Surf’s-Up -11ページ目

Surf’s-Up

音楽の話を中心に。時にノスタルジックに

第6位 Valtari/Sigur Ros





ここ近作の歌寄りの展開から、今作ではかつての透徹とした静的トラックが復活を見せている。個人的には「Takk」が一番好きなアルバムなので、受け入れられるかと不安だったのだが、全然よかった。狂ったようなストリングスが暴力的にさえ聞こえるVarúð、淡々としているようで、ゆったりと姿を変えていくラスト2曲がもう最高に素晴らしい。





第5位 Django Django/Django Django





 電子音、サンプリング、トライバル・ビートが生み出す独特のグルーヴ、そして牧歌的なメロディーとハーモニー。これが本当に癖になる。サウンドの組み合わせ方に抜群のセンスを感じた1枚。このセンスさえあれば、まだまだ良い作品を作り続けそう。



第4位 Bloom/Beach House







 これも本当によく聴きました。歳のせいだろうか、なんだかこのモノクロームな世界がすごく心地よくて。時々ギターノイズから離れたくなることさえある。でも、そういう自分の志向とは無関係に、洗練されたメロディーとサウンドスケープが素晴らしい。


第10位 Attack On Memory/Cloud Nothings





今年の前半はこればっかり聴いていたし、ベスト5に入るのは間違いないと思っていたけど、気が付けばかなり悩んでこの位置に。甘いところもたくさんあるんだけど、自分たちを突き動かす創作エネルギーが荒馬の如く暴走しているっていうのがやっぱりかっこいいし、その結果自分たちのポップネスも隠すことができずに露わになっちゃってる、そういう衒いの無さが好きです。



第9位 Heaven/The Walkmen





 このバンドは、まず音楽的立ち姿が美しいんです。良い音楽を作る、プレイするっていうことしか考えていないんだろうなと思うんです。そういう愛が、この素朴な歌には充ち満ちているんです。絶対に時代に媚びない、この先ずっと鳴り続けて欲しいロック。



 


第8位 Sweet heart,sweet light/Spiritualized






 「統一性」の枷を外しメロディーに忠実なアレンジを心がけることで、曲の輝度をアップさせることに成功した。前々作、前作あたりでやや頭打ち感が見られたのを見事にブレイクスルーできた作品だと思う。怒濤のサイケを期待した人には、このべたべた感はついていけないでしょうけど。でも、こういうのが自分にとってのソウルなんじゃないかなと最近思うのです。




第7位 Shields/Grizzry Bear





 前作とはまるっきり違う、骨太で濃厚サイケな音空間に、最初はびっくり。しかし、聞き込むと世界がどこまでも広がっていくような、そういう力を持った曲だけが並んでいることがわかる。聞き手の想像力を喚起する音楽という意味では、前作と共通するところがある。あとはやっぱり、メロディーの美しさですね。アルバムの生々しい質感を生んでいるのは、このメロディーだと思います。



基本的に「心配症」です。


が、昔から自分のことよりも、人のことが心配になるという点では変わっています。


自分で言うのも何ですが、人に相談を持ちかけられる事が多いのは、


親身になって聞いてるからだと思います。


でも、相談した本人よりも、された自分の方が熱が入っちゃって


バカみたいな思いをすることもあります。




まぁ、しょうがないか、バカだから。




朝っぱらから、そんなことがありました。あぁ、消えてしまいたい。




やっぱり厄年・・・




いきなり躓いた新年ですが、


明日から、やっと2012年ベストアルバムを紹介しようかと思います。


並べてみたんですが、なんか音楽雑誌みたいで、つまんないかもしれません。


でも自信の持てる10枚です。





これはベストアルバムとは全く関係ありませんが
気分を表した1曲です。
Former Lives/Benjamin Gibbard



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Death Cab For Cutieのフロントマン、ベンジャミン・ギバードのソロアルバム。


