Q 当社では全員を対象としない継続雇用制度を導入します。特例措置の期間が切れてしまうと就業規則で
Q 「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の改正に伴い、当社では全員を対象としない継続雇用制度を導入します。労使協定で対象となる高齢者の基準を定めますが、再三の話し合いにかかわらず、調わないため、特例措置により就業規則で基準を定めるつもりです。その場合に特例措置の期間が切れてしまうと就業規則で定めたにもかかわらず、労使協定を締結しなければなりませんか。
労使との話し合いが調わないと、平成18年4月1日から3年間または5年間は特例措置として、労使協定ではなく、就業規則で継続雇用制度の対象となる高齢労働者の基準を定めることができます。
この期間を過ぎたときの扱いについてですが、原則として、労使協定を締結することが必要になると思います。行政側も「特例期間満了後は改めて労使協定で継続雇用の基準を締結しなおす必要がある」と考えているようです。
合意ができないから、就業規則で使用者側が一方的に決めてしまうのは、法の趣旨ではないと思います。とりあえず、特例期間は猶予期間として設けられていると認識しておく必要があるのではないでしょうか。
したがって、期間を過ぎても放置しておくと、就業規則に定められた基準は採用できず、希望者全員を継続雇用の対象とすることになります。
労使との話し合いが調わないと、平成18年4月1日から3年間または5年間は特例措置として、労使協定ではなく、就業規則で継続雇用制度の対象となる高齢労働者の基準を定めることができます。
この期間を過ぎたときの扱いについてですが、原則として、労使協定を締結することが必要になると思います。行政側も「特例期間満了後は改めて労使協定で継続雇用の基準を締結しなおす必要がある」と考えているようです。
合意ができないから、就業規則で使用者側が一方的に決めてしまうのは、法の趣旨ではないと思います。とりあえず、特例期間は猶予期間として設けられていると認識しておく必要があるのではないでしょうか。
したがって、期間を過ぎても放置しておくと、就業規則に定められた基準は採用できず、希望者全員を継続雇用の対象とすることになります。
Q 60歳定年はそのままで再雇用制度を設けて65歳まで全員雇用することにしました。助成金は受けら
Q 60歳定年はそのままで再雇用制度を設けて65歳まで全員雇用することにしました。助成金は受けられますか。
Q この度、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の改正に伴い、当社では60歳定年はそのままで再雇用制度を設けて65歳まで全員雇用することにしました。60歳定年は平成10年に導入しており、それ以前は定年制を設けていませんでした。助成金は受けられますか。
この場合、「継続雇用定着促進助成金」の「継続雇用制度奨励金(第?種)」が該当するかどうかが焦点です。そのためには4つの条件にすべて該当する必要があります。4つの条件は以下のとおりです。
1. 下記2.の継続雇用制度導入日から1年以上前において労働協約または就業規則に
より60歳以上の定年が定められていること。
2. 労働協約または就業規則により、次の(イ)または(ロ)に該当する継続雇用制
度を設けたこと。
(イ) 定年延長等
次のaまたはbのいずれかにより、61歳以上の年齢まで雇用する制度を設けたこと。
a 定年を61歳以上の年齢に引き上げることにより、当該引き上げ前
の定年を超える年齢の者を当該引き上げ後の定年に達するまで雇用
する制度。
b 定年前と同一またはそれ以上の労働条件(労働時間、賃金制度等)
を適用して期間の定めのない雇用契約により雇用する再雇用制度、
勤務延長制度または在籍出向制度。
(ロ) 定年延長以外の継続雇用制度
上記(イ)のbを除く再雇用制度、勤務延長制度または在籍出向制度により、65歳以上の年齢まで雇用する制度を設けたこと。
3. 上記2.の継続雇用制度の導入前の過去における定年または継続雇用制度による最高の退職年齢を超えるものであること。
4. 上記2.の継続雇用制度を導入した日において、常用被保険者のうち、1年以上継
続して雇用されている55歳以上65歳未満の常用被保険者が1人以上雇用されていること。
平成10年に60歳定年を導入して、それ以前は定年制がなかったということですが、定年制がなかったということは、つまり「青天井」で雇用することを意味します。青天井の雇用を一旦60歳定年にして、今回再雇用で65歳まで全員雇用するということは、過去の労働条件を上回って今回改正したとはいえません。当該助成金の趣旨は、労働条件の改善が根底にありますので、助成金の受給は不可となります。
