太田忠の縦横無尽 -90ページ目

投資実践コース「モデルポートフォリオ」の9月のパフォーマンス

とうとう9月も終わった。今年も3/4が過ぎ去ったことになる。「残暑が厳しいでしょう」と言っていた天気予報は大はずれで、残暑の厳しい日などほとんど思い出せないくらい過ごしやすい日が続く。秋晴れのカラリとした日々ではなく、太陽が顔を出さないどんよりとした日が多い。


「9月は株式市場にとって鬼門の月である」 とこのブログで書いたが、結局のところTopixは-5.8%と大幅に下落。NT倍率で頑張っている(ハイテクの寄与度が大きく、金融のインパクトが小さい)日経平均にしても-3.4%となった。


明らかにマーケットの様相が変わった。8月までは「ポジティブなニュースが出ながらも高値警戒感から手詰まり状態」であったが、今週に入ってからは「ネガティブなニュースが多く出る中で下値を探る動き」へと変化した。


太田忠投資評価研究所の投資実践コースにおけるモデルポートフォリオの9月単月のパフォーマンスは-1.4%で着地し、かなりの苦戦だった。現物株においていわゆる景気敏感関連はほとんどない。もともと上昇とは無縁で、業績が堅調かつ「なぜ、こんなに売られているのか」「なぜ、こんなに割安なのか」という銘柄中心に組入れていても、全体のマーケットが下がれば影響は不可避であった。そもそもテクニカル分析やファンダメンタルズ分析だけでは「リスク管理」にならない(現在連載中の日経ヴェリタスを参照のこと)ので、逆指値によるロスカット・ルールを設けているわけであるが、今週に入って次々とヒットし、手元に現金が戻ってきている状況である。「もっとさらに安くなるからその時を待て」というメッセージのようだ。ポートフォリオにおける現物株の比率はきわめて低位となっている。


小型株もほとんどトレンドを失った。「大型株が息切れしてきたら、小型株にシフト」とは全くなっておらず、同じように失速している。「小型株に注目」という切り口のマネー雑誌や新聞記事が増えているが、「何に注目するのか?」というピンボケの値動きする銘柄ばかりとなった。


こうしたマーケットの中で唯一、健闘しているのは先物取引である。9月は「売り」「買い」均衡ポジションからの利益確定戦略は非常に有効であった。


10月は9月に輪をかけてダウンサイドトレンドが続いてほしくはないが、資産運用という観点からは保守的な運用にならざるを得ない。「安値を根気よく拾いながらも、忍耐が求められる」という相場展開はすでに覚悟しつつ、今年残り3ヶ月となったマーケットと仲良く付き合っていきたいと思う。


太田忠の縦横無尽 2009.9.30

『投資実践コース「モデルポートフォリオ」のパフォーマンス」

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ダイヤモンド・マネーの連載 『太田忠の眼光紙背』がスタート

ダイヤモンド社が隔月で発行している「ダイヤモンド・マネー」において連載を開始いたします。


ダイヤモンド・マネーは偶数月の1日に発売されており、10月1日発行の2009年11・12月号より連載記事が掲載されます。タイトルは『太田忠の眼光紙背~ニュースの本質は裏にあり!~』です。


株式市場には数多くの矛盾と理不尽と誤った認識が渦巻いており、「これはおかしいんじゃないか」という点が多々あります。そうした問題提起を20年以上におよぶ証券市場のプロフェッショナルの視点で紹介していきます。見開き2ページの長さで、毎回ひとつの題材を取り上げて論じていきます。


第1回は『IPO市場の「幻想価格」を活況と見間違うことなかれ』です。


記事の詳細についてはダイヤモンド・マネーをご覧下さい。


太田忠の縦横無尽 2009.9.26

『ダイヤモンド・マネーの連載 「太田忠の眼光紙背」がスタート』

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西本智実 『マーラー交響曲第5番』を聴く

9月21日(月)にサントリーホールで西本智実指揮によるロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートに出かけた。曲目はワーグナーの『トリスタンとイゾルデ~前奏曲と愛の死~』とマーラーの『交響曲第5番』である。