デスキャブの最新作が、個人的にはそんなにグッと来なかったタチです。


なんとなくメロディーも含めて、抑揚の無さが気になって。全体的な印象として平坦な感じがしたんです。


なので、このソロアルバムも、すごく期待していたわけではなかったんですが、これが実に素晴らしい作品でした。


基本線はシンプルで心地よいサウンド。ソロである分、綿密なサウンドスケープに重きを置くのではなく、ソングオリエンテッドなシンプルなサウンドにまとめ上げています。


デスキャブも非常にメロディーの立つバンドでしたが、今作の方がずっと親しみやすさが感じられます。3曲目Teardrop Windowsなんて、なんか米ドラマの主題歌とかになりそうなくらい、直球のギターポップです。メロディーに起承転結があって、この王道感はデスキャブにはないもの。


Duncan, Where Have You Gone?やBroken Yolk In Western Skyも同タイプの曲で、ここで発散するポップネスは、きっとベンがこれまでなかなか出すことができなかったものだと思う。


そして、ソロの自由さを100%生かし、遊び心も満載。


童謡のようなSomething's Rattling (Cowpoke)なんかもデスキャブでは絶対できないタイプの曲。また、フォークやカントリーなどバンドではわかりづらかったルーツ的な音楽性もここでは随所に感じることができる。


デスキャブを基準に置くと、物足りなさを感じてしまうかもしれないけど、誠実で暖かいポップ・アルバムとして聴くと、すごく魅力的な1枚だと思う。これもよく聴きました。



★★★★(1/1/13)




新年明けまして、おめでとうございます。


今年もひとつよしなに。



なんてことを、わざわざここに書いたのは、


午前0時以降に来た「あけおめメール」に全く返信することができなかったからです。


昨年はかなり送受信に苦労したので、今年は来ないだろうと思っていたら、


ぽつらぽつら来まして、「じゃあ来た分はちゃんと返そう」と思ったんですが、


今年も僕のiphoneは絶不調。



という言い訳を、あの小さい画面で打ち込むのも大変なので


この場を借りて、弁解しました。



お正月ですね。ほんとお正月って何か苦手なんです。


周りにも「そうそう」って言う人いるけど、全然お正月をエンジョイしているように見える。


だから、年が明けるたびに、自分の社会への不適格ぶりが深刻であることを感じてしまいます。


いやですね、新年早々後ろ向き・・・

最近、下書きで終わっていたレビューをちょこちょこ書くことに専念していたせいか


気が付けば、全然日々のことを振り返っていませんでした。




そんなこんなで、もう大晦日。




自分にとっては2012年は、なかなかいい年だったと思う。




自分が「再生」できた年。


体調的にもメンタルな部分でも、良い状態を保っていられた。




それは人間関係に寄るところが大きいと思う。




転勤先の人間関係も割と穏やかで、フットワークも軽やか。


知らないことが多くて、迷惑をかけましたが、仕事はやりやすかった。




よく一緒に飲んでくれたり、話を聞いてくれた人が新婚さんになって、しかも転勤したので


「あー、つまんねぇな」と思っていたんですが、


不思議なもので、そうなったらなったで、


新しい仲間、新しい輪ができたりして。


また、ちょっとしたリユニオンもあったりして。


悩むたび、苦しむたびに助けてもらいました。




そういう人たちに支えられた1年でした。


感謝!




そして、年末となると「ベストアルバム」ってことになるんですが


更新は来年早々にしたいと。




まだレビューが10本以上たまっているんですが、


あんまり良い感想が書けそうにないものは、アップするのを躊躇してます。


純粋に「素晴らしいな」って思うものにしたいんですよね、最近は。


たぶん、今自分が主にしている仕事が、人の「ネガティブ」に視点を当てなければならないものだからだと思う。




昨年みたいに、ベストアルバム発表と同時にレビューアップということもあるかもしれません。


そんな感じでバタバタ。


でもバタバタしているのは、そんなに嫌いじゃない。


上手く折り合いをつけながら、2013年も楽しくやりたいです。


I Bet on Sky/Dinosaur Jr.



