お宝映画・番組私的見聞録 -146ページ目

愛のホットライン

今回も自分的には、見たことがない80年代刑事ドラマから「愛のホットライン」(81年)を。東映ドラマのOP集で、その存在を知ったが、当時は放送されていたことすら知らなかったと思う。まあ1クールで、再放送もあまりされていないと思われるので、知らない人も結構いるかも。
他の刑事ドラマと差別化したかったのか、少年家庭特捜部なるものが設定されている。ようするに少年課の特別版みたいなものか。
その特捜部・梶チーフを演じるのが加山雄三である。その亡き妻の妹がスーちゃんこと田中好子で、息子役が田崎哲也という子役である。
特捜部のメンバーに加藤武(浦部刑事)、星正人(海野刑事)、山西道広(潮刑事)、新井春美(入江刑事)、中原早苗(貝谷刑事)、近藤正臣(岬刑事)という結構、豪華な面々である。すぐ気づくと思うが名前がみんな海に関係したものになっている。それにしても星正人は刑事役が多い。「刑事くん」「大都会PartⅢ」「ドーベルマン刑事」と刑事役ばかりやって引退してしまった感じである。逆に中原早苗の刑事役というのは非常に珍しい気がする。ちなみに加山より2歳上(当時46歳)である。近藤正臣も刑事役というのは、ありそうで意外となかったと思う。
本作に先んじて、やはり加山主演の「探偵同盟」(81年)が放送されていたが、低視聴率で12話で打ち切りになってしまったのである。その穴埋めで制作されたのが「愛のホットライン」なので、あらかじめ1クールの予定だったと思われる。
「探偵同盟」には山西道広も松本刑事役で出演していた。これは松田優作主演の「探偵物語」(79年)の時と、同じ役名なのだが、成田三樹夫も服部刑事として出演いていた。山西はこの後「あぶない刑事」の吉井刑事としてもお馴染みになるわけだが、彼も刑事役の多い役者といえる。
ちなみに「探偵同盟」と同じ時期に並行して放送されいたのが「加山雄三のブラック・ジャック」である。

走れ!熱血刑事

前項で80年代刑事ドラマを取り上げたので、今回もその中から「走れ!熱血刑事」(80年)を。以前、取り上げた気もするが、その辺は目をつぶってほしい。といっても、一度も見たことはないのだが、最近オープニングのみ目にすることができた。
どんな番組かといえば、あの松平健が主演の刑事ドラマである。「暴れん坊将軍」のイメージが強く意外に思う人もいるかもしれないが、杉良太郎(「大捜査線」)だって、里見浩太朗(「特別機動捜査隊」)だって、刑事ドラマで主役をやっているのである。しかし、松平健はまだ若手(当時27歳)の役者であった。とはいっても「暴れん坊将軍」はすでにスタートしており、時代劇スターという存在にはなっていたのである。
その役柄はジープを乗り回す山本大介刑事。あえて平凡な名前に設定されている。ちなみに仮面ライダーアマゾンも山本大介だ。髪の毛もまだ当時はサラっとしていた。
同僚刑事たちは、美女・大沢刑事に水沢アキ、主人公っぽい名前の速水刑事に荒木しげる。ちなみに「特捜最前線」で殉職してからそれほどたっていない。一人バイクに乗った佐々木刑事に阿部敏郎。個人的にはよく知らないが、ラジオのパーソナリティや「ぎんざNOW」の司会として関東圏の人にはお馴染みだったと思う。婦警役で渡辺千恵乃という人が出ているが、彼女については詳細不明である。
後はベテラン勢で、戸塚刑事に竜崎勝。この前年に娘(高島彩)が生まれている。肝硬変で亡くなるのはこの4年後で、44歳の若さだった。竜崎は日活ニューフェース出身だが、その先輩である宍戸錠が演じるのが岩下刑事。資料がないので推定だが、恐らく課長または係長というポジションだろう。その宍戸を指しおいてOPでは名前が最後に登場するのが坂上二郎演じる中村刑事である。79年まで「夜明けの刑事」「明日の刑事」で鈴木刑事を演じていたので、まだそのイメージが強いときである。実年齢では宍戸の1歳下(当時46歳)だが、役柄上はおそらくヒラか部長刑事といった現場の刑事だろう。
ちなみにEDは、メンバー全員がジャージ姿でランニングしているというもので、主題歌はマツケンが自ら歌っていた。
マツケンの出演で話題性はあったが、如何せん放送時間が月曜20時。裏に「水戸黄門」やたのきんの「ただいま放課後」などもあり、視聴率はふるわず半年で終了した。個人的にも、この番組が放送されていた記憶はなかったりするのである。

