お宝映画・番組私的見聞録 -147ページ目

加山雄三のブラック・ジャック

前項で話が出たついでなので、テレビ版の実写ブラック・ジャック第一号である「加山雄三のブラック・ジャック」(81年)を取り上げてみたい。結構、カルト的な存在といえる番組だと思うが、九年ほど前にCSでも放映され、近年DVDも発売されたようなので、割と見ている人も多いかもしれない。
本作は原作を大幅にアレンジし、普段は画廊を経営する実業家・坂東次郎(顔の傷などない)が、必要に応じてBJに変身するというスタイルとなっている。
BJは当然加山雄三で、ピノコは今井里恵という子役、他のレギュラーはオリジナルキャラで、画廊の事務員である秋吉久美子、BJの執事に松村達雄、BJを追いかける警部に藤岡琢也といった具合だ。OPのナレーションは若大将つながりなのか田中邦衛が担当している。
個人的には、正直いって第1話くらいしかまともに見ていなかったりするのだが、設定は変わっていても内容そのものは原作に沿っているようだ。取り上げられたエピソードは原作どおりのタイトルで「かりそめに愛を」「春一番」「ふたつの愛」「えらばれたマスク」「魔王大尉」「復讐こそわが命」「BJ入院す」「血がとまらない」「助けあい」「灰色の館」「鬼子母神の息子」「奇妙な関係」「終電車」の13話である。連載初期のエピソード(「鬼子母神の息子」連載第10話)から終盤のエピソード(「復讐こそわが命」連載231話」)まで、幅広い範囲から選択されている。原作はほぼ全部読んでいるので、サブタイだけではわからないが、あらすじを読むと「あの話か」とピンとくる。
「春一番」は前項での「瞳の中の訪問者」の原作となったエピソードでもあり、原作にはないテニスボールが当たるという筋立てもほぼ同じである。これは脚本が同じジェームス三木だからで、映画版も本作も彼の持ち込み企画だったらしい。ちなみに映画で片平なぎさが演じた役を五十嵐めぐみ、峰岸徹が演じた役は中条きよしが演じている。
これも有名な話かもしれないが、8話目に放送された「血がとまらない」は初回放送以降欠番となり、CSでも飛ばされ、DVDも未収録となっている。これは血友病患者団体からの抗議があったためで、事実と違う表現が何カ所もあるという具体的なものであった。ようするに古い誤った知識であるということで、欠番は仕方ないのかも。その影響か、この話はチャンピオンコミックスの3巻には収録されているものの、以降発売された全集などには未収録となっている。
若い男女が中心の話で、女性(つまり血友病の娘)は真行寺君枝が演じたらしいが、男の方はわからない。稲葉義男、今井健二、川合伸旺といった悪役どころが同話に出演していたらしいが、まあ違うだろう。

瞳の中の訪問者 その2

前項の続きである。宍戸錠扮するブラック・ジャックは原作を忠実に再現しようとしているが、これを見た手塚治虫は「こんな人間などいない」と苦情を言ったとか。まあ、実写を想定してキャラを考えてはいないだろうし。
ところで、本作は制作はホリプロで、配給は東宝である。しかし、東宝育ちの俳優はほぼいない。宍戸錠、和田浩治、玉川伊佐男は日活だし、志穂美悦子、千葉真一、山本麟一は東映育ちだ。峰岸徹はデビューは東宝だが(当時は峰健二)、頭角を現したのは大映時代(当時は峰岸隆之介)からである。ちなみに志穂美、千葉、山本の東映勢はこれが初の東宝系出演ということになる。
とまあ、映画の話はここまでで、後は横道にそれる。本作に出演している、久木田美弥、三谷晃代、いけだひろこといったいずれも短命に終わっているホリプロのアイドルたちについて調べてみた。
いけだひろこ(当時20歳)は、ここまで池田ひろ子名義で4枚のシングルを出していた。この77年にひらがな名義にしたようだが、本作を最後に姿を消してしまったようである。
三谷晃代(当時18歳)は、ホリプロスカウトキャラバンの始まった76年のデビューだが、彼女は「君こそスターだ」の出身である。彼女もここまでに4枚のシングル、映画直前にファーストアルバムが発売されたが、最初で最後のアルバムになってしまった。まもなく引退したようだ。
久木田美弥(当時16歳)は、「スター誕生」の出身で、この77年にデビューしたばかりであった。しかし、三谷もそうだが、スカウトキャラバン組の榊原郁恵、荒木由美子も同時期にデビューし、その陰に隠れる形になってしまった感がある。「赤い激流」などにも出演していたが、79年に5枚目のシングルを出したのが最後となったようだ。
もう一人、ホリプロではないが三東ルシア(当時19歳)も事務員役で出演していた。この77年には「大鉄人17」で、敵役のピンクジャガーを演じたりしていたが、82年頃からロマンポルノに出演するようになる。89年に引退するが03年に復帰し、06年には30年ぶりのシングルを出している。今も現役のようだ。

