)、山口いづみ(倉橋八千代)、田中裕子(山本キミ子)、高城淳一(山本松五郎)、野村昭子(山本あき)、セーラ・ローウェル(フランソワーズ)、柳生博(桐塚)、山田パンダ(勝五郎)、織本順吉(秋山周蔵)、三條美紀(秋山初)、朝加真由美(みつ)、志賀勝(荒木)、平幹二郎(安達参事官)、目黒祐樹(田辺伍長)、近藤正臣(秋山周一郎)などで、ナレーターが渥美清である。
田中裕子がさんまの妻役、セーラが鹿賀と結ばれる役。セーラと鹿賀は本作終了直後に「Gメン75」でも揃って登場し新メンバーとなる(セーラは11年に50歳で死去)。山田パンダはかぐや姫のメンバーで、ドラマ出演は3作ほどしかないようだ。本作では檀ふみの後夫の役である。

西遊記Ⅱ

「西遊記」が終了した後、沖雅也主演の「俺たちは天使だ」を挟んで「西遊記Ⅱ」(79~80年)がスタートした。
主演の堺正章(孫悟空)は勿論だが、夏目雅子(三蔵法師)、岸部シロー(沙悟浄)は引き続き出演したが、猪八戒は西田敏行から左とん平に交代。これは単純に西田が売れっ子になり忙しくなったからである。加えて三蔵の愛馬である玉竜の人間体として藤村俊二がレギュラーに加わった。前作では堺が一行の最年長だったが、左は9歳、藤村は12歳もそれぞれ堺より年長である。
OPも前作に引き続きのゴダイゴ「Monkey Magic」だったが、EDは「ホーリー&ブライト」に替わっている。オリコンで言えば、「Monkey Magic」や「ガンダーラ」は最高2位まで行ったが、「ホーリー&ブライト」は17位が最高だったようだ。もっとヒットしていたイメージである。
このパートⅠからⅡの間に、日本初という中国ロケが行われたという。いくつかのシチュエーションが撮られたが、無音声で劇中では使用されていないという。OPで、その一部が使われたが撮影に参加したのは堺、岸部、左、藤村の4人だけで夏目はスケジュールの都合で不参加。後姿は別人で、正面のカットは日本で撮影され編集で繋いだもの。彼女も結構な売れっ子になっていたのである。
彼女が後に白血病を発症したのは、この時の撮影が原因であるという説が後に流れた。70年代に中国がウイグルで核実験を行っていた為、被ばくした可能性があるからというものである。ただ、前述のとおり夏目は中国ロケには参加していなかったので、病気との因果関係はないとされた。しかし彼女は当時、腎盂炎を患っており、彼女の体調を心配した堺が自費でキャンピングカーを購入し、ロケ地にトイレがない時などに利用させていたという。81年にはバセドウ病の手術をするなど病気がちの体質ではあったようだ。
さて、パートⅡの他の出演者だが高峰三枝子(釈迦如来)、中村敦夫(太宗皇帝)、井上孝雄(天帝)は前作と同役で登場。新藤恵美も両方の1話に登場しているがいずれも嫦娥という同じ役である。
こちらで、妖怪・魔物を演じた中にポール牧、関武志がいる。牧と関はコント・ラッキー7というコンビで年齢差は17もある。関が84年に死亡したため、牧は以降ピンで活動した(05年に自殺)。
他に佐藤オリエ、山本昌平、八名信夫、山口美也子、峰岸徹、平泉征、鈴木瑞穂、鈴木ヤスシ、せんだみつお、和田アキ子、小林稔侍、西岡徳馬、松崎真、大前均など。山本、平泉、松崎、大前はⅠでも妖怪を演じている。19話には「水戸黄門」でよくあるニセ一行が登場。悟空、三蔵、八戒、悟浄の偽物を森川正太、南利明、三角八郎、大友龍三郎がそれぞれ演じている。
Ⅱの終了時点ではⅢの制作が予定されていたというが、結局は制作されなかった。

西遊記(78年版)

