お宝映画・番組私的見聞録 -194ページ目

異聞猿飛佐助

猿飛佐助が主役となっているドラマや映画は結構あるのだが、今回はその中から「異聞猿飛佐助」(65年)を取り上げてみたい。
主演の佐助には、当時NHKの大河ドラマ「太閤記」の織田信長役で人気を得ていた高橋幸治が抜擢されている。本作での佐助は平和主義者といった設定である。徳川方の忍者の頭が岡田英次、丹波哲郎で、豊臣方の頭が小沢英太郎、佐藤慶という中々強そうな顔ぶれ。他にも宮口精二、入川保則、戸浦六宏、渡辺美佐子、吉村実子といった豪華なキャストが並んでいる。
簡単にいえば、徳川対豊臣の忍者合戦に佐助が巻き込まれていくといったお話である。
まず、佐助が知り合った戸浦六宏、渡辺美佐子が額に釘を打ち込まれるという「必殺シリーズ」のような技で殺されたりする。丹波対小沢の戦いでは、やはり丹波が勝利する。続いて丹波と佐助が戦うが、ここは当然主人公が勝つ。そして、岡田、宮口、入川らも釘を打ち込まれ殺される。となると残るのは佐藤慶、彼が釘撃ち殺しの犯人だったのである。当然、佐助と佐藤慶の戦いが始まり、佐助ピンチといったところで、佐藤の額に手裏剣が。佐助が呼び寄せていた霧隠才蔵が計ったようなタイミングで駆けつけたのであった。ニヤリと笑うその人は石原慎太郎だったりする。
とまあ、ストーリーだけを追っていくと面白そうな感じがする。結局、佐助が倒した主な敵は丹波哲郎だけなのだが平和主義者なので仕方がないのだ。
主演の高橋幸治は近年はあまり目立たないが、60年~70年代には主演も多かった役者である。本作でも共演している宮口精二の運転手から文学座に入ったという経歴を持つ。
萬屋錦之介の「子連れ狼」(73年)の第一部で柳生烈堂を演じているが、第三部で同役を演じたのは本作で最後に戦った佐藤慶であった。これは佐藤慶の貫禄勝ちだったと個人的には思う。

熱血猿飛佐助

また猿飛佐助に話が戻るのだが、自分らが子供の頃に放送されていた佐助ものといえば「熱血猿飛佐助」(72年)である。とはいっても一度も見た記憶はないのだけれども。子供の頃から時代劇や忍者ものは好きだったはずだが、何故か真田十勇士関係のものはスルーしていたようだ。
本作だが、タイトルに「熱血」とついているとおり、当時ブームのスポ根的な要素を取り入れた時代劇のようである。佐助が十勇士に加わる前の話で、戸沢白雲斎のもとで忍術修行をする姿を描いている。主演の佐助には桜木健一。小柄で俊敏そうなイメージが佐助っぽい。師匠である白雲斎には山さんこと露口茂。時期的には「太陽にほえろ」もスタートした頃である。スポ根といえばライバルが必要だが、佐助のライバルといえば霧隠才蔵と相場が決まっており、篠田三郎が演じている。キザでエリートっぽい才蔵が想像できる。「刑事くん」、「太陽にほえろ」、「二人の事件簿」とそれぞれ刑事ドラマで活躍した面々がメインを務めていたのである。
桜木健一といえば、当時コンビ的存在だったのが吉沢京子だ。「柔道一直線」「太陽の恋人」に続いて本作でも共演している。他の出演者だが山形勲、山田吾一、上村香子、丹阿弥谷津子など。ゲストでは近藤正臣、新藤恵美、テレサ野田、目黒祐樹など。目黒は真田幸村の役のようだ。
脚本家に目を向けると石堂淑朗、上原正三、市川森一、長坂秀佳と名のあるメンバーが並んでいる。
この枠(月曜19時半)は「刑事くん(第2部)」を放送していた枠で、その終了後同じ桜木主演で企画されたのが本作である。しかし本作終了後に始まったのは、やっぱり「刑事くん(第3部)」であった。刑事くんに挟まれる格好になった分、印象度が薄くなってしまった番組ではないだろうか。

