●人妻椿 前編・後編(1936年) 監督:野村浩将
主な出演:川崎弘子 佐分利信 上原謙 三宅邦子 笠智衆 藤野秀夫 青木しのぶ 山内光 飯田蝶子 坂本武 野寺正一 上山草人 吉川満子 小島和子 河村黎吉 岡村文子 水戸光子

「矢野昭は孤児だったのを拾って営業部長にまでしてくれた有村社長の殺人罪容疑を、身代わりになって行方を眩ます。有村社長は矢野の妻子の面倒を見ると約束しながら急死してしまう。社長の息子・恒也は、本当は社長が犯人と訴えても取り合わず、残された妻・嘉子は、息子・準一を抱えて世間の荒波に翻弄されるのだった」というのがWikiに書かれているあらすじ。
さて、その後のストーリーは・・・
東京の生活を追われて故郷の父・勉蔵(野寺)に身を寄せる嘉子(川崎)だが、そこでも安住を許さなかった。頼りにしていた父の急死と網本・虎一(笠)の邪な恋。ふたたび東京に逃れた嘉子だが、職を探しに訪れた銀座のデパートで火災に見舞われた。炎のなかを逃げ惑う嘉子を発見したのが、追ってきた虎一と前々から純粋な恋心を寄せていた青年資産家の草間(上原)。2人は火災から嘉子を救おうとしながらも、互いに争い、大怪我をする羽目に。

※本当は女の子なのだが男の子役を演じた小島和子さん。
この物語が伝えたいメッセージは、「どんなにつらく、絶望の淵に立たされたときでも、かならず手を差し伸べてくれる人がいる」ということだろう。場面ヾでそんなエピソードがいくつかあった。
①「お給金なんて要りません。私が働いて奥様をお助けします」とい
う女中の千代。
②「まだご主人が死んだと決まったわけではない」と嘉子を励まし
つつ、虎一から逃げる手筈を整える多門寺和尚(上山)。
③虎一の不埒な振る舞いを咎める通りがかりの婦人・せん(吉川)。
嘉子の慈悲に満ちた対応とともに虎一も改心する。
④自身の貧しさを顧みず「これで終わったのでは、仏つくって魂入
れず」とまで言って嘉子のお世話に専念する千代とその兄(坂
本)。
総じて、「美人は常に神様が味方をしてくれる」ということかな?

※坂本武さんと飯田蝶子が出てくると安心する。
その後もいろいろな展開があるが、嘉子の身の上を知った草間は、支援の手を差し伸べるもきっぱりと諦めてアメリカへと旅立つ。
そして、偶然にも駅にいた息子の準一(小島)が海外逃亡から帰国した矢野(佐分利)の姿を見つけたことで、話は急変する。
矢野の無実が世間に公表され、矢野は恒也と協力して傾いた会社の立て直しを誓う。
最後は父・勉蔵の弔いの席で、全員勢ぞろいのハッピーエンド。
この映画では、笠智衆さんと三宅邦子さんが悪役を演じる。(2人の悪役は決して珍しいことではないが)
準一は男の子だが、演じているのは女の子の小島和子さんという子役俳優。前回紹介した『半處女』でも佐分利信さんの娘・マリ子役として登場した。田中絹代さん主演の『愛染かつら』(1939年)にも出ていたような。
Wikiの情報では芸者役として水戸光子さんの名前がある。芸者が3人出てくるシーンがあるが、誰が水戸光子さんなのか判別できないのが残念。