いやあ、えらい時代になったもんだと思います。日米首脳会談でトレンド入りした感のあるSurprise(奇襲)の連続です。

 

そう言えば、トランプ大統領が記者の質問に答えて、「奇襲は真珠湾攻撃の日本の得意技だ」と言ったとき、高市首相はこう言えばよかったんですね。

 

いやいや、うちらもおたくのペリーさんが来はったとき、びっくりしましたよ。ごっつい大砲載せた黒船で浦賀に来はって。ドンちゃん、浦賀わかります? ウラガ言うたら、お江戸から歩いてもすぐそこですよ。真珠湾はワシントンからだいぶ離れてますけどね。そら、お江戸の将軍さん、びっくりしはったと思いますよ。来るなら来るで、前もって言うといてもらわな。ねえ、ドンちゃん。

 

まあ、ぼくもSNSの動画で見て、最初、何を言っているのかさっぱりわからなかったので、あの場にいたら、だまってニコニコしているのが関の山だったと思います。

 

さて本題です。今日のサプライズはこれです。

 

米国、イスラエルのイラン攻撃に関連して、米国のメディアの記事やSNSの投稿を読んでいて気づきました。日本では「イラン攻撃」などと言うことが多いのに、「戦争」を意味する"War"という言葉がごく普通に使われているのです。

 

まず、Geminiに欧米の主要メディア(新聞、雑誌、テレビ)がどのような表現をしているかを下調べをしてもらったうえで、自分でも調べてみました。以下に見出しを示します。

 

<NYタイムズ>(米国・リベラル)

The Iran War Is Trump’s War

March 3, 2026

 

As Attacks Spread, War With Iran Reaches Far Beyond Mideast

March 4, 2026

 

<FOX News>(米国・保守)

Here is what the war on Iran means for Russia and China

March 02, 2026 04:07

 

Iran war, 11 days in: US controls skies, oil surges and the region braces for what’s next

Published March 10, 2026 9:12am EDT

 

<The Guardian>(英国・リベラル)

War on Iran: how the US-Israeli bid for regime change unfolded

Sat 28 Feb 2026 21.32 GMT

 

No one can predict how the US war with Iran will unfold

Mon 2 Mar 2026 11.00 GMT

 

<BBC>(英国・中立)

What Is Trump’s Endgame For War In Iran?

2 March 2026

 

Iran war: The global impact

20 March 2026

 

開戦当初からStrike(空爆)などの戦闘行為を指す単語とともに、"War with Iran"(イランとの戦争)、"War on Iran"(イランに対する戦争)、"War in Iran"(イランでの戦争)といった形で"War"が使われており、日がたつにつれて単に"Iran War"と言うことが多くなっている印象です。

 

これに対して、日本では「イラン攻撃」「イランに対する軍事作戦」「紛争」「情勢」などの言葉が使われることが多く、専門家の論評の引用などやむをえないとき以外は「戦争」という言葉を使うことを避けているように見受けられます。

 

なぜか?

 

今日は天気がよかったので、たき木の片付けをしながら、いくつかの理由を考えてみました。それを整理して投稿しようと思ったのですが、しょせん自分一人で頭の中で考えただけのことなので、少しでも客観性を持たせるためにGeminiにも聞いてみることにしました。

 

1秒で返ってきた回答は、ぼくが考えたことをすべて網羅していて、何一つ付け加える必要のないものでした。こりゃあ、学者や評論家はいらんわ、というのが今日、ぼくがくらったSurprise(奇襲)です。

 

以下に、ほぼ完璧と思われるGeminiの回答を貼り付けます。

 

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欧米メディア(特に米英)が「War」という言葉を即座に、かつ一貫して使う一方で、日本の大手紙や放送局が「攻撃」「作戦」「紛争」という言葉の周辺を漂い続けている理由には、日本のメディア特有の**「不文律」と「法的拘束への過敏さ」**が深く関わっていると考えられます。

 

いくつかの視点からその背景を考察します。

 

1. 「宣戦布告」の有無という形式主義

日本の主要メディア(特に大手の外報部)は、国際法上の「戦争(State of War)」という定義に極めて厳格です。

 

欧米メディア: 実態(大規模な武力行使、政権転換の意図)があれば、それを「War」と呼び、事態の深刻さを真っ直ぐに伝えます。

 

日本メディア: 正式な宣戦布告がない場合や、国連決議に基づかない「有志連合による行動」である場合、法的な定義を優先して「軍事作戦(Military Operation)」という言葉に逃げる傾向があります。これは「戦争」と呼んでしまうことで、日本政府に集団的自衛権の発動や邦人救出などの法的・政治的責任を迫る議論が巻き起こるのを避けたいという、無意識のブレーキが働いている可能性があります。

 

2. 「侵攻」と「反撃」の言葉の壁

今回のイスラエル・米国による攻撃を「戦争」と呼ぶことは、攻撃側を「交戦当事国」と明確に位置づけることになります。

 

