民主党による「繰り上げ当選阻止目的の除名処分」についての記事の続きですhttp://ameblo.jp/teshinosuke25/entry-11373580504.html
前回は「直接選挙の原則」(憲法15条参照)との関係についてでしたが、今回は(2)司法権(憲法76条参照)との関係を考えてみたいと思います。
除名処分を受けたこの党員。裁判に訴え出たならば、そのような判決が予想されるのでしょう。この論点(政党による除名処分と司法権の限界)に関係しそうな有名な先例は以下の2点です。
①共産党袴田事件(最判昭和63年12月20日)
…除名した党員に対する政党の家屋明渡請求権の存否を確認するために、政党による除名処分の効力が争われた民事訴訟。
→ 「自由な意思によって政党…に加入した以上…自己の権利や自由に一定の制約を受けることがあることもまた当然」「処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても…(審理は)適正な手続きに則ってなされた否かによって決すべき」
②日本新党繰上補充事件(最判平成7年5月25日)
…後順位者の繰り上げ当選が無効か否かを判断するために先順位者への除名の効力が争われた行政訴訟(当選訴訟・公職選挙法208条)
→ 「(当選が無効とされるのは)選挙会等の当選人決定の判断に法の諸規定に照らして誤りがあった場合に限られ…除名届が適法にされている限り、当選訴訟における当選無効の原因とはならない」
①と②では、民事訴訟と行政訴訟か、国会議員の選定過程に関わっているか否か、といった違いがあるようですが、「政党の自律権を尊重するために、除名処分に対する司法権の介入は控えるべき」とのスタンスは共通しているのでしょう。
両判例は、「憲法判例百選Ⅱ」(有斐閣)が第4版から第5版に改訂されても掲載され続けています。行政事件訴訟の知識とリンクさせながら、上手に整理しておきたいものです。
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除名処分が「一般市民法秩序に直接関係を有する外部的な問題」であるならば、司法審査をすべきなのでしょうか。地方議会議員の場合と政党党員の場合を比較しながら検討してみましょう。
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