Q 年次有給休暇の買上げが違法とならない場合とはどういう場合ですか。
Q 年次有給休暇の買上げが違法とならない場合とはどういう場合ですか。
年次有給休暇の買上げは違法です。法の趣旨は有給で休ませることにあり、金銭給付によって休ませないことは趣旨に反します。しかし、以下の場合には趣旨を阻害しない限り、違法とはならないと思われます。
1.権利の発生から2年が経過し、時効が成立した年次有給休暇の買上げ
時効が成立した年次有給休暇はもう請求する権利がないので、買上げでも違法になりません。しかし、そうした内容を社内で制度化してしまうと、休むことに対する抑制効果が生じますので、違法ではないですが、好ましくないことになります。
2.法定を上回る年次有給休暇の買上げ
法の関知するところではありませんので、買上げは自由です。
3.退職時の買上げ
退職時に年次有給休暇が残っている場合、労働者は取得しようにもできないので、これを買上げることは法の趣旨を阻害するものではなく違法とはなりません。もっとも、こうしたことを制度化して休むことを抑制することは好ましくありません。
退職間近で会社側から買上げを条件に年次有給休暇の請求に応じないようなことは明らかに労働基準法違反となります。
退職日と年次有給休暇の発生日の関係、業務上の関係など不可抗力によって取得ができないような場合に限って買上げも可能と理解すべきと思います。
年次有給休暇の買上げは違法です。法の趣旨は有給で休ませることにあり、金銭給付によって休ませないことは趣旨に反します。しかし、以下の場合には趣旨を阻害しない限り、違法とはならないと思われます。
1.権利の発生から2年が経過し、時効が成立した年次有給休暇の買上げ
時効が成立した年次有給休暇はもう請求する権利がないので、買上げでも違法になりません。しかし、そうした内容を社内で制度化してしまうと、休むことに対する抑制効果が生じますので、違法ではないですが、好ましくないことになります。
2.法定を上回る年次有給休暇の買上げ
法の関知するところではありませんので、買上げは自由です。
3.退職時の買上げ
退職時に年次有給休暇が残っている場合、労働者は取得しようにもできないので、これを買上げることは法の趣旨を阻害するものではなく違法とはなりません。もっとも、こうしたことを制度化して休むことを抑制することは好ましくありません。
退職間近で会社側から買上げを条件に年次有給休暇の請求に応じないようなことは明らかに労働基準法違反となります。
退職日と年次有給休暇の発生日の関係、業務上の関係など不可抗力によって取得ができないような場合に限って買上げも可能と理解すべきと思います。
Q 振替休日と代休の違いと留意点は何ですか。
Q 振替休日と代休の違いと留意点は何ですか。
日常、この2つを混同して使っている会社がありますが、法的に大きく差異があります。振替休日は休日を他の労働日に振り替えることをさします。例えば、日曜日が休日の場合、翌日の月曜日と振り替えるということは、日曜日を労働日とし、月曜日を休日とすることになります。この場合、日曜日は労働日なので日曜日に労働させても休日労働にはなりません。したがって、休日労働手当の支給は不要です。月曜日は休日になるので、月曜日に労働させると休日労働ということになります。
振替休日の要件は、
・ 就業規則に規定する。
・ 事前に振替日を指定する。
・ 労働基準法の休日の要件をみたす。
などがあります。
次に代休ですが、事前に振替をせず、休日労働の代償として他の労働日に休みを与えることをさします。前記の例だと、日曜日に労働させ、その代わりに月曜日に休ませることになります。この場合は、休日である日曜日に労働させたという事実から休日労働となり、休日労働手当を支給しなければなりません。
代休の場合の休日労働手当をいくら支給するかも問題です。多くの会社では、割増手当分だけ支給しているケースが多いようです。例えば、日給1万円で割増率が3割5分の場合、3,500円支給するというケースです。つまり、休日労働1日分は13,500円ですが、代休で1日分の10,000円控除、差し引き3,500円支給すれば足りるだろうということです。
