虎の子作戦 | お宝映画・番組私的見聞録

虎の子作戦

「白雪劇場」は時代劇ばかりではない。以前、関口宏主演の刑事ドラマ「男じゃないか」を取り上げたが、他にも刑事ドラマが存在する。それが「虎の子作戦」(63~64年)である。ちなみに30分枠である。

実は10年以上前にここでも取り上げているのだが、特に新情報があるわけではない。ソフトが発売されたり、CSで放送されたりということもなく、そもそも映像が残っているのかも怪しい。当然、自分も一度も目にしたことはないドラマなのだ。
大まかなストーリーだが、ある警察署に五人のはみ出し刑事がいた。その五人が秘密捜査班を命じられ、悪人を退治するといったものだ。まあコメディタッチな作風であることは予想できる。五人は全員あだ名で呼ばれおり、「太陽にほえろ」の先がけのようなものである。ただ、本名が明かされることはないようだ。その五人を演じるのが若原雅夫(一発の旦那)、高松英郎(忍術)、市川小金吾(パラボラ)、河上一夫(三段)、天知茂(シャネル)である。その上司が北村英三(武田特捜部長)のようだ。当時のあらすじ等では、彼らは「虎の子一家」と呼ばれていたようだ。
この中で高松英郎と天知茂は説明不要と思うが、当時は共に大映に所属していた(高松はこの63年に退社)。市川小金吾は名の通り歌舞伎役者だが、ドラマ出演も多く、天知とはよく共演していた。後に市川青虎を襲名する。河上一夫はそのプロフィールは不明。本作が最も大役だったのではないだろうか。「仮面の忍者赤影」に引導坊という子連れ忍者で出演していたのが記憶に残る。若原雅夫は戦前は新興キネマ、戦後は大映、松竹で活躍。準主役級が多いが「長崎の鐘」などの主演作もある。54年にフリーとなり、後にテレビの方へとシフトしてきた。73年頃に役者を引退し、没年は不群である。
藤本義一が数話脚本を担当しており、高久進は本作がドラマ脚本デビュー作。35話「ピストル市場」は高松英郎、46話「死んでる俺は誰だ」は天知茂がそれぞれ脚本を書いたという。
本作は人気だったのか、63年9月に日活で映画版が公開されている。ただし、出演者はテレビ版に日活系の役者がいないこともあってか、全員変更されている。宍戸錠(一発の旦那)、桂小金治(忍術)、小高雄二(シャネル)、山田吾一(パラボラ)、垂水悟郎(六段)、殿山泰司(剛田部長)となっており、三段が六段、武田は剛田に変更されている。
映画版の設定では、一発の旦那の本名は虎谷一郎で、財閥の御曹司。忍術は甲賀流忍術の使い手、シャネルはプレイボーイ、パラボラは光工学の博士号を有し、六段は柔道・剣道六段となっている。テレビ版の詳細設定は不明だが、それに近い設定なのではと思われる。