お宝映画・番組私的見聞録 -38ページ目

壬生の恋歌 その2

前回に続いて「壬生の恋歌」(83年)である。前回は物語の中心となる新選組の架空の平隊士たちについて書いたが、今回は実在した人物のキャストを紹介する。
高橋幸治(近藤勇)、夏木勲(土方歳三)、利倉亮(沖田総司)。まずは新選組といえば、真っ先に名の上がる三人。高橋幸治は「太閤記」(65年)の織田信長役で一躍人気を得て、70年代には宮本武蔵や丹下左膳も演じている。01年以降は公の場に現れることがほぼなく半ば引退状態にあるようだ。夏木勲とは夏八木勲のこと。78~84年にかけては夏木を名乗っていたが、また夏八木に戻している。利倉亮に関しては詳細不明である。
三上寛(原田左之助)、岸部一徳(山南敬助)のミュージシャンコンビ。共に見た目は怪しげである。岸部はタイガース時代、修三と書いて「おさみ」と読んでいたが、本名の読みは「しゅうぞう」である。諸木淳郎(永倉新八)、真田実(藤堂平助)は顔はよくわからないが時代劇でよく見かける名前。俗に言う「斬られ役」の人である。高橋仁(山崎烝)、筒井巧(谷周平)は当時19~20歳の若手役者。高橋は子役出身で、特撮物によく出演していた。記録上は本作が最後の出演番組になっている。筒井は映画「釣りバカ日誌」シリーズのレギュラーである。
若林豪(松原忠司)、竜崎勝(伊東甲子太郎)、睦五朗(谷三十郎)、平田満(野口健司)、財津一郎(芹沢鴨)は説明不要な役者だと思うが、演じた新選組の隊士は初代局長の芹沢以外はそれほど知られていないかも。谷三十郎と谷周平は兄弟。伊東役の竜崎勝は翌84年に44歳の若さで亡くなっている。以前も書いたが、その娘は高島彩である。
新選組ではない面々では、坂本九(坂本龍馬)、坂口徹郎(桂小五郎)、伊藤孝雄(榎本武揚)、伊庭剛(中岡慎太郎)といった幕末の志士が登場する。坂口徹郎は「赤影」でお馴染みの坂口祐三郎のこと。「新選組血風録」では山崎烝を演じていた。
基本は男のドラマだが、もちろん女性も登場する。詳しい役柄はほぼ不明だが、秋吉久美子(おりょう、清乃二役)、山咲千里(お千代)、名取裕子(お梅)、杉田かおる(お里)、川上麻衣子(お美代)、五十嵐めぐみ(明里)、神崎愛(おぬい)、二木てるみ(佐野りく)、坂本スミ子(はる)、正司花江(志乃)、新井春美(お緑)、田中綾子(原田まさ子)、藤吉久美子(あや)、岡江久美子(幾松)、岸田今日子(蓮月尼)等である。
実在したのは、おりょう=楢崎龍(坂本龍馬の妻)、明里(山南敬助の恋人)、原田まさ(原田左之助の妻)、幾松=木戸松子(桂小五郎の妻)、蓮月尼=太田垣蓮月といったところである。
本作の後番組が数回前に取り上げた「新・なにわの源蔵事件帳」であり、この「水曜時代劇」の枠は一旦、終了ということになるのである。