西本さんは指揮者の世界には珍しい女性指揮者であり、その立居振る舞いは実に颯爽としており、初めてテレビで見た時に思わずタカラヅカの男役「オスカル」か、と思ったほどである。


マーラーの交響曲はほとんどが大作であり、演奏者および指揮者には相当のエネルギーが要求されるため、交響曲のみがプログラムとして組まれる場合が多く、かつアンコールも一切無しというケースがほとんどである。『交響曲第5番』は通常の交響曲とは異なり5つの楽章から成り立っており、かつ金管奏者には相当の無理強いがなされるため、その前に『トリスタンとイゾルデ』を持ってきていること自体、非常に意欲的なプログラムであることがよくわかる。普通はせいぜい、金管楽器がほとんど入らないモーツアルトの交響曲などを持ってくるのが定番というものだ。


さて、そのマーラーの交響曲であるが、今回の演奏は何とも評価が難しい。楽章によってこれだけ不出来と出来の良い部分が分かれるのを聴いたのは初めてだったからである。


第1楽章から第3楽章までは、まるで「音楽」になっていなかった。マーラーの交響曲は曲が進行していくと各パートがめまぐるしく入れ替わり立ち代りそれぞれの「主張」を繰り広げつつ、時には「豪快」、時には「鮮烈」、時には「苦悩」、時には「清楚」、時には「叙情」、そして時には「ユーモア」がオーケストラ全体のサウンドとして浮かび上がってくる。しかしながら、今回の演奏はまるでゲネプロの時間に「パート練習」をしているかのごとく、サウンドが融合せずに「音楽」にはなっていなかった。すなわち指揮者の仕事がまるでなっておらず、これには驚き痛く失望させられたのである。


彼女はもちろんロイヤル・フィルの常任指揮者ではないため、今回のツアーにあたって十分な練習時間と十分な意思疎通がないことが明らかだった。「いや、これはひょっとして楽団員が指揮者のいうことを聞かない演奏をわざとしているのではないか」と思ったくらいだった。また、要となるべき金管奏者のフレーズの吹き方が甘いのが気になった。これじゃマーラーの音楽ではないだろう。加えて、指揮者が出すテンポで非常に不自然なところが不連続に何箇所もあり、「何でこうなるの?」という感じだった。それを見かねてか、3楽章の途中で退席してしまう客が数名いた(咳が止まらずに退席する人もいたが、それ以外の人たちである)。とにかく「不自然な音楽」を聞かされるのは大変苦痛であった。


「これはまずいものを見てしまった」と思いつつ、第4楽章の有名な「アダージェット」が始まると、さらに耳を疑ったのである。なぜならば、それまでの状況とは打って変わって、実に自然なマーラーのサウンドに突然変異したからだ。そして第5楽章は途中で指揮棒を落としながらも、それに動じず、見事にマーラーの音楽を演じ切った。最後の大迫力で終わるエンディングは、まさに彼女が指揮するために作曲されたのではないか、と思うほどマッチしていた。圧倒された聴衆は終わったとたんに、「ブラボー」の掛け声、そしてスタンディングオーベーション。


西本さんの音楽を今回初めて生で聴いたので、あまり多くのことは語れないが、良い部分と悪い部分がまだかなりはっきりと出る指揮者とお見受けした。今度はぜひ、彼女のベースとしてきたロシアの楽団で一度聴いてみたいものだ。ぜひ、これから本格的に世界を舞台に活躍してほしい。


太田忠の縦横無尽 2009.9.23
『西本智実 「マーラー交響曲第5番」を聴く』

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ついにここまできた不動産市況

毎週、週末になると配達される新聞の朝刊にはさまれている折込みちらしの量が膨張し、新聞そのものの厚さよりもボリュームが勝っていることも少なくない。その主役となっているのがマンションや戸建ての不動産広告である。


2年ほど前には、その不動産広告の数たるや半端ではなかったが、不動産市場の崩壊とともに着工される住宅戸数も急激に減ったことからこの1年では広告も次第に減少していった。ところが、最近になってまた増えている。それは、不動産各社が手持ち物件の在庫圧縮のための値引き販売に走らざるをえなくなっており、「値下げしました、買いませんか」という広告が勢いを増しているからだ。


