お宝映画・番組私的見聞録 -193ページ目

ロンドン指令X

アンダーソンのスーパーマリオネーション作品からもう一つ「ロンドン指令X」(69年)を取り上げてみたい。「サンダーバード」「キャプテン・スカーレット」などがヒットした後の作品だが、わずか13回という短命に終わっている。この翌年には「謎の円盤UFO」が制作されており、人気作に挟まれ一層目立たない。自分も結構最近までその存在を知らない作品であった。日本では、70年にNHKで放送されているが、ほとんど再放送もされてなかったのではないだろうか。
つい先日CSで放送され、おそらく初めて見たのだが、短命で終わった理由がわかる気がした。一言でいえば地味なのである。実は諜報部員という初老のスタンレー神父(声・久松保夫)が主人公で、ビショップ(声・川久保潔)から指令Xを受けると助手のマシュー(声・堀勝之祐)とともにミニマイザーという装置により3分の1サイズなり事件に挑んでいくというストーリー。3分の1っていうのは中途半端に大きいような気もするが。
マシュー役の堀勝之祐は個人的には時代劇(特に必殺シリーズ)の悪役というイメージが強い。「必殺必中仕事屋稼業」では、最終回に登場し、仕事屋を壊滅に追い込むチンピラの一人を演じている。
華々しくメカが活躍した「サンダーバード」や「キャプテン・スカーレット」に比べると、レギュラーメカ?といえるのは愛車の1917年式T型フォード、つまりクラシックカーくらいなのである。人形だけでなく、人間が演じている部分もあり、オープニングの神父は人間(人形に非常にそっくりである。逆かな)である。教会や家もミニチュアではないので、オープニングだけ見ると普通に実写ドラマに見えてしまう(実際はアバンタイトルがあるので人形劇だとわかるが)。
ちなみに原題は「ザ・シークレット・サービス」という。先日のCSでの放送は本国での放送順とも、NHKでの放送順とも違っていたようである。まあ、1話以外はどういう順番でも大丈夫には違いないが。

宇宙船XL-5(谷啓の宇宙冒険)

月も変わったので新企画というわけでもないが、初めて海外制作の番組について取り上げたい。
ジェリー・アンダーソン制作の人形劇、スーパーマリオネーションといえば「サンダバード」や「キャプテン・スカーレット」、「ジョー90」あたりはかなり有名だと思うが、それらに先駆けて制作されているのが「Fireball XL-5」(62年)で日本では翌63年に「宇宙船XL-5」のタイトルで放送されている。簡単にいうと百年後の未来、世界宇宙パトロール隊の宇宙船ファイヤーボールXL-5の活躍を描いたお話だが、視聴率がよくなかったのか、当時放送していたフジテレビでは12話よりタイトルを変更している。それが「谷啓の宇宙冒険」である。ようするに谷啓が原版にはないナレーションを入れているだけなのだが、それに伴い吹き替えのレギュラーキャストも全員変更された。
ゾディアック大佐(中野誠也→金内吉男)、ビーナス(河内桃子→向井真理子)、教授(袋正→大塚周夫)、ロバート(小美野欣二→太田淑子)といように、顔出しメインの役者から声がメインの役者に変更されている。しかし、小美野欣二から太田淑子というのはよくわからんが。ちなみに原版では、ロバートはジェリー・アンダーソンが、ビーナスは妻のシルビア・アンダーソンが演じていたという。
個人的には、この作品を見た記憶はない。配給を担当していた太平洋テレビが脱税容疑で訴えられたりして業務を停止し(無罪になったらしい)、放映権が宙に浮いた形になっているらしく、国内での放送は難しいようだ。まあ、YouTubeなどで原版の一部を見ることはできるが。
翌年に放映された「海底大戦争スティングレイ」も途中で「トニーの海底大戦争」に変更されている。こちらはのナレーションはトニー谷である。

大日本殺し屋伝

ついでなので、前項で名前の出た「大日本××伝」シリーズの最終作となる「大日本殺し屋伝」(65年)についても触れておこう。
とにかく殺し屋が沢山出てくる作品だが、花登喜劇なので、どうみても殺し屋には見えない面々が殺し屋を演じることになる。高品格などのいる五光会の雇う殺し屋が、大村崑、平凡太郎、人見きよし、白木みのる、土方弘、長弘など10人で、松本染升率いる安西組が雇う殺し屋が、夢路いとし・喜味こいし、佐々十郎、由利徹、佐山俊二、E.H.エリックの6人と土方や長を除けば、とても弱そうな殺し屋が並んでいる。
この16人が正体不明の殺し屋№1を追って展開するドタバタというような内容のようである。その№1が主演である宍戸錠で、エースのジョーならにスペードのジョーを演じている。その弟分に左とん平、藤山寛美で、ヒロインとなるのは山本陽子である。他にも錠の実弟・郷鍈治や、海野かつを、川上のぼるらが組員を演じている。藤山寛美は松竹はもちろん東映の任侠映画には結構出演しているが、日活は本作くらいではないだろうか。
日活における花登筐の作品はこの「大日本」シリーズだけのようである。その作風は当時の日活には合っていなかったように思う。ちなみに花登の三人目の奥さんは若大将シリーズでお馴染みの星由里子である。

