(アイキャッチはタイ屈指の名門 チュラロンコーン大学)

 

 

本日も論述問題をメインに。

 

 

 

 

テーマは、19世紀のタイの生存戦略

 

 

列強に侵略される19世紀東南アジアにおいて、

 

 

唯一独立を維持した、タイ(チャクリ朝)のお話。

 

 

 

 

 

早稲田 政治経済学部 2019

 

 

Ⅴ 

 

【設問】

 

 

タイについて、なぜ、独立を維持することができたのかを、[史料1][史料2]をふまえて、140字内で記せ。

 

 

 

【解法】

 

 

当然、史料を読むに限る (笑)

 

 

 

史料1

 

 

タイ王国の独立を、イギリス自治領とサイゴンのフランス植民地や付随する所属領の間で維持することが、ここでの我々の政策の原動力である。その成功は、王の権威の集中と政治形態についての近代ヨーロッパ理念の漸進的導入を我々の力の及ぶ限り支援することで最もよく保証されるであろう。 我々の保護下にある諸州がタイの支配下の隣人たちに対して行ういかなる要求への支持も我々は控えなければならない。(出典 アーネスト・サトウ「タイの政治状況」1884年9月頃)

 

 

要は、

 

 

ヨーロッパの理念を導入して、中央集権化に努めれば、タイの独立の維持は成功できるだろう。

 

 

という主旨。

 

 

 

 

史料2

 

 

タイ国の対欧州交渉開始せられしは十六世紀の初葉にして、王朝の初期すなわち十八世紀までは、タイの貿易は国王独占にして各国は互に王の寵遇を得て優勢なる商圏を獲得せんとして、露骨なる相互排撃を継続し、時には干戈(かんか)にさへ訴えるありさまにして、タイを領土的野心の対象とする余裕もなかりき

 

 

 

 

列強はタイとの貿易によって生まれる利益を巡って、相互排撃や武力に訴える手段を講じている。(戦争は国庫を困窮させるものであるために)、タイを獲得する余裕もない。

 

 

これが、タイが緩衝地帯になっていく理由の一つ。

 

 

 

 

其後タイが近代商業の門戸を開きし頃は、蘭英はタイの四周に於てほぼその領土的拡張を満足せしめており更に東方よりタイに伸ばさんとせる仏国の爪牙は、先来の英国に制止されり。

 

 

 

 

タイが欧米の要求によって自由貿易に参入した時には、既にオランダとイギリスはタイ周辺を支配したことに満足しており、インドシナ方面よりフランスがタイへ侵攻しようにも、ビルマを所有するイギリスに牽制されている。

 

 

 

「緩衝地帯」の地理的な具体性が帯びてきたね。

 

 

 

十八世紀末以降の英仏両国の侵略心を和らぐ広大な領土を以ってし、その独立保全せしのみならず、条約上の制限を著しく緩和せしむる事を得たり。

 

 

 

 

 

 広大な領土を以って、独立を保ったばかりでなく、条約上の制限を緩和することに成功した。

 

一部領土を割譲することによって、独立を維持しただけでなく、治外法権を部分的に撤廃した。)

 

 

 

領土が広いから、独立を維持しただけだと、説明が不十分だよね。

 

「領土の割譲と引き換えに、主権を回復していく」と解釈すべき。

 

 

 

ラーマ5世の事績を知ってれば、翻訳可能かと。

 

 

 

 

而してタイ政府は、国政の刷新と国内経済を計画し英国人を主とせる多数の外人顧問を招聘せり。

 

 

 

 

 国政を刷新し経済の安定を図るために、イギリス人を主として、多数の外国人顧問を招聘した

 

 

 

(出典 アジア歴史資料センター所蔵 1941年 9月 大本営陸軍部「タイ国事情」)

 

 

 

 

【あくまで解答例】

 

 

 