瞳の中の訪問者

ここ数回、漫画家関係の作品を取り上げているが、漫画家の代表といえばやはり手塚治虫。そんな手塚漫画を原作とした実写作品から「瞳の中の訪問者」(77年)を。
タイトルだけでじはわからないと思うが、本作は「ブラック・ジャック」の1エピソード(「春一番」少年チャンピオンコミックス13巻)を原作としている。つまり、実写版ブラック・ジャックの第一号なのである。実写版というとテレビシリーズの加山雄三のが思い出されるかもしれないが、こちらはそれに先駆けて宍戸錠がBJを演じている。
しかし、本作においては主役はBJではなく患者となる片平なぎさということになっているようだ。片平は当時18歳。もちろん、現在のように「2時間ドラマの女王」などではなく、女優としての活動も始めていたが、まだアイドル歌手の時代であった。本作は彼女が所属していたホリプロが制作していたこともあり、久木田美弥、三谷晃代、いけだひろこといった同社所属のアイドルもテニス部員として出演していた。
ストーリーは原作などを読んでもらうとして、他の出演者だが、テニスコーチに「夜明けの刑事」の山本伸吾で、山本は「三浦友和と仲間たち」のギタリストでもあった。片平とテニスペアを組むのが志穂美悦子で、特にアクションを披露するわけではない。そして、角膜移植後の片平の目に映る男に峰岸徹で、刑事役に山本麟一、玉川伊佐男。当時すっかり悪役だった山本隣一の刑事役は「警視庁物語」シリーズ以来かも。他にも和田浩治や、特別出演扱いで長門裕之、千葉真一、月丘夢路、友情出演扱いで、壇ふみ、ゴダイゴ、映画監督である藤田敏八などもチョイ役で登場する。
本作が「HOUSE」に続く、二作目の監督となる大林宣彦も審判役で登場し、テニス相手役の松原愛、宮子昌代は「HOUSE」から引き続きの出演。大林の長女である大林千茱萸も患者役で出演している。
この項目、次回に続くかも。

下落合焼とりムービー

赤塚不二夫繋がり、そしてリクエストもあったので「下落合焼とりムービー」(79年)を取り上げることにしよう。
企画・脚本を赤塚が手がけ、監督は山本晋也が担当している。脚本は赤塚だけでなく高平哲郎、滝大作、喰始といった有名な放送作家やタモリもギャグの部分で参加しているようだ。山本晋也は、まだ「トゥナイト」に出演する前で、一般映画も本作がほぼ初ということで、あまり知名度もなかった頃と思われる。主演は所ジョージだが、彼もまだデビューから数年で、せいぜいオールナイトニッポンのパーソナリティぐらいしか、活躍してなかった頃である。
他の出演者は近江俊郎、柄本明、佐藤B作、内藤陳、たこ八郎、景山民夫、ビジーフォー、アルフィーと今考えれば、豪華なメンバーといえるが、近江や内藤を除けば当時はそれほど知られた存在ではなかったといえる。アルフィーなども、まだヒット曲が出る前で、フォークグループだった頃だ。他にも所の名付け親でもある宇崎竜童が「所の影武者」という役、タモリもボーイの役で姿を見せる。デビュー時の眼帯姿ではなくお馴染みのサングラス姿だ。そして、赤塚自身も顔を見せる。
女優陣に目を向けるとこういった喜劇映画には向かなそうな鳥居恵子。藤岡弘、の元妻である。ヒロイン役の司美穂は、知らない名前だと思い調べると映画はこれ一作だけのようである。テレビの方では「ムー一族」に出演していた。清水健太郎の不倫相手という、今となっては縁起の悪い役柄で「しのび逢いのテーマ」という挿入歌も歌っていた。そして「あらんどろん」という女性芸人トリオ。「ドリフ大爆笑」なんかにも出ていたと思うが、印象は薄い。その名前には抗議がきたという話も聞いた気がする。
というように話題性はあっても、当時としてはそれほど客を呼べるようなメンバーではなかったと思う。内容はどうかといえば、ギャグを映画でやるとどうしても面白くならないのが通例だし(個人的な見解では)、本作も例外ではなく、耐えられない人には耐えられないだろう。内容よりも、出演者も見て楽しむ作品だろうと個人的には思う。

