お宝映画・番組私的見聞録 -145ページ目

素足の娘/雌花

小林旭、川地民夫とともに日活の「三悪」として売り出されたのが沢本忠雄である。小林はニューフェース、川地は前項で書いたように裕次郎の紹介という特殊な形での入社、そして沢本は準所属、ようするにエキストラでの入社だったようである。
ウィキペディアにはニューフェースとして入社と書いてあるが、これは誤りである。
そこから伸し上るきっかけとなったのは入社二年目となる「素足の娘」(57年)であった。主演は南田洋子、長門裕之というこの4年後に結婚することになるコンビ。他にも二谷英明、大坂志郎、金子信雄、渡辺美佐子などが出演している。沢本は本作でもノンクレジットのエキストラで、盆踊りを踊っている人として映っているに過ぎない。しかし、沢本はここでヒロイン南田の直ぐ後ろで踊っていたのである。本人によれば、ただ故郷の母に顔を見せてやりたくて自らヒロインの後ろに陣取ったのだそうだ。撮影後、監督である阿部豊が「君、名前は?」と沢本に声をかけたのだという。そして、阿部の次回作である「雌花」に南田の弟役として起用されることになったのである。
準所属出身者がメインキャストに抜擢されたのは初のことだったようである。
ちなみに、ウィキペディアには吉永小百合の弟としてデビューを飾ったとあるが、正しくは南田洋子である。吉永は沢本より10歳若いし、この57年(当時12歳)のデビューなので、沢本の姉ができるわけがない。
「雌花」の他の出演者は、大坂志郎、山根寿子、佐野浅夫、金子信雄、二本柳寛、堀恭子などである。
沢本は翌58年には、主役に抜擢されるなど一気にスターの仲間入りを果たす。しかし、元々は日芸出身で役者ではなく監督志望であったとのこと。その思いを捨てきれず、ある日助監督試験を受けたいと申し出たところ、制作部長に「お前には、一千万(当時で)の宣伝費がかかってるんだ」と一括され、諦めざるを得なかったという。しかし、結局は同時期に台頭してきた若手スターたちに人気面では一歩おくれをとる形になり、62年には日活を退社している。日活での活動期間は短かったのである。その後はテレビ、舞台を中心に活動。個人的にはやはり「あかんたれ」の若だんな役が印象に深い。

陽のあたる坂道

川地民夫。この人も日活に入ったきっかけは、ニューフェイスでもなければ、スカウトとかでもない。隣に石原裕次郎が住んでいたからである。
裕次郎主演の「陽のあたる坂道」(58年)において、その弟役には津川雅彦が予定されていた。しかし監督(田坂具隆)のイメージには合わないということで、替わりを探すことになったが中々合う人がいなかったという。そこで、裕次郎が呼び出したのが逗子の家の隣家の大学生・河地猛、つまり川地民夫であった。
裕次郎自身も兄・慎太郎や水の江滝子によって日活に連れられてきた存在だが、川地は裕次郎によって、ある意味スカウトされたということになる。川地自身は、この撮影が終わったら大学に戻るつもりでいたそうだが、終わるか終わらないうちに次の撮影が入ってくるようになり、そのままズルズルと日活の役者になってしまったとうことらしい。
さて「陽のあたる坂道」だが、裕次郎の相手役はいつもどおりという感じの北原三枝。弟役(役名が民夫)が新人の川地なら、その兄役も新人の小高雄二で、妹役が芦川いづみであった。裕次郎は新人二人に挟まれる形になったが、やがて二人とも日活の主力俳優になっていく。
他の出演者だが、千田是也、轟夕起子、小杉勇、山根寿子、森川信、渡辺美佐子、小沢昭一などである。
話は変わるが、川地は数年前に「平成忘れがたみ」という本を出したが、上述の経緯はその本にも書かれていたと思う。気になったのはその内容より、人名について誤字の多さである。立ち読みだけなので、うろ覚えだが、確か市川右太衛門を「歌衛門」、片岡千恵蔵を「知恵蔵」、日活の仲間である浜田光夫を「光男」、武藤章生は「小生」、長門裕之も確か「ひろゆき」とは読めない字になっていたと思う。後は忘れたが、確か10人以上の名前表記が正しくなかったはずである。その後、訂正されたかどうか知らないが、すくなくとも初版では沢山の間違いが確認できた。