しかし、先の話で代休日はあくまで労働日です。労働日に休ませているのだから、労働者に働く意思があれば、強制的に休業させていると言えなくもないです。そうなると使用者の責に帰すべき事由による休業ということで、休業手当の支給要件に該当してしまいます。こうしたことを避けるために代休日は賃金を支給しない旨を明確に就業規則に定めなければなりません。したがって、3,500円の支給で問題ないことになります。
3割5分の割増率は法定の休日労働に適用されます。つまり、週1回の休日または4週4日の休日労働の場合に適用されます。週休2日制の場合の1日の休日には適用されません。この場合は、週法定労働時間の40時間を超えると2割5分の割増を支払わなければなりません。ですから代休をその週内に与えれば、週労働時間は変化しませんので、割増は不要となります。
できるかぎり計画的な休日と労働日を設けることが業務の効率化をすすめます。そのためにも代休ではなく、振替休日制度を整備して振替休日を優先させ、代休はやむを得ない場合のみと従業員が認識する風土を築いておくことが望ましいと思います。
日常、この2つを混同して使っている会社がありますが、法的に大きく差異があります。振替休日は休日を他の労働日に振り替えることをさします。例えば、日曜日が休日の場合、翌日の月曜日と振り替えるということは、日曜日を労働日とし、月曜日を休日とすることになります。この場合、日曜日は労働日なので日曜日に労働させても休日労働にはなりません。したがって、休日労働手当の支給は不要です。月曜日は休日になるので、月曜日に労働させると休日労働ということになります。
振替休日の要件は、
・ 就業規則に規定する。
・ 事前に振替日を指定する。
・ 労働基準法の休日の要件をみたす。
などがあります。
次に代休ですが、事前に振替をせず、休日労働の代償として他の労働日に休みを与えることをさします。前記の例だと、日曜日に労働させ、その代わりに月曜日に休ませることになります。この場合は、休日である日曜日に労働させたという事実から休日労働となり、休日労働手当を支給しなければなりません。
代休の場合の休日労働手当をいくら支給するかも問題です。多くの会社では、割増手当分だけ支給しているケースが多いようです。例えば、日給1万円で割増率が3割5分の場合、3,500円支給するというケースです。つまり、休日労働1日分は13,500円ですが、代休で1日分の10,000円控除、差し引き3,500円支給すれば足りるだろうということです。
しかし、先の話で代休日はあくまで労働日です。労働日に休ませているのだから、労働者に働く意思があれば、強制的に休業させていると言えなくもないです。そうなると使用者の責に帰すべき事由による休業ということで、休業手当の支給要件に該当してしまいます。こうしたことを避けるために代休日は賃金を支給しない旨を明確に就業規則に定めなければなりません。したがって、3,500円の支給で問題ないことになります。
3割5分の割増率は法定の休日労働に適用されます。つまり、週1回の休日または4週4日の休日労働の場合に適用されます。週休2日制の場合の1日の休日には適用されません。この場合は、週法定労働時間の40時間を超えると2割5分の割増を支払わなければなりません。ですから代休をその週内に与えれば、週労働時間は変化しませんので、割増は不要となります。
できるかぎり計画的な休日と労働日を設けることが業務の効率化をすすめます。そのためにも代休ではなく、振替休日制度を整備して振替休日を優先させ、代休はやむを得ない場合のみと従業員が認識する風土を築いておくことが望ましいと思います。
Q 退職予定者が退職日までの間に残っているすべての有給休暇を請求してきました。なんとか退ける方法
Q 退職予定者が退職日までの間に残っているすべての有給休暇を請求してきました。なんとか退ける方法はないでしょうか。
社員が有給休暇の指定した日に休むと、事業の正常な運営を妨げる場合に限って、会社は社員の請求した時季を変更することができます。これを「時季変更権」といいます。
しかし、上記の例の場合では、時季変更権の行使をすると、代わりに休ませる日が退職日までにはなく、退職後となってしまいます。退職後に有給休暇で休むというのは現実的にありえません。ですから、時期変更権の行使はできないことになります。
会社は業務の引継ぎなどの重要性を退職予定者に説明して、請求を思いとどまってもらうしかありません。場合によっては、残った有給休暇を有償で買い上げることが必要になるでしょう。