刑事物語85

さて、年が明けてしまった。本ブログに関しては、特に何のプランもないので、一発目に何を持ってくるか悩んだのだが、時代が新しいということで、今まで取り上げなかった「刑事物語85」でいってみようと思う。
タイトルどおり85年の作品だが、ここでは80年代以降の作品を取り上げたことはほとんどなく、85年となると最も新しいはずである。よく考えると、もう25年以上経過しているので、新しいってこともないのかと。
というわけで、本題。「刑事物語85」だが、一言でいえば、地味目の刑事ドラマである。しかし、キャストはかなり豪華である。
主役の本庄刑事に渡瀬恒彦、その恋人に萬田久子、一番若手の新町刑事に堤大二郎で、その恋人に安田成美。他に川谷拓三(水田刑事)柄本明(木沢刑事)、萩原流行(大坪刑事)、船越栄一郎(青木刑事)、佐野浅夫(宇田川刑事)、中条静夫(八島課長)という面々。萩原、船越あたりは当時はまだ売り出し中という感じではあったが、名の知れた俳優ばかりで、メンバー全員が揃うということはあまりなかったと思う。
実年齢でいえば、堤(当時24歳)、船越(当時25歳)と1つしか違わないが、番組上は船越がもう少し上(といっても2、3歳)に描かれていたように思う。佐野(当時60歳)、中条(当時59歳)も1つ違いだが、課長の中条に対して佐野は万年ヒラの巡査長という設定であった。ちなみに佐野はまだ「水戸黄門」には就任していない。中条は翌86年からスタートの「あぶない刑事」でも課長役を務めることになる。
渡瀬演じる本庄刑事は課長に次ぐナンバー2のポジションで、警部補あたりかなと思っていたが、巡査部長だったようである(水田、大坪も巡査部長)。
監督陣も石井輝男を始め、日活ニューアクション路線で活躍した長谷部安春、澤田幸弘、小澤啓一といったところが顔を並べており、毎回面白く見れたのだが、派手さがなかったため当時の風潮には合わなかったようで、視聴率的には苦戦し一年間の予定が半年で終了することとなったようだ。
確かにその前年まで放送されていた「西部警察」や翌年からの「あぶない刑事」がはやったところを見ると、派手さが要求されていたのかなと思う。今の時代なら続くのかと言われると、疑問ではあるけれども。

2011年回顧録 その2

アクシデントのため(ネットに接続できなくなった)、更新が予定より遅れてしまった。
では、前項の続きである。今年亡くなった脇役俳優に目を向けてみると、大前均(75歳)、上田忠好(77歳)、有川博(70歳)などが挙げられる。大前はスキンヘッドの大男、上田はハゲた怪しげなオッサン、有川は知的タイプの悪役なイメージ。いずれも名は知らなくとも、顔を見れはわかると思う。
女性陣に目を向けると、スーちゃんこと田中好子(55歳)、日向明子(56歳)、セーラ・ローウェル(50歳)と若くなくなった人が目立つ。キャンディーズファンだったので、(ランちゃんファンだったが)ショックであった。結局、一度も再結成することはなかった。日向明子はロマンポルノから一般女優になったパターンで、「スーパーガール」や「ミラクルガール」などのアクションドラマが印象に深い。セーラはモデルのイメージが強いが「Gメン75」に刑事役で出演していたりもした。
昨年もベテラン声優が結構亡くなったが、今年も滝口順平(80歳)、右手和子(84歳)、黒沢良(81歳)、小林修(76歳)、徳丸完(69歳)などが亡くなった。滝口は一般にも知られていると思うが、黒沢は「大江戸捜査網」のナレーターの人といえばわかりやすいだろうか。小林は主に洋画の吹き替えで、ユル・ブリンナーあたりが有名だろうか。右手はアニメ「悟空の大冒険」で主役の悟空をやっていたということしか知らないが、専ら紙芝居をやっていたようである。あと、川上とも子(41歳)も若くして亡くなった。ついでにアニメ業界人では、出崎統、芦田豊雄、中村光毅(いずれも67歳)、荒木伸吾(72歳)、高桑慎一郎(82歳)など。アニメ「ベルサイユのばら」では出崎が監督、荒木がキャラクターデザインを担当した。漫画家では「スケバン刑事」の和田慎二(61歳)や村野守美(69歳)、高橋和男(41歳)など。
あと、28日に内藤陳(75歳)が亡くなったそうである。
大晦日なので、今年はこれが最後の更新である。本年は途中から更新回数を減らしてしまったが、来年も多分週2回ペースになるのではと思う。が、なるべく多く更新するように頑張りたい。