喜劇役者たち 九八とゲイブル

前項で楳図かずおの名が出たので、漫画家が出演している作品をということで、赤塚不二夫である。顔出しをしている映画は5本ほどあるようだが、その中から「喜劇役者たち 九八と芸振」(78年)である。
売れない芸人の愛川欽也が、面白そうだとコンビを組むことにしたのがタモリ演じる苦楽芸振(クラーク・ゲイブル)であった。それに合わせて愛川も芸利九八(ゲイリー・クーパー)を名乗ることにする。ストリップ劇場でのコンビ芸は大いに受けて、テレビ出演の話も舞い込むのだが…。
タモリはこれが映画初出演。つまりデビューまもなく、メディア露出が増えていった頃である。4カ国語麻雀とか今は懐かしく感じるネタを披露している。で、タモリといえば赤塚不二夫みたいなところもあって、おでん屋役で赤塚も顔を見せている。
ヒロイン役は佐藤オリエで、愛川の恋人役である。あき竹城、園佳也子がストリッパーで、他にも三木のり平、財津一郎、南利明、笑福亭鶴光、湯原昌幸、鈴木ヒロミツ、秋野太作なんかも顔を出す。
原作は井上ひさし。井上は上智大学在学中から浅草フランス座の台本を書いていたこともあり、この辺りの事情には詳しい。ところで、当初のキャスティングは愛川ではなくフランキー堺が予定されていたという。この作品は不入りで、二週間ほどで上映が打ち切られたらしい。愛川とまだカルトな存在だったタモリでは客は呼べなかったということだろうか。
ソフト化はされていないようである。人気がなかったからということもあろうが、タモリ演じる芸振が実は精神病院から脱走した患者だったというオチ?のせいもあるのだろう。70年代までは散々みられたネタだが、今ではすっかり腫れ物である。ソフト化は難しそうだが、映画館などで上映されることは最近でもあるようだ。

蛇娘と白髪魔

また大映作品に戻るのだが、たまたま目に付いたのが「蛇娘と白髪魔」(68年)である。タイトルから想像がつくと思うが、ホラー物である。楳図かずおの「赤んぼう少女」「うろこの顔」「ママが怖い」などを合わせて作られた作品である。
正直、個人的には知らなかった作品なのだが、DVDも発売されているし意外に知られているようである。
主人公の少女は孤児院で育ったのだが、両親が判明し引き取られる。やがて、屋根裏に「義姉」がいることに気づくのだが…。主演の少女に松井八知栄。「河童の三平 妖怪大作戦」のカン子役が知られているが、この映画に出演のため「河童の三平」は14話で降板している。姉つまり「蛇娘」に高橋まゆみ。彼女らの両親に北原義郎、浜田ゆう子、お手伝いさん実は「白髪魔」に目黒幸子、孤児院に働く青年に平泉征(現・成)、その院長に三宅邦子。
松井はこの映画を最後に芸能界から姿を消す。そして、何故かプロボウラーとなって再び姿を現したのは有名な話だろう。高橋まゆみについてはよくわからなかったが、「おくさまは18歳」に出演していたのはわかっている。本作の監督は「ガメラ」シリーズで知られる湯浅憲明だが、「おくさまは18歳」のメイン監督も湯浅である。平泉征は当時24歳。ホテルマン時代に知り合いになった市川雷蔵の薦めもありニューフェースとして大映京都入りしている。デビュー時は本名の征七郎であったが、66年の征に改めている。大映時代は端役も多く、主役級の役につくこともあまりなかった。
ところで、作者自らが出演することは結構あると思うが、本作でも楳図がタクシー運転手役で登場している。しかし、出演者としてのクレジットはないようだ。楳図は当時32歳。70代半ばの現在も元気だが、漫画の方は95年から休筆中である。