ただし、過去の就業規則に「定年制を設けない」という文言がまったく記載ないケースでは、青天井といっても退職者の年齢がすべて60歳以下であったというような実態が証左(離職票の控えなど)で確認できれば、認められる可能性があります。しかし、過去の就業規則に「定年制を設けない」と記載されている場合は、たとえ退職者が60歳以下で退職している実態が確認できても助成金の受給は不可と考えられます。(助成金の審査では過去の就業規則の提出を求められます。)
Q この度、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の改正に伴い、当社では60歳定年はそのままで再雇用制度を設けて65歳まで全員雇用することにしました。60歳定年は平成10年に導入しており、それ以前は定年制を設けていませんでした。助成金は受けられますか。
この場合、「継続雇用定着促進助成金」の「継続雇用制度奨励金(第?種)」が該当するかどうかが焦点です。そのためには4つの条件にすべて該当する必要があります。4つの条件は以下のとおりです。
1. 下記2.の継続雇用制度導入日から1年以上前において労働協約または就業規則に
より60歳以上の定年が定められていること。
2. 労働協約または就業規則により、次の(イ)または(ロ)に該当する継続雇用制
度を設けたこと。
(イ) 定年延長等
次のaまたはbのいずれかにより、61歳以上の年齢まで雇用する制度を設けたこと。
a 定年を61歳以上の年齢に引き上げることにより、当該引き上げ前
の定年を超える年齢の者を当該引き上げ後の定年に達するまで雇用
する制度。
b 定年前と同一またはそれ以上の労働条件(労働時間、賃金制度等)
を適用して期間の定めのない雇用契約により雇用する再雇用制度、
勤務延長制度または在籍出向制度。
(ロ) 定年延長以外の継続雇用制度
上記(イ)のbを除く再雇用制度、勤務延長制度または在籍出向制度により、65歳以上の年齢まで雇用する制度を設けたこと。
3. 上記2.の継続雇用制度の導入前の過去における定年または継続雇用制度による最高の退職年齢を超えるものであること。
4. 上記2.の継続雇用制度を導入した日において、常用被保険者のうち、1年以上継
続して雇用されている55歳以上65歳未満の常用被保険者が1人以上雇用されていること。
平成10年に60歳定年を導入して、それ以前は定年制がなかったということですが、定年制がなかったということは、つまり「青天井」で雇用することを意味します。青天井の雇用を一旦60歳定年にして、今回再雇用で65歳まで全員雇用するということは、過去の労働条件を上回って今回改正したとはいえません。当該助成金の趣旨は、労働条件の改善が根底にありますので、助成金の受給は不可となります。
ただし、過去の就業規則に「定年制を設けない」という文言がまったく記載ないケースでは、青天井といっても退職者の年齢がすべて60歳以下であったというような実態が証左(離職票の控えなど)で確認できれば、認められる可能性があります。しかし、過去の就業規則に「定年制を設けない」と記載されている場合は、たとえ退職者が60歳以下で退職している実態が確認できても助成金の受給は不可と考えられます。(助成金の審査では過去の就業規則の提出を求められます。)
Q 高年齢者雇用安定法改正による雇用延長はパート社員や臨時社員も対象となりますか。
Q 高年齢者雇用安定法改正による雇用延長はパート社員や臨時社員も対象となりますか。
基本的には非正規社員も対象となり、65歳以上の定年、65歳までの雇用継続、定年の廃止のいずれかを導入しなければなりません。ただし、パート、臨時、嘱託、契約など雇用契約期間の定めがあり、一時的な雇用の場合は、対象からはずれます。
ここで問題となるのは、期間の定めのある雇用契約が反復更新されている場合です。判例でも、反復更新されることで雇用期間の定めのない契約としているものもあります。しかし、だからといって定年までの雇用を保障することにはならないと思います。昨今の判例では、労働者の雇用が更新される期待権が発生しているとしている説が有力だからです。つまり、この期待権の侵害にあたるにすぎないから、「雇用契約の反復更新=定年までの雇用」と考えるべきではないと思います。行政側からすれば、定年までの雇用が望ましいとするでしょうが、特殊な事情がない限り定年までの雇用は考えなくてよいと思います。