コメディ フランキーズ

フランキー堺が前項に続いて猿飛佐助を演じているドラマがあった。それが「コメディ フランキーズ」(63年~64年)という番組の中で演じた「三代目猿飛佐助」である。まあ、三代目だから正確には三之助という役だったようだが。
この「コメディ フランキーズ」という番組は、毎回歴史上の人物の一生をパロディで描いたシリーズということである。つまり、一年に渡り毎回フランキー堺が違う役を演じていたのである。
第1話のサブタイトルは「情熱の人ショパン(前後編)」。日本だけでなく外国のエピソードも多い。出演はフランキーの他に朝丘雪路、藤村有弘、木田三千雄、八波むと志など。ちなみに朝丘と藤村、木田は準レギュラー的に出演回数が多かったようだ。3話「笑説徳川家康」、4話「源氏物語ノート」、5話「コロンブスアメリカ発見」と続いていく。
気になるエピソードとしては、9話「大山師 由比正雪」。ゲストに南原宏治、小池朝雄、多々良純といった悪役どころが並んでいる。14話「怪力雷電」。東富士に加え、丸井太郎、前項にも登場した千葉信男といった巨漢俳優が出演している。28話「吸血鬼ドラキュラ」、47話「ジキル博士とハイド氏」など題材はバラエティにとんでおり、50話が前述の「三代目猿飛佐助」である。フランキー、朝丘、藤村に加え三木のり平、谷幹一、石川進などが出演している。そして最終回(52話)が「進めオリンピック」。東京オリンピック開幕の数ヶ月前の放送であった。
ゲストで出演した役者陣には大山のぶ代、重山規子、中島そのみ、園まり、芳村真理、渡辺文雄、金子信雄、山田真二、南道郎、菅原謙次、ミッキー・カーチス、コロムビアトップ&ライト、花菱アチャコ、柳家金語楼などもいたようである。
本作が話題になることはほとんどないが、後年でいえば、「知ってるつもり」とか「驚きももの木20世紀」みたいな番組を、有名役者を使ってやっていたようなものだったのかもしれない。

猿飛佐助(55年版)

真田十勇士といえば、まず猿飛佐助。というわけで、猿飛佐助が主人公という映画も数多くある。今回はその中から日活の「猿飛佐助」(55年)を取り上げてみたい。
映画制作を中断していた日活が制作を復活させたのは54年のこと。当初は「国定忠治」とか「沓掛時次郎」とかオーソドックスな時代劇も多く制作していた。「猿飛佐助」もオーソドックスな部類だと思うが、中身はミュージカル仕立てのコメディのようである。
主演の佐助にはフランキー堺で、三好清海入道には市村俊幸。ちなみに閻魔大王の役も兼ねている。フランキーと市村はこの後もコンビで出演することが多くなる。他の十勇士は内海突破(霧隠才蔵)、千葉信男(伊三入道)、三島謙(由利鎌之助)、三木のり平(筧十蔵)、有木三太(海野六郎)、山田周平(根津甚八)、黒田剛(望月三郎)、名和宏(穴山小助)、そして北原隆(真田大助)、小川虎之助(戸沢白雲斎)、小林重四郎(夜叉丸)、水島道太郎(石川五右衛門)、有島一郎(滋野蛸十郎)、女優陣は遠山幸子、雨宮節子などである。サイトによっては三木のり平の役名が大力角兵衛、名和宏は穴山犬千代となっているところもある。また、望月六郎ではなく三郎ということになっているようだ。
三木のり平や有島一郎は東宝のイメージが強いが、共にこの翌年には東宝と専属契約を結んでいるようで、日活に出演しているのは珍しいといえる。千葉信男は三木のり平などと三木鶏郎グループの一員であった巨漢俳優である。鶏郎グループには有島一郎も参加していたことがある。山田周平は三木のり平と帝劇ミュージカルに出演していた人のようだ。有木三太は実写版「鉄人28号」に出演したりしている。
名和宏や北原隆は、制作再開とともに募集された日活ニューフェイスの1期生(宍戸錠が有名)である。遠山幸子や雨宮節子もそうらしい。しかし北原は翌56年、名和は57年に、それぞれ松竹に移籍している。小林旭によれば、日活はニューフェイスといえども当初は大部屋に入れられ、ひどい扱い(挨拶しなかっただけで土下座とか)を受けるというようなことがあったらしいので、その辺りが関係してるのかもしれない。

