お宝映画・番組私的見聞録 -36ページ目

紫頭巾(72年版)

「白雪劇場」ネタは前回で終了し、「おとこ鷹」で主演だった浜畑賢吉の別の主演ドラマについて取り上げたい。「おとこ鷹」は72年の10月からの放送であったが、同じ72年の4月~9月まで放送されていたのが「紫頭巾」である。当時の浜畑は超売れっ子役者で、この72年4月にスタートしたのは「紫頭巾」だけではなく、ホームドラマ「うなぎのぼり鯉のぼり」、NHK銀河テレビ小説「楡家の人びと」とという三本の出演ドラマが同時にスタートしているのである。しかも「紫頭巾」と「うなぎのぼり‥」は主演である。全部撮影時期が同時だったとは限らないが、三本掛け持ちというのは中々ではないだろうか。
さて「紫頭巾」だが、大正時代に発表された作品で、原作は寿々喜多呂九平。もちろんペンネームである(本名は神脇榮満)。小説として書かれたわけではなく、1923年の映画「浮世絵師紫頭巾」の脚本を書いたのが寿々喜多だったため、以降も紫頭巾関連の作品は彼が原作となっている。ちなみに当時24歳で、デビュー作でもああった。彼と同じ下宿にいたのが阪東妻三郎で意気投合し、まだ無名だったバンツマを監督の牧野省三に紹介したのも寿々喜多である。「雄呂血」などバンツマの人気を不動とした作品の脚本を書いたのも寿々喜多だ。1923年は関東大震災の起きた年だ。
テレビドラマとしては61年に児童向け作品として製作されたのが最初のようだ。主演は夏目俊二。
大雑把なあらすじだが、老中・田沼意次の悪政を正そうと秘剣・修羅八双で、敵をなぎ倒す紫頭巾の活躍を描いている。表の顔は浮世絵師の狩田秀麿で、他に扇喬之介という名も持つ。
浜畑以外のキャストは、和田浩治(早縄佐平次)、東八郎(とんがり松)、三谷昇(山本源水)、田坂都(お初)、新藤恵美(園絵)、二本柳敏恵(おえん)、酒井靖乃(お美乃)、外山高志(三浦庄司)、森章二(春名源四郎)、荻島真一(呼売り吉五郎)、田村亮(此県大吉)、勝呂誉(松平定信)、渥美国泰(田沼意次)、大友柳太郎(戸ヶ崎熊太郎)等である。田村亮(バンツマの四男)が出ているなら彼が紫頭巾でも良いのではと思ったが、バンツマが紫頭巾を演じたことはなかったようだ。
ゲスト出演は、里見浩太朗、ジュディ・オング、土田早苗、野川由美子、尾崎奈々、麻田ルミ、大和田伸也、長沢純、佐藤允、中尾ミエ、森次晃嗣、河原崎長一郎、長門勇、丘みつ子、ピーター、桜井センリ、犬塚弘、吉沢京子、吉行和子、柴俊夫、そして61年版の主役だった夏目俊二などである。