壬生の恋歌

「立花登青春手控え」の後番組が、以前取り上げた「御宿かわせみ(82年版)」で、その後番組が「壬生の恋歌」(83年)である。恋愛ドラマかと思ってしまいそうだが、このタイトルから新選組の話だと想像できる人は新選組通な人ではないだろうか。
新選組はその前身を壬生浪士組という。京都の壬生村にその屯所があったのである。まあ改めて調べて見ると、タイトルに「壬生」とつく新選組を描いた小説は結構あったりするのだけれども。
さて、物語は新選組の新人平隊士たちを中心に描かれているようだ。勿論、お馴染みの近藤勇、土方歳三といった実在の人物も出てくるのだが、基本的には架空の人物が中心のようである。
この新人平隊士たちを演じるのが今となっては、結構豪華なメンバーだと言えるのだ。
主演は三田村邦彦(入江伊之助)で、当時既に「必殺仕事人」の秀役で人気があった。赤塚真人(時雨鋼太郎)は当時32歳で、青春ドラマのイメージが強い役者だ。ちなみに「まさと」ではなく「まこと」である。笑福亭鶴瓶(千石静馬)は当時31歳。ドラマ出演の経験は既にあったが、レギュラー出演は本作が初だったようである。
内藤剛志(山田峯太)は当時28歳。今や連ドラの鉄人と言われるくらいドラマで見かけない日はないが、当時はまだネームバリューは低かった。本格的に売れ出すのは90年代に入ってからである。渡辺謙(畑中三郎)は当時23歳のほぼ新人で、本作が初レギュラーだったようである。渡辺は割合早く売れ始めたが、決定打は「独眼竜政宗」(87年)だったようである。遠藤憲一(猪俣蛾次郎)は当時22歳で、遠藤も本作がドラマデビューのようである。遠藤は見るからに悪役顔ということもあり、お茶の間の顔と言えるようになったのは、今世紀に入ってからであろう。金田賢一(鶴橋多喜人)も当時22歳で、前項でも「立花登青春手控え」の最終話にゲスト出演していた。
以上のように、笑福亭鶴瓶、渡辺謙、遠藤憲一の初のドラマレギュラー作品ということで、テレビ史関連の本でよく取り上げられる作品らしいが、自分的には初耳であった。当時は彼等よりも(一番ベテランということもあり)赤塚真人の方が格上だったわけである。
三田村と鶴瓶といえば、「眠れない夜をかぞえて」(92年)というドラマを思い出す。共に警部補役で、キャリアの新米警部(田中美佐子)に共に思いを寄せるという役柄。しかし三田村演じる刑事は過剰な正義感を持っており‥。という面白いドラマだった。竹内力が若手の新米刑事役だった。
そして三田村と金田といえば「太陽にほえろ」のジプシー刑事とデューク刑事だ。しかし、出演時期はかぶっておらず、三田村は本作のころは既に出番を終えていた。ちなみに最終話のゲストが遠藤憲一であった(犯人役)が終盤登場の金田も最終話直前に降板しており、すれ違いで共演はしていない。
 

立花登青春手控え

順番が前後するのだが「なにわの源蔵事件帳」の後番組となるのが「立花登青春手控え」(82年)である。
近年、よく見かけるタイトルだと思っていたら、それはリメイクのようで溝端淳平が主演を務めているが、この82年版の主演は中井貴一である。当時20歳で、本作がテレビドラマ初出演にして主演に抜擢されたのである。デビュー作はこの前年である81年の映画「連合艦隊」で、中井貴一がお茶の間に知れ渡るのは83年の「ふぞろいの林檎たち」であろう。
原作は藤沢周平の「獄医立花登手控え」で、獄医とは牢屋敷、つまり囚人の医者のことを言う。あらすじは、東北の若き医者である立花登が江戸で活躍しているという叔父の医師・小牧玄庵を訪れることから始まる。実際の玄庵は酒に溺れている流行らない医者であり、妻・松江の尻に敷かれていた。居候となった登は叔母とその娘・ちえにこき使われ、獄医の仕事も押し付けられることになる。
他の出演者だが、小牧玄庵に高松英郎、小牧松江に中原ひとみ、小牧ちえに宮崎美子、同心・平塚源太郎に篠田三郎。後は役柄は不明なので、名前だけ挙げておくと、地井武男(藤吉)、ケーシー高峰(細木甚之助)、アゴいさむ(阿伍)、佐藤金造(金蔵)、宮下順子(艶)、山咲千里(しん)、塩沢とき(きよ)、鹿取容子(あき)、宗近晴見(土橋桂順)などである。
アゴいさむ(=あご勇)、佐藤金造(=桜金造)はアゴ&キンゾーというお笑いコンビで、元々はザ・ハンダースという6人組で、出身メンバーでは清水アキラが最も有名であろうか。アゴキンは5年程度で活動を休止。桜金造という現在の芸名は松田優作の命名だという。突然「桜金造にしなさいよ」と言われ、金造本人は嫌がったが、「何が不満なんだ」と凄まれたため改名に至ったという。
鹿取容子は80年にアイドル歌手としてデビュー、同期は松田聖子や田原俊彦、河合奈保子などがいた。デビュー曲の「ゴーイング・バック・トウ・チャイナ」は洋楽のカバー曲であったが、それなりにヒットした。新曲は85年以降は出ていないようだ。
ゲストを挙げると、第一話の名取裕子、高岡健二に始まり、沢たまき、池上季実子、中山仁、風吹ジュン、火野正平、高橋幸治、石橋正次、野川由美子、村野武範、東てる美、ジョニー大倉、小林稔侍、金田龍之介、辰巳柳太郎、峰岸徹、そして最終話では中井のデビュー作「連合艦隊」で共演した金田賢一が出演している。ご存知400勝投手金田正一の息子である。この映画だったかどうかは忘れたが、この人の坊主頭が全然似合っていなかったという印象がある。「太陽にほえろ」への登場は85年のことだ。
終了から30年以上を経て、前述のとおり2016年にBS時代劇としてリメイク。全7~8話と短いが17年、18年と新作が制作された。娘ちえ役だった宮崎美子が母親・松江役になり、同心役だった篠田三郎がナレーターを務めている。
 