¥1,309

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ダイナソー、3年ぶりのニュー・アルバム。

最近はソロのプロジェクトも含めて精力的に活動しているJ。

昔の無気力大王からは想像できないほどのワーカホリックぶりを見せる彼だけど、どれも充実を見せている。特に、昨年のソロアルバムは素晴らしかった。

 オープニングのDon't Pretend You Didn't Know、これが最高。間違いなくダイナソー節なんだけど、最初聞いたら「あれ?」って思うはず。

脳天かち割る勢いで、ざらついたギターをぶちかますかと思いきや、メランコリックなメロディーと控えめなカッティング、そして切なげなキーボードサウンド。どことなくウェットなテイストとJの悲痛にも聞こえるヴォーカルが、背中にゾクゾクと来る。そして、さらに悲痛なギターソロが加わり、いきなりハイライトと言うべき瞬間が訪れる。

 2曲目Watch The Cornerでは、どっしりとしたグルーヴの中、ダイナソー流ブルージー・ロックを聴かせる。3人のグルーヴは相変わらずドライでヒリヒリしているけど、そこで生じる「ささくれ」が聞き手の感性を痛いほどに刺激してくる。

5曲目Rudeはルーのナンバー。これがほどよくポップで、Jには無いテイストが全開。これがなんとなく収まりが良くて好き。Lemonheadsを思い出しました。

全体的にミドルテンポの曲が多く、やや控えめな印象がある。サウンドの幅が広がったのは、最近の各メンバーの活動がダイナソーに良い感じに還元されているのだろう。

I Know It Oh So Wellなんかは、Jのディストーション・ギターがなかったら陽気なファンキー・ポップって感じだろう。もちろん、ダイナソーはどんなテイストのものもJのフリーキーなギターでやってしまうから、まごうことないロックへと昇華させることができる。今作では、その武器の可能性を試しているようにも見える。それゆえ、ダイナソーのアルバムにありがちな一本調子感があまり感じられない。

リミッター外れたような轟音チューンを期待していた人は、やや肩すかしを食らったかもしれない。でも、個人的には再結成後の最高傑作だと思う。

★★★★☆(29/12/12)




Mr. M/Lambchop



¥1,276

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今年聴いた回数ではベスト3に入るであろう、Lambchopの実に11作目に当たるアルバム。


Lambchopは米ナッシュビル出身のバンド。


なかなかインパクトのあるジャケット。でも、こういうメンバーがいるわけではないのであしからず。


深く静かに展開する、フォーキーなカントリー・ミュージック。Wilcoの「Sky Blue Sky」あたりに通じる世界観。


決して分厚い音を鳴らすバンドではない。アコースティックギターとピアノ、そしてストリングスが基調となっているサウンド。聴いた感じはかなりシンプルな部類のサウンドであるが、クレジットを見ると意外にも多くの楽器が使われて作り上げられていることがわかる。ギターも1つの楽曲にだいたい2,3の音色をレイヤーしている。


それでいて、完成型は実に風通しの良いものになっている。余計なものが一切ない、ストイックなトラックだ。アンサンブルの美しさも半端ではない。


華やかさも壮大さもないけれど、とにかく聴いて欲しいのは生楽器の芳醇な響き。これがたまらない。実に瑞々しく、聴き手の心に染み渡っていく。「アコギの音って、こんなに良かったのか」と改めて


そして、フロントマンである、カート・ワグナーの歌も本当に素晴らしい。最高の声質で真摯に語りかけてくるような歌。この声で、どことなく悲しげで、やるせない思いを湛えたメロディーを歌われると、胸がぎゅうぎゅうに締め付けられる。