父子鷹(72年版)、おとこ鷹

また「白雪劇場」の時代劇に戻るのだが、結構前に取り上げた山崎努主演の「岡っ引きどぶ どぶ野郎」の後番組となるのが「父子鷹」(72年)である。「おやこだか」と読み、原作は子母澤寛で、勝海舟の父である勝小吉が主役である。
子母澤と言えば「新選組始末記」「勝海舟」や「座頭市」の原作としても知られる。有名な話だが「座頭市」は10ページほどの随筆である「座頭市物語」が基となっている。
映画版は56年に市川右太衛門、北大路欣也という実の親子が小吉と麟太郎(海舟)を演じた。ちなみに北大路のデビュー作でもある。ドラマ化はそれまでに何度かされているが、連続ドラマとなったのは中村竹弥、青山良彦による64年版に続いて二度目となるようだ。
ただし今回は小吉の若き日を描いており、小吉を演じるのは当時33歳の若林豪である。麟太郎が登場するかどうかも不明なのだが、まあ少年時代ということになるだろう。詳しい内容についても不明で、役柄が判明しているのは若林以外には、音無美紀子(勝信子)、伊吹吾郎(島田虎之助)、岡田英次(男谷彦五郎)くらいだ。ちなみに信子は小吉の妻、虎之助は麟太郎の剣の師匠、彦五郎(原作は彦四郎)は小吉の長兄である。実際、彦四郎と小吉は24歳の差があったらしい。
小吉については正直、その背景を全然知らなかったのだが、旗本・男谷平蔵の三男で、小普請役の勝家に婿入りする形で信子と夫婦となる。小普請役とは無役の御家人のこと。小吉も生涯無役だったが、腕っぷしと剣の腕は優れていた。酒と博打はやらなかったが、女遊びと喧嘩を好んだという。
他の出演者だが、島田正吾、近衛十四郎、山形勲、野川由美子、峰岸隆之介(峰岸徹)、花沢徳衛、松村達雄、有島一郎、大村崑、岸部シロー、芦屋小雁、天田俊明、八木孝子、原保美、遠藤太津朗、下條正巳といった面々が出演したようだ。加賀爪芳和、岡本隆成という子役の名前もあるのでどちらか(あるいは両者)が麟太郎を演じたのかもしれない。
「父子鷹」は全21話で終了し、その翌週からスタートしたのが続編である「おとこ鷹」である。ちなみに、「父子鷹」は30分番組だったが、「おとこ鷹」から55分番組となっている。こちらは成長した麟太郎が主役となっているようで、浜畑賢吉が演じている。父・小吉は引き続き若林豪が演じているが二人の実年齢は3歳しか違わない。もちろん、老けメイクで望んだのであろうが、親子っぽく見えたのだろうか。信子役は渡辺美佐子に変更となり、麟太郎の妹・順子は木内みどり、妻となる民子は小林千鶴子が演じた。伊吹吾郎は引き続き虎之助、他で判明しているのは高松英郎(高野長英)、有島一郎(都甲老人)、下元勉(鉄五郎)、本郷功次郎(大久保右近将監)などで、役柄不明は日下武史、木の実ナナ、関口宏、石山律雄、東野孝彦などである。全13話でその最終話は「小吉の死」となっている。翌週は72年の大晦日だったのだが、「父子鷹・おとこ鷹」の総集編が放送されている。

ミスターシャネル

「虎の子作戦」終了から約1年を経て、その続編とも言える「ミスターシャネル」(65年)が放送された。
前作で秘密捜査官の一人だった天知茂演じるシャネルが今回の主役である。しかし、シャネルが前作と同じ人物かと言えば、彼以外の人物は(多分)全員変更されているので、何とも言えないところである。
他のレギュラーだが、シャネルの上司に若原雅夫(高原警部)。前作では捜査官の一人「一発の旦那」だった若原だが、その旦那が出世したわけではないと思われる。「トラウマの天知茂」というサイトに、その放映リストがあるのだが、当時の「TVガイド」等のあらすじによると、高原は終盤になると「警視」と書かれている。単なる間違いなのか、途中出世したのかは不明である。その妻役が橘公子(高原由紀)。橘は戦前はヒロイン級で活躍していた美人女優。戦後は脇に回ることが多かったようだ。
役柄は不明だが、人見きよし(地獄耳)。地獄耳という役名から「情報屋」みたいな人物と予想するが、シャネルの助手的な存在ではないだろうか。14話までの出演と思われる(違うかもしれない)。シャネルの妹に福田和子(川草かおり)。妹ということはシャネルの本名は川草〇〇ということになるのだろう。この福田和子は一般公募で選ばれたらしい。5年程女優をやっていたようだが、詳しいプロフィールなどは不明である。福田和子で検索すると、どうしても同僚のホステスを殺害して整形などをして時効間際の15年近く逃亡していた犯人がヒットしてしまう。その福田和子は何度かドラマ化され大竹しのぶや寺島しのぶ等が彼女を演じている。ちなみに逮捕から8年後に獄中で病死している。
話がそれたが、後はレギュラーかどうかは不明だが、沢たまき(三条リエ)、伊吹友木子、二本柳寛(車椅子のボス)、江見俊太郎(中部刑事)、田中弘史(田中刑事)、伝法三千雄(伝法刑事)の名前が複数エピソードにある。二本柳と江見は前半、田中と伝法は中盤の出演のようだ。
30分番組ということもあり、基本的には2回でワンセット(前後編)になっているが、最初のエピソードである「幻の顔役」は4話構成となっているようだ。
女性ゲストとしては笹るみ子、魚住純子、弓恵子、中原早苗、三原葉子、茅島成美、富士真奈美等の名がある。
天知は「ミスターシャネル」をミュージカルとして舞台化し、公演を行なったようで、お気に入りの作品だったようだ。

