↓別の求め方など
正20面体の体積を求めていこうと思います。
上手く座標を置いて求める方法や、長方形が隠れているなど、気づけば簡単に求められますが、今回は図形的な性質をあまり使わずに求めていこうと思います。
正20面体は12個の頂点があります。ある頂点からみて、真裏の1点、辺で繋がっている5点と残り5点という風に分けることができます。
ある点と辺で繋がっている5点は、5点とも同じ平面にあることはすぐに受け容れられると思います。また、他の5点も同一平面上にあり、2つの平面は平行です。
ここで、この2つの平面で3つに切り分けます。
そうすると、正五角錐が上下で2つ、真ん中は正五角柱を捻ったもの(正反五角柱)に分けられます。
それらの高さを合計すると正20面体の中心から各頂点への長さがわかります。この長さから、正20面体の中心と各面でできる三角錐の高さと体積が求められます。この三角錐の20倍が正20面体の体積です。
今から切り分けた3つの立体の高さを求めていこうと思います。

まずは、上下の正五角錐の高さを求めていきます。2つとも同じ形です。
正五角錐の底面は正五角形(ABCDEとする)です。底面の中心をZ₁とします。Z₁と隣合う2点でできる三角形について余弦定理を用いると、中心角は360÷5=72°なので、
a²=Z₁C²+Z₁D²-2Z₁C×Z₁Dcos72°
Z₁C=Z₁D、cos72°=(-1+√5)/4だから、
a²=2Z₁C²-2Z₁C²×cos72°
a²=2Z₁C²{1-(-1+√5)/4}
a²=2Z₁C²{4-(-1+√5)}/4
a²=Z₁C²(5-√5)/2
Z₁Cについて解くと、
Z₁C²=2a²/(5-√5)
=(5+√5)a²/10
Z₁C=a√(50+10√5)/10
となりました。高さはXZ₁は
XZ₁²=XC²-Z₁C²
XZ₁²=a²-(5+√5)a²/10
XZ₁²=a²(5-√5)/10
XZ₁=a√(50-10√5)/10
と求まりました。

次に、真ん中のねじれた正五角柱(正反五角柱)の高さを求めます。
上から見ると、上下の面の中心は同じで向きがずれたものです。側面の10個の正三角形は傾いており、上から見ると正三角形の高さ方向が中心に向いています。正三角形の高さはa×sin60°=a√3/2です。
中心から正五角形の頂点までの長さは先ほど求めたZ₁C=a√(50+10√5)/10で、中心から辺までの長さZ₁Tは、
Z₁T²=Z₁C²-(a/2)²
Z₁T²=(5+√5)a²/10-a²/4
= (5+2√5)a²/20 よって、
Z₁T=a√(25+10√5)/10
です。この差が正三角形の高さa√3/2なので、高さZ₁Z₂は、
Z₁Z₂²=(a√3/2)²-{a√(50+10√5)/10-a√(25+10√5)/10}²
をみたします。これを計算していきます。

Z₁Z₂²=3a²/4-(a²/100)×{√(50+10√5)-√(25+10√5)}²
=(a²/100)×[3×25-{(50+10√5)+(25+10√5)-2×√{(50+10√5)(25+10√5)}}]
=(a²/100)×[75-{(75+20√5)-2×√(1750+750√5)}]
=(a²/100)×{75-75-20√5+2×5√(70+30√5)}
=(a²/100)×{-20√5+10√(70+2√1125)}
ここで、70=45+25、1125=45×25なので、
=(a²/100)×{-20√5+10(√45+√25)}
=(a²/100)×{-20√5+30√5+50}
=(a²/100)×(50+10√5)
=(5+√5)a²/10 よって、
Z₁Z₂=a√(50+10√5)/10

3つの立体の高さが分かった(正五角錐:a√(50-10√5)/10、ねじれた五角柱(正反五角柱):a√(50+10√5)/10)ので、向かい合う頂点の距離は、
2×a√(50-10√5)/10+a√(50+10√5)/10
=(a/10)×{2×√(50-10√5)+√(50+10√5)}
である。後ろの2つの二重根号を簡単にしたい。
2乗してから平方根を取っても値は変わらないので、
=(a/10)×√{2√(50-10√5)+√(50+10√5)}²
=(a/10)×√{4(50-10√5)+2×2√{(50-10√5)(50+10√5)}+(50+10√5)}
=(a/10)×√{200-40√5+4√2000+50+10√5}
=(a/10)×√(250+4×20√5-30√5)
=(a/10)×√(250+50√5)
=a√(10+2√5)/2 と求まりました。
頂点と中心の距離はこの半分なので、
a√(10+2√5)/4 となります。

ようやく正20面体の20分の1である三角錐の計算に持っていけました。正20面体の中心から頂点の距離は三角錐の頂点から底面の正三角形の頂点までの距離です。高さはこれと正三角形の頂点から中心までの距離から求められます。正三角形の中心から頂点までの距離は高さの2/3なので、
(2/3)×a√3/2=a√3/3です。よって三角錐の高さONは、
ON²={a√(10+2√5)/4}²-(a√3/3)²
をみたします。計算します。
ON²=(10+2√5)a²/16-a²/3
=(a²/48)×{3×(10+2√5)-16}
=(a²/48)×(30+6√5-16)
=(a²/48)×(14+6√5)
=(a²/48)×(14+2√45)
14=9+5、45=9×5なので、
=(a²/48)×(3+√5)² よって、
ON=(3+√5)a×(√3/12)となります。
正三角形の面積は(1/2)a²sin60°=a²√3/4なので、三角錐の体積は、
(1/3)×(a²√3/4)×(3+√5)a×(√3/12)
=(a³/144)×3(3+√5)
= (3+√5)a³/48
です。正20面体の体積はこの20倍なので
20×(3+√5)a³/48
=(5/12)×(3+√5)a³
=(15+5√5)a³/12
と導けました。

↓続編