大日本コソ泥伝

喜劇役者、お笑い芸人などが大量に出演する作品は東宝や松竹に多いと思うが、日活にも存在する。「大日本××伝」シリーズというのがそれで、花登筐が全作の原作・脚本を担当しており、その第1作が「大日本コソ泥伝」(64年)である。
クレジット上は松原智恵子、西尾三枝子、山本陽子といった日活娘がトップにきているようだがチラッとしか出てこない。藤田まことが石川五右衛門の霊という役で特別出演扱いで出ており、桂小金治はその20代目となる石川二十五右衛門、加えてその子分の石川八人衆として、長門裕之、藤村有弘、由利徹、佐山俊二、佐々十郎、大村崑、天王寺虎之助、三浦策郎。この八人が21代目をかけて泥棒合戦を繰り広げる話である。
長門以外はお笑い系の人が並んでおり、佐々十郎と大村崑は花登の「やりくりアパート」で人気のあったコンビ、三浦策郎はよく知らないが、やはり花登の喜劇にはよく出演している人のようだ。天王寺虎之助は時代劇で、ほぼ悪徳坊主を演じている人というイメージ。ただしこの頃はスキンヘッドではなく、後ろの方は髪の毛があった。本作で忍び込まれる家の当主を演じている如月寛多も、戦前はエノケン映画などに出ていた人のようだが、やはり時代劇では悪徳坊主の役が多い。
他にも南都雄二、中田ダイマル・ラケット、夢路いとし・喜味こいし、かしまし娘、白木みのるなども顔を出している。
あと桂小かんという日活作品ではよく見かける役者がいるが、この人は俳優・桂小金治の弟子だということなので、落語家ではないのだろう。まあこの頃の小金治は落語からは離れているので、そっちの弟子はできないと思うが(真打でもないし)。二人の共演はさほど多くはないようだ。テレビの方では、やはり「ハレンチ学園」のパラソル先生が印象に深く、「桃太郎侍」にもレギュラー出ていた。
このシリーズは翌65年、「大日本ハッタリ伝」「大日本チャンバラ伝」「大日本殺し屋伝」と続けて制作されている。

サラリーマン物語シリーズ

60年代の日活といえば、吉永小百合や浜田光夫の青春路線か石原裕次郎や小林旭のアクション路線というイメージで、サラリーマンものといえば東宝というイメージが強い。しかし、日活にもサラリーマン映画は存在する。その名もズバリ「サラリーマン物語」(62年~63年)で、全4作が作られている。シリーズといっても、それぞれに関連性はない。
その第1作が「新入社員第一課」(62年)。舞台は化学製品の会社で、主演は新入社員役の山田吾一である。その山田と同じ新入社員役が日活に移ってきた桂小金治だ。他の出演者は清水まゆみ、松尾嘉代、青山恭二、逗子とんぼ、森川信、長門勇、由利徹、大滝秀治などである。ちなみに、山田吾一と松尾嘉代は全作に出演している。
第2作は「敵は幾万ありとても」(62年)。舞台は商社になり、主演は桂小金治となる。出演者は山田、松尾、森川、由利、大滝など前作とほぼ同じで、大泉滉、柳家小さんなどが加わっている。
第3作は「勝ってくるぞと勇ましく」(63年)。舞台は製菓会社で、キリンガム、アサヒガムなどという商品が登場する。今回の主演は小沢昭一で、山田、松尾、森川に加え、清川虹子、左卜全、南利明、久里千春などが出演している。
そして最終作となるのが「大器晩成」(63年)。舞台はライター会社となり、主演は再び桂小金治となる。松尾、山田に加えて、E.H.エリック、野呂圭介、トニー谷、そして藤竜也がチョイ役で顔を出している。本作では小金治と山田吾一はそれぞれ三役を、エリックは二役を演じている。
シリーズ終了後この63年には、小金治は「腰抜けガンファイター」、山田吾一は「若旦那日本晴れ」、小沢昭一は「競輪上人行状記」といった主演映画がそれぞれ制作されているが、翌年以降日活は二枚目スター中心となり彼らの主演作品は制作されなくなっている(66年に小沢主演の「人類学入門」が制作されている)。