2011年回顧録 その1

今年も残りわずかということで、昨年もやったが2011年の回顧(要するに故人を偲ぶ)してみようと思う。
竹脇無我については、ここ2回ほど取り上げたが、今年亡くなった大物俳優といえば、長門裕之(77歳)、原田芳雄(71歳)、児玉清(77歳)、細川俊之(70歳)、杉浦直樹(79歳)、山内賢(67歳)、坂上二郎(76歳)などがいる。
長門、山内は日活で活躍したが、杉浦もデビューは日活の「俺は待ってるぜ」であった。しかし日活では、次の「錆びたナイフ」との二本だけで、58年に松竹入りしている(62年移行はフリー)。
原田は俳優座花の15期生(同期に夏八木勲、前田吟、林隆三、地井武男、栗原小巻、太地喜和子など)の一人で、細川は原田と同じ40年生まれではあるが俳優座13期生である。あまり知られていない気がするが、細川はかつて小川真由美と夫婦関係にあった(74年離婚)。
児玉清は東宝第13期ニューフェースだが、最初の数年はエキストラ的な端役が続いていた。61年頃から頭角を現し始めたが、映画では脇役専門であった。若い人にはやはり「アタック25」の司会者というイメージが強かったと思われる。坂上二郎は以前も書いたが、亡くなったのが3月10日で、翌11日に震災が起こったため、その死がかき消されてしまった感がある。
つい先日、クリスマスイブに亡くなったのが入川保則(72歳)。ガンで「余命半年」といわれていることを告白し話題になったが、宣告から10ヶ月後に力つきた。その入川と同じ日に亡くなったのが飯沼慧(85歳)である。この二人に共通するのが「部長刑事」である。関西ローカル番組ではあったが、シリーズ含めて40年以上続いた長寿番組として有名であったと思う。飯沼はその6代目で歴代最も長く(約10年)部長刑事を演じており、入川はその8代目であった。くしくも同じ番組で主役を演じた二人が同じに日に亡くなったのである。そして、高城淳一(86歳)も今年亡くなった一人だ。古くは「事件記者」、自分らの世代では「大都会」シリーズや「西部警察」での課長役が印象に強いが、この人は5代目の部長刑事でもあった。
高城→飯沼→橋爪功→飯沼(再登板)→入川・佐藤允(二人で交替に出演)という流れなので、飯沼は高城から後を継ぎ、入川に後を託した形になっている。自分は関西圏の人間ではないので、基本的に見たことはないのだが、20歳前まで住んでいた北海道で、一時期放送されたことがあった。どうやら、俗に言う腸捻転(朝日放送と毎日放送のネット系列の変更)の影響だったらしい。誰が主役だったか覚えていないのだが、その時期(75年4月)にあてはまるのは前述の三人に挟まれた形の橋爪功の時だったようである。

姿三四郎(竹脇無我版)

竹脇無我は49歳頃から、うつ病を発症したというが、その父である竹脇昌作が自殺したのも49歳であった。その要因はいろいろあったようだが、うつ病だったのではと現在では言われている。無我のすぐ上の兄は脳腫瘍のため18歳で亡くなったというし、そういう運命を背負った一家だったのかもしれない。
父・昌作はNHKのアナウンサー出身で、「東京ダイヤル」というラジオ番組が人気だったが、体調を崩し降板。後を継いだのがTBSアナウンサー出身の芥川隆行であった。
そういえば、前項の「鞍馬天狗」のナレーターは芥川であった。まあ。70~80年代時代劇はほとんど、芥川がナレーターだったイメージがあるのだけれども。
話は変わるが、「鞍馬天狗」の他にも竹脇主演の映画「姿三四郎」(70年)がCSで放送されたのだが、これはテレビシリーズが好評だったことから制作されたものだと思われる。つまり、この70年には映画、テレビ両方で竹脇の姿三四郎が存在していたのだ。テレビシリーズ化は牧真介(57年)、舟橋元(62年)、倉丘伸太郎(63年)に続く4度目だったと思われる。
キャストは矢野正五郎にこの前年まで「七人の刑事」をやっていた菅原謙次、檜垣源之助に絶頂期であった高城丈二、村井乙美に翌年の「美しきチャレンジャー」で人気を得る新藤恵美、村井半助に戸浦六宏、後の配役はよくわからないが、進藤英太郎、中山昭二、山田康雄、佐藤英夫、諸角啓二郎、鮎川いずみ、朝丘雪路といったところである。
同年の映画版のほうだが、竹脇、高城以外のキャストはほぼ変更になっており、矢野正五郎に「太閤記」の高橋幸治、村井乙美に松竹映画のヒロイン独占状態という感じだった尾崎奈々、村井半助に「七人の刑事」「警視庁物語」の堀雄二という具合になっている。他には森次晃嗣、加賀邦男、白木マリなど。
剣に柔道に、とても強そうには見えなかった竹脇無我だったが、こういう役も多かった。とにかく合掌。