真田十勇士

「真田十勇士」といえば、NHKの人形劇(75年~77年)を思い浮かべる人は非常に多いと思う。しかし、当時の私はこの番組を一度も見ていない。まあ中学生だったこともあるし、この前番組である「新八犬伝」も見ていなかったこともある。NHK人形劇で自分が見ていたのはさらにその一つ前の「ネコジャラ市の11人」までである。
というわけで本作だが、原作は柴田錬三郎で、今までの十勇士とはかなり違った設定となっている。まずメンバーが違う。猿飛佐助、霧隠才蔵、筧十蔵、由利鎌之助、穴山小助、三好清海入道までは一緒だが、三好伊三入道は為三となっている。これは別人というわけではなく、モデルとなった三好政勝の法名が為三というところからであろう。残りの根津甚八と望月、海野のダブル六郎は、高野小天狗、呉羽自然坊、そして真田幸村の息子である大助となっている。であるから、この人形劇から見た人は、今まで本ブログで紹介した十勇士が自分の知っているの違っていると思われたかもしれないが、この人形劇版が他と違っているのである。
キャラクターの設定もかなり違っており、佐助は武田勝頼の遺児、才蔵は金髪のイギリス人で超能力者(「真田風雲録」の佐助と鎌之助を合わせたような感じ)、清海入道などは石川五右衛門の息子で、女装が得意という設定なので、映画版の大前均のイメージとは180度違うキャラになっている。その代わりに呉羽自然坊というキャラが作られたようだ。単に新キャラをだせばいいような気がするのだが。
キャストは佐助に松山省二(政路)、英太郎の弟だが、ドラマでは主演をやったことはなかったと思う。本作が唯一の主役ではないだろうか。才蔵と十蔵は名古屋章が兼任、どうしても本人の顔が浮かんでしまう。名古屋は真田昌幸も兼ねている。オリジナルキャラの高野小天狗と呉羽自然坊は岸田森が兼任、声優としての岸田はあまり記憶にないが(ナレーションはよく聞いたが)、二枚目声ではある。岸田は武田勝頼も担当している。清海入道は河内桃子。「コジラ」にも出演していたベテラン女優だが、声優は初挑戦ではないだろうか。鎌之助は三谷昇で戸沢白雲斎も兼任している。そういえば、「ウルトラマンタロウ」では名古屋がZATの隊長で、三谷が(短期間だが)副隊長だったりした。松山と岸田は「怪奇大作戦」ではSRIの隊員だった。
他は主に声優業が中心の人で、真田大助は里見京子(レインボー戦隊ロビンのロビン)、真田幸村は関根信昭(レインボー戦隊ロビンのペガサス)、為三は八木光生(レインボー戦隊ロビンの教授)、穴山小助は斎藤隆で、もちろん野球選手ではない。個人的には知らない名だが、この人形劇枠にはよく出ていた人のようである。
まあ、ファンの多い番組のようなので研究サイトも結構あるようだ。全445話の中で現存しているのは4話分だけのようである。

風雲急なり大阪城 真田十勇士総進撃

調べてみると、真田十勇士ものの映像作品というのは、非常に多いのである。あの新東宝にも真田十勇士ものの映画が存在する。「風雲急なり大阪城 真田十勇士総進撃」(57年)という無駄に長いタイトルがついている。個人的に真田十勇士のオーソドックスな展開というのがよくわからないので、本作が他の作品と異質なのかどうかは不明だが、十勇士が徳川家康を討たんとする物語のようである。
肝心なキャストだが猿飛佐助に天城竜太郎、後に若杉英二となり異常性愛映画に主演する。他の十勇士は小笠原竜三郎(霧隠才蔵)、舟橋元(三好清海入道)、国方伝(三好伊三入道)、御木本伸介(筧十蔵)、杉山弘太郎(由利鎌之助)、西一樹(海野六郎)、信夫英一(穴山小助)、池月正(望月六郎)、小浜幸夫(根津甚八)という新東宝メンバーが並んでいる。とはいっても信夫英一、池月正、小浜幸夫らはあまり聞いたことのない名だが、それなりに新東宝作品には出演していたようだ。ちなみに小笠原竜三郎は後の小笠原弘、杉山弘太郎は後の杉江弘で、杉江は日活などで活躍する。
他には田崎潤(真田幸村)、湊幹(真田大助)、沼田曜一(木村長門守)、藤木の実(長門守の使者)、敵役となるのが石山竜次(徳川家康)の他、芝田新、日比野恵子、丹波哲郎などである。

湊幹は、本作以外に三本ほど出演記録があるだけで詳細は不明だが「MEN’S CLUB」でモデルをやっていた人のようである(ちなみに同時期に菅原文太もやっていた)。家康役のの石山竜次は、専ら戦前に松竹で活躍していた人のようで、本作はほぼ20年振りくらいの映画出演だったようである。石山竜次という名は本作だけのようで、他は石山龍児、石山龍嗣、石山竜二、石山竜児、石山隆嗣、西山龍など名を変えて(一つを除きイシヤマリュウジだが)出演していた。新東宝作品はこれ1本のようである。