新・なにわの源蔵事件帳

「なにわの源蔵事件帳」終了から1年半、間に「御宿かわせみ(82年版)」などを挟んでスタートしたのが、「新・なにわの源蔵事件帳」(82~83年)である。
前作とほぼキャストは同じであり、駒千根(三林京子)、千賀(藤山直美)、厚木警部(加藤武)、剣持警部(吉田輝雄)、谷口隆平(小林稔侍)、イラチの安(安部潮)、そして前回書き忘れていたが、だしじゃこ屋の孫娘・糸(松原千明)は引き続いての出演である。
肝心の主役はどうしたという話だが、桂枝雀は降板し、芦屋雁之助が主人公の赤岩源蔵を演じることになった。枝雀降板の理由は定かでないが、どうやら本業である落語の方に重きを置きたいというのが理由のようである。雁之助もNHKアーカイブスで見ることのできる4分強の映像ではスキンヘッドまではいかないが、いつもより短い五厘狩りで臨んでいる。そして詳細不明の安部潮の姿も見ることができる。名前からはどうしても安部徹を想像してしまうのだが、スリムだが似てなくはないと感じる。全く無関係かもしれんが。
キャスト変更はもう一人、これも前回書いていなかったが、源蔵のいきつけであるだしじゃこ屋の伊兵衛役が浪曲師である広沢瓢右衛門から落語家の桂小文枝(3代目)に交代している。この小文枝は後の桂文枝(5代目)のこと。桂枝雀は桂米朝の弟子であったが、文枝は米朝らと並ぶ上方落語四天王の一人として挙げられていた。その弟子は三枝、きん枝、文珍、小枝といったタレントとしても有名になった面々が顔を揃えている。ちなみに文枝の名を継いだのが三枝で、今は六代目・桂文枝として活躍する。しかし、あまりにも桂三枝としてのイメージが強くなってしまった為、襲名して10年経過した今でも三枝のイメージである(あくまでも個人的意見)。本人も当初は落語家としては文枝だが、タレントとしては三枝のままで行きたいという意向だったようだ。
話が逸れたが、新キャストとしては、新之丞(おりも政夫)。ご存知フォーリーブスのマー坊である。当時すでにフォーリーブスは解散していた。どんなキャラなのかは不明だが、前作の草川祐馬のような役割であろうか。そしてもう一人、真弓田希世(大空真弓)。源蔵の憧れる女医さんである。この枠は、だいたい全23話というのが多いのだが、本作は全17話と少し短めである。
ところで、前作の主演・桂枝雀だが、99年にうつ病を発症した後、自ら命を絶ってしまう。59歳であった。実は73年頃にも、うつ病を発症していたという。