日曜8時で堺正章とくれば、必然的に「西遊記」(78~79年)にたどり着く。大人気番組だったが、個人的にはあまり見ておらず、無視しようかなとも思ったが、それも不自然なので。TBS→NET(テレビ朝日)と来て、次は日本テレビである。
再放送なども多いため、何か最近の番組のようなイメージもあったのだが、もう40年以上経っているいることに驚く。番組内容よりもゴダイゴが担当したOP「Monkey Magic」とED「ガンダーラ」が共に大ヒットしたことが印象に強く残っている。
「西遊記」と言えば、映画の世界では40年に榎本健一主演で「孫悟空」が撮られていたりするが、テレビドラマとしては本作が初めてだったのではないだろうか。日本テレビは開局20周年記念番組としては「水滸伝」(73~74年)を放送したが、開局25周年記念番組として製作されたのが本作である。
ウィキペディア等によれば、元々は若山富三郎が映画のとして企画し、悟空が若山、三蔵法師が坂東玉三郎、猪八戒が高見山大五郎、沙悟浄が仲代達矢で考えられていたという。にしても若山の悟空と仲代の沙悟浄は全く想像ができない。玉三郎には実際オファーしたらしいが、即効で断られたという。そこで、思い切って女優の男役でいこうという話になったようだ。
で、本作のキャストだが、悟空は堺、三蔵法師は前述のような事情もあって夏目雅子が抜擢された。当時21歳で売り出し中であり、まだキャンペーンガールのイメージが強かった。猪八戒は人気の出始めていた西田敏行、沙悟浄には「マチャアキの森の石松」でも共演した岸部シローが選ばれた。
他には勝呂誉(観音菩薩)、井上孝雄(天帝)、中村敦夫(太宗皇帝)、高峰三枝子(釈迦如来)等がいる。
毎回のように魔物や妖怪が登場するが、それらを演じたのが内田良平(金角)、三条泰子(銀角)、大門正明(聖嬰大王)、中尾彬(鱗青魔王)、曽根晴美(虎力大仙)、天津敏(鯰震魔王)、花沢徳衛(道順)、長門勇(独角大王)、工藤堅太郎(青龍将軍)、緑魔子(バッタ女王)、蟹江敬三(広良)、児島美ゆき(羅刹女)、小島三児(牛魔王)、南利明(鉄砂大王)等である。勿論、それ以外のゲストもおり、カルーセル麻紀、新藤恵美、岡田英次、平田昭彦、ハナ肇、土屋嘉男、赤座美代子、池波志乃、谷啓、多々良純、泉じゅん、岸本加世子、島本須美、渡辺やよいといったところである。中尾彬、池波志乃夫妻は第8話に揃って登場する。
2クールの番組ではあるが、脚本には佐々木守、ジェームス三木、柴英三郎、布施博一、田上雄など十数人が参加している。特撮監督は高野宏一、佐川和夫、中野昭慶といった円谷プロ出身者があたっている。

マチャアキの森の石松

堺正章の「日曜8時」シリーズとでも言うのだろうか、局はTBSからNET(現・テレビ朝日)に移るのだが、そこで放送されたのが「マチャアキの森の石松」(75~76年)である。
正直、見た記憶はないのだが、タイトルだけ聞くとかなりバラエティよりのコメディドラマを想像してしまうのだが、スタッフを見ると驚く。演出は全26話全てマキノ雅弘が担当し、脚本もマキノと小国英雄の二人で、そのほとんどを担当しているのだ。マキノと言えば、東宝、東映で「次郎長三国志」シリーズを監督した「本家」の人でもある。小国英雄は黒澤映画が有名だが、マキノ作品にも関わっており、「次郎長三国志」シリーズにも構成として参加している。
森の石松と言えば次郎長一家だが、勿論その面々も登場する。主演は言うまでもなくタイトル通り堺正章で、他のレギュラーは、浜畑賢吉(清水次郎長)、宍戸錠(大政)、渡辺篤史(桶屋の鬼吉)、岸部シロー(法印大五郎)、山本紀彦(関東綱五郎)、永井秀和(増川仙右衛門)、尾藤イサオ(追分三五郎)、岡本信人(三保の豚松)、江波杏子(お綱)、土田早苗(お蝶)、浜田光夫(小松村七五郎)、森繁久彌(見受山の鎌太郎)となっている。コメディ要素も含んでいる役者が多いように思う。森繁は終盤に4回ほど登場するようだ。マキノの「次郎長三国志」で石松を演じていたのが森繫である。
ゲストについては、その役柄は不明なのだが、第1話には山口百恵。彼女は第9話にも登場する。第2話は、和田アキ子、吉沢京子、速水亮、夏夕介、川口厚と当時の若手スターが大挙出演。第3話に松山英太郎、武原英子、たこ八郎、第4話に由紀さおり、第6話に小林麻美、第8話には長門裕之、朝丘雪路という義理の兄妹が登場。マキノは長門の外叔父にあたる。第10話には五十嵐淳子、有島一郎、東山敬司、西真澄。東宝の青春学園ドラマ「進め!青春」(68年)の主演が浜畑で「炎の青春」(69年)の主演が東山敬司である。いずれも短命(10~11話)に終わっている。西真澄は「時間ですよ」で堺と共演していた。
第13話には夏木マリ、滝田栄。滝田は当時一般的にはあまり知られていない存在であった。14話に研ナオコ、19~20話には金井克子(最終話にも登場)、23話には植木等、関敬六、小桜京子、24~26話には由美かおる、25~26話に水沢アキとなっている。女性ゲストが充実していたように思える。
テレビドラマデータベースの解説によれば、本作はVTR作品という理由で、出演料をランクの50%相当額に抑え込もうとしたため、日俳連、マネ協、新劇団協議会が制作会社の国際放映に是正を求める動きを生んだという。この時代でVTR作品だと、まだテープに上書きするという風習も残っていたと思われるが、本作はどうだったのであろうか。