虎の子作戦

「白雪劇場」は時代劇ばかりではない。以前、関口宏主演の刑事ドラマ「男じゃないか」を取り上げたが、他にも刑事ドラマが存在する。それが「虎の子作戦」(63~64年)である。ちなみに30分枠である。

実は10年以上前にここでも取り上げているのだが、特に新情報があるわけではない。ソフトが発売されたり、CSで放送されたりということもなく、そもそも映像が残っているのかも怪しい。当然、自分も一度も目にしたことはないドラマなのだ。
大まかなストーリーだが、ある警察署に五人のはみ出し刑事がいた。その五人が秘密捜査班を命じられ、悪人を退治するといったものだ。まあコメディタッチな作風であることは予想できる。五人は全員あだ名で呼ばれおり、「太陽にほえろ」の先がけのようなものである。ただ、本名が明かされることはないようだ。その五人を演じるのが若原雅夫(一発の旦那)、高松英郎(忍術)、市川小金吾(パラボラ)、河上一夫(三段)、天知茂(シャネル)である。その上司が北村英三(武田特捜部長)のようだ。当時のあらすじ等では、彼らは「虎の子一家」と呼ばれていたようだ。
この中で高松英郎と天知茂は説明不要と思うが、当時は共に大映に所属していた(高松はこの63年に退社)。市川小金吾は名の通り歌舞伎役者だが、ドラマ出演も多く、天知とはよく共演していた。後に市川青虎を襲名する。河上一夫はそのプロフィールは不明。本作が最も大役だったのではないだろうか。「仮面の忍者赤影」に引導坊という子連れ忍者で出演していたのが記憶に残る。若原雅夫は戦前は新興キネマ、戦後は大映、松竹で活躍。準主役級が多いが「長崎の鐘」などの主演作もある。54年にフリーとなり、後にテレビの方へとシフトしてきた。73年頃に役者を引退し、没年は不群である。
藤本義一が数話脚本を担当しており、高久進は本作がドラマ脚本デビュー作。35話「ピストル市場」は高松英郎、46話「死んでる俺は誰だ」は天知茂がそれぞれ脚本を書いたという。
本作は人気だったのか、63年9月に日活で映画版が公開されている。ただし、出演者はテレビ版に日活系の役者がいないこともあってか、全員変更されている。宍戸錠(一発の旦那)、桂小金治(忍術)、小高雄二(シャネル)、山田吾一(パラボラ)、垂水悟郎(六段)、殿山泰司(剛田部長)となっており、三段が六段、武田は剛田に変更されている。
映画版の設定では、一発の旦那の本名は虎谷一郎で、財閥の御曹司。忍術は甲賀流忍術の使い手、シャネルはプレイボーイ、パラボラは光工学の博士号を有し、六段は柔道・剣道六段となっている。テレビ版の詳細設定は不明だが、それに近い設定なのではと思われる。