昨日、過激な広告を見た。


「目黒区八雲、永住の名品、八雲ハウス。新価格発表」

と銘打った広告で、「販売住宅5戸、先着順受付/現地内覧会実施」とあり、2008年2月に竣工した売れ残り物件が紹介されているのだ。


Btype(242.47㎡):39,800万円→19,950万円

Ctype(193.26㎡):28,300万円→14,150万円

とある。いきなり半額である。


もともとこの物件は上場不動産企業によって販売されていたのだが、倒産したためにさる日系証券会社の不動産部が再販売していると説明されている。


都内の新築マンション価格は不動産バブルの前は、70万円/㎡程度であったのが、あっと言う間に100万円/㎡となってしまい、それが最低レベルの価格になった。すなわち、70㎡のマンションでも7000万円(!)もするのである。ところが、この八雲のBtypeの旧価格での単価は164万円もの破格の値段である。たしかに麻布あたりの超高級住宅地域では、これくらいが普通なのだろうが、八雲はオフィス街から離れた世田谷の住宅地である。もちろん世田谷は一般的には不動産価格は高いのは知っているが、この物件の価格設定を見れば、いかに不動産が高騰し、強気の商売をしていたか、というのがよくわかる。


見かけ上は、ちょうど半値に価格改定されたこれらの物件は即完売するのだろうか? なお、裏面にも「伝統の別荘地ブランシャールの森」と題された、軽井沢の別荘用の住宅地が半値で売られており、

2012㎡:10,958万円→5,479万円

1639㎡:7,450万円→3,725万円

となっていた。暴落現象は都心だけではないらしい。


いったんこのような形で、売り手と買い手の立場が入れ替わる局面が出てこないと不動産市場の底入れは起こらない、というのが不動産業界の毎度のパターンである。


太田忠の縦横無尽 2009.9.20

「ついにここまできた不動産市況」

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9月は株式市場にとって鬼門の月

昨日の9月15日は奇しくもリーマンショックからちょうど1年が経過した日であったが、その1年前の騒然とした日において、1年後の9月16日にこのような大々的な政権交代を迎えることなど誰が想像しただろうか。やはり、今は激動の時代の最中なのだと思う。それを実感させられる日々である。


さて、株式市場であるが、8月の半ばあたりから急速にトレンドが消滅した。米国市場を見ていると、ちょうどその頃を境にマクロ経済のデータはポジティブなものばかりが目立つようになっているにも関わらず、株価の上昇力がほとんどなくなっているのである。昨日発表された8月の米小売売上高や9月の景気指数はマーケットコンセンサスを上回るものであり、本来ならばNYダウは軽く1%を超える上昇があってもおかしくないはずなのだが、期待値のわずか半分程度にとどまった。日本市場は企業業績に関するニュースも1Qの決算発表が終了したためほとんどなくなってしまい、自家発電のエンジンは作動しておらず、海外マーケットや為替、商品先物市場などの外部要因に左右される展開が続いている。


この数年の動きを見ていると、株式市場にとって9月は鬼門の月である。下落するケースが多く、パフォーマンスが悪い。今年の場合、春先からの一貫した上昇トレンドに明らかな一巡感が見られ、ポジティブなニュースにも感応度が鈍ってくると・・・。これはあまりよろしくない兆候である。


トレンドが消滅し誰もが上値を積極的に追うことに躊躇するような局面では、あまりべったりとマーケットにへばりついていても仕方がない。リスクアセットへのエクスポージャーを低めに保ち、個別で株価の調整が起こっている銘柄の調査、一段安になったら投資ウエートを引き上げる銘柄といった次の一手を積極的に指せる準備をしておくに限る。


太田忠の縦横無尽 2009.9.16

「9月は株式市場にとって鬼門の月」

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日経ヴェリタスの連載 『中小型株 これからの投資戦略』 が9/13よりスタート