縞の背広の親分衆

最近ここで取り上げているフランキー堺や桂小金治に関わりの深い監督といえば川島雄三である。桂小金治は二つ目になってまもなく川島に映画の世界に引っ張りこまれている。三人とも東宝にいた時代に撮られた作品に、以前ここでも紹介した「グラマ島の誘惑」(59年)があるが、今回は「縞の背広の親分衆」(61年)をピックアップしてみたい。
一言でいえば、任侠コメディとでもいうのだろうか。主演の森繁久弥は森の石松の子孫という設定である。国外逃亡から帰国し、没落した組を復興させようとするお話だ。森繁、フランキー、小金治は「グラマ島の誘惑」での主演トリオである。他の出演者も中々豪華で、淡島千影、有島一郎、ジェリー藤尾、団令子、西村晃、松村達雄、田浦正巳、春川ますみ、千石規子、藤間紫らに加えて、テレビの方で人気が出はじめていた渥美清や、まだ無名だった頃の愛川欽也なども顔を見せている。
ストーリーには関係ないが、スリーバブルスというミツワ石鹸のCMソングを歌っていたグループが「デュワデュワ」いってたりする。
この川島を中心とした森繁、フランキー、小金治というラインは翌年の「青べか物語」が最後となる。
松竹、東宝ときた小金治は今度は日活に移籍し、川島は63年に45歳の若さで亡くなっている。

ポンポン大将

前々項で、「月下の美剣士」(60年)についてちょっと触れたが、これは日曜の18時という時間に放送されていた少年向け時代劇だったのだが、わずか3ヶ月で打ち切りとなっている。これは、番組から殺人シーンなどを削除するという当時のNHK(会長)の方針によるものであった。チャンバラで人を斬るシーンは必須のようなものだし(まあ峰打ちとか斬らなくても処理はできるが)、終了せぜるを得なかったということだろう。主演は前述のとおり加藤博司で、他には佐々圭子、宝幸子、坂本武、そして南利明や桂小金治などであった。
その3ヶ月後に始まったのが「ポンポン大将」(60~64年)である。主演は「月下の美剣士」にも出演していた桂小金治と加藤博司であった。隅田川のポンポン船の船長(桂)と旋盤工(加藤)が、施設から三人の浮浪児を引き取って、明るく暮らす姿を描いたものであったが、加藤は翌61年に大映と契約し、成田純一郎となったため、半年くらい(もっと早いかもしれないが)で降板したと思われる。
そのポンポン船の中で生活していたようだが、当時はそういった水上生活者も多くいたと思う。アニメの「アニマル1」などでも主人公一家は船で生活していた。
他の出演者は飯田蝶子、小林十九二、矢代哲也、木下清などで、小柳徹、湯浅実なども出演していたようだ。木下や小柳は当時の子役で木下は「タイムトラベラー」、小柳は「ホームラン教室」などで活躍、湯浅は「中学生日記」の先生役で知られる。矢代哲也は後に八代駿と改名し、主に声優として活躍(「トムとジェリー」のトム役など)する。以前このブログでも取り上げた加山雄三主演の「東から来た男」(61年)という映画では矢代和雄名義で出演している。なお、この作品には桂小金治も出ていた。
「ポンポン大将」は四年も続いたのだから、人気もあったのであろう。ベテラン俳優だった小林十九二は、この番組終了直後に亡くなっており、小柳徹も69年に20歳の若さで交通事故死している。

デンスケの宣伝狂

「デンスケの宣伝狂」(56年)という映画がある。デンスケというと大宮敏充を思い出す人も多いかもしれないが、本作の「デンスケ」は49年~55年まで毎日新聞に連載されていた横山隆一原作のマンガの主人公で、演じているのはフランキー堺である。大宮敏充とは何の関係もない。宣伝狂というタイトルどおり、広告会社を舞台にした作品である。
原作にも登場する恋人のショウコ役は東谷暎子で50年代に松竹、日活で活躍していた女優である。「太陽の季節」にも出演していた。他には丹下キヨ子、中原早苗、山岡久乃、岡田真澄、木戸新太郎、沢村國太郎、そしてフランキーとはコンビ的存在であった市村俊幸らが出演している。日活作品は珍しい天本英世(58年に東宝と契約)や、浪曲の広沢虎造、そして原作の横山隆一、実弟の横山泰三もチョイ役ででているようである。
当時の毎日新聞は朝刊に横山隆一の「デンスケ」、夕刊に横山泰三の「プーサン」(50~53年)と、兄弟で連載していたのである。泰三の「プーサン」は53年に一足早く市川崑の監督で映画化されており、こちらにも横山兄弟はチョイ役で出演している。
横山隆一といえば「フクちゃん」が有名だが、こちらは36年に朝日新聞に掲載されたのが最初(タイトルは「養子のフクちゃん」)である。「デンスケ」が終了後、毎日新聞に連載が開始されたのは「フクちゃん」であり、71年まで続いている。