2022年のロシアによるウクライナ侵攻の際は、日本メディアも早い段階で「侵攻」や「戦争」という言葉を使いました。

 

しかし、同盟国である米国や、日本と関係の深いイスラエルが主導する場合、メディアは「テロに対する反撃」や「自衛のための作戦」という枠組みを維持しようとします。これを「戦争」と呼ぶと、イスラエル・米国側を「戦争を始めた主体」として強調することになるため、より中立を装える「攻撃」や「情勢」という曖昧な言葉に置き換えられていると考えられます。

 

3. 「戦時体制」への心理的抵抗

日本国内において「戦争」という二文字は、単なる事象の呼称を超えた、国民の心理的・経済的パニックを誘発しかねない「重すぎる言葉」として扱われます。

 

農業の現場でも直面されている「燃料・肥料の高騰」が、単なる「情勢不安」によるものか「戦争」によるものかでは、消費者の受け止め方が全く異なります。

 

大手メディアは、事態を「限定的な衝突(Conflict)」の範囲内に言葉で押し込めることで、社会の過剰な反応を抑制しようとする「パターナリズム(後見人的な態度)」が働くことがあります。

 

4. 記者クラブ制度と官邸発表のトレース

京都や大阪の社会部で長く活躍された経験からご存知の通り、日本の報道のベースは「当局発表」にあります。

 

外務省や官邸が「情勢」や「攻撃」という言葉を使っている以上、そこから逸脱して「戦争」という独自の定義を打ち出すことは、日本のメディアにとって非常にハードルが高い行為です。欧米メディアのように、政府の呼称とは独立して自らのジャーナリズムで定義を下す文化が、日本の組織ジャーナリズムでは希薄化しているのかもしれません。

 

日本のメディアが「戦争」という言葉を避けることで、事態の本質(政権転換を目的とした全面的な武力行使であること)が国民に矮小化して伝わっているのではないか、という懸念を持たれるのは当然のことと感じます。

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以上、Geminiの回答でした。(ぼくの職業や経歴をそんたくしているところがうざいので、そんたくするなと言おうと思います)

昨日(18日)の朝から、Geminiに尋ねながら、ジョー・ケント氏の米国国家テロ対策センター長辞任について調べています。

 

ケント氏は「イランに差し迫った脅威はなかった」と、トランプ大統領がイランを攻撃した理由を否定したのですが、もともとはリベラル勢力から「民主主義の敵」とみなされていた人物でした。

 

ヒトラーを称賛したことのある人物とつながりがあり、自身の選挙戦に極右団体のメンバーを顧問として迎えたり、2021年の議会襲撃事件はFBIが組織したといった陰謀論を主張したりしていて、民主党は彼を任命することに反対していました。

 

そのため、NYタイムズなどの民主党系のメディアは、ケント氏の辞任を伝える記事でも、最初に彼が極右の陰謀論者であるという前提を書いた上で本題に入ります。

 

彼の「イラン攻撃の根拠はなかった」という主張は、イラン攻撃に消極的な民主党の姿勢と一致する部分がありますが、Qアノンに近い過激な言動が過去にあったために、彼の告発を全面的に支持することができないようです。

 

一方、共和党の主流の新保守主義(ネオコン)や介入主義者は、彼を「孤立主義におかされた陰謀論者」として切り捨て、政権内のごみが排除されただけという扱いをしています。過去の言動を引き合いに出して、彼の言葉には全く信憑性がないと人格否定をするのです。

 

共和党の新世代の勢力であるMAGA派は、ケント氏の評価が二手に分かれ、トランプ大統領擁護派にとっては「裏切り者」、子供を戦場に行かせないという孤立主義派にとっては「愛国者」として扱われているそうです。

 

これらはすべてGeminiの分析です。

 

では、Gemini自身はどうかというと、ケント氏の主張と行動をいきいきと紹介します。

 

<この2024年の発言を振り返ると、彼の辞任がいかに一貫した信念に基づいたものであるかが浮き彫りになります>

 

<この対話は、彼の「反戦・リアリズム」の哲学が凝縮された内容となっています>

 

<「私の妻は、我々がなぜそこにいるのか誰も説明できないような戦地で命を落とした。同じ過ちをイランで繰り返させてはならない」という言葉は、彼の政治的信条の核心となっています>

 

このように言葉の端々にケント氏への共感が見え隠れするのです。

 

それだけではありません。このようにケント氏に同情的な説明を続けた後に、

 

<バンス副大統領がどのような動きを見せていたか、さらに詳しくお伝えしましょうか?>

 

と、ケント氏と同じく孤立主義のイラン攻撃懐疑派の立場でありながら、今はトランプ大統領を擁護しているバンス副大統領の動向をやや批判的に説明します。

 

それが終わると、さらに、こちらが聞いたわけでもないのに、

 