七つボタン

月も替わったことだし、話題を変えることにする。80年代の話題から一気に遡って50年代へ。
戦後、日活が映画制作を再開したのは54年こと。第1期ニューフェース募集もこの年に行われ、宍戸錠、名和宏などが入社している。やはり、この54年に入社したのが昨年亡くなった長門裕之(当時20歳)である。長門は京都の方で6歳の頃から、子役として時代劇を中心に活動していたが、その縁で日活に呼ばれたわけではないのである。
東京の方で活動したいと考えていた長門が、日活が映画製作を再開したことを聞き、上京して自ら売り込んだのである。その際、仕方なく父(澤村国太郎)の名を使い、採用してもらったのであった。
つまりスター候補として迎えられたわけではないので、最初はやはりエキストラ的な端役からスタートしたが、翌55年にチャンスは訪れる。
本人談によれば、「少年死刑囚」のオーディションを、ニューフェース組の牧真介、北原隆、杉狂児の息子である杉幸彦らと争って敗れるのだが(主役を射止めたのは牧)、この際長門は役のために坊主頭にしていたのである。次の「七つボタン」のオーディションでは、その坊主頭を監督(古川卓巳)に気にいられ、主演として採用されることになったのである。
ちなみに「七つボタン」とは、海軍航空隊予科習生の征服のこと。この作品、何気にキャストが豪華である。教官役に三國連太郎、飛行長に三橋達也、そして東野英治郎、加東大介、伊沢一郎、安部徹、坂東好太郎、新珠三千代という日活のイメージのない役者がずらりと並ぶ。ちなみに、父親役の加東大介は長門の叔父である。他にも金子信雄、高品格、長門の恋人を演じる芦川いづみといった日活お馴染みのメンバーも顔を揃えている。教員役の深江和久は深江章喜のこと。深江は日活再開の直後に俳優契約を結んでいる。あと、クレジットなしで、ニューフェース合格前の小林旭がエキストラ出演している。
翌56年、長門は「太陽の季節」に出演し、南田洋子と出会うことになる。石原裕次郎のデビュー作でもあるが、主演はあくまでも長門である。

警視庁殺人課

今回は80年代刑事物では、ある意味有名な「警視庁殺人課」(81年)である。番組自体はマイナーな部類だと思うが、メンバー全員が殉職で終わる刑事ドラマはこれぐらいであろう。
主役の五代警部には菅原文太。映画第一の活動だったので、48歳にしてこれが初の民放連続ドラマのレギュラー出演だったりする。殺人課メンバーは三田村邦彦(虎間刑事)、一色彩子(眉村刑事)、剛竜馬(久保刑事)、関根大学(村木刑事)の20代の若手4人と、中谷一郎(額田警部補)という編成だ。若手は既に人気のあった三田村以外は「誰?」という感じだったと思う。一色は当時23歳。あまり男受けする顔立ちとは思えないが、番組当初は意味もなく脱いでいたらしい。現在も一色采子名義で活動しているようだ。剛は当時25歳の若手プロレスラー。どの程度人気があったのかはプロレスに疎い私は知らない。13話で何の予告もなく姿を消す。今世紀になって、ひったくりで捕まったとかホモビデオに出ていたとか話題になったが、09年に53歳の若さで亡くなった。関根は当時24歳でJACのメンバーであった。どう見ても悪人顔で、実際この後は時代劇などで悪役して登場することが多かったと思う。剛も関根も濃すぎるくらい濃い顔立であった。
ちなみに、中谷は文太より三歳上である。
他にも、彼らの上司となる鶴田浩二(田丸刑事部長)。部長刑事ではなく刑事部長なので、偉いのである。五代の娘ではなく妹役が里見奈保。といってもピンとこないと思うが、現在は鶴田さやかを名乗っている。つまり鶴田浩二の実娘で、なにげに親子共演を果たしていたのである。往年の歌手ディック・ミネもEDにレギュラーのような顔をして出ているが、実は本編に登場したのはラストの2話だけだったようだ。
文太、鶴田という東映の顔が出演しているが、梅宮辰夫も捜査一課長役で初期の数話に出演している。
ゲストも第1話に、やはり東映の顔である千葉真一を皮切りに、待田京介、谷隼人、石田純一、ジョニー大倉、伊吹吾郎、平田昭彦、ガッツ石松、小堺一機、品川隆二など。品川の現代劇って、ほとんど見た記憶がない。
そしてラストの前後編、石橋蓮司、市川好朗の子役出身コンビが幼稚園のバスをジャックし、人質を救出しようと全員が命を落とすことになる。ちなみに蓮司は第1話のゲストでもあった。以上のように東映が気合を入れた制作した作品ではあったのだが、裏番組「欽ドン」が強く低視聴率に終止した。
ラストのヤケクソ的な展開がなければ、あまり人々の記憶には残らなかったかもしれない。