わが輩ははなばな氏

特にネタもないので、フランキー堺の話に戻るのだが、彼が主演のドラマに「わが輩ははなばな氏」(56~59年)というのがある。共演が妻・堺花子、長男・堺俊哉と、つまり実際の一家で出演したホームドラマである。まあ、三年も続いたのだから人気はあったのであろう。他にも渥美清、谷幹一などが出演していた。
フランキー堺は、54年にシティスリッカーズというバンドを結成しているが、ここは植木等、谷啓、桜井センリといった後のクレイジー・キャッツのメンバーが在籍していたことで有名だ。この54年に東宝の「ジャズ・スタア誕生」という映画にゲスト出演しているが、この映画の主演が当時、日劇ダンシングチームのスターであった谷さゆり。この人が後の花子夫人である。ようするにこの共演で知り合い結婚したのであった。それにしてもフランキー堺は谷啓、谷幹一、谷さゆりとやたら谷という人と縁があるようだ。ちなみにこの映画には清水元、玉川伊佐男、渡辺篤(篤史ではない)、本郷秀雄などが出演していた。
さて「わが輩ははなばな氏」だが、結婚してそれほどたっていない時のドラマなので、堺俊哉君というのは恐らくまだ赤ん坊だったと考えるのが自然だろう(連れ子でもいない限り)。本作、以外にドラマ出演などはないようである。夫人の方も堺花子名義での出演作は他に見つからなかった。ただ、以前このブログでも取り上げた「喜劇・ドッキリ大逃走」(70年)とういう映画に谷さゆりという人が出演しているのだが、同一人物かどうかは分からなかった。この頃、日劇ダンシングチームで二代目・谷さゆりを「襲名」した人がおり、レコード(「恋のピラニア」という歌である)も出していたようなので、その人のことかもしれない。

忍びの者 霧隠才蔵

猿飛佐助とくれば次は霧隠才蔵だろうと、才蔵が主役の作品を調べてみたが意外となかったりする。テレビの方は浅野ゆう子の「おんな霧隠才蔵・戦国忍者風雲録」(82年)くらいしか、見つからなかった。映画の方もやはりあまりないのだが、結構有名な作品がある。「忍びの者 霧隠才蔵」(64年)である。
「忍びの者」シリーズは、市川雷蔵主演で全8作あるが、1~3作目の主役は石川五右衛門で、4~6作目が霧隠才蔵、7作目は才蔵の息子で、8作目はオリジナルの霞小次郎である。この「忍びの者 霧隠才蔵」は4作目にあたる。
簡単にいえば、才蔵を含む忍者たちが徳川家康(中村鴈治郎)の暗殺を図る話である。才蔵といえば真田幸村で、演ずるのは城健三朗(=若山富三郎)である。その息子大助が小林勝彦、徳川秀忠が島田竜三、これらは次作の「続霧隠才蔵」にも登場する。豊臣秀次が成田純一郎、大野治長が杉山昌三九、そして家康の暗殺部隊は真田十勇士の名が使われており、筧十蔵が伊達三郎、穴山小助が木村元(当時は玄)、海野六郎が黒木英男、十勇士名義ではない乾佐平次が中村豊といった具合である。どこから見ても悪党という感じの伊達三郎や木村元が本作では才蔵の仲間なのである。ちなみに伊達三郎は3、5作目では服部半蔵の役である。
佐平次役の中村豊はもともと日本舞踊の人で、この年限りで大映を退社し、猿若清三郎となっている。成田純一郎は61年~64年までの大映作品でのみ見かける名前である。大映入社前は加藤博司の名で、日活の「嵐を呼ぶ男」や「幕末太陽伝」に出演、NHKドラマ「月下の美剣士」では主役を演じていた役者である。しかし、この64年ふたたび加藤博司に名前を戻し「これからのセックス 三つの性」という作品(別にポルノ映画ではない)での主演を最後に、その名を見かけなくなっている。まあ引退したと予想されるが、正確なところを知る術はない。