アスファルト・ガール | お宝映画・番組私的見聞録

アスファルト・ガール

大映作品が続くのだが、今回はなんとなく目に付いた「アスファルト・ガール」(64年)という作品を選んだ。
一言でいえば、ミュージカル映画である。この64年は、「ジェルブールの雨傘」とか「マイ・フェア・レディ」とか「メリー・ポピンズ」とかこのテの映画には疎い私でも知っている有名なミュージカル映画が相次いで公開された年である。国内では東宝でも「君も出世ができる」(64年)などのミュージカル映画を公開しており、ちょっとしたブームだったのだろう。
さて「アスファルト・ガール」だが、ミュージカルシーンに関しては、ハリウッドからロッド・アレクサンダーという有名な振付師を呼んで演出させており、日本初の本格的ミュージカル映画といわれているようだ。
主演は中田康子。50年代は東宝で活躍し、59年に大映に移籍してきた女優だが、実は宝塚歌劇団の出身で、その後日劇ダンシングチームにも在籍していたので、歌とダンスはお手のものだったのである。ちなみに今は声優として知られる太田淑子は宝塚で同期だったそうだ。
共演は坂本博士(ハカセではない)、岩村信雄。共に馴染みのない名前だと思うが、坂本は声楽家(作曲家)、岩村はバレエ、ダンスがそれぞれ本業で、本職俳優ではない。原田信夫とファイブ・キャラクターズも60年に結成された歌って踊るグループである。その中でお馴染みなのは尾藤イサオ。歌手としては62年にデビューしていたが、映画はこれが初出演であった。
大映俳優陣は中条静夫、村上不二夫、夏木章、加茂良子、宮川和子などで、こういっては何だが「人気スター」は出演していないのである。
ところで、主演の中田康子だが、本作が最後の映画出演となっており、大映を退社し表舞台から姿を消した。中田は大映社長である永田雅一が直接引き抜いた女優なのだが、実は愛人関係にあったといわれている。その関係を清算するため、主演を手みやげに?中田は映画界を去ったようである。この永田といい、新東宝の大蔵貢といい当時の映画会社社長はスキャンダラスな人物が多かったようだ。