Django Django | Surf’s-Up

Surf’s-Up

音楽の話を中心に。時にノスタルジックに

Surf’s-Upイースト・ロンドンを拠点に活動している4人組、ジャンゴ・ジャンゴのファースト。中心人物であるデイヴ・マクレーンは、かつてThe Beta Bandを率いていたジョン・マクレーンの弟だとのこと。先日はフジロックにも出演し、早い時間だったにもかかわらず多くのお客さんが集まり、自然にこだまするビートに会場全体が揺れていたことを思い出す。


 オープニングは、どことなくアニコレを彷彿とさせるイントロダクションから、電子音とトライバル・ビートが徐々にグルーヴィーに展開していくHail Bopへとつながっていく。シンプルなメロディーをコーラスワークで深みを持たせていくという、この1曲で彼らの魅力をかなり知ることができる。続くアンセムナンバー、Defaultではギター・カッティングとさらに飛び交う電子音が聴き手の脳を揺さぶってくる。なかなか言葉では説明できないが、適度に力が抜けていてそれが何とも心地よい。


 大陸的なビートに薄っぺらい電子音、その軽重とさじ加減で独特のグルーヴ感を生み出しているとともに、牧歌的でシンプルながらよく練られたと思われるメロディー、そして巧みなコーラスワークを組み合わせてサイケポップな音空間を作り出している。僕の第一印象は、「フリート・フォクシーズmeetsクラフトワーク」だった。


 雑多な音楽性をベースにしているのは明らかで、音楽の情報量としては明らかに多い方だけど、重苦しさを全然感じさせない。祝祭的なグルーヴを描いていても不思議と濃厚な感じがない。この辺はレイヤーサウンドのセンスの良さがあると思うんだけど、アニコレのように徹底的にサイケデリアの世界を描写していくのではなくて、ジャンゴ・ジャンゴの場合はもっと淡い色彩で、アートとポップのギリギリの境界線にあるものを見せようとしているように感じる。それゆえの「親しみやすさ」がこのアルバムにはあると思う。


 デビューアルバムとしては出来過ぎなんじゃないかと思うくらい完成しているのが逆に今後不安に思わせるところはあるけど、手放しで賞賛したくなる一枚。中毒性も非常に高い。


★★★★☆(17/08/12)