ゴリラ・警視庁捜査第8班 | お宝映画・番組私的見聞録

ゴリラ・警視庁捜査第8班

前回「ザ・刑事」の前後が石原プロ制作のドラマと書いたが、その前番組となるのが「ゴリラ・警視庁捜査第8班」(89~90年)である。石原裕次郎の死去(87年)後に初めて制作された石原プロのドラマで、アクション・刑事ドラマは「西部警察」(79~84年)以来となる。
そのためか、渡哲也、舘ひろし、神田正輝の三枚看板を初めてレギュラーとして揃えている。それまで、舘と神田がレギュラーでの共演をしたことはなかった(はず)。
設定も気合が入っており、当時は映画「ランボー」等が流行っていたこともあってか、警察組織から独立した傭兵部隊のような存在として警視庁捜査第8班(通称ゴリラ)が組織され、コマンド色を強く押し出したアクションドラマを意識していた。
実行部隊メンバー4人は全員が元刑事という設定で、第8班の設立のため集められ復職したという形となる。その班長役はもちろん渡哲也(倉本省)である。役名は明らかに倉本聰からだろうが、その倉本聰自身も終盤に本作に関わってくることになる。そして舘ひろし(伊達健)、神田正輝(風間有悟)の他、石原プロの新人である当時25歳の谷川竜(谷川竜太郎)が加わる。役名の谷川竜太郎が本名でもあるようだ。
他にも無線等を担当する女性アシスタントとして加納みゆき(高峰淳子)、専属のヘリコプターパイロットである秋山武史(冬木武)、予算面を請け負う管理官として谷啓(塩田直次郎)がいる。加納は30話で前触れなく降板し、31話から田中美奈子が登場する。役名も田中美奈子である。当時はボディコンスタイルでの美脚が有名で、学園祭の女王とも言われていた。秋山は「あぶない刑事」では吉田刑事役。基本的にヘリが出動する回のみの登場である。谷啓はこういったドラマのレギュラーは珍しいといえる。
その第8班を創設したのが警視庁刑事部長である鈴木瑞穂(麻生公義)で、ミッションは彼が直接下す。警視庁にしろ政府関係にしろ幹部の役と言えば、鈴木瑞穂か神山繫というイメージがあった。
セミレギュラーとしえては仲村トオル(中田透)。神奈川県警の刑事で伊達の後輩。役名からして「あぶない刑事」を意識しているようだ。16話までの登場。柏木由紀子(倉本静江)は倉本の妻で進行性認知症を患い入院中。北村総一朗(土井医師)は静江の主治医。金井大(日下医師)は伊達の主治医と柏木、北村、金井は終盤に登場するようである。
制作には今までの石原裕次郎ではなく渡哲也がクレジットされ、スタッフも「西部警察」を担当していた者が多かった。サブタイトルは横文字で、挿入歌も英語。第1話はコマンドアクションの聖地といえるフィリピンを舞台に展開し、ゲストは原田芳雄、佐原健二、亀石征一郎、佐野浅夫とまあ、肝入りで始まった本作であったが世間には受け入れられなかったようで、早々と路線変更を余儀なくされるのである。次回に続く。