I Bet On Sky/Dinosaur Jr. | Surf’s-Up

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I Bet on Sky/Dinosaur Jr.



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ダイナソー、3年ぶりのニュー・アルバム。

最近はソロのプロジェクトも含めて精力的に活動しているJ。

昔の無気力大王からは想像できないほどのワーカホリックぶりを見せる彼だけど、どれも充実を見せている。特に、昨年のソロアルバムは素晴らしかった。

 オープニングのDon't Pretend You Didn't Know、これが最高。間違いなくダイナソー節なんだけど、最初聞いたら「あれ?」って思うはず。

脳天かち割る勢いで、ざらついたギターをぶちかますかと思いきや、メランコリックなメロディーと控えめなカッティング、そして切なげなキーボードサウンド。どことなくウェットなテイストとJの悲痛にも聞こえるヴォーカルが、背中にゾクゾクと来る。そして、さらに悲痛なギターソロが加わり、いきなりハイライトと言うべき瞬間が訪れる。

 2曲目Watch The Cornerでは、どっしりとしたグルーヴの中、ダイナソー流ブルージー・ロックを聴かせる。3人のグルーヴは相変わらずドライでヒリヒリしているけど、そこで生じる「ささくれ」が聞き手の感性を痛いほどに刺激してくる。

5曲目Rudeはルーのナンバー。これがほどよくポップで、Jには無いテイストが全開。これがなんとなく収まりが良くて好き。Lemonheadsを思い出しました。

全体的にミドルテンポの曲が多く、やや控えめな印象がある。サウンドの幅が広がったのは、最近の各メンバーの活動がダイナソーに良い感じに還元されているのだろう。

I Know It Oh So Wellなんかは、Jのディストーション・ギターがなかったら陽気なファンキー・ポップって感じだろう。もちろん、ダイナソーはどんなテイストのものもJのフリーキーなギターでやってしまうから、まごうことないロックへと昇華させることができる。今作では、その武器の可能性を試しているようにも見える。それゆえ、ダイナソーのアルバムにありがちな一本調子感があまり感じられない。

リミッター外れたような轟音チューンを期待していた人は、やや肩すかしを食らったかもしれない。でも、個人的には再結成後の最高傑作だと思う。

★★★★☆(29/12/12)