なにわの源蔵事件帳

「いのち燃ゆ」の後番組が「なにわの源蔵事件帳」(81年)である。以前取り上げた「開花探偵帳」と同じく明治時代の物語である。これも未見なのだが、「なにわの源蔵」だけ聞くと普通に江戸時代の話だと思っていた。だから「捕物帳」ではなく「事件帳」なのだろう。原作は有明夏夫の「大浪花諸人往来」で、大阪が舞台となっている。
分類的には「探偵もの」ということになるようだが、こういったドラマには付き物というか、必須みたいな感じである殺人事件が起こらないのが特徴だという。じゃあどういう事件が起きるのかというと、今一つイメージがわかない。窃盗時間とかであろうか。
主人公の赤岩源蔵は、元目明し(岡っ引)である。その容姿から「海坊主の親方」と呼ばれることも多い。厚木警部の部下として事件捜査にあたる。演じるのは桂枝雀(二代目)で、実際にスキンヘッドであったことからキャスティングされたのであろうか。
他のレギュラーは次のとおり。駒千根(三林京子)‥源蔵とは幼馴染の売れっ子芸者。千賀(藤山直美)‥源蔵の一人娘。演じる藤山は当時22歳。厚木寿一郎(加藤武)‥元大阪東町奉行所同心で、梅田警察署の十等警部。剣持警部(吉田輝雄)‥薩摩出身で厚木の同僚である九等警部。厚木や源蔵には見下した態度をとる。吉田輝雄は70年代後半から90年代にかけては、クラブ経営に重きを置いていたせいか、ほとんど(個人的には)テレビで見かけたことがなかったが、レギュラー出演ドラマがあったとは知らなかった。おそらく「ゴールドアイ」(70年)以来、初レギュラーだったのではないだろうか。
谷口隆平(小林稔侍)‥千賀の夫。度の強いメガネをかけた冴えない男。小林稔侍は当時40歳で、枝雀とは2歳しか違わない。まだ悪役イメージの強かった頃である。大倉徳三(草川祐馬)‥呉服屋の三男坊。草川は元アイドル歌手だったが、78年に結核を患い休業していた。本作が復帰作のようである。イラチの安(安部潮)‥源蔵の手下。演じた安部潮についてはプロフィールその他一作不明である。藤岡志津(司葉子)‥厚木の上司だった天満与力藤岡某の未亡人。源蔵の憧れの人でもある。
ゲストについて詳しいことは不明だが、最終話には枝雀の師匠である桂米朝が出演したようだ。

いのち燃ゆ その2

前回に続き「いのち燃ゆ」(81年)である。第1部の大坂編では丈吉(柴俊夫)の家族が登場する。
父・多吉(財津一郎)はろくでもない男で、働きもせず妻や娘の稼ぎをあてにしている。丈吉が遠島になったのも、多吉の証言が決めてとなっている。母・お咲(高森和子)や妹・お志摩(太田由美子)は丈吉の帰りを待っている。
芸者・おりん(吉本真由美)は元は裕福な商家の娘。丈吉には恩義がある。吉本真由美は「2時のワイドショー」の司会に抜擢されたのとほぼ同時期の出演。司会は89年まで続けることになる。丹波屋徳市(山田吾一)は米子の商人で、おりんをわが物にしようとしている。おりんは丈吉の為に丹波屋の妾となる。
第2部は8話から15話までで、米子が舞台となる。この間に9年の時が経過する。丈吉は小松屋(鉄山師)に入り込み幸吉と名乗っている。その当主がおこう(南田洋子)で、娘がお美津(曽根千香子)である。丈吉はお美津と結婚し、小松屋の店主となっている。無料の診療所を開き人々の尊敬を集めていた。丹波屋は没落し、おりんは乳癌を患い診療所に入院となっていた。
小松屋幸吉が「父の仇」である丈吉かもしれないと、作次郎(石橋正次)とお豊(神崎愛)の兄妹が米子を訪れる。そんな中「赤牛の丈吉」を名乗る男がつかまり、斬首刑に処せられることになった。実は仙吉(島米八)で、兄妹の本当の仇なのである。処刑場で丈吉は「自分が本物だ」と名乗り出るのであった。それを見た作次郎は完敗を認め、お豊を残して姿を消す。お豊は診療所で看護士となり、おりんの最後を看取ることになる。
16話から最終23話までが第3部で京都が舞台となる。15話から8年が経過しており、何がどうなったのかは不明だが、丈吉は伏見で備前屋という小さな店を構え米を売っている。お豊も京都で居酒屋を開いている。
シーボルト・イネ(早乙女愛)がおりんの娘であるお雪(斉藤とも子)を伴って京都にやってくる。丈吉と再会し、お雪は自分の父親のことを尋ねるが丈吉は頑なにそれを隠す。丈吉の実妹であるお志摩(新井春美)はスリになっており、丈吉とも何度も顔を合わせているが、お互いに気付かない。何年会ってなかったは、はっきりしないがお志摩はまだ子供だった頃以来だろう。
ここで登場するのが新撰組である。土方歳三を演じるのは栗塚旭である。栗塚と言えば、「新撰組血風録」や「燃えよ剣」でも土方を演じていたことで知られるが、まさかNHKでも土方を演じていたとは知らなかった。多分10年ぶりくらいの土方役だったのではないだろうか。また作次郎も新撰組に加わっていたのである。
この新撰組による池田屋事件で襲撃されたのが討幕派の長州藩士である岡田主馬(高松英郎)やその息子・彦馬(金田賢一)などで、主馬は死亡。彦馬は傷を負いながらも逃走する。彦馬はお雪と出会い、互いに恋に落ちるという展開が待っているようだ。それぞれの結末は知らないが、原作に沿ったものになるのだろうか。

