2011/5/18
【楽譜】の表記法の原型を考案した中世イタリアの音楽教師である
グイード・ダレッツォ、【ピタゴラス音律】を発見した数学者と
しても有名なピタゴラス、そして【平均律】を導き出した「音楽の
父」ヨハン・ゼバスティアン・バッハ。
この3人の功績により、音楽は、英語以上の世界共通語となったの
です。
『音楽史を変えた五つの発明』
ハワード・グッドール著 白水社
グイードによって楽譜が考案されるまでは、音の動きを紙の上に
書きとどめ、観察することは不可能でした。
再現を可能にする手段としての楽譜は1020年に原型が作られました
が、楽譜考案の功績は「音楽を読む」ということを可能にしたこと
です。
楽譜は作曲家の存在を可能にし、名曲を後世に残すことになるの
です。
平均律とは1オクターブ内の音の高さを12に等分割し、それを半音
とする高さの決め方のことです。
平均律が受け入れられたことで、西洋音楽は飛躍的に発展しました。
現在では、音楽をすべて平均律というフィルターを通して聴くまで
に慣らされてきました。
平均律による西洋音楽を共通語とすると、民謡や民族音楽などは
さしずめ方言です。
平均律が刻む音の1段の階段の高さの間にも、無数の音があるわけ
ですから、平均律になじまない‘方言’のバリエーションの方が
多彩なのです。
しかし、平均律になじまない民謡や民族音楽は五線譜にはとどめる
ことができませんから、口づてに受け継いでいくよりしかたありま
せん。
文化の多様性を維持するためには、各地に細々と残る民謡や民族
音楽を“絶滅危惧種”並みに保護する必要があるのでしょう。
「生物の多様性」が重要だという認識同様、何事によらず多種多
様なヴァリエーションが混在する世界こそが健全で豊かだ、とい
う直感が、説得力を持つ時代になっているのだと思います。