俺の血は他人の血

大映作品が続いたが、今回は松竹である。フランキー堺から辿って目についたのが「俺の血は他人の血」(74年)である。
原作は筒井康隆だが、自分も高校生の頃ハマッていて、かなりの数を読んだと思う。「俺の血は他人の血」も当然読んだのだが、内容はほとんど忘れてしまっているし、映画の方も見たことはない。
ただ、筒井作品の映像化というのは非常に難しいだろうなあと当時から感じていた気がする。近年の作品はよく知らないのだが、比較的の初期の作品はバイオレンスで人が死にまくるというようなものも多い。まあ、80年代以降にけっこう映画化されていたりするのだが。
本作はそんな筒井作品初の映画化で、映画初出演の火野正平が窮地に陥ると「超人」に変身し相手を叩きのめすという主役を演じる。火野はこの前年の大河ドラマ「国盗り物語」で人気が出始めていたときで、芸名も本名の二瓶康一から同ドラマで火野正平に改めたばかりであった。
大筋は原作と一緒のようで、二つのヤクザ組織を対決させて壊滅に追い込むというのは黒澤明の「用心棒」と一緒である。
火野の相棒となるのがフランキー堺。火野だけでは弱いとの判断であろうか。途中で死んでしまうヒロイン役に奈美悦子で、やくざの組長には橋本功と青木義朗。青木は「特別機動捜査隊」の三船主任をやっていた頃で、元々悪役とはいえ、当時は刑事イメージの方が強かったのではないだろうか。この二組が殺し合い全滅するのである。
他の出演者だが、中谷一郎、安部徹、渥美国泰、穂積隆信、山谷初男、那智わたる、舛田紀子。舛田紀子は当時18歳で本作の監督である舛田利雄の長女だ。父が関わっている作品への出演が多い。バーのママ役である那智わたるは宝塚歌劇団の出身で、映画への出演は本作だけのようである。ドラマの方は沢田研二主演の「悪魔のようなあいつ」(75年)が有名かもしれない。
まあ、松竹というよりは東映あたりが向いている作品という気がする。監督の舛田もこの後は東映、東宝が主な活躍の場となっている。

六人の女を殺した男

もう一つ、フランキー堺が主演の大映作品「六人の女を殺した男」(65年)を取り上げてみたい。
これはフランキー演じる画家に、近づいてくる女性が次々と死んでいくというお話。タイトルどおり六人が死ぬが、全員をフランキーが殺害したというわけではない。
一人目は万里昌代。彼の妻だが、夫婦喧嘩の最中に誤って転倒して打ち所が悪くて死亡。まあ事故死である。
二人目は藤村志保という少々意外に感じるキャスティング。見た目と違い悪女で、慰謝料目当てにフランキーと結婚するが、落下してきたシャンデリアの下敷きになり死亡する。デビュー4年目くらいで、まだまだ可憐なヒロイン役の多かった頃である。本名が静永操で、旧姓は薄(すすき)といい、どちらにしろ芸名っぽい。
三人目は明星雅子。ミョウジョウではなくアケボシと読むらしい。詳しいプロフィールはわからないが、宝塚歌劇団の出身のようだ。主に60年代後半大映で活躍、日活にも数本出演している。フランキーと心中を計るが彼女だけが死亡する。
四人目は春川ますみ。ちょっと太ったおばちゃんのイメージが強いが、かつては浅草ロック座のメリー・ローズという名のダンサーであった。彼女はフランキーが毒殺。初めての殺人である。
五人目は久保菜穂子。新東宝、東映を経て、当時はフリーで大映作品への出演が多い頃であった。彼女は遊園地でフランキーに観覧車から突き落される。
そして、最後が岸田今日子。彼の家政婦で話の最初から登場しており、事の真相を知っていたので、口封じのためガスで殺害された。
まあ、藤村や明星以外はいかにも気が強そうな感じである。
他の出演者は船越英二以外はその他大勢といった感じで、杉田康、村上不二夫、夏木章など。モデルとして登場するヘレン・ヒギンスは58年の新東宝作品「ソ連脱出・女軍医と偽狂人」のヒロインであった。
脚本は「七人の侍」「生きる」などの黒澤映画で知られる小国英雄。かなりのミステリー・マニアであるらしい。日本一脚本料の高い脚本家といわれた時期もあったそうだ。