いのち燃ゆ

「御宿かわせみ」の第1シリーズと第2シリーズの間に三本の番組があると前回書いたのだが、その一本目つまり第1シリーズの後番組だったのが「いのち燃ゆ」(81年)である。
「日本巌窟王」(79年)は「モンテクリスト伯(巌窟王)」を日本の時代劇にアレンジしたものだったが、本作もビクトル・ユーゴーの「レ・ミゼラブル(あゝ無情)」を日本を舞台とした時代劇にアレンジしたものである。近年はほぼ「レ・ミゼラブル」のタイトルが普通のようで「あゝ無情」という日本タイトルは、ほとんど使われないようだ。
正直、原作は読んだことがなく、主人公のジャン・ヴァルジャンが1本のパンを盗んだ罪で長い間、投獄されて云々‥くらいしか知らないのである。
「いのち燃ゆ」も主人公の丈吉が一個の握り飯を盗んだとされ、流罪となるところから始まるようだ。生まれつきの赤毛で怪力の持ち主。演じるのは柴俊夫で、かみさんは「御宿かわせみ」の主演だった真野響子である。二人が結婚したのは79年のことで、それからまもなく「御宿かわせみ」「いのち燃ゆ」と夫婦で主演ドラマが続いたわけである。
時代設定は幕末で、全23話だが物語は三部構成になっている。第1部とされるのは1~7話までで、舞台は流刑地→長崎→大阪と目まぐるしく変わる。流刑地がどこかは明らかでないようだが、時代劇で多く見られる流刑地と言えば、八丈島や佐渡島である。島には住民もいるわけで、島の庄屋・嘉右衛門(加藤嘉)の息子が作次郎(石橋正次)である。原作におけるジャベール警部に相当する。その妹がお豊(神崎愛)である。柴俊夫と石橋正次といえば「江戸の激斗」(79年)で、共に遊撃隊士を演じていた。
丈吉は無実のまま島に送られた上、赦免状から名前が書き漏れてしまうなどの不運が重なり、ついには島抜けを決意する。嘉右衛門は丈吉を気に入っており、お豊の婿に考えていたが、丈吉の決意(島抜け)が固いことを知り、通行手形を用意し、丈吉に渡そうとするが島の流刑人である仙吉(島米八)に襲われて命を落とす。島米八は必殺シリーズでは、お馴染みの顔。子役時代は主演級だったが、成長してからは時代劇の悪役が多い。
丈吉らは島抜けを果たすが、嘉右衛門の死により庄屋は苗字帯刀を取り上げられる。丈吉が殺したわけではないが、作次郎は丈吉を父の仇として執拗に追う。
この流刑地では、定期訪問していた蘭学医者・竜安(高橋幸治)に丈吉は出会っており、竜安は2部3部にも登場する。竜安に同行していた市蔵(坂上二郎)という男の正体は幕府の隠密だったという設定である。
島抜けで流れ着いた長崎で、丈吉の手当をしたのがシーボルト・イネ(早乙女愛)だった。架空の人物がほとんどの本作だが、イネは実在の人物だ。
長くなったので、次回に続く。