日本経済新聞社が毎週日曜日に発行している「日経ヴェリタス」において中小型株投資をテーマにした連載を担当いたします。


『中小型株 これからの投資戦略』と題して、個人投資家向けに全5回にわたって「プロが解説」のコーナーに執筆します。各回のテーマおよび連載日程は以下の通りです。


1. 9/13 中小型株市場の現状分析と投資魅力領域
2. 9/20 逆指値による「リスク管理」の徹底
3. 9/27 「含み益」を「実現益」に変える努力をしよう
4. 10/4 これだけは避けたい銘柄vs投資したい銘柄の条件
5. 10/11 IPO市場およびIPO銘柄に対する投資の考え方

いよいよこういう形で中小型株が注目を浴び、特集されることを非常に喜ばしく思っております(!)。しかも5週連続の連載というのはかなり大きなプロジェクトです。

中小型株の現状分析およびいまだ非常に出遅れている魅力的な投資分野の紹介に始まって、個人投資家が最も不得意である「リスク管理」、そして「含み益」を「実現益」に変えるための投資手法(いずれもインターネット証券時代になって、個人投資家が手に入れた最大の武器である「逆指値」に関しての解説)、中小型株に投資するにあたっての危ない銘柄の見分け方および魅力的な銘柄の投資条件、そして最後にIPO市場に関する議論をおこなうという盛りだくさんな内容です。

「プロが解説」のコーナーは新聞の1面全部が割り当てられており、400字原稿用紙で約6枚となかなかのボリュームです。中小型株投資に興味のある方はぜひご覧下さい。

また、私のプロフィールに太田忠投資評価研究所の「投資講座」についても紹介しておりますので、「資産運用とは気づきである」 との我々の提唱に目覚める個人投資家の方が1人でも多く出てくるきっかけになればと願っております。

太田忠の縦横無尽 2009.9.12

「日経ヴェリタスの連載が9/13よりスタート」

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福田重男ソロライブがYouTubeに登場!

先月の8月30日にスタジオ・マルルーにておこないました、『福田重男ソロライブ』(詳細なブログ記事はこちら) のYouTubeへのアップロードが完了しましたので、お知らせいたします。


YouTube検索にて「福田重男」と入れていただけば視聴が可能ですが、スタジオ・マルルーの「イベント情報」のアーカイブにも全10曲をリンクしております(こちらをどうぞ)日本人ジャズピアニストとしてトップクラスの実力を誇る福田重男さんのソロピアノの熱演をお楽しみいただけます。


当日のライブの一部をご紹介すると、福田さんがジャズを志す大きなきっかけとなったハービー・ハンコックの名曲である「処女航海(Maiden Voyage)」 や、子供の頃過ごした田園風景を描いたオリジナル曲の「Childhood's Dream」 、ビートルズナンバーをジャズ風にアレンジした「ブラックバード(Blackbird)」 、緊張感と高音部のきらめく音色が対比されるジミー・ロールズの名曲「ピーコックス(Peacocks)」 、異色の天才ピアニスト、セロニアス・モンクの十八番であった「ブルー・モンク(Blue Monk)」 などが収録されております。


なお、福田さんご自身のブログにおける記事はこちらです

本物のピアニストによる本物の音楽はこんなにもすばらしい、ということがおわかりいただけるかと思います。


太田忠の縦横無尽 2009.9.8

「福田重男ソロライブがYouTubeに登場!」

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ジャズピアノの調律?-そんなものはありません

最近、何人かの人から同じような質問を受けた。「太田さん、ジャズピアノの調律ってあるんですか?」。一瞬、その意味するところが分からなかったのだが、すぐにピーンときた。「いやいや、ジャズピアノの調律というのはないよ。それは、単純に誤解されているだけだよ」と切り返した。


無理もない。クラシックピアノの場合、コンサートでもCD録音でもピアニストが調律の狂ったピアノを弾くというのは100%ありえないことである。ピアノを弾く前にきちんと調律がおこなわれる。


ところが、ジャズの場合は違うのだ。とりわけ、ライブハウスにおけるライブ録音などを聴いているとその特徴が見事に現れる。ビル・エバンス、オスカー・ピーターソン、レッド・ガーランド、テディ・ウィルソン、アール・ハインズといったジャズピアノの名人たちのライブ演奏を聴いて欲しい。ようするに、ちゃんとした調律をしていない、あるいは使い込まれすぎて状態の悪くなったピアノで演奏しているために、摩訶不思議な音が聞こえてくるのだ。