鞍馬天狗(竹脇無我版)

前回までと話題は変わるのだが、年末なので追悼特集でもやってみようかと思う。まずは八月に亡くなった竹脇無我から。
CSでその竹脇主演の「鞍馬天狗」(74年)が始まったのだが、正直この番組の存在は知らなかったと思う。「鞍馬天狗」自体は子供の頃から認識していたコンテンツではあるのだが、まともに見たことは一度もなかったことに気がついた。
やはり、嵐寛寿郎のイメージが強いのだが、アラカンのは映画もテレビも自分が生まれる前の話だし、テレビでは単発、シリーズ含めて現在までに14回もドラマ化されているらしいが、大瀬康一(67年)、高橋英樹(69年)、目黒祐樹(90年)などがやっていたのは、なんとなく知っていたのだが、いずれも見た記憶はない。「鞍馬天狗」とは、勧善懲悪時代劇で、彼を慕う杉作少年が出て来るというイメージしかなかったのである。
で今回、竹脇の「鞍馬天狗」を見て、時代設定が幕末で、天狗こと倉田典膳が勤王の志士であることを初めて知ったのである。江戸の中期くらいの話だろうと勝手に思っていたのだ。
本作では、天狗に斬られるのは概ね新撰組だったりする。他のシリーズはどうだったか知らんし、大佛次郎の原作で近藤勇との対決は一度だけらしいのだが、本作では新撰組との対決がメインとなっているようだ。
近藤勇に若林豪、土方歳三に成田三樹夫、沖田総司に古谷一行という布陣。若林はまあわかるが、成田は意外なキャスティングに思えるし、やはり怪しい。古谷は竹脇と同い年で当時30歳ではあったが、まだそれほどの知名度はなかった頃である。その名が浸透したのは、やはり金田一耕助を演じてからだろう。
ちなみに、本作の半年前まで放送されていた竹脇主演の「江戸を斬る 梓右近隠密帳」では、若林は柳生十兵衛、成田は由比正雪を演じていた。
基本的に天狗に斬られる新撰組は名もなき隊士である。南原宏治演じる芹沢鴨が暴走した回でも、直接手を下すことはしなかった。まあ歴史上の人物を天狗が殺すわけにもいかんだろうし。
他の出演者は天狗の右腕的存在である吉兵衛に佐野浅夫、本作では影が薄い杉作少年に水野哲、桂小五郎に中村嘉津雄。他にも小池朝雄、品川隆二、酒井修、加茂さくら、そして木村功といったところがレギュラー、セミレギュラーのようだ。
当時の視聴率は低く、成功とはいえなかったようだが、意外に面白く見れる作品である。

魔神ガロン

タイトルの「魔神ガロン」を見て、映像化されてないじゃんと思った人は正しい。結局、映像化は実現しなかったのだがパイロット版は制作されている。
テレビ化が実現しなかったパイロット版の存在する作品としては、ピープロの「豹(ひょう)マン」「豹(ジャガー)マン」が有名だろう。映像も公開されているので、見た人も多いかもしれない。
「魔神ガロン」も二度に渡り、パイロット版が制作されているらしいのだが、これを目にした人は少ないと思われる。無論、自分も見たことはない。
一度目は60年。手塚治虫による原作は「冒険王」に59年~62年にかけて連載されたが、60年11月号の別冊付録にそのテレビ放映告知が掲載されたのである。パイロット版のスチール写真と一部キャストが発表されていた。ピック少年役に葉山良二ならぬ葉山謙二。敷島山人役に加藤弘。秋山みえ子役に筑波久子というもの。
葉山謙二少年の詳細は不明だが6~8歳くらいだろうか。「扉を叩く子」(60年)という大映映画に出演しているのが、わかっているくらいだ。加藤弘は「まぼろし探偵」で主役の進君を演じていた少年だ。彼も「まぼろし探偵」以外の出演記録が見つからないので、詳細は不明だが、その後は実業家になったそうな。
筑波久子は日活の第3期ニューフェース。「肉体の反抗」「燃える肉体」「海女の岩礁」「裸身の聖女」など新東宝映画のタイトルみたいだが、すべて彼女が出演した57、58年の日活作品である。その一方で「怪獣マリンコング」(60年)などにも、前項の太田博之とともに出演している。60年代には渡米し、一時帰国後、移住し米で映画プロデューサーに転身している。「ピラニア」とか「殺人魚フライングキラー」などを制作。人喰い魚が好きなようである。
二度目のパイロット版は70年頃に制作されたが、虫プロの経営状態悪化により中止。しかし、この企画は「サンダーマスク」に引き継がれたという。
原作はサンデーコミックス版では全1巻だが(私も所有していた)、手塚治虫漫画全集では全5巻である。これは、中盤から後半にかけては(おそらく)代筆によるもののため、当初の単行本に収録されていなかったようである。