御宿かわせみ(82年版)

第1シリーズ終了から、約1年半、間に3つの番組を挟んで「御宿かわせみ」の第2シリーズ(82~83年)が放送された。キャストは前作とほぼ同じで、真野響子(庄司るい)、小野寺昭(神林東吾)、山口崇(畝源三郎)、田村高廣(神林通之進)、河内桃子(神林香苗)、花沢徳衛(嘉助)、結城美栄子(お吉)、下條正巳(麻生源右衛門)などは引き続いての出演となる。前回、書き忘れたが小野寺は八年間出演していた「太陽にほえろ」降板直後に第一シリーズへの出演となっている。
変更となったのは宮口精二→安部徹(松浦方斎)、長谷直美→平淑恵(麻生七重)、村上弘明→塩屋俊(徳松)など。善人にしか見えない宮口精二から悪人にしか見えない安部徹に変更というのは視聴者には違和感があったかも。村上弘明は前回も書いたが江戸弁への不安もあっての降板だったようだが、この問題について村上は克服まで20年以上も抱えていたらしい。平淑恵は、85年から「大岡越前」で妻・雪絵役を演じるようになる。「御宿かわせみ」での演出家の一人である黛りんたろうと後に結婚している。
本シリーズでの新レギュラーは江戸家猫八(八造)、楠トシエ(お花)、奈月ひろ子(おとせ)などがいる。
奈月はフジテレビ社長(当時)・鹿内信隆の長女で、若柳菊、菊ひろ子などの芸名でフジテレビを中心に活動していたが、71年頃に一度引退。これは鹿内が側近である石田達郎(後のニッポン放送社長・フジテレビ社長)から「社長の娘が自社の番組に出演していると、あらぬ誤解を招く」という進言を受けて鹿内が引退させたものであった。しかし、結婚離婚を経て80年に奈月ひろ子の名でカムバックを果たしている。
ゲストについてだが、第1シリーズについて列記すると安奈淳、中野誠也、奈良岡朋子、吉沢京子、千秋実、南田洋子、三林京子、范文雀、金田龍之介、藤原釜足、小沢栄太郎、伴淳三郎、南原宏治、寺田農、山田吾一、市原悦子、坂東八十助などである。
第2シリーズでは、仲谷昇、松橋登、湯原昌幸、犬塚弘、火野正平、高樹澪、蟹江敬三、小坂一也、三ツ木清隆、森下愛子、ひし美ゆり子、上村香子、本田博太郎、浜村純などである。最終2話は前後編で、田村高廣の実弟である田村亮ガゲストで登場した。
本作の終了から30年経った2013年に続編である「新・御宿かわせみ」がBSスカパーで放送され、真野響子、小野寺昭、山口崇、結城美栄子が当時と同じ役で出演している。同窓会みたいなものに感じたりする。

御宿かわせみ(80年版)