社員が有給休暇の指定した日に休むと、事業の正常な運営を妨げる場合に限って、会社は社員の請求した時季を変更することができます。これを「時季変更権」といいます。
しかし、上記の例の場合では、時季変更権の行使をすると、代わりに休ませる日が退職日までにはなく、退職後となってしまいます。退職後に有給休暇で休むというのは現実的にありえません。ですから、時期変更権の行使はできないことになります。
会社は業務の引継ぎなどの重要性を退職予定者に説明して、請求を思いとどまってもらうしかありません。場合によっては、残った有給休暇を有償で買い上げることが必要になるでしょう。
Q パートタイマーの年次有給休暇付与日数の計算根拠はどうなっていますか。
Q パートタイマーの年次有給休暇付与日数について、以前は所定労働日数3日、年間所定労働日数121~168日の場合7日付与と思っていましたが、先日、別の書籍を見ていたら8日付与になっていました。他の書籍で調べたら7日であったり、8日であったりいろいろです。どれが正しいですか。また、この計算根拠はどうなっていますか。
パートタイマーの年次有給休暇は、「所定労働日数が少ない労働者に対する年次有給休暇の比例付与」という方法で付与されます。一般的には一覧表になっていて該当する日数を確認するのですが、この計算根拠となる数字が法改正で変わりますので、計算根拠を知っておくと便利です。
比例付与は、通常の労働者の一週間の所定労働日数として命令で定める日数と当該労働者(この場合はパートタイマー)の一週間の所定労働日数(または平均所定労働日数)との比率を考慮して命令で定めるとされています。この「命令で定める日数」が法改正により、いつの間にか変わっていることがあります。平成9年4月に5.7日から5.3日に改正され、平成13年4月に5.3日から5.2日に改正されました。
計算根拠は、ご質問の該当箇所でいうと、通常の労働者は14日付与です。
これを比例付与で計算してみると、
14日×3日(所定労働日数)÷5.2日(命令で定める日数)=8.07日
端数は切り捨てるので、「8日」が正解です。
これが以前は
14日×3日(所定労働日数)÷5.3日(命令で定める日数)=7.92日
であったため7日でした。
書籍の発行日を確認してみてください。その当時は正しかったのだと思います。
このような法改正、特にこの場合は労働基準法施行規則の改正なので、知らずに過ぎてしまうこともしばしばありますので、注意が必要です。
ちなみに平成9年4月の改正で、「所定労働日数が通常の労働者に比し相当程度少ない労働者であっても、一週間の所定労働時間が命令で定める時間以上の者は、比例付与の対象とせず通常の年次有給休暇を付与する」の「命令で定める時間」は35時間から30時間に改正されています。
パートタイマーの年次有給休暇は、「所定労働日数が少ない労働者に対する年次有給休暇の比例付与」という方法で付与されます。一般的には一覧表になっていて該当する日数を確認するのですが、この計算根拠となる数字が法改正で変わりますので、計算根拠を知っておくと便利です。
比例付与は、通常の労働者の一週間の所定労働日数として命令で定める日数と当該労働者(この場合はパートタイマー)の一週間の所定労働日数(または平均所定労働日数)との比率を考慮して命令で定めるとされています。この「命令で定める日数」が法改正により、いつの間にか変わっていることがあります。平成9年4月に5.7日から5.3日に改正され、平成13年4月に5.3日から5.2日に改正されました。
計算根拠は、ご質問の該当箇所でいうと、通常の労働者は14日付与です。
これを比例付与で計算してみると、
14日×3日(所定労働日数)÷5.2日(命令で定める日数)=8.07日
端数は切り捨てるので、「8日」が正解です。
これが以前は
14日×3日(所定労働日数)÷5.3日(命令で定める日数)=7.92日
であったため7日でした。
書籍の発行日を確認してみてください。その当時は正しかったのだと思います。
このような法改正、特にこの場合は労働基準法施行規則の改正なので、知らずに過ぎてしまうこともしばしばありますので、注意が必要です。