 自分たちの内にある音楽に真摯に向き合い、誠実に奏で続けるバンドと出会えたことを、心から喜びたい。こういうチャンスは年にそうそうあるものではないのだ。


 曲解説も書いていたんだけど、そんな説明もいらないほど、本当に素晴らしいんです。夏、夕暮れに聴くのが好きだったんだけど、冬になってコーヒー飲みながら聴くのもとても良いです。
★★★★★(26/12/12)






Centipede Hz/Animal Collective



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アニコレ、約3年ぶりのニュー・アルバム。


前作の聴きやすさの反動的作品になるかと思ったが、全くそんなことはなかった。


相変わらずエクスぺリメンタルでカオティック。肉食獣のようなサウンド。


それでいて、太古の音楽のようなメロディーが加わると、もう彼らの世界が完結してしまう。そこに潜り込めるか、この世界に浸ることができるか。


彼らのサウンドの肝は、創作エネルギーが蜷局を巻いているような音の情報量の洪水だと思うのだけど、以前と比べると若干収まりが良くなってきたような気がする。かつては野放図にさえ見えたサウンド・プロダクションもかなり計算されるようになったのではないだろうか。


この辺の要因は、前作から「歌を大事にしている」ことにあるんじゃないかと思う。今作も非常にヴォーカルが立った楽曲が多い。唯一無二のサウンドスケープへの欲求は貫徹しつつも、ポップ/ロックのフィールドで勝負しているのはさすがとしか言いようがない。


そうはいっても、個人的には洪水的なナンバーが好きだったりする。New Town Burnout,Monkey Riches,Mercury Manの流れが最高に好きです。


全体的にはある一定の勢いをキープした構成になっている。それゆえ、割とテンポがあってかなり聞きやすいように感じた。「メリウェザーよりは~」っていう意見が多いけど、個人的には今作も遜色ないくらいだと思っている。というか、むしろこっちの方がよく聴いているかも。


この作品を聴くときは、なるべくヘッドフォンをするようにしている。ヘッドフォンの方が音の分離を確かめやすいし、サウンドスケープの深遠さを味わうことができる。お勧めです。


★★★★☆(25/12/12)




Celebration Rock/Japandroids



¥1,221

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カナダはバンクーバーから出たギターとドラムス2人組、Japandroidsのセカンド。


最近やや影を潜めつつあるガレージ・ロックだけど、これは実に気持ちいい。


何が気持ちいいのかというと、まぁとにかく徹頭徹尾走りまくっているから。どこを切ってもエモーショナルで熱い。決して門戸の広いサウンドではないが、ロックの雑味やえぐみをたっぷり味わいたい人にはたまらないと思う。もちろん僕もその一人。


全8曲で30分ちょっと。やぶれかぶれで、ひたすらアッパーなロック・チューンが続く。ざらつき、唸りまくるギターとやたらめっぽうに叩き出されるドラム、がなり続けるヴォーカル、それが全て。


ただ、かなり「勢いありき」なように見えて、不思議とそれだけではないような気がしてくる。


それはまずメロディーの良さがあるかもしれない。自分たちのサウンド・フォーマットにぴったりとはまるメロディーラインを作り出している。荒馬がはね回るかのような荒々しさもあれば、ライブでシンガロング必至のキャッチーさを持ったものもある。


サウンド面では、2ピースバンドのような音を出したくないと、彼らなりに工夫しているようだ。例えばギターは複数のアンプにつないで、音色や音量を変えているらしい。ラストのContinuous Thunderでのギターはシンセの洪水のように聞こえる。


音数を増やしたいという狙いがあるのなら、単純にサポートを入れればいいように思うのだが、その「枷」の中で、逆に彼らのクリエイティビティーが爆発しているから面白い。そして、音の一つ一つに「かっこいいロックンロールを作る可能性は、たった二人でも無限に広がっている」という彼らのロックンロールへのアティチュードも感じられるのだ。考え過ぎかな?


今年のガレージの中では最高の一枚。何度車の中で爆音でかけたことか。No Age,Cloud Nothingsが好きな人にもお勧めできます。


★★★★☆(23/12/12)