テレビはこれだ!ドラマが3つも/何がなんでも

「日曜8時、笑っていただきます」の後番組となるのが「テレビはこれだ!ドラマが3つも」(71年)である。
バラエティ仕立てのオムニバスドラマで、引き続き堺正章の魅力を活かして、60分の枠内で3つのドラマにより構成されている。その3つのドラマというのが、股旅時代劇「ばか殿漫遊記」、ヒーロー活劇「大活劇カンチョーマン」、人情活劇「ぼくの女房は8つうえ」からなる。
「ばか殿漫遊記」は、弱虫で女嫌いの若殿・留波丹波守(堺)が政略結婚で迎える花嫁から逃れ、諸国漫遊に出かけ女難剣難にあうという時代劇。他の出演者は桃栗三右ヱ門(石立鉄男)、万頼(高橋元太郎)、真黒三太夫(西村晃)、お関(松岡きっこ)など。
「大活劇カンチョーマン」は、怪盗リュックサック(坂上二郎)と戦う頼りないヒーロー・カンチョーマン(堺)の活躍を描く。「カンチョしちゃうから」というセリフだけが記憶に残っている人も多いのではないだろうか。ヒロインの名は夢子というらしいが、誰が演じたかは不明。出演者に名前が挙がっている中では岡崎友紀が該当しそうな気がする。
「ぼくの女房は8つうえ」は、豆腐屋の女主人(三ツ矢歌子)と店員・オサム(堺)の下町人情劇。坂本スミ子、名古屋章などが出演していたようだ。タイトルから堺と三ツ矢が夫婦ということになるのだろうが、実年齢では10歳違いである。三ツ矢と坂本スミ子は高校時代の同級生だそうだ。
後は誰がどのドラマに出ていたか、レギュラーかゲストかも不明だが、品川隆二、川崎敬三、姫ゆり子、丘ゆり子、マリ・クリスチーヌ、南美江、曾我廼家一二三、ミヤコ蝶々などである。
当時としては斬新な企画といえるかもしれないが、視聴率は振るわなかったようで、わずか10回、71年内での終了となった。
その穴埋めのように始まったのが「何がなんでも」(72年)である。引き続き堺の主演で、奇想天外な借金逃れと、借金取り立ての攻防を描くコメディードラマだそうだ。どうやら堺が借金に追われるのではなく、質屋の息子で毎回、取り立てに行って失敗するというような話らしい。
他の出演者だが、レギュラーらしいのが川崎敬三、岡崎友紀、坂上二郎、牟田悌三、桜井センリ、左とん平、高須賀夫至子などで、ゲストらしいのが谷啓、松岡きっこ、西村晃などである。こちらは予定通りかもしれないが、11話で終了している。全く情報のないドラマで、覚えている人も希少ではないかと思われる。