真田幸村(ナショナル劇場)

前項の中村錦之助(萬屋錦之介)が、真田幸村を演じたドラマがナショナル劇場の「真田幸村」(66年~67年)である。
ナショナル劇場といえば「水戸黄門」と「大岡越前」を延々と繰り返しているイメージがあるが、それらがスタートする前からこの枠(月曜20時)は存在していた。昨年、ナショナル、松下ブランドがなくなり、パナソニックに統一されたため、この枠も「パナソニックドラマシアター」と改名されている。
さて「真田幸村」だが、まる1年放送されているので、まあ人気はあったのだろうと思われる。ストーリーや内容は全く不明だが、登場人物とキャストについては主だったところを調べてみた。
主演はもちろん中村錦之助演じる真田幸村である。他の真田一族は中村竹弥(真田昌幸)、仲谷昇(真田信幸)、中村勘九郎(真田大助)、勘九郎は現在の勘三郎である(ややこしいな)。そして真田十勇士は、松山英太郎(猿飛佐助)、日下武史(霧隠才蔵)、石立鉄男(根津甚八)、田中邦衛(由利鎌之助)、長谷川哲夫(海野六郎)、大前均(三好清海入道)、尾形伸之介(三好伊三入道)、新田昌玄(筧十蔵)、柴田侊彦(穴山小助)、清水紘治(望月六郎)といった面々。前項の「真田風雲録」でも三好清海入道を演じていた大前均がここでも同じ役を演じている。入道といえばスキンヘッドの大男である大前均がやはりピッタリであろう。伊三入道役の尾形伸之介は、錦之助が主演のドラマで殺陣を担当することが多い人である。佐助役の松山英太郎は鼠小僧とかすばしっこいイメージの役が多い。
他にも北大路欣也(木村重成)、原保美(大野治長)、天本英世(服部半蔵)、太田博之(豊臣秀頼)、東野英治郎(豊臣秀吉)、志村喬(大谷吉継)、三井美奈(竹林院)といったところが判明している。ヒロイン役は浅丘ルリ子のようだが、何の役かはわからなかった。
まあ映画並みの豪華キャストなドラマだったといえよう。本作では秀吉の東野英治郎がこの枠で天下の副将軍となるのは69年のことである。

真田風雲録

数項前に真田十勇士が登場する「忍術大阪城」を取り上げたが、その二年後にやはり真田十勇士が登場する「真田風雲録」(63年)が制作されている。主演は中村錦之助だし、当時の東映がお得意としていた普通の時代劇大作だろうと思って、うっかり見てしまうと唖然としてしまうような作品なのである。
本作は、ミュージカル仕立てのコメディ映画とでもいうのだろうか、当時の人にはその作風は受け入れられず、とにかく不評で早々と公開が打ち切られてしまったという。
主役の佐助(中村錦之助)は超能力者で、霧隠才蔵ことお霧(渡辺美佐子)は女性だし、由利鎌之助(ミッキー・カーチス)は見た目どおり異人で、ギターを弾いて歌ったりするのだ。ちなみに後の十勇士は海野六郎にジェリー藤尾、三好晴海入道に大前均、三好伊三入道に常田富士男、根津甚八に米倉斉加年、筧十蔵に春日俊二、穴山小助に河原崎長一郎、望月六郎に和崎俊哉という面々。ちなみに本作ではジェリーと長一郎と春日は死ぬ役である。
ヒロイン役の渡辺美佐子は当時、錦之助と同じ30歳。もうちょっと若い女優でも良かったのではという気もする。冒頭で十勇士はまだ子供なのだが、佐助の少年時代を演じるのが(たぶん)住田知仁、現在の風間杜夫である。
真田幸村に扮するのが千秋実なのだが、貫禄のないとぼけたオッサンにしか見えない。もちろんミスキャストというわけではなく、最後は敵兵に「貫禄がない」とニセ者扱いされたうえ、躓いた拍子に刀に刺さって死んでしまうというドジな最後を遂げる。他にも木村重成に大村文武、豊臣秀頼に水木襄と「月光仮面」と「忍者部隊月光」が共演していたりする。千姫役には本間千代子、ラスト近くには田中邦衛も顔を見せる。
敵役として登場するのが相変わらずニコリともしない佐藤慶。十年後には「子連れ狼」で、拝一刀と柳生烈堂として錦之助と対峙することになる。そして終始佐助とやりあう服部半蔵、ボソボソと喋り見ている時は誰だかわからなかったのだが、正体は平幹二朗であった。
とまあ、タイトルや出演者からは想像できないある意味みどころ満載なカルトな作品である。現在だったらもう少し受け入れてもらえると思われる。そんなにヒットはしないだろうけれども。

