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さて、お子さんが「なめている」とひろこ様の目には映っているようですが、確かになめている言動ですね。
ただ、「なめている」状態にも生徒によっていろいろあって、お子さんの場合はそれほど悪い意味での「なめている」ではなく、ただ単に「内容が簡単すぎてやる気にならない」という意味の、ある意味で今の教育環境が生み出してしまった、本人にはそれほど罪の無い「なめている」だと言えそうです。
そして、どういうタイプの「なめている」であれ、なめている生徒に「なめている」と指摘したところで、大して意味はありません。
例えば、今我々は空気があるおかげで生きていけるのですが、「空気があることに感謝しなさい」と言われて、毎日寝る前に空気に対して深く感謝してから眠る人はいませんよね?
どれだけ正しいことを言われても、それがその人にとって当たり前のことなら、せいぜい「ああそうか」と思うくらいで、劇的に生活習慣を変えるようなことはしません。お子さんにしても、別に今の学力で困っていないのですから、ちょっと言われたくらいで、心を入れ替える必要性も習慣を変える必然性もないわけですね。
ただし、実際に空気の無い状況に追い込まれれば、普通に空気のある生活に感謝することもあるように、お子さんが実感として「まだまだ上には上がいるから頑張ろう」「もっと頑張らないと大変だ」と感じるようなことがあれば、話は変わってきます。
そのためには、書かれていたような「塾に入れる」のも確かに1つの方法で、普通の塾に無理に行かせても効果は期待できませんが、高い指導力を持った先生がいる塾や、良質な競争環境のある塾に入れることができれば変化は期待できるでしょう。
実際、昔そういうタイプの生徒で、毎年講習会だけ親の強制で塾に来るという生徒がいました。親御さんとしては塾に入れたがっていたわけですが、子供には全くその気がありません。
何しろ、もともと学年でもぶっちぎりの生徒で、普段塾で頑張っている他の生徒を抜いて軽々と上位に入ってしまうのですから、「ここで頑張って続けよう」などと思うはずがありません。私が移動してきたばかりの講習で初めて教えた時は、もちろん塾としては継続させたかったらしいのですが、「よくできる生徒だし、今塾に来る必要性は無い」と思って、引き止めることさえしませんでした(笑)
しかし、2回目に担当した時は少し事情が変わっていました。私の指導でクラス全体の雰囲気と学力が徐々に上がってきており、このあたりで強力なライバルのような存在がほしいと思っていました。そういう意味ではまさにうってつけの生徒だったため、塾の経営的な理由ではなしに「今回はぜひ継続させたい」と思って、授業内外でいくつかの仕掛けをしました。
結果的に、その生徒は講習終了後に入塾することとなりました。後で、どうしていつもは続けないのに今回は残ったのかを聞いてみたところ、「前は塾に来ても最初から上位だったし、もともと塾は好きじゃないから、最初は残るつもりは全く無かった。今回は最初から上位なのは同じだったが、周りの雰囲気が前までと全然違って、このままだと置いていかれてやばいと思った」というようなことを語ってくれました。
他に細かい理由もあったとは言え、まさに「まだまだ上には上がいるから頑張ろう」「もっと頑張らないと大変だ」を実感として本人が感じたという事実が決定打だったのですね。
ちなみに、後で親御さんから連絡があって、「いつも何も言わないのに、今回は絶対に続けたいと言われて親も驚いている。本人もやる気になっていてありがたい」と嬉しそうに言われました(笑)
強引な勧誘や、脅しのような説得では生徒も保護者も後味の良くない入塾になりがちですが、子供が目の前で良い方に変化したのを見れば、心から気持ちよく送り出せるというものでしょう。
話が塾のほうに偏りましたが、こういう指導をしてくれる塾は多くはありません。少なくとも、私が異動する前のその教室はそうではなかったわけですしね。ですから、塾に入れることで変化を期待するなら、良い塾なり先生なりを選んで任せたいものです。
ただし、必ずしも塾に頼らなければならないわけではありません。近くに良い塾がないか、本人がどうしても塾に行かないというなら、ご家庭でやればよいです。
慌てなくとも、どうせ高校で強制的にショック療法を受ける側面もあるわけですが(笑)、それより前にするなら、もっとレベルの高い高校の過去問を与えてみたり、高校内容を先取りで与えてみたり、何らかの外的な刺激を与えてあげるのが良いでしょう。
また、「志望校も偏差値70ともなると目指そうとは思わずお姉ちゃんと同じとこでいいと言い努力をしないつもりです」とありましたが、興味を示したその瞬間を逃さずに、「あなたなら頑張れば行けるよ」「受かるかどうかはともかく、できるところまで目指して頑張ってみたら」「地区内の高校だと、入ってからも今みたいに退屈な思いをするかもしれないよ」「あなたの力なら、その環境で学んでほしいわ」などと、明るく前向きで嫌味の無い励ましをしてあげるのも良いですね。
こういう時に「今の勉強時間ではどうせ無理よ」というような嫌味っぽい言い方をしてしまう親御さんは多いですが 、成績の良い生徒に必要なのは、こういったプライドを傷つけ、水を指すような言葉ではなく、プライドをくすぐり、背中を押してあげるような言葉です。
とは言え、本当にその高校に進むことが、お子さんにとって良いことかどうかまでは、いただいた内容だけでは分かりません。
実際、実力より少し上の高校に頑張って入って、その環境で進学後も頑張って成績を伸ばした生徒もいれば、親や塾に押されて無理に入ったは良いが、ついていけずに進学を諦めたり、退学してしまったりというような例もあります。目標を高く持つことは良いことですが、偏差値だけを基準にして、何でもかんでも上を目指すことが良い結果をもたらすとは限りません。
現状に満足せずに学びを深める姿勢はとても大切なことですが、それイコール「上のランクの高校を目指す」ことにはなりませんよね。偏差値はあくまでも子供の力のほんの一面に過ぎず、偏差値で測れない力や、高校に進んでからも役立つ力を身につけるのも大切なことです。
上位の高校を安易にすすめるつもりはないですし、目標を高く持たせることで無意識に誘導されて進路を誤る例もありますから、その点だけは誤解しないようにお願いいたします。
ところで、1点大きな誤解があるかもしれませんから、その点についても書いておきましょう。
~続きの記事~
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