「風神の門」の後番組が「御宿かわせみ」の第1シリーズ(80~81年)である。
原作は平岩弓枝で、何度かドラマ化されている。ここでは、NHKの水曜時代劇で放送された真野響子が主演のやつを取り上げる。NHKでは03年にも高島礼子主演でりメイクされている。
これは、結構人気のコンテンツのようでNHKでも何度も再放送されているようなイメージがある(記憶違いかもしれないが)。CSの「時代劇専門チャンネル」でも何度か放送されたようだ。
しかし、自分は本作も一度も見たことがないのである。別にNHKだから嫌いというわけではない。しいて言えば、ビデオ撮影の時代劇が苦手ということだろうか。フィルム撮影のドラマを見て育ったせいか、ビデオ画質だと安っぽく見えるのである。
加えて内容も全く知らず、タイトルも「オンジュクかわせみ」だとずっと思っていたくらいである。勿論、正解は「オンヤド」なのだが、それだったら「かわせみ」という名の宿が舞台なのだろうという想像がつく。しかし、捕物帳だとは思っていなかった。
真野響子演じる庄司るいは、旅籠「かわせみ」の女主人だが、亭主は神林東吾(小野寺昭)である。「かんばやし」ではなく「かみばやし」だそうだ。神道無念流の使い手で、八丁堀の道場のの師範代でもある。事件が起こると首を突っ込み捕物に加わろうとする。二人は幼馴染で、るいは鬼同心と言われた庄司源右衛門の一人娘だ。父の死後、るいは同心株を返上して旅籠を始めたのである。真野を「まや」と読むのは知っていると思うが、妹の真野あずさは「まの」である(「まの」が本名)。「まや」読みを提案したのは和田勉だという。
東吾の兄が神林通之進(田村高廣)で、南町奉行所与力である。一回り年齢が離れているという設定だが、実際に田村と小野寺は15歳差がある。他のレギュラーだが、通之進の妻・香苗(河内桃子)、東吾の親友でもある同心・畝源三郎(山口崇)、かわせみの番頭・嘉助(花沢徳衛)、かわせみの女中頭・お吉(結城美栄子)、岡っ引きの長助(大村崑)、道場「方月館」の主・松浦方斎(宮口精二)、旗本で香苗の父・麻生源右衛門(下條正巳)、香苗の妹・七重(長谷直美)など。
他に役柄はよくわからないが、長七(ハナ肇)、藤吉(小鹿番)、おきく(青地公美)、徳松(村上弘明)などもいた。青地は後に哀川翔と結婚。現在は哀川の所属事務所の社長でもある。村上はこれが初の時代劇レギュラーだったが、当時は巻き舌で喋ること等に自信が持てず、自ら出番を減らしてもらったという。村上は97年の沢口靖子版の同作では神林東吾を演じている。

風神の門

「風の隼人」の後番組が「風神の門」(80年)である。これも未見なのだが、当時人気もあったようで、自分もタイトルは聞いたことがあった。ただ、タイトルから何となくだが大河ドラマだと思っていた気がする。
で改めて調べて見ると、原作が司馬遼太郎で、主人公は霧隠才蔵ということで「真田十勇士」関連の話なのがわかって、意外な気がした。正確には十勇士で登場するのは才蔵と猿飛佐助、そして穴山小助、三好晴海入道だけのようで、十勇士の話と言うわけではない。
原作とこのドラマは内容がかなり異なるらしいのだが、どちらも未見なので、情報が入り混じってしまう可能性があるがご容赦願いたい。加えて、十勇士関連にも明るくない。忍者ものは好きなのだけれども、何故か真田十勇士に関係するものはほとんど見ていないのである。
本作では、霧隠才蔵は凛々しい顔立ちのイケメンに描かれているが、こういったドラマではいつも主役の猿飛佐助は(原作では)背が低くしぶ皮のように顔が黒いと表現されているようだ。才蔵は三浦浩一、佐助は渡辺篤史が演じている。渡辺篤史って、個人的には腕利きの忍者には見えない。しかし田村正和主演の「運命峠」でも伊賀忍者の役をやっていたし、世間的にはそう見えるのだろうか。同じ十勇士の穴山小助は森川正太、三好晴海入道は団しん也というように、意図的に強そうには見えないコミカル色の強い役者をキャスティングしているようだ。
勿論、真田幸村も登場し、大坂夏の陣で活躍する大野修理(治長)、後藤又兵衛といった実在キャラに加え、女性キャラでいずれも架空のようだが、修理の妹の隠岐殿、隠岐殿の侍女(実はくノ一)であるお国、菊亭大納言春季の娘・青子姫等が才蔵に思いを寄せるらしく、メインヒロインはお国のようだ。そして才蔵の宿敵である風魔忍者の獅子王院も登場する。ちなみに才蔵は伊賀、佐助は甲賀である。
上記以外のキャストは竹脇無我(真田幸村)、伊丹十三(大野修理)、多岐川裕美(隠岐殿)、樋口可南子(青子)、小野みゆき(お国)、大木実(後藤又兵衛)、稲葉義男(治作)、佐藤慶(俊岳)、岩井半四郎(大納言春季)、初井言栄(大蔵卿局)、宮口精二(真田昌幸)、磯部勉(獅子王院)等である。
磯部勉は数多くのドラマにも出ているが、個人的には洋画吹き替え声優のイメージが強い。ハリソン・フォード、メル・ギブソン、ブルース・ウィリス、チョウ・ユンファ等スター俳優の声を担当している。