日曜8時、笑っていただきます

今回はフジテレビではなくTBSなのだが、「日曜8時」というワードがタイトルに入っているドラマということで「日曜8時、笑っていただきます」(70~71年)である。
普通のドラマではなく、バラエティ仕立てであり、あの久世光彦が演出を担当していると言えば、何となくイメージを掴めるのではないだろうか。個人的には、見ていたことだけは覚えているのだが、内容的には全く覚えていない。出演者で覚えているのは主役の堺正章とその憧れの存在だった五十嵐淳子(当時五十嵐じゅん)くらいだろうか。この番組を記憶していたのは、本作が五十嵐のデビュー作だったということも大きい。当時18歳で、通学していた高校は芸能活動厳禁だったため、中退してこの世界に飛び込んできたようだ。海老名みどりが同級生で「開校以来一番の美女として評判だった」と彼女のことを述べている。すぐに、本名の五十嵐淳子になったようなイメージだったが、75年の途中までは五十嵐じゅんを芸名としていたようだ。
話を「笑っていただきます」に戻すと、番組概要は東京五反田の花本家の住人を中心に、そこに出入りする様々な人間が巻き起こす事件をコミカルに描きながら「ショーコーナー」や「ニュースコーナー」へつないでいく、とある。
主演は前述のとおり堺正章(花本マモル)。番組スタート時(70年10月)は、まだ所属していたスパイダースは存在していたが、この70年限りで解散している。この70年には「時間ですよ」もスタートしており、堺が番組タイトルを叫ぶのが恒例だったが、本作も同じスタイルで「笑っていただきま~す」と堺が叫んでいたと記憶している。
花本家の住人は、水前寺清子(花本カオル)、丹阿弥谷津子(花本邦江)、日下武史(草野計四郎)、悠木千帆(山形鈴子)がおり、草野と山形は同居人である。悠木千帆は樹木希林の前の芸名。堺とは「時間ですよ」でも共演していた。丹阿弥谷津子は金子信雄夫人。本作での設定は実年齢と同じ46歳であった。
他の出演者は、萩原健一(健二)、和田アキ子(アキ子)、藤村俊二(品田六介)、左とん平(朝倉)、沢田雅美(タマ子)、曾我廼家一二三(杉本巡査)、飯田蝶子(お米)、高松しげお(三平)、常田富士男(箱田)、玉置宏(田辺昭知)、十勝花子(花子)、そして五十嵐じゅん(カナ子)などである。
書いていて思い出したのが曾我廼家一二三の警察官で丸メガネにチョビ髯が特徴。十勝花子もこの番組で認識したはずだ。芸名通り北海道は十勝の出身である。名司会で知られる玉置宏の役名が田辺昭知という。スパイダースのリーダーと同名である。その田辺は70年5月で現役を引退し、マネジメントに専念。代わりに前田富雄がドラマーとして加入するが、半年後に解散となる。元スパイダースの魚屋さんとしてたまに取り上げられるのがこの前田である。萩原健一の所属していたテンプターズもほぼ同時期に解散している。テンプターズは田辺の事務所(スパイダクション)の所属だった。そのスパイダクションが後の田辺エージェンシーへと発展していく。
また話がズレたが、「笑っていただきます」の放送期間は約1年だが、回数は全34回とのこと。ナイター中継のためだと思われる。

オレンジの季節

また話が前後するのだが、「一心太助」の前番組が「オレンジの季節」(71年)というホームドラマなのである。
その概要は、下町に住む頑固者の達雄とその6人の孫の富士山(フジヤマ)一家。彼等とその関係者たちが繰り広げる騒動をユーモラスに描いた作品ということである。
60年代に「七人の孫」という人気ドラマが存在したが、それがベースにはなっているのだろう。ただ「七人」の方は祖父の森繁がいて、その間に両親がいて、七人の孫がいるという構成だったが、本作は祖父がいて六人の孫がいるという構成だ。孫の両親が別居なのか既に他界しているのか、という細かい設定は不明である。まあめったにない家族構成であることは確かだ。
出演者だが、祖父の富士山達雄に松村達雄。長男・おさみになべおさみ、次男・悟郎に大石悟郎、三男・健一に桜木健一、長女・きっこに松岡きっこ、次女・ルミに小山ルミ、三女・じゅんに五十嵐じゅんとなっている。つまり、役者の名前をそのまま役名として使っているわけである。なべの本名は渡辺修三と書くので、修三なのに長男、悟郎なのに次男、健一なのに三男とツッコミを入れたくなる。
五十嵐じゅんは五十嵐淳子のデビュー当時の芸名だ。小山ルミと五十嵐は役柄では次女三女だが、共に52年生まれで当時18歳である。五十嵐と桜木健一は役柄では高校生だが、桜木は当時22歳だった。桜木と言えば、当時は「柔道一直線」で人気があり高校生イメージがあったのは当然だ。ちなみに「柔道一直線」の最終回と「オレンジの季節」の第1話は同じ71年4月4日の放送なのである。桜木ファンこの日7時から「柔道一直線」を見て、8時から「オレンジ」を見たのではないだろうか。
大石悟郎は桜木と実年齢では2歳しか違わないが、本作では高校の生物教師の役。なべは週刊誌の記者、松岡はモード店員、小山は家事手伝いという設定だ。
他の出演者だが、大原麗子(高校の音楽教師・大原先生)、高崎一郎(高校の英語教師・高崎先生)、塚田茂(塚田編集長)、布施明(布施カメラマン)、南利明(二百円のおっさん)となっており、南以外はこちらも演者の名前が役名となっている。高崎は「オールナイトニッポン」の初代パーソナリティー、塚田は「8時だよ全員集合」「シャボン玉ホリデー」などの構成作家として知られる。
演出は吉永小百合の夫でも知られる岡田太郎。番組原案はここでも何度か話題にした葉村彰子。共同ペンネームであり、本作の構成である植木昌一郎を中心に脚本を担当した向田邦子、松木ひろし、窪田篤人、大西信行等がそのメンバーである。