鉄道公安官

「新幹線公安官」とくれば、以前ここでやったかもしれないが「鉄道公安官」(79年)である。新幹線だけだと、どうしても活動範囲が限定されてしまうので、「鉄道」と括りを大きくして、広域捜査を可能にした捜査零課というものを設定した。
主演は石立鉄男(榊主任)で、他のメンバーは若手の五十嵐めぐみ(八木公安官)、加納竜(星野公安官)、赤木良次(古賀公安官)、そしてベテランの中条静夫(本間公安官)、上司である三橋達也(瀬川室長)というのが当初の面々で、22話から星正人(小林公安官)も加わる。
働き盛りの30代は石立(当時37歳)だけで、五十嵐(当時25歳)を筆頭に星(当時25歳)、加納(当時23歳)、赤木(当時24歳)と20代前半のメンバーが並ぶ。上を見ると中条(当時53歳)、三橋(当時56歳)というバランスの悪いメンバー構成である。刑事役経験のあるメンバーがほとんどだが、この中で一番「誰?」と思われていそうな赤木良次について説明しておこう。元々歌手としてデビューしたが、まもなく役者に転向しており、この3年後「大戦隊ゴーグルファイブ」で主役のゴーグルレッドを演じることになる。しかし、86年には引退し、実業家に転身したようである。
OP映像には、メンバーの顔が出ることはなく、各地でいろんな電車が走っている映像が流れるだけである。しかし、こういう映像は鉄道マニアに受けがよかったようである。この番組の人気を支えていたのは彼らだったのかもしれない。ちなみにOP曲は当初はサーカスの「ホームタウン急行」だったが、後半からOPとEDが入れ替わっている。このカップリング曲が大ヒットした「アメリカンフィーリング」である。
約1年放送され、この後、石立は「噂の刑事トミーとマツ」へ、加納は「西部警察」へ、星は「爆走!ドーベルマン刑事」へそれぞれ出演し、それぞれ刑事を演じることになる。また、三橋達也による十津川警部がスタートしたのは、この79年のことである。
しかし、この番組の原点といえばやはり「鉄道公安36号(JNR公安36号)」(62~67年)である。以前にも書いたが、この番組は1カットも目にしたことがない。同時代で同じ東映制作の「特別機動捜査隊」がCSで放送されているので、こちらも何とかしてほしいものである。五年のロングラン作品で、フィルム撮影のようなので、一話も残ってないということはないと思われる。

