ドリフターズですよ!シリーズ | お宝映画・番組私的見聞録

ドリフターズですよ!シリーズ

前回の続きである。ドリフ映画全21作のうち東宝系は5作あるのだが、69年までに集中している。松竹ドリフ映画と合わせると4作目~7作目まで連続で東宝の「ドリフターズですよ」シリーズなっているのだが、それ以降は松竹の「全員集合」シリーズのみとなり、東宝では制作されていない。これは69年10月に「8時だヨ!全員集合」が始まったことと関係しているかもしれない。
「8時だヨ!全員集合」以前のドリフの人気はどうだったか記憶にないが、「進め!ドリフターズ」「突撃!ドリフターズ」(68年)といった冠番組も作られており、人気は高かったに違いない。なにしろ「全員集合」以前に8本の映画が公開されていたのが人気を証明している。
で、今回は東宝で公開されたドリフ映画について見ていきたい。1作目は前回触れた「ドリフターズですよ!前進前進また前進」(67年)だが、東宝2作目(通算4作目)が「ドリフターズですよ!盗って盗って盗りまくれ」(68年)である。これは5人が」泥棒に扮している。制作は東宝傍系の東京映画で「駅前シリーズ」などを制作しているところだ。
ゲストにはフランキー堺、酒井和歌子、藤村有弘、木の実ナナ、小山ルミ、桜井センリ、左とん平など。木の実ナナは桜井輝夫とドリフターズ時代にその専属歌手を務めていたことがある。ちなみにまだ16歳の頃だ。1,2作目共に「マイティジャック」で隊員役を演じていた大屋満が端役で出演している。
東宝3作目(通算5作目)が「ドリフターズですよ!冒険冒険また冒険」(68年)。いかりやが「進め!ドリフターズ」の収録でケガをしたため、出番は少なめ。ゆえに加藤が主役兼リーダー役となっている。藤田まことは1作目と同じ役で登場。他に野川由美子、小山ルミ、真理アンヌ、藤村有弘、そして人気を二分していたコント55号も「アングラ男優」役で出演した。冒頭には弟子入りしたばかりの志村けん(志村康徳名義)が顔を見せている。
東宝4作目(通算6作目)が「ドリフターズですよ!特訓特訓また特訓」(69年)。本作は放送禁止用語が飛び交い、ドリフ映画の中では最もブラックな作品と言われているようだ。脚本の東盛作とは森崎東の変名。ゲストは山本陽子、中原早苗、西村晃、三木のり平、有島一郎、大坂志郎、内田裕也など。志村は本作にも端役で出演している。
そして東宝5作目(通算7作目)が「ドリフターズですよ!全員突撃」(69年)で、東宝ドリフの最終作品だ。ドリフ映画で最初で最後となる海外ロケ(ハワイ)が行われている。ゲストは梓みちよ、じゅんとネネ、子役だった西崎緑(みどり)などで、西崎は74年に「暗闇仕留人」主題歌である「旅愁」で大ヒットを飛ばすことになる。内田裕也は前作に続いて端役で出演(今作はスリ、前作は糞尿舟の親父)。また当時のドリフの付き人で後に志村とコンビ「マックボンボン」を組む井山淳が端役で出演している。
これらの東宝ドリフ映画はDVD化もBD化もされていないようである。配信系でも松竹ドリフはあるが東宝はないらしく、CSなどでもたまにしか放送されていないので、見るのが難しい作品群かもしれない。