新吾十番勝負(70年版)/江戸の紅葵

「白雪劇場」は前回で終了と思っていたが、もう少しやることにする。松方弘樹の「けんか安兵衛」(75年)がその最終作であったが、この枠での松方主演作は他にもあり「新吾十番勝負」「江戸の紅葵」がそれである。どちらも詳細不明なので、今回は二本立てである。
「新吾十番勝負」(70年)は川口松太郎の原作でかなり有名な作品だと思うが、一般的には東映制作、大川橋蔵主演のシリーズが一番知られているだろうか。「二十番勝負」「番外勝負」を含めると59~64年にかけて全8作が公開されている。しかしテレビの方は、この松方版を含めて江見俊太郎、夏目俊二、田村正和がそれぞれ葵新吾を演じているシリーズがあるのだが、いずれも古い作品なこともあり、あまり知られていない気がする。80年代に国広富之、90年代に真田広之が主演の「新吾十番勝負」があるが、前者は全3回、後者は単発のスペシャルドラマとしての放送である。
主人公の葵新吾は「暴れん坊将軍」でお馴染み8代将軍徳川吉宗の落胤つまり隠し子という設定だが、この松方弘樹版では吉宗役が天知茂なのである。どう見ても親子には見えないと思うのだが。松方が当時28歳で天知が39歳で、どちらも年相応という感じである。いくら将軍でも11~12歳で子供は作らんだろうし。
他の出演者で役柄が判明しているのは、桜町弘子(お鯉の方)、珠めぐみ(多加)、水島道太郎(酒井讃岐守)、永田光男(井上河内守)等で、宍戸錠や山形勲もレギュラーのようである。桜町弘子は映画版にも出演しているが、お鯉ではなくお縫役だ。お鯉は新吾の母である。後はゲストと思われるが、大友柳太朗、中尾彬、瑳川哲朗、紀比呂子、津川雅彦、沢久美子、和田孝、弓恵子、倉丘伸太郎、高田美和、近藤正臣など。大友は映画版では吉宗を演じている。
「江戸の紅葵」(70~71年)は、その後番組で引き続き松方が主役を務める。原作は「銭形平次」「池田大助」の野村胡堂で少年向けに書かれたものである。当時、江戸では志士狩りが行われていたが、その囚われの志士を救い出すのが謎の人物「江戸の紅葵」、その正体は大場剣十郎という武士なのである。
他の出演者だが、野川由美子(女隠密・昭)、高松英郎(陽炎)、水野久美(くみ)、岡田英次(井伊直弼)、河津清三郎(水戸斉昭)、近江佳世(春姫)、田畑猛雄(関鉄之助)、佐藤慶(島田左近)、市川和子(お良)、坂口徹(佐久間信平)、宇佐美淳也(佐久間善造)、佐野浅夫(恋川春水)、美川陽一郎(歌川藤兵衛)など。
近江佳世は近江俊郎の娘。ひらがな表記で活動していたこともあった気がする。坂口徹は「赤影」の坂口祐三郎。この後坂口徹郎に変え、最終的には祐三郎に戻した。美川演じる藤兵衛が剣十郎の師匠らしい。美川陽一郎は老け役が得意と自負していたようで、70は過ぎているように見えたが、75年に亡くなった時、58歳と聞いて驚いた記憶がある。

けんか安兵衛

「池田大助捕物日記」に続く「けんか安兵衛」(75年)が「白雪劇場」の最終作である。ただし、放送枠的に「池田大助」の後番組となったのは人気番組の「どてらい男」(73~77年)であった。73年10月~75年3月までは火曜10時に放送されていたのだが、翌4月からこの日曜9時枠に移動し、「白雪劇場」が火曜10時枠になるという入れ替えが行われたのである。これは制作局の関西テレビとキー局フジテレビでの視聴率に大きな差があったからということらしい。
そんなわけで、「池田大助」終了の2日後に「けんか安兵衛」はスタートした。ちなみに安兵衛とは赤穂浪士の一人である中山安兵衛=堀部安兵衛のことである。安兵衛は通称で本名は堀部武庸という。堀部家に婿養子に入る前が中山姓で、本作は中山安兵衛時代を描いている。
主役の安兵衛を演じたのは松方弘樹で、ヒロインの千津を演じたのが仁科明子(後に亜季子)である。この二人といえば、不倫関係となったことで知られるが、二人の出会いは74年の大河ドラマ「勝海舟」だった。松方は病気降板した渡哲也の代役で主演となった。「けんか安兵衛」への仁科の出演は松方川の要望だったらしい。渡哲也と仁科明子は「大都会」シリーズで兄妹役を演じてることになるが、「大都会partⅡ」(77年)放送時に不倫騒動があり、仁科は番組を途中降板した。ちなみに78年に松方と先妻の離婚が成立し、翌79年に二人は結婚し、仁科は芸能界を引退するが98年に復帰している。
話を戻すと他のレギュラーとして、松尾和子、京唄子、鳳啓助、有川博、南利明、南州太郎などがいる。松尾和子は歌手として知られるが、ドラマレギュラー出演は本作が初だったと思われる。
ゲストは有島一郎、寺田農、藤村俊二、大和田伸也、日下武史、岡田英次、中野誠也、吉田義夫、杉田かおる、森次晃嗣、千昌夫、夢路いとし、青木義朗、藤巻潤、長門勇、益田喜頓、村松英子、犬塚弘、桂三枝、月亭可朝、桂福団治、岡田可愛、笑福亭松鶴、水島道太郎、志穂美悦子、中田カウス・ボタン、進藤英太郎などである。関西制作の番組らしくお笑い系の人が多めである。進藤はラスト2話に登場し、安兵衛の義父である堀部弥兵衛を演じた。
前述のとおり、「白雪劇場」は本作を持って終了となり、火曜10時枠ではこの1作のみであった。
本作に原作はないようなのだが、73年に日本テレビで「ご存知時代劇」という枠があり、単発ドラマ13本が放送されたのだが、その中の1本が「けんか安兵衛」であった。やはり中山安兵衛が主人公で若林豪が演じている。偶然ではないだろうし、スタッフや出演者はかぶっていないようだが、この作品がベースになった可能性は大きいと思う。