ピアノは88の鍵盤で成り立っている。それぞれの鍵盤に弦が張られており、鍵盤を押さえてハンマーが弦を打つことで音が鳴る。弦の張り方は最低音部は1本だが(最低音のAの音から8つ目の鍵盤のEまで)、低音部になると2本(9番目のFから20番目のEまで)、中音部から高音部は3本となっている。要するに複数の弦が張られている鍵盤において、お互いの弦の張りが一緒でないと、ひとつの鍵盤から複数の音が聞こえてくるということである。しかも、ジャズの場合、クラシック音楽ではほとんど使われない「テンション」というジャズ独特のサウンドが随所に使われるため、よけいに「ジャズピアノの調律」というものが存在すると勘違いされるわけだ。ひとつの鍵盤からヘタをすると3つの音が聞こえる時があるが、こういうのを「ホンキートンクピアノ」という。


昨年、さるパーティーに出かけた。それは大きなカラオケルームを借り切っておこなわれたのだが、片隅にいかにもポンコツそうなアップライトピアノが置いてあった。宴もたけなわになってきて、誰かが「太田さん、ぜひピアノを1曲弾いてください!」と言ったので、すでに酔っ払って出来上がった周りの人たちから、大げさな拍手が沸き起こった。皆は酔っ払っている、私も酔っ払っている、ということで少々変なピアノを弾いても誰もわからない。気が大きくなって、いざピアノの前に座り、メロディーを弾き始めた途端、驚愕した。


鍵盤が波打っており(要するにお互いの鍵盤どうしが平行ではないということだね)、鍵盤を押さえても、沈んだまま戻ってこない箇所があり(!)、しかも、メロディーを弾いているにもかかわらず、「ワーン」という意味不明の音だけが巨大に不快な音で聞こえてくるのだ。「こりゃ、ホンキートンクを超越している」と驚くと同時に、私にとって正真正銘のホンキートンクピアノを弾く初めての貴重な体験だった。


時々、プロのピアニストから「いやあ、先日のライブではひどいピアノにあたってしまって苦労したよ」という話を聞くことがあるが、なるほど、あれじゃあピアノは弾けないわけだ。普通、左手でバッキングをするときは鍵盤にタッチする力を抑えて、響きも抑えてやるのだが、私が弾いたホンキートンクは鍵盤に触れるたびに「ワーン、ワーン」と地響きのように鳴り、右手のメロディーが加わると、さらに「ワーン」が加わって、何を弾いているのかさっぱりわからないのである。


頭痛を催しながらも半ばやけくそになって3コーラスを弾いた後、「やれやれこの不快感から解放される」と思ってピアノの椅子から立ち上がると、一段の拍手喝采を浴びた。


この人たちは、不快ではなかったのだろうか? と心配になりつつ、ものすごく不気味な体験だった。


太田忠の縦横無尽 2009.9.5

「ジャズピアノの調律?- そんなものはありません」
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福田重男ソロライブ&料理とワインの夕べ

8月30日(日)に私が主宰するスタジオ・マルルーにて「福田重男ソロライブ&料理とワインの夕べ」を開催した。


太田忠の縦横無尽-福田重男ソロライブ 1


福田重男さん は日本を代表するジャズピアニストであり、その実力もまさにトップクラス。精力的に活動をおこなわれているのだが、なかなかソロピアノを聴かせてもらう機会がないため、「ぜひ、ソロピアノのライブをお願いします」ということで快諾をいただいたのが5月の終わりだった。「ソロライブが終わった後は、おいしい料理とお酒で楽しむというのはどうでしょうか」「うん、いいねぇ」という感じで「料理とワインの夕べ」というタイトルも併記されることとなった。スタジオ・マルルーとしてはこれはまさに「一大イベント」である。


超一流の福田さんに思う存分パフォーマンスしてもらうため、こちらも完璧を目指さねばならない。「よし、やらねば!」ということで多大なる配慮をしつつ入念なる準備をおこなった。こういう時は、私は通常よりも何倍も気合が入る。