ふしぎな少年

「ピロンの秘密」とくれば、その翌年スタートの「ふしぎな少年」(61~62年)であろう。「時間よとまれ!」のフレーズは、実際に見たことがなくても知っている人も多いのでは(もちろん矢沢永吉ではない)。
普通に手塚治虫の原作だと思っていたのだが、その初期作品である「新世界ルルー」に出てくる時間を停める能力に着目した辻真先が新たに企画したものが「ふしぎな少年」だったのである。つまり、テレビ企画が先にあり、マンガの方は同時進行で書かれたものだったりする。
一応、辻真先について説明すると、当時はNHKの職員で、この番組の企画だけでなく演出も担当している。退職後は脚本家として60~70年代のありとあらゆるアニメの脚本を手がけている。おかげで、自分は子供の頃からアニメ脚本は辻真先、特撮の脚本は伊上勝という名を覚えたものである(辻は特撮の脚本も書いている)。その後は主にミステリー作家として活動している。
主人公の三郎少年ことサブタンを演じたのは太田博之、その父和夫に小山源喜。小山は戦後まもない頃のラジオドラマや開局まもないNHKテレビのドラマで活躍した役者である。はっきりと判明しているのはこの二人だけで、あと出演者で名前があがっているのがジュディ・オング、忍節子、日下武史、愛川欽也などで、レギュラーかゲストかも不明だ。ジュディはこの61年のデビュー。サブタンには姉がいたようなのだが、彼女は当時11歳で、太田は14歳。もちろん実年齢と役柄が逆転することはあるが、この年齢関係だと厳しい気がするのだがどうだったのだろう。
ちなみにこの番組は生放送だったという。もちろん映像は残っていない。ゆえに、サブタンの「時間よとまれ」が出ると、他の出演者がみんな動きを停止し、ずっとその姿勢で絶えるというのが見どころにもなっていた。こういったシーンを子供の頃によく見かけた気もするのだが、「ふしぎな少年」でなかったことは確かだ。ほぼ生まれてないし。

ピロンの秘密

手塚治虫の原作で、少年ドラマといえば「ピロンの秘密」(60年)を挙げる人もいるかも。個人的には、一度も見たことはなく、原作も読んだことはない。その原作はテレビ放送と同時期に書かれており、テレビ企画で書かれたものなのだろうか。テレビの方がスタートが早かったようだし。連載は「小学四年生」~「小学五年生」でされている。
夕方18時から15分間、月~土の帯で放送された。当時はこういう形式の放送も結構あり、子供向け番組の時間帯だったが、今や各局ニュースの時間帯となっている。NHKの番組だったイメージが何故かあったのだが、日本テレビの番組だった。
内容はカストル星のピロン王子は陰謀により、人間型アンドロイドのミラと地球に亡命し、本郷兄弟と出会う。星から追っ手がくるが、ミラがそれを倒す、というような感じだ。
主演のピロン王子はニッキー窪田。日仏のハーフ少年で、実写版「鉄腕アトム」にも出演していた(ニッキー久保田名義だったらしい)。岡田真澄を子供にした感じかな、などと思っていたら、その岡田主演の日活映画「悪魔の爪痕」にニッキー少年も出演していた。本作後の消息は不明だ。
ボディスーツに身を包んだミラを演じたのは峰和子。この人も本作以外では日活の「六三制愚連隊」(60年)などでしか、その名を見かけない。65年のハナ肇主演「おれについてこい」にもその名があるが同一人物だろうか。余談だが、「VIOLATED PARADISE」という日本の観光フィルムに彼女の出演場面を挿入しただけの米映画が存在するという。
本郷兄は高村俊郎。56、57年の松竹映画に数本出演。本作のあとは、「用心棒シリーズ」など時代劇を中心に活動していたようだ。
そして、本郷弟は子役の遠藤恵一。彼はこの後「チャンピオン太」で主役の太少年を演じることになる。
主題歌は手塚が自ら作詞しているが、手塚の作詞って、そういえばあまり見たことがない気がする。まあ、捜せばあるのかもしれんけれども。