池田大助捕物日記

今回も「白雪劇場」から、「大久保彦左衛門」の次の次の番組である「池田大助捕物日記」(74~75年)である。わかりやすく書くと「大久保彦左衛門」→「北斗の人」→「池田大助捕物日記」ということになる。
聞いたことあるタイトルだし中村梅之助が主演だと思っていたのだが、どうやら「達磨大助事件帳」(77~78年)の混同していたようである。奉行所の役人が主役という点では共通していたが、タイトルは「大助」しか一致していない。当然主演も梅之助ではなく、中村勘九郎(五代目)なのである。結論としては未見のドラマである。
五代目勘九郎とは十八代勘三郎のこと。しかし、40年以上勘九郎を名乗っており、勘三郎を襲名して7年ほどで亡くなった為、やはり勘九郎のイメージが強い気がする。ちなみに、勘九郎の名はその長男が受け継いでいる。
というわけで、ここでは勘九郎と書くが先代を思い浮かべて頂きたい。勘九郎はよくテレビでも見かけた気がするが、実はドラマ出演はそれほど多くない。NHKの大河は「新・平家物語」「元禄太平記」などに出演しているが主演となっているのは「元禄繚乱」(99年)くらいだろうか。民放の連続ドラマ主演はこの「池田大助」くらいのようである。80年以降は民放では12時間ワイドドラマなどスペシャルドラマへの出演が主となっている。
そういう意味で貴重な勘九郎ドラマだが、原作があって「銭形平次」で知られる野村胡堂の小説である。銭形平次が有名過ぎて、こちらの知名度はいま一つの気もする。50年代に出た全集は「銭形平次」全50巻に対して、「池田大助」は全10巻となっている。逆に言えば、10巻分は原作が存在するということだ。
本作の概要だが、南町奉行所与力見習いの池田大助が、南町奉行・大岡忠相のもとで難事件を解決していく物語となっている。見習い同心は時代劇ではよく見かけるが、与力見習いというのは初耳である。現在に例えれば、警視庁のキャリア組のようなものだろうか。新人であっても警部補からスタートなので、与力見習いも同心よりは上ということになると思われる(違うかも)。
他のキャストだが、大岡忠相に田村高廣。役名が判明しているところでは吉沢京子(つう)、小鹿みき(お香)、扇千景(波江)、荻島真一(周吉)、河原崎長一郎(本堂)等で、後は役名も役柄も不明だが、レギュラーとされているのが、浜田光夫、山城新伍、なべおさみ、堺左千夫、坂口良子、田崎潤等である。
ゲストとしては、浜村純、佐藤友美、有島一郎、横内正、待田京介、津川雅彦、山形勲、大和田伸也、前田吟、伊佐山ひろ子、水沢有美、山口いづみ、高沢順子、池上季実子、尾藤イサオ、安部徹、中尾彬、手塚茂夫、小沢栄太郎等となっている。第1話の浜村純が池田十兵衛役となっているので、大助の父と思われる。
脚本は1~21話まで星川清司で、22~26話が結束信二となっている。