末は博士か大臣か

前項で、少し話題にした「君も出世ができる」だが、今回はその話題ではなく、その主演はフランキー堺。日活と東宝で活躍したイメージが強いのだが、少しだが大映作品にも出演している。
で、その(おそらく)初の大映出演作となったのが「末は博士か大臣か」(63年)である。内容は簡単に言えば、文豪・菊池寛の伝記である。
そんなわけなので、実在の人物も結構登場するようである。もちろん主役の菊池寛がフランキー堺(東宝)で、芥川龍之介は仲谷昇、夏目漱石は北原義郎、久米正雄は早川雄三、小島政二郎は石黒三郎、千葉亀雄は高松英郎。作家ばかりではなく市川猿之助は根上淳、大谷竹次郎(松竹の創始者)は見明凡太郎、そして綾部健太郎(池田内閣時の郵政大臣)は船越英二。この綾部と菊池の友情を中心に話は描かれているようである。他にも藤村志保、倉石功、渚まゆみ、轟夕起子といったところが顔を見せている。
ところで、菊池寛は大映の初代社長だったことをご存知だろうか。はっきり言えば担ぎ出されたようなものだったらしいが、公職追放により三年ほどで辞任している。そして専務だった永田雅一が社長に就任、そして専務にやはり作家だった川口松太郎を迎えたのである。本作の潤色も川口が担当している。
菊池はこの辞職から二年後(48年)に亡くなっている。余談だが、「小森のおばちゃま」こと小森和子は菊池の愛人の一人であったそうだ。

アスファルト・ガール

大映作品が続くのだが、今回はなんとなく目に付いた「アスファルト・ガール」(64年)という作品を選んだ。
一言でいえば、ミュージカル映画である。この64年は、「ジェルブールの雨傘」とか「マイ・フェア・レディ」とか「メリー・ポピンズ」とかこのテの映画には疎い私でも知っている有名なミュージカル映画が相次いで公開された年である。国内では東宝でも「君も出世ができる」(64年)などのミュージカル映画を公開しており、ちょっとしたブームだったのだろう。
さて「アスファルト・ガール」だが、ミュージカルシーンに関しては、ハリウッドからロッド・アレクサンダーという有名な振付師を呼んで演出させており、日本初の本格的ミュージカル映画といわれているようだ。
主演は中田康子。50年代は東宝で活躍し、59年に大映に移籍してきた女優だが、実は宝塚歌劇団の出身で、その後日劇ダンシングチームにも在籍していたので、歌とダンスはお手のものだったのである。ちなみに今は声優として知られる太田淑子は宝塚で同期だったそうだ。
共演は坂本博士(ハカセではない)、岩村信雄。共に馴染みのない名前だと思うが、坂本は声楽家(作曲家)、岩村はバレエ、ダンスがそれぞれ本業で、本職俳優ではない。原田信夫とファイブ・キャラクターズも60年に結成された歌って踊るグループである。その中でお馴染みなのは尾藤イサオ。歌手としては62年にデビューしていたが、映画はこれが初出演であった。
大映俳優陣は中条静夫、村上不二夫、夏木章、加茂良子、宮川和子などで、こういっては何だが「人気スター」は出演していないのである。
ところで、主演の中田康子だが、本作が最後の映画出演となっており、大映を退社し表舞台から姿を消した。中田は大映社長である永田雅一が直接引き抜いた女優なのだが、実は愛人関係にあったといわれている。その関係を清算するため、主演を手みやげに?中田は映画界を去ったようである。この永田といい、新東宝の大蔵貢といい当時の映画会社社長はスキャンダラスな人物が多かったようだ。