タイは、ビルマを併合したイギリスとインドシナを獲得したフランス緩衝地帯であった。そのことを利用したラーマ5世は、英仏に領土を割譲することで、治外法権の部分的撤廃に成功した。また、外国人顧問を招聘西欧的な政治制度や経済政策とともに中央集権化を推進したことにより、独立を維持した。

 

 

 

【山川用語集を本日も崇める。】

 

 

ラーマ5世 (在位1868~1910) a.k.a  チュラロンコーン

 

チャクリ改革と呼ばれる欧米諸国にならった近代的な行政・司法・徴税制度の確立・陸・海軍に近代化・全国的な郵便・通信事業の導入・鉄道建設など、中央集権的な改革につとめた。対外的には、英仏の要求に屈して、治外法権の部分的撤廃と引き換えに現在の国境以東をフランスに以南をイギリスに割譲した。タイの近代化に貢献し国民から大王と呼ばれる。

 

 

 

【本日の葛藤】

 

 

先代のラーマ4世の業績を書くかどうか問題。

 

 

ラーマ4世の業績をまとめると、

 

 

 

① ボーリング条約の締結(対英)

⇒治外法権・低関税を認めた不平等条約。

 

② 華僑資本の利用による、対中国貿易の振興

 

③ チャオプラヤ川デルタでの水田開発

 

④ 米の輸出で財政の充実を図る 

 

 

 

と、ある。

 

 

不平等条約を締結しつつも、

 

財政の安定を図った旨、

 

書きたい書きたい。。。

 

 

かなり疼いた。

 

 

 

 

しかし、解答作成にあたって

 

史料を参考せねばならない。

 

 

 

緩衝地帯としての地理的特徴を挙げる。

 

 

地理的特徴を活かし、治外法権の緩和。

 

 

外国次顧問の招聘西欧化と中央集権化の推進

 

 

この流れを重視。

 

 

 

 

政治的・経済的諸政策の具体性にはやや欠けるが、

 

 

3つの要件を盛り込むためには、やむなし。

 

 

 

【政治経済学部 論述問題 出題一覧】

 

 

2018 

ソ連の対東欧強硬路線・制限主権論

 

2017 

ヴェルサイユ体制の矛盾・宥和政策

 

2016 

バンドン会議の経緯と意義・第三世界の形成

 

2015 

中国のヴェルサイユ条約調印拒否に至る経緯

 

2014 

清王朝の近代化の経緯


2013
臨時政府とソヴィエトの主張の相違点

 

 

 

近年の傾向は、大まかに分けると2つ。

 

 

① ヴェルサイユ体制の矛盾について (2017、2015)

 

② 政治選択の独自性や対立について (2018、2016、2014、2013)

 

 

 

 

今年の論述は、19世紀タイの政治選択の独自性について。

 

 

かつ、政治選択の地理的な要因を踏まえる問題であった。

 

 

 

 

A

1 ニ 2 ハ 3 イ 4 イ 5 ロ 6 ハ

B

b アンカラ c サマルカンド f ヴォルガ g ブハラ

 

A

1 イ 2 ニ 3 ロ 4 ニ 5 イ 6 ハ 7 イ 8 ロ

B

1 常備軍 2 統治二論(市民政府二論)3 マザラン 4 ピウス7世 5 農場領主制

6 営業

 

 

A

1 ハ 2 ロ 3 ハ 4 ハ 5 ロ 6 ニ 7 ニ

B

1 七年 2 印紙 3 代表なくして課税なし 4 ボストン茶会 5 連合 6リパブリカン

 

 

A

1 ニ 2 ロ 3 ロ 4 ニ 5 ハ 6 イ

B

1 b セルビア c ギリシア d ベルギー 2 ギリシア正教徒の保護 3 h フランス ⅰ イギリス j ボスニア・ヘルツェゴヴィナ 4 イタリア 5 未回収のイタリア 6ロンドン

 

 

A

1 ハ

B

1 ベトナム 2 ジャワ 3 マハティール

 

 

 

 

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