大久保彦左衛門

また時代劇に戻るのだが、白雪劇場+関口宏つながりで「大久保彦左衛門」(73年)である。大久保彦左衛門って時代劇によく登場する人物ではあるが、ずばりタイトルになって主役のドラマは数少ないのではないだろうか。ちょっと前に紹介した「北斗の人」の前番組である。
大久保彦左衛門は本名が大久保忠教(ただたか)という。彦左衛門は通称である。家康から秀忠、家光の代まで将軍家に仕えて、「天下の御意見番」と言われた。自分の出世を顧みず、浪人たちの就職活動に奔走し、様々な人々から義侠の士と慕われていたのは事実らしい。
本作で彦左衛門を演じたのは当時74歳の進藤英太郎である。映画界では悪役で鳴らした役者だが、テレビでは打って変わってヒット作「おやじ太鼓」(68~69年)の頑固親父をコミカルに演じたり、口うるさいが憎めないタイプといった役柄が多かったように思う。進藤が彦左衛門を演じるのは今回が初めてではなく、映画でも何作かある。テレビでもブラザー劇場「彦左と一心太助」(68~69年)で彦左衛門を演じており、結構な彦左衛門役者だったわけである。
彦左衛門といえば、一心太助と徳川家光がセットになっているイメージだが、太助を演じたのが関口宏で、家光を中尾彬が演じた。ちなみに前述の「彦左と一心太助」では歌手の山田太郎が太助と家光を二役で演じていた。
一心太助が主役の映画やドラマは結構あるが、太助自体は架空の人物のようである。物語を盛り上げる庶民の代表といったところだ。
他のレギュラーだが、太助の女房・お仲に市毛良枝で、木暮実千代(春日局)、天田俊明(酒井忠勝)、藤岡重慶(服部半蔵)、金子信雄(天海)、柳沢真一(笹尾喜内)、小山明子(なつめ)、麻田ルミ(おきぬ)、左右田一平(山川伝兵衛)等がいる。あと役柄は不明だが桂三枝(現・文枝)が出演していたようだ。服部半蔵が藤岡重慶というのは意外に感じるキャスティングだ。
主なゲストとしては、浜田光夫、水島道太郎、伊吹吾郎、河津清三郎、津川雅彦、川地民夫、和田浩治、加藤嘉、有島一郎、岡田英次、日下武史、花沢徳衛、高城丈二、多々良純といった感じで、31話は若林豪が柳生十兵衛役で出演している。
全39話だが人気で延長されたのか予定通りなのかは不明だが、脚本は結束信二が一人で書いていたようだ。結束といえば、50年代から東映時代劇を中心に無双していた脚本家だが、本作以降くらいから執筆量が減り、メインライターを務めることが無くなっている。特撮物で言えば、伊上勝のような存在で、ある時期から一気に執筆量が減ったところも似ている気がする。

男じゃないか

今回は久々に現代劇である。3回前に取り上げた「北斗の人」(74年)は小西酒造提供の「白雪劇場」という枠で放送されたのが、そこで目に付いたのが「男じゃないか」(69年)である。このタイトルだとどんなドラマだかわからないが、実は刑事ドラマなのである。見たことも聞いたこともないドラマで、実際ウイキペディアに項目こそあるものの、それ以外にネット上にも情報が見当たらないのである。
主演は当時25歳の関口宏で、その関口が演じるお茶汲みばかりしている新人刑事・半田新一の活躍を描いたドラマということである。ネーミングは新人とか半人前とかからイメージされたものであろうか。80手前の現在も司会者として健在の関口だが、俳優のイメージは薄くなりつつある。
他の出演者だが、先輩刑事に二谷英明(槇刑事)、多々良純(千石刑事)、三上真一郎(鳥海刑事)などで、志村喬が大原署長を演じている。こうして見ると中々豪華な顔ぶれといえるのではないだろうか。二谷は後に「特捜最前線」の神代課長でお馴染みとなるし、多々良は「非情のライセンス」でもベテラン刑事を演じていた。
女優陣では荒木雅子(半田多鶴子)、伊藤榮子(半田明子)、藤田弓子(恵子)等がおり、あくまでも予想だが、荒木は新一の母、伊藤は妹、藤田が恋人といったところだろうか。藤田は当時23歳で、この前年である68年にはNHKの朝ドラ「あしたこそ」でヒロインを演じていた。しかし30代半ばあたりから、母親とかオバサンのような役が多くなっている。
他に役名・役柄は不明だが、南都雄二、田中弘史、森乃福郎、遠藤太津朗(当時・辰雄)といった名前が挙がっている。南都雄二はミヤコ蝶々とのコンビで夫婦漫才をやっていたが、73年に48歳の若さで亡くなっている。森乃福郎はタレントだが、本職は落語家だ。元々は笑福亭福郎を名乗っていた。
サブタイと何人かのゲストは判明しているようで、6話の宮土尚治は桜木健一のこと。7話には土屋嘉男、内田朝雄がゲスト。志村喬と多々良純、土屋嘉男で「七人の侍」出演者の共演だ。18、19話は「放火魔」の前後編。ゲストに島米八、藤田佳子、佐藤蛾次郎の名がある。藤田佳子は現在作詞家の悠木圭子である。23話に山形勲。24、25話も「汚職」の前後編で松山英太郎。最終26話「恋人たち」には英太郎の弟・松山政路(当時・省二)が出演しているようだ。
また、71年に第2シリーズが放送されたとなっているが、疑問である。まず「白雪劇場」枠には第2シリーズは存在しない。まあ放送枠が変わるのはありうるとしても、94年に「週刊TVガイド」でお馴染みの東京ニュース通信社が発行した「テレビドラマ全史」という分厚い本には年ごとに放送されたドラマの一覧があるのだが、71年に「男じゃないか」は載っていなかった。100%全てのドラマが掲載されているとは限らないともいえるが、10数年前に出た「ザ・テレビ欄」という当時の新聞テレビ欄を載せた本に、第2シリーズが放送されたとされる71年4月13日分が掲載されているが、そこにも「男じゃないか」はなかった。その日、放送局のフジテレビではナイター中継があったので、それによる放送休止も考えられるが、雨傘番組は映画だったので、真相は不明だ。これだけで、第2シリーズは存在しないと結論づけることはできないが、その可能性は高い気がする。