新幹線公安官/刑事鉄平

前項に引き続き西郷輝彦つながりで、刑事ものといえば「新幹線公安官」(77年)ということになるだろうか。まあ公安官だから刑事ではないのだけれども。
そもそも、この番組は同じ西郷主演の行方不明者を捜索する会社を舞台にした「ジグザクブルース」(77年)が低視聴率で打ち切りが決まったため、制作されたものである。そのためか全11話で、西郷と坂口良子は「ジグザクブルース」から引き続きの出演であった。
メンバーは西郷(久我公安官)、坂口(丸山梢公安官)に加え、ベテランの大坂志郎(桐山公安官)、中谷一郎(乾主任)、若手の三ツ木清隆(高木公安官)、竹村洋介(佐々木公安官)、そして山村聡(芝辻室長)といった面々。その他に第1話で殉職する葉山良二(丸山公安官)の妻に篠ひろ子。つまり、坂口の母ということになるのだが、実年齢では7歳しか違わないので、実母なのか継母なのかは知らない。
それにしても、このメンバー「江戸を斬る」の西郷、「大岡越前」の大坂、「水戸黄門」の中谷と当時のナショナル劇場の三大時代劇の出演者が顔を揃えていた。三ツ木もこれらの番組にはよくゲストで顔を出していた。ちなみに、三ツ木の「特捜最前線」入りは85年のことなどで、まだ先のことである。竹村洋介に関しては詳細不明である。60年代の大映に同名の役者がいるが、どう考えても別人と思われる。
好評だったらしく、翌78年に新2シリーズ全26話が放送された。メンバーはほぼ一緒だったようだが、三ツ木が退き、藤巻潤(黒田班長)が加わったらしい。こちらの方はOPさえ見たことがないので、詳細がわからないのである。しかし、このメンバーの中ではよく考えると西郷(当時31歳)は、全然若手である。
この翌年、西郷は「刑事鉄平」(79年)という番組で主役の小野鉄平刑事を演じる。しかし、この番組は12回で終了してしまう。これは視聴率云々より、「江戸を斬るIV」と掛け持ちだったため、主治医に「どちらかにしたほうが良い」といわれ、「江戸を斬る」を選択したため、終了したというもの。ちなみに「新幹線公安官」の期間には「江戸を斬る」は放送されていない。
「刑事鉄平」の出演者だが、三林京子、川谷拓三、笑福亭仁鶴、芦屋雁之助などだったらしいが、どんな役柄だったのかは全く不明である。

女捜査官/新・女捜査官

先日、リクエストがあったので、今回は「女捜査官」(82年)である。自分では一度も見たことがなく、かつ1クールで終了したドラマというのは、たいしたネタも情報もないので、大変なのだが、一つだけ覚えていたことがあった。西郷輝彦演じる泊という役名である。おそらく新聞のラテ欄で目にしたと思うのだが、何の番組なのかは覚えていなかった。
そんな「女捜査官」だが、ある日射撃の得意な婦警二人が特捜班入りを命じられ、新米刑事として活躍するというもの。
樋口可南子演じる勝子はフリーピストルの五輪代表候補で、樹木希林演じる政子はその教官である。西郷演じる泊警部補は左手が義手という設定で、彼らの上司が高松英郎を演じる丸山警部である。特捜班のメンバーが他にいたのかどうかは不明だ。他のレギュラーとしては、火野正平演じる玉野井はスナックのマスターだが情報屋でもある。役柄は不明だが、三島ゆり子などもレギュラーだったようだ。
樋口は当時23歳で期待の若手女優。この翌年、映画「卍」に出演したあたりからヘアヌードなどの大胆路線を進んでいく。今はソフトバンクのCMでお馴染みだろう。樹木は当時39歳だが、若い頃から老け役が多かったせいか、老け役じゃなくても老けてみえる。しかし、内田裕也の女房だし、それ以前は岸田森の女房だったこともあるのだ。
ゲストは角野卓造、片桐竜次、北村総一朗、神田隆など。
その終了から約1年後、続編である「新・女捜査官」(83年)がスタートしている。樹木、西郷、火野などは前作に引き続き登場するが(泊は警部に昇進している)、ヒロインは名取裕子にバトンタッチされている。こちらは2話プラスの全15話である。
1話のサブタイトルが「デカ長ギャルは23歳未経験」となっているので、名取演じる路子は23歳の巡査部長という設定だったようだ(前作の樋口演じる勝子も同じ設定)。名取本人は当時25歳で、現在も独身のようである。
新レギュラーとしては、村田刑事の出光元(同僚かどうかは不明だ)、「そーうなんです」が有名となった山本耕一、結核から復帰した草川祐馬などがいたようだ。
ゲストは風祭ゆき、井川比佐志、田島令子、中島ゆたか、最終回が阿藤海である。サブタイにある「ライフル魔」が阿藤だと思われる。
余談だが、どちらのシリーズにもサブタイに「トルコ嬢」が使われているエピソードがある。抗議によりトルコ風呂がソープランドという呼称に変わるのは翌84年のことである。

