●月夜の傘(1955年) 監督:久松静児
主な出演:田中絹代 轟夕起子 坪内美詠子 新珠三千代 飯田蝶子 宇野重吉 三島雅夫 三島耕 伊藤雄之助 二木てるみ 宍戸錠 東山千栄子 高田敏江 大森暁美
『雑居家族』の前年、同じく壷井栄原作の小説を久松監督が映画化した作品。キャストも何人か重なるが、豪華な面々からも作品の面白さが期待できよう。
なんのことはない、近所の奥さんたち4人の井戸端会議の物語なのだが、それぞれの家庭の悲喜こもごもを実に巧みに描いている。久松監督は、この手の作品のつくりかたが本当に上手い。特に人情や人の優しさを描こうとすると、往々にして辛い・悲しい状況や悪い奴が登場するが、そうしたエピソードを一切使わないところが久松監督の極意だと思う。
・坪内美詠子さんと伊藤雄之助さんのお見合い⇒その後の展開
・人妻とは知らずに新珠三千代さんに熱をあげる宍戸錠さんの友人
⇒失恋
・お手伝いさん役の飯田蝶子さんがピアノを買う代金を助ける
・東山千栄子さん宅で新珠三千代さんが「エリーゼのために」と「乙
女の祈り」を弾く場面は涙
・長男の女友達役を若い頃の高田敏江さんと大森暁美さんが演じて
いるのが嬉しい
・卵1個が20円!? 夏みかん2個で20円!?
・宇野重吉さんの“苔”に対する執着
・さて、タイトルの『月夜の傘』とは・・・・
やはり何と言っても二木てるみさんが可愛らしい。『雑居家族』や『警察日記』でもそうだったから、久松監督のお気に入りなのだろう。
高田敏江さん(左)と大森暁美さん(右)