【リード文より】

 

 

1920年代のアメリカの繁栄についての文章

 

(中略)

 

経済と文化で世界をリードすることになったアメリカだったが、国際政治の舞台では中心的存在にならなかった。

 

孤立主義を掲げる共和党が20年代の大統領選挙に3代続けて当選したからである。

 

 

 

【問題文】

 

 

孤立主義の形成の経緯と外交政策上の意義を100字以内で説明せよ。

 

 

 

(形成の経緯①)

 

形成の経緯については、18世紀末~19世紀までに遡る。

 

 

合衆国成立当時、「新国家建設のためには、外交より内政を重視すべき」という論調が、国内で優勢であった。18世紀末~19世紀のヨーロッパの混乱(フランス革命やナポレオン戦争)に巻き込まれるべきではなく、外交ではなく国内に目を向けながら国益を得ていこうと考えたためである。

 

 

また、ヨーロッパとの外交摩擦を嫌う姿勢は、アメリカの近隣である「ラテンアメリカ」においても、「ヨーロッパの干渉」を排するという姿勢にまで拡大していく。アメリカの「内政重視」の原理は、「大陸間の相互不干渉」という外交上の主張に転じていくのだ。

 

 

(形成の経緯②)

 

19世紀、ヨーロッパでナポレオン戦争が収束し、ウィーン体制という新たな国際体制が敷かれると、「正統主義」に基づき、「ラテンアメリカ」における、「スペイン帝国」の復活が画策される。つまりは、ナポレオン戦争の影響によって独立の気運が高まる「ラテンアメリカ」に、ヨーロッパ陣営がウィーン体制の原理を用いて「干渉」しようということでった。

 

 

また、「スペイン帝国の復活は」はスペインのラテンアメリカにおける「商業独占」の「復活」を意味しており、「神聖同盟」の名のもとにおいて、イギリスを除くヨーロッパ各国から同意を得たものであった。イギリスは18世紀の「スペイン継承戦争」において、奴隷供給権である「アシエント」を独占し、「三角貿易」によって巨額の富を得ていたわけだし、「ラテンアメリカ」の独立は英国製品の市場の拡大と捉えていた。

 

 

(形成の経緯③)

 

実際、モンロー宣言では、イギリスとの共同声明ではなく、アメリカの単独声明となるわけだが、19世紀初頭のアメリカの外交路線とイギリス外交路線(カニング外交)の利害は、少なくとも部分的には一致していた、と考えられる。

 

 

 

(孤立主義の意義①)

 

 

世界史の論述では、よく「~の意義」を問われるが、「世界史的意義」とは、「ある出来事」がその後どのような「結果」をもたらしたのかという、「ある出来事による、ある出来事への影響」に他ならない。

 

 

また、「影響」というのは、少なからず「変化」を伴うものである。この問題においては、「モンロー宣言」がその後のアメリカの政治選択にどのような「影響」を与えたのか、「孤立主義」という姿勢によって、アメリカが得た「国際的な立場」がどのようなものになったのかについて言及しなければならない。

 

 

 

(孤立主義の意義②)

 

 

19世紀中ごろ、南北戦争を機に工業国家としての統一をなしとげ、1890年代には「フロンティア」が消滅すると、海外への膨張の傾向が顕在。「フロンティア」の消滅は、内需の拡大の終了を意味しているわけだから、いよいよ帝国主義段階になったといえるわけだ。

 

 

1898年の「米西戦争」以降、アメリカの海外進出がはじまる。特に、T=ローズヴェルト大統領の「棍棒外交」は、アメリカのラテンアメリカ進出の意図が顕著であった。「棍棒外交」のロジックにおいては、モンロー宣言以降の「ラテンアメリカ以降のヨーロッパの不干渉」を貫く一方で、「ラテンアメリカの安定と秩序」を大義名分に南米支配を強化をするものであった。

 

 

つまり、20世紀のアメリカの帝国主義段階では、モンロー宣言で明言された「大陸間の相互不干渉」を前提として「、ラテンアメリカの支配強化」するための理論が誕生したと言える。

 

 

棍棒外交以降は、ラテンアメリカを米製品の投下先としてラテンアメリカに干渉していく「ドル外交」、さらにアメリカ政治の理念を拡大するために、「民主主義」の定着を図る「宣教師外交」によってラテンアメリカ支配の強化が、次々と着手されていった。

 

 

 

(孤立主義の意義③)

 

 

「外交摩擦の敬遠」と「大陸間の相互不干渉」によって、アメリカが得たものは何であろうか。

 

 

まずは、国内市場の安定である。

 

1812年の米英戦争(第二次独立戦争)で、米国市場から英製品を排斥したことに始まり、モンロー宣言以降、大陸間の相互不干渉は、保護関税政策を前提とするアメリカ工業化の要因の一つとも言える。

 

 

次いで、国際的な地位の向上だ。独立以降、経済的な基盤が脆弱であったアメリカが選択したのは「非同盟路線」であった。これによって、アメリカとラテンアメリカの権益を守りながら国力の増強に成功し、気が付けば南北アメリカ・カリブ海・太平洋地域にまたがる「アメリカ帝国」を創出したのであった。

 

 

 

【武帝さんの解答】

 

19世前半に欧州諸国における南米独立運動の干渉を排除し、中南米を市場にするためにモンロー宣言で新大陸と旧大陸の相互不干渉を宣言した。以後、旧大陸に干渉しないのがアメリカの外交方針となった。

 

 

外交政策上の意義が、不明瞭。「孤立主義」が最終的に南米支配の正当化するロジックとして転用されていく流れが欲しいところ。

 

 

【模範解答】

 

米国内市場の安定と南米権益の保護のために、モンローが大陸間の相互不干渉の声明をしたことにより始まる。20世紀になると孤立主義は「棍棒外交」による南米支配や、国際連盟の不参加などを正当化する教義となった。(100字)

 

 

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