ちなみに平成9年4月の改正で、「所定労働日数が通常の労働者に比し相当程度少ない労働者であっても、一週間の所定労働時間が命令で定める時間以上の者は、比例付与の対象とせず通常の年次有給休暇を付与する」の「命令で定める時間」は35時間から30時間に改正されています。
Q パートタイマーにも育児休業・介護休業を与えなければなりませんか。
Q パートタイマーにも育児休業・介護休業を与えなければなりませんか。
育児・介護休業法によると以下の項目を除いたすべての労働者が対象となります。
1.日々雇用される者
2.期間を定めて雇用される者
3.労使協定により除外される者
したがって、例え短時間でも働いていれば、上記以外である限り与えなければなりません。
◆育児休業
育児休業は子供が1歳になるまで連続して労働者が取得できます。労働者は書面で休業開始1ヶ月前までに事業主に申請します。労働者が育児休業をとらずに1歳未満の子供を養育する場合または1歳以上3歳未満の子供を養育する場合は事業主は以下のいずれかを実施します。
1.短時間勤務制度
2.フレックスタイム制
3.始業、終業時刻の繰上げ、繰下げ
4.所定外労働の制限
5.事業所内託児施設の設置運営
労使協定により対象者から除外される者には以下の者があります。
・ 雇用されてから1年未満の者
・ 配偶者が常に子供を養育できる者
・ 1年以内に雇用関係が終了する者
・ 1週間の所定労働時間が2日以下の者
・ 内縁の妻(夫)が常に子供を養育できる者
◆介護休業
介護休業は要介護状態にある対象家族(配偶者、父母、子、配偶者の父母、同居かつ扶養されている祖父母・兄弟姉妹・孫)を介護する労働者が取得できます。対象家族1人につき1回、連続する3ヶ月が限度です。労働者は書面で休業開始2週間前までに事業主に申請します。労働者が対象家族を介護するにもかかわらず介護休業をとらなかったり、3ヶ月より短く休業する場合は事業主は以下のいずれかを実施します。
1.短時間勤務制度
2.フレックスタイム制
3.始業、終業時刻の繰上げ、繰下げ
4.労働者が利用する介護サービス費用の助成制度
上記の措置を利用できる期間は連続3ヶ月です。介護休業と併用する場合は、3ヶ月から当該期間を引いた残りの期間となります。
労使協定により対象者から除外される者には以下の者があります。
・ 雇用されてから1年未満の者
・ 3ヶ月以内に雇用関係が終了する者
・ 1週間の所定労働時間が2日以下の者
育児・介護休業法によると以下の項目を除いたすべての労働者が対象となります。
1.日々雇用される者
2.期間を定めて雇用される者
3.労使協定により除外される者
したがって、例え短時間でも働いていれば、上記以外である限り与えなければなりません。
◆育児休業
育児休業は子供が1歳になるまで連続して労働者が取得できます。労働者は書面で休業開始1ヶ月前までに事業主に申請します。労働者が育児休業をとらずに1歳未満の子供を養育する場合または1歳以上3歳未満の子供を養育する場合は事業主は以下のいずれかを実施します。
1.短時間勤務制度
2.フレックスタイム制
3.始業、終業時刻の繰上げ、繰下げ
4.所定外労働の制限
5.事業所内託児施設の設置運営
労使協定により対象者から除外される者には以下の者があります。
・ 雇用されてから1年未満の者
・ 配偶者が常に子供を養育できる者
・ 1年以内に雇用関係が終了する者
・ 1週間の所定労働時間が2日以下の者
・ 内縁の妻(夫)が常に子供を養育できる者
◆介護休業
介護休業は要介護状態にある対象家族(配偶者、父母、子、配偶者の父母、同居かつ扶養されている祖父母・兄弟姉妹・孫)を介護する労働者が取得できます。対象家族1人につき1回、連続する3ヶ月が限度です。労働者は書面で休業開始2週間前までに事業主に申請します。労働者が対象家族を介護するにもかかわらず介護休業をとらなかったり、3ヶ月より短く休業する場合は事業主は以下のいずれかを実施します。
1.短時間勤務制度
2.フレックスタイム制
3.始業、終業時刻の繰上げ、繰下げ
4.労働者が利用する介護サービス費用の助成制度
上記の措置を利用できる期間は連続3ヶ月です。介護休業と併用する場合は、3ヶ月から当該期間を引いた残りの期間となります。
労使協定により対象者から除外される者には以下の者があります。
・ 雇用されてから1年未満の者
・ 3ヶ月以内に雇用関係が終了する者
・ 1週間の所定労働時間が2日以下の者