まずライブだが、前日に専属のコンサートチューナーに来てもらい、調律・整調・整音を8時間かけてみっちりおこなった。スタインウェイのコンサートチューナーなので、日頃はサントリーホールや東京文化会館などのコンサートピアノを調律しているスペシャリストである。ハンマーの調整、微妙なタッチを実現するための細かな手入れ、ペダルのミリ単位の調整、音色のレベルアップと「サントリーホールのグランドピアノ以上の念入りな作業をしてくれ!」と私は強要した。そして日もとっぷりと暮れた作業終了後、「うーん、これはすごいことになりましたよ」と我がコンサートチューナーも太鼓判を押してくれるコンディションになった。


また、料理のほうも私の妻が主宰する料理教室のサロン・ド・マルルー に協力してもらい、16品にも上るレシピの組み立てから、材料の買出し、調理とアシスタントの強力なサポートも得て万全の体制で臨んだ。


太田忠の縦横無尽-料理とワイン 1


「日常から逸脱した、夢のような企画を」という意欲的なコンセプトであったため、会費は1万円/人(!)というジャズライブとしては破格な価格設定だった(こんなにお財布にやさしくないジャズライブは普通ありません)。


完全予約制の限定20名で受付を開始したのだが、あっという間に完売。キャンセル待ちが何人も出てしまった(キャンセルする人は1人も出ず)。遠くは京都や浜松から来られる方もいて、その人気ぶりはおわかりいただけると思う。


ソロライブは想像していたよりもはるかにすばらしく、時折聴衆から「ため息」がもれるのを私は聞き逃さなかった。さすが名人芸である。立食パーティーは料理をサーブする時間が若干遅くなってしまったのだが(20名もの料理を2人で担当するのはかなりハードでした)、なかなか好評をいただき、ほっとした。


立食パーティーが始まると、今度は聴衆のほうでピアノを弾きだす人、歌を歌いだす人が出るという普通ありえない光景が展開された。実はプロのミュージシャンやセミプロ級の人たちが何名も参加しており、さながら「ライブハウス第二弾」という状況で二度おいしい会となった。主宰者もいつの間にか自分の立場を忘れて参加者として楽しんでいた。皆さんありがとうございました。


しかし、8月30日がまさか決戦の日になるとは思ってもみなかった。これだけが「想定の範囲外」だった。立食パーティーも終盤に差し掛かると、皆で選挙速報を観戦して盛り上がり、「歴史的な選挙」もコラボするという実に盛りだくさんな1日となった。


太田忠の縦横無尽-福田重男ソロライブ 2

またこのような楽しく充実した企画をおこないます。


太田忠の縦横無尽 2009.9.1

「福田重男ソロライブ&料理とワインの夕べ」

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日本証券新聞に弊社の「投資講座」が取り上げられました

8月28日付けの日本証券新聞に弊社の「投資講座」が取り上げられた。記事のリンクはこちらを参照。


まだ、立ち上げて1ヵ月であるが、システム上のトラブルや苦情など1件もなく順調に稼動しており、経営者として胸を撫で下ろしているところである。また、おかげさまで会員も着実に増えている。皆様のご理解やご支援なくしてはこのようにはいかないため、改めて厚くお礼を申し上げます。


日本証券新聞に限らず、さまざまなメディアからの取材も増え、さまよえる個人投資家への「投資教育」をロングタームでおこなっていきたいと思っている。今回の記事では、『資産運用とは「気づき」である』という8月12日付けの私のブログ からの文章も引用されているように、資産運用の大切さにぜひとも早い年齢で気づいていただき、複利効果を身につけることによって、お金の問題に困ることなく、余裕のある生活・人生を自らの手で主体的に勝ち取っていただきたいと思っている。そのためには、とにかく最初の段階で正しい資産運用力を身につける必要がある。


個人投資家の大半は、行き当たりばったりの運用しかしておらず、相場のクラッシュのたびに「塩漬け」問題で思考停止に陥るというのが毎度のパターン。そういう投資家からはぜひ卒業していただきたい、と真摯に思う。


太田忠の縦横無尽 2009.8.28

「日本証券新聞に弊社の投資講座が取り上げられました」

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