爆走!ドーベルマン刑事

漫画が原作になっている刑事ドラマといえば、前項の「おやこ刑事」もそうだが、ほぼ同時代に原作がジャンプで連載されていた「爆走!ドーベルマン刑事」(80年)もその一つである。
とはいっても、こちらは「おやこ刑事」と違い、キャラクターの名前を拝借しているだけで、設定からなにから全く別の作品となっている。
本作では、警視庁晴海分署に黒バイ部隊というのが結成されており、全員がバイクで出動する。そのため、役者も全員バイクに乗れる人が採用されているようだ。主人公の加納隊長には黒沢年男。EDも黒沢が歌っている。他のメンバーだが、「おやこ刑事」では主役だった名高達朗(矢部刑事)、当時はとにかく刑事役づいていた星正人(酒井刑事)、元ずうとるびの新井康弘(加山刑事)、元アイドル歌手の神保美喜(白鳥刑事)、千葉治郎から改名した矢吹二朗(平田刑事)、彼らの上司であるらしい荒井注(森警部)、もちろんバイクに乗ったりはしない(ミニバイクに乗るシーンはあるらしい)。そして、自らもバイクに乗る西谷署長に夏木陽介。本庁所属だが、やはりバイクに乗っている五十嵐刑事に志穂美悦子といった面々。バイク以外に三匹の警察犬の活躍が目立つ。ちなみに、ドーベルマンではなくシェパードである。
原作から使用されている名前は加納と西谷だけで、宮武とか三森とかは登場しない。
東映作品だが、黒沢、夏木は東宝出身。黒沢は「大空港」で殉職してからすぐの出演。夏木はこの前年にプロデューサーと喧嘩して「Gメン75」を降板している。新井の所属していたずうとるびは当時はまだ存在していた。メンバーの江藤博利もゲスト出演している。神保はスター誕生出身で、歌手デビューしてまもなく女優活動もはじめているので、シングルは2枚くらいしかでていない。矢吹の改名は76年。個人的には千葉治郎じゃないとしっくりこない。このメンバーの中ではベテランといえるが、当時まだ31歳である。しかし2年後には芸能界を引退してしまう。ちなみに、兄の千葉真一は映画版の「ドーベルマン刑事」(77年)で、主役の加納を演じている。
原作では、前項の「おやこ刑事」も「ドーベルマン刑事」も、ラストは結婚式なのだが、前者はハッピーエンドで、後者は悲劇となっている。

