前回は三角関数や双曲線関数とそれらの逆関数の微分についてまとめました。

双曲線関数については定義域についてしか触れていなかったので、

今回は三角関数と双曲線関数の類似点と相違点をまとめてみました。

 

三角関数はご存じのとおり、角度からx,y座標、傾き(それぞれcos,sin,tan)を求める関数です。

また、逆にsinθ,cosθ,tanθの値からθの値を求める関数、つまり、三角関数の逆関数を逆三角関数と呼びます。書き方は主にCos⁻¹xと書く流儀とArccosxと書く(Arcは弧の意味)流儀の2通りあります。前者は関数が短く書けるのが利点で、欠点は逆数(secθ=1/cosθなど)と紛らわしいことです。後者はその逆で、長くて読みにくいですが間違いにくいです。前者は逆数を表すときは分数にするかsecθなどを使うことで混乱を回避します。両者ともに1文字目を大文字で書くのは主値(複数の値から同じ値を返す関数では、逆関数の値が複数出てくるのを防ぐために予めどの範囲の値からとるか決めた値)を出すことを表しているようです。

 

双曲線関数は(直角)双曲線x²-y²=1上の点Pについて、OPと双曲線とx軸で囲まれた面積からx,y座標、傾き(それぞれcosh,sinh,tanh)を求める関数です。ハイパボリック・サインなどと名前が長いので適当に略されたりします。面積は何に使うかと言われても特に無いと思います。ただそういう性質があるということでしょう。逆関数は三角関数と同様に右上に-1と書く方法と前にArea(面積)を付ける方法があります。

 

まずは類似点から説明します。

・定義式が似ている。実はsin,cosなどを使わずに三角関数を表現できます。三角関数の式は虚数単位(i²=-1)のiが出てきますが、双曲線関数はそれを抜いたものになります。なお-iが出てくるのは1/i=-iだからです。これらの関数はcosθ=cosh(iθ)などの簡潔な関係式で表現できます。なぜ似ているかというと、単位円x²+y²=1と双曲線x²-y²=1の式が似ているからです。なお、tanθの式に-iを掛けるのを忘れないようにしましょう。

・マクローリン展開した形が似ている。これは複素数を使った関係式から説明ができます。2乗おきにしか項が出ないのでi²=-1倍ずつずれる(符号が交互)か全て揃うかになります。

・その他、相互変換公式・加法定理・微分が似ている。

これも式が似ているからです。ただし、符号は異なるところがあります。

・θが指す意味は、三角関数は弧の長さで双曲線関数は面積の半分と書きましたが、三角関数の方も扇形の面積をθ/2と書けます。また、楕円(acosθ,bsinθ)のθはx軸となす角ではなく、扇形の面積に関するものです(面積はabθ/2)。

 

逆に似ていない点は、

・グラフの形

数値が似てて符号が同じ式より数値が同じで符号が異なる式の方が出てくる値が大きく異なります。

cosxとcoshxは偶関数であること以外共通点はないです。また、sinhxとcoshxはsinxとcosxのような類似性は見られません。coshxは放物線のような形ですが違う曲線です。

意外なことにsinxとtanhx、tanxとsinhxの形が似ています(似たような係数なので)。

・逆関数の微分

これはグラフの形が似ていないので当然ですね。なお先程挙げたsinxとtanhx、tanxとsinhxの逆関数の微分は似た形になります。

 

双曲線関数は微分積分で稀によく見る関数です。

複素数を使わない関係式としてグーデルマン関数(1/coshxの0からxの定積分)やランベルト関数(1/cosxの0からxの定積分)があります(何故かこれらは互いに逆関数)。

 

三角関数や双曲線関数を出力できるほか、定積分を求めることもできます。