キッド | お宝映画・番組私的見聞録

キッド

今回は、堺正章主演は変わらないのだが、放送時間帯は日曜夜8時ではなく土曜夜9時である。日テレの「グランド劇場」という枠で放送された「キッド」(81~82年)である。以前、ここで取り上げたこともあるのだが、それからCS等で放送されることもなく、個人的に見たことがないという状況は変わっていない。前と書くことも、ほとんど変わっていないかもしれないが、遡って見るのも面倒くさい人もいるだろうからということで。
タイトルだけだとわからないと思うが、刑事ドラマなのである。主人公は堺演じる黒金署の刑事・木戸一平。妻に先立たれ一人息子イサム(柴田一幸)を一人で育てている。一平は捜査一係の所属だったが、その強引な捜査っぷりなどが問題となり、捜査二係に転属となる。
ほとんどの刑事ドラマは殺人・強盗などを扱う捜査一係が舞台だが、本作では詐欺・汚職など知能犯を扱う捜査二係が舞台となる。一係と二係の対立が描かれるようだが、刑事ドラマの対立構造といえば、本庁と所轄とか、同じ事件を扱う二つの班というのが普通だと思う。通常は性質の異なる事件を扱う一係と二係の対立というのは珍しい構図と言える。
捜査二係の係長は船越英二(春日智之)で、所属メンバーは宍戸錠(北垣竜)、前田吟(宮部八郎)、蟹江敬三(赤根憲三)、ポール牧(大江良寛)、古尾谷雅人(村岡誠)。今見るとかなり豪華な顔ぶれ。健在なのは前田のみで、ポールも古尾谷も自殺という形で世を去っている。蟹江敬三は70年代は悪役であったが、善人役へと転換し始めた頃である。
対する捜査一係。係長は金子信雄(小笠原剛太郎)で、他のメンバーは小松方正(竜野忠)、大前均(佐久間大)、安原義人(間戸公一)、峰竜太(真木隼人)、小林昭男となっており、安原と峰以外は悪役っぽい顔ぶれとなっている。小林のみ役名が不明。後に「11PM」のディレクターになったという。峰は「大都会シリーズ」と「西部警察」の間にも刑事役をやっていたということになる。まあ。一係と二係の顔ぶれが入れ替わってもさほど違和感はない気がする。
他の出演者だが、松尾嘉代(春日博子)、友里千賀子(春日めぐみ)、真行寺君枝(春日しのぶ)、山本みどり(小笠原桃子)、柏原よしえ(平野マリ)、神保美喜(美奈子)、朝丘雪路(小笠原花江)、細川俊之(有馬文彦)など。
刑事ドラマとして以外にも息子のイサムが脳腫瘍に侵されるというという展開がある。イサム役の柴田一幸は当時7歳でこれがデビュー作。20代で病気のため亡くなったそうである。
本作は「熱中時代」の出演者やスタッフが多いが、噂では水谷豊と堺のW主演が予定されていたとの話がある。当時この枠は水谷豊の枠みたいなイメージもあったので、不思議ではない話である。