基本的には非正規社員も対象となり、65歳以上の定年、65歳までの雇用継続、定年の廃止のいずれかを導入しなければなりません。ただし、パート、臨時、嘱託、契約など雇用契約期間の定めがあり、一時的な雇用の場合は、対象からはずれます。
ここで問題となるのは、期間の定めのある雇用契約が反復更新されている場合です。判例でも、反復更新されることで雇用期間の定めのない契約としているものもあります。しかし、だからといって定年までの雇用を保障することにはならないと思います。昨今の判例では、労働者の雇用が更新される期待権が発生しているとしている説が有力だからです。つまり、この期待権の侵害にあたるにすぎないから、「雇用契約の反復更新=定年までの雇用」と考えるべきではないと思います。行政側からすれば、定年までの雇用が望ましいとするでしょうが、特殊な事情がない限り定年までの雇用は考えなくてよいと思います。
Q 「退職者が会社に対する債務がある場合は退職金と相殺する」という趣旨の規定は有効ですか。
Q 「退職者が会社に対する債務がある場合は退職金と相殺する」という趣旨の規定は有効ですか。
「賃金全額払いの原則」(労基法24条)により原則として相殺は禁止です。退職金は退職金規程で受給権が確定しているため、このように解釈されます。しかし、債務があることは事実なので、規程上の表記としては「相殺する」ではなく、「弁済の義務を負う」というような表現が適切と思います。
「賃金全額払いの原則」(労基法24条)により原則として相殺は禁止です。退職金は退職金規程で受給権が確定しているため、このように解釈されます。しかし、債務があることは事実なので、規程上の表記としては「相殺する」ではなく、「弁済の義務を負う」というような表現が適切と思います。
Q 退職者が死亡した場合の退職金の受給権者は、どのように決めるべきですか。
Q 退職者が死亡した場合の退職金の受給権者は、どのように決めるべきですか。
退職金制度を設けるかどうかは企業の自由です。したがって、その設計内容は企業が決めることになります。死亡退職の場合に誰を受給権者とするかという問題も企業の自由となります。しかし、自由だからといってその都度決定することはよくありません。退職金規程にその旨をきちんと記載する必要があります。
死亡するまでの未払賃金が相続財産になるのに対して、退職金は相続財産に属しません。未払賃金は既に権利が発生しており、企業が受給権者を自由に指定すると法令違反となります。しかし、死亡退職は退職金の支払請求権が死亡によって発生するので、死亡した従業員はその権利を取得することはありません。したがって、相続財産に属さないことになるわけです。もちろん、退職金の支払請求権が発生してから死亡すれば相続財産となります。
一般的には受給権者を労基法施行規則42条ないし45条、労災法16条の7の準用とすることが多いようです。この場合、他の遺族に受給権者についての説明をしなければならない可能性があります。受給権者を相続人とすることも考えられますが、相続関係が複雑になると企業側の精神的、時間的負担が増します。
後々のトラブルは企業にとってのコストです。「死亡退職金は遺族に支給する」というようなあいまいな規定は避け、受給権者を明確にすることが大切です。
退職金制度を設けるかどうかは企業の自由です。したがって、その設計内容は企業が決めることになります。死亡退職の場合に誰を受給権者とするかという問題も企業の自由となります。しかし、自由だからといってその都度決定することはよくありません。退職金規程にその旨をきちんと記載する必要があります。
死亡するまでの未払賃金が相続財産になるのに対して、退職金は相続財産に属しません。未払賃金は既に権利が発生しており、企業が受給権者を自由に指定すると法令違反となります。しかし、死亡退職は退職金の支払請求権が死亡によって発生するので、死亡した従業員はその権利を取得することはありません。したがって、相続財産に属さないことになるわけです。もちろん、退職金の支払請求権が発生してから死亡すれば相続財産となります。
一般的には受給権者を労基法施行規則42条ないし45条、労災法16条の7の準用とすることが多いようです。この場合、他の遺族に受給権者についての説明をしなければならない可能性があります。受給権者を相続人とすることも考えられますが、相続関係が複雑になると企業側の精神的、時間的負担が増します。
後々のトラブルは企業にとってのコストです。「死亡退職金は遺族に支給する」というようなあいまいな規定は避け、受給権者を明確にすることが大切です。