おやこ刑事

「兄弟刑事」とくれば「おやこ刑事」(79年)である。こちらは少年サンデーに連載されていた漫画が原作なので、そのぶん知られているかもしれない。個人的には原作を読んだことはあるが、特に好きだったわけではなく、このドラマもチラッと見た程度だった気がする。当時の評判は知らないが、原作に準拠したキャスティングとは言い難い。
主役の柴田文吾刑事に名高達朗、その父・勘太郎刑事に金子信雄。まあ原作の勘太郎はハゲていないけれども。
他のメンバーだが、ヒロインである大西操に服部まこ(当時18歳)、ポパイこと瀬良満刑事(セーラーマンのシャレ)に二瓶正也、ガンさんこと岩田実刑事に伊東平山、タレさんこと垂水二郎刑事に村野武範、大仏(ダイブツ)こと大仏(オオラギ)竜之介刑事に丹古母鬼馬二、川上課長に金井大という面々。
「ウルトラマン」のイデ隊員で知られる二瓶正也だが、ポパイというイメージは感じない。原作では殉職するらしいが、本作ではしないようだ。伊東平山は「ジャッカー電撃隊」のダイナジャック。平山は本名のようだ。「特捜最前線」や「太陽にほえろ」では、よく犯人役で出演していた。現在は吾羽七朗という芸名になっているようだ。イメージから一番遠いのが村野武範。原作のタレさんは、簡単に言えばサングラスをかけた具志堅用高である。まあ村野もアフロのヅラをかぶって頑張っていたようだが、なんで村野?という感じがした。もう一人、原作と真逆なのが丹古母鬼馬二。原作の大仏刑事は大男だが、鬼馬二は身長165cmのどちらかといえば小男である。あの風貌はどうみても刑事ではないし。丹古母という妙な芸名はアングラ劇団にいた時に、近くにあった喫茶店「コボタン」から来ているらしい。ちなみに当時29歳で、ああ見えて名高と一つしか違わないのである。
23話にはゲストで金子の奥さんである丹阿弥谷津子が出演している。「影同心」では、そのまんま夫婦役をやっていたし、共演することも多かったかも。
ドラマの方はおそらく予定通り半年で終了。視聴率10%を超えることはなかったようだ。原作の方は81年まで続き、全25巻が発売されている。

兄弟刑事

今回もちょっとマイナーな刑事ドラマの中から「兄弟刑事」(77年)。全15回という1クールちょっという放送期間のせいか、このドラマも個人的には見た記憶はない。しかし、刑事ドラマではお馴染みの役者が顔を揃え、他のドラマと混同しやすいかもしれない。
本作には全員が刑事という三兄弟が登場する。下から篠田三郎(葉山健二)、岡本富士太(葉山隆一)、黒沢年男(明石鉄兵)である。黒沢のみ苗字が違うのは、他の二人と父親が違うためであり、彼のみ警視庁捜査一課の勤務であり(他の二人は所轄)、家族と同居していない。その母親を演じるのが奈良岡朋子で、妹が五十嵐めぐみである。
黒沢と他の二人、母親との対立が話の軸となるようである。
篠田は「二人の事件簿」後に「Gメン82」、岡本は「Gメン75」で殉職して、約半年後の出演だ。この後「大空港」「87分署シリーズ・裸の街」でも刑事役が続く。黒沢はこの時点での刑事役は「トリプル捜査線」くらいのようだが、やはりこの後「大空港」「爆走ドーベルマン刑事」と刑事役が続く。つまり、岡本と黒沢は「大空港」でも共演するのだが、共にその最終回で殉職する。
そういえば、奈良岡朋子も14年続いた「太陽にほえろ」が終了した後の「PART2」で、裕次郎が去った後の女係長を演じていた。五十嵐めぐみはこの前年にポーラテレビ小説「さかなクン」ならぬ「さかなちゃん」で主演に抜擢されていた。ちなみにデビュー時は森田めぐみ名義であった。
他のレギュラーだが、課長役に藤岡琢也、係長役に夏八木勲、同僚の石本刑事に古澤カズオといった面々。古澤に関しては詳細不明だが、この後「江戸の渦潮」にレギュラー出演し、後番組の「江戸の激斗」にも終盤、古澤一郎名義で出演している。その後、姿を消したようだ。
もう一人、坂口良子もレギュラーだったようだが、役柄がはっきりしない。同僚刑事だったのか、誰かの恋人だったのか、その両方という可能性もある。相手は主役扱いだった篠田と予想してみるがどうだろう。