賞金稼ぎ その2

前回の続きである。ほぼ見たことはなかったのだが、YouTubeにて1話と2話を見ることができる。違法upではなく、制作した東映が公式で挙げているものである。
ネタバレになるのだが、その2話を見た限りでは悪役っぽくない人が悪役を演じている。第一話では善良そうな米山藩家老役の宮口精二。「七人の侍」の久蔵であるが今回の黒幕である。野盗(正体は米山藩士)のリーダー長谷川明男(山影)は悪役が普通に多いが、今回は根っからの悪人ではない。いずれも藩の大義名分のためではあっても、やっていることは村人虐殺である。ちなみに笹木俊志、長谷川弘、トビー門口演じる部下の名前が月影、水影、木影で「仮面の忍者赤影」を思い出さずにはいられない。トビー門口は銃器テクニカルアドバイザーとしても活躍しており、本作では役者としてライフルを撃ちまくる。
第2話の岡田英次(疾風の紋三)も悪役は普通にあるが、身分が高かったり知的なタイプが多く、今回のような盗賊の親玉というのは珍しい気がする。荒っぽい口調も違和感を感じたりする。その子分が峰岸徹(当時は隆之介)で、ラストは賞金稼ぎの石橋蓮司と対峙するのだが、そこだけ見るとどっちが悪役かわからないかも。
主題歌は主演の若山富三郎自ら歌う「流れ者」。父が長唄三味線方の杵屋勝東治ということもあり、弟の勝新太郎と共に幼少時から長唄の修行をするも、サボリがちだったそうだ。20歳の時に長唄の和歌山富十郎に弟子入りし、芸名が若山富三郎になったのである。ちなみに弟の勝新は杵屋勝丸という長唄の名取となり、十代にして長唄と三味線の師匠として深川の芸者に稽古をつけたりしていたらしい。若山の本名が奥村勝で、勝新の本名が奥村利夫というのもややこしい。歌声は若山の方が聞きやすいと思う。
本作は第1話「墓場なき兵士たち」を除いて、すべてサブタイにカタカナが入る。「皆殺しのバラード」とか「獄門台のガンマン」とか。逆に何故1話だけ入れていないのかと思ってしまう。また、15話と16話、そして最終22話は若山自身が監督も務めている。
その最終22話「コンバットの報酬」には、若林豪、石橋蓮司、大木実、大友柳太朗という準レギュラー賞金稼ぎたちが全員顔を揃えるが、全員命を落とすという展開になっている。若山演じる市兵衛は生き残り、塾には戻らず旅立って行くというラストになるようだ。