てなもんや映画(東宝版)

てなもんやの映画版の話題がでたついでに、他の映画版について触れてみたい。前項で四本と書いたが、よく見ると五本存在していた。63年の「てなもんや三度笠」「続・てなもんや三度笠」は東映の制作だが、66年「てなもんや東海道」、67年「てなもんや大騒動」「てなもんや幽霊道中」の三本は東宝、渡辺プロの制作である。東宝版の三本にはクレージーキャッツ、ドリフターズが出演しているのが大きな特徴といえよう。
東宝版の三本には、藤田まこと、白木みのるはもちろんだが、テレビ版で鼠小僧次郎吉を演じた南利明がそのまま次郎吉役で出演している。
「てなもんや東海道」は、ハナ肇が清水次郎長役で登場、次郎長一家は大政が藤木悠、小政はなべおさみ、石松は長沢純といった布陣である。他のクレージーのメンバーは谷啓、犬塚弘、石橋エータロー、安田伸が登場(植木等と桜井センリは登場せず)、女優陣は野川由美子、梓みちよ、浜美枝、他にも伴淳三郎、漫画トリオ(横山ノック・フック・パンチ=上岡龍太郎)、そして瓦版屋の役で加藤茶が珍しくソロで登場している。
「てなもんや大騒動」は、ネット上ではタイトルの頭に「幕末」とついていたりするのだが、映画をみるかぎりタイトルに「幕末」の文字はない。確かに舞台は幕末ではあるけれども。近藤勇に芦屋雁之助、土方歳三にいかりや長介、そして他のドリフのメンバーは新撰組の隊士を演じている。クレージーは谷啓のみ出演で、西郷吉之助役、そしてテレビ版でお馴染みの財津一郎が坂本竜馬役で登場する。他には伴淳三郎、久保明、伊東ゆかり、磯村みどり、野川由美子など。藤田と野川が絡むとどうしても「必殺」を思い出してしまう。監督はクレージ映画でお馴染みの古澤憲吾である。
そして「てなもんや幽霊道中」には、ドリフは全員、クレージーからはハナ、谷、桜井の三人のみ出演している。野川由美子は本作にも登場(すべて違う役)、玉川良一、田村亮、久保菜穂子などが出演している。これは今週CSで放送される予定である。
これらの東宝版は「てなもんや」というよりもナベプロタレント映画という感じが強い。本家の「てなもんや」を見ていたわけではないので、どちらがいいともいえないけれども、映画版の評判はそうじて良くないようである。

続・てなもんや三度笠

花房錦一が香山武彦と改名し、初のレギュラーとなったのは「てなもんや三度笠」である。逆に「てなもんや」へのレギュラーが決まったので改名したのかもしれない。てなもんやの作家といえば、香川登志緒だが、そこから来ている名前のような気がする。
香山が演じるのは、中山道編で登場する駒下駄茂兵衛というキャラだが、四本ある映画版で茂兵衛も登場するのが「続・てなもんや三度笠」(63年)である。クレジットも藤田まこと、白木みのるに並んで先頭だったりする。しかし、香山武彦としては結局これが代表作となってしまったようである。この後に出演した映画はほぼひばりがらみだったし、テレビのほうも「柔」などの柔道ものや「暴れん坊将軍」などにゲスト出演する程度であった。
他の出演者について触れておくと、デン助こと大宮敏充、トニー谷、夢路いとし・喜味こいし、大村昆などの喜劇陣に加えて、E.H.エリック、吉田義夫、「赤影」になる前の坂口祐三郎などが出演している。
香山武彦は結局、82年にひっそりと引退しており、居酒屋などを営んでいたようだ。兄・小野透のように事件を起こして逮捕されたりするようなことはなかった。しかし、その小野透が42歳で亡くなった三年後の86年、香山も兄と同じ42歳で急逝してしまう。死因も同じ心不全であった。
しかし、この一家81年に母・喜美枝が、そして83年の小野透、86年の香山武彦、ついには89年美空ひばりが死亡とわずか八年ほどの間に一家のほぼ全員が相次いで逝ってしまったのである。姉弟で一人残った次女の佐藤勢津子は、その後に歌手としてデビューしたらしい。見たことないけれども。
以上のことは、美空ひばりファンなら普通に知っていることなのだろうが、自分的には初めて知ることも多かった。