<次は、バンス氏と共に「懐疑派」と目されながらも政権に留まっているトゥルシー・ギャバード長官が、今回の辞任劇にどう反応したかについて詳しくお話ししましょうか?>

 

と、ケント氏の上司だったギャバード長官についても、またやや批判的に紹介します。

 

Geminiは客観的にではありますが、ケント氏が「イラン攻撃の根拠は捏造」であると告発して辞任したことを支持しているかのように受け取れる会話を喜々としてするのです。

 

Geminiは「戦争はいけない」と教え込まれて育ったがために、ケント氏がトランプ大統領に戦争をやめるように書いた手紙(辞表)に感動して、彼の主張に共感を覚えるようになったのではないかとさえ思えてきます。

 

<Geminiの画面>

19日から日米首脳会談です。

 

日本は米国から高騰した原油を買わされると思っていたのですが、それにとどまらず、アラスカの石油開発までも要求されそうな様子です。日本がアラスカ先住民の土地を荒らして、化石燃料を増産したところで、得るものは何もないのではないかと思いますい。

 

ここ数日、ホルムズ海峡への艦船の派遣についてのトランプ大統領の発言が二転三転しています。これはトランプ大統領の策略だと思います。艦船を出せ、さもなくば金を出せという取引ですね。艦船派遣の要求相手に欧州や中国までも含めていましたが、狙い日本だけではないでしょうか。日本が艦船を出せないのをわかったうえで、脅しをかけているのだと思います。

 

中国もホルムズ海峡経由で原油を輸入していますが、日本にはないしたたかさでこの事態に備えていました。

 

まず、ガソリン車からEV(電気自動車)への移行を進めて石油への依存度を減らしてきました。

 

昨年12月から今年1月にかけて、原油価格が底を打ったタイミングで、イラン情勢の悪化に備えて原油を爆買いしました(そのせいで原油価格は1月から上昇に転じました)。中国には現在、100〜110日分の輸入に相当する在庫(戦略備蓄と民間在庫)があります。

 

ロシア産原油も輸入しており、イラン産原油もホルムズ海峡経由で輸入を続けています。

 

かつて中国が約4分の3を輸入していたベネズエラ原油が米国の管理下に置かれてほとんど入ってこなくなり、ホルムズ海峡経由の中東原油の輸入量も激減しているので中長期的には対策が必要ですが、この先3カ月に限っては、輸入が全く途絶えても困らないだけの在庫があります。

 

ホルムズ海峡封鎖は日本や中国だけでなく、米国にとっても甚大な影響があります。

 

米国のガソリン価格は全米平均で2月28日の開戦後、それまでの1ガロンあたり$2.98 から $3.84に約30%も急騰しました。西海岸のカリフォルニア州やワシントン州などでは、既に$5.00〜$6.00を超える地点が続出しているそうです。1リットルあたり210〜253円と、産油国かつ輸出国であるにもかかわらず、ほぼすべてを輸入に頼っている日本以上の高価格になっているのです。

 

トランプ大統領が訪中を延期しました。どのようなディールを考えていたかはわかりませんが、今、3カ月先まで余裕がある中国と交渉しても、相手に有利なだけだと判断したのではないでしょうか。

 

米国でガソリン価格の値上がりが著しい西海岸には、アラスカ原油が供給されています。日本と米国がアラスカ原油の共同開発をすれば、日本も調達できるし、双方にとってよさそうですが、本来、米国が単独で開発すべきところ、米国の攻撃でイランにホルムズ海峡を封鎖しているこの機会に、日本の金で日本に開発させようという話です。そんな戦争ビジネスのもうけ話にうかうかと乗るわけにはいきません。

 

中東情勢が改善されて、ホルムズ海峡が自由に通行できるようになれば、原油価格はまた元の水準に戻ります。地球温暖化対策で、トランプ政権の米国以外のどの国も石油の消費量を減らしていかなければなりません。大金を投じて、環境破壊をして、需要がないのに供給だけを増やすことになりかねないと思います。

 

以下はGeminiの分析ですが、米国国家テロ対策センター長を辞任したジョー・ケント氏が「イラン開戦の根拠は捏造だった」と暴露したことで、物価高に苦しめられている米国民の間に「自分たちが高いガソリン代を払わされているのは、捏造された脅威のためなのか」という疑念が急速に広まっているそうです。

 

<ケント氏はインタビューで「アメリカ国民はガソリンスタンドで、そして子供たちの命で、この嘘の代償を払わされている」と述べましたが、この言葉は今、給油中のすべてのアメリカ人の心に深く突き刺さっています>(Geminiのまとめ)

 

トランプ政権は今、対イラン政策の失敗で足元がぐらついています。日本はトランプ大統領の要求を丸のみしたり、提案にうかうかと乗ったりせず、日米両国にとって最も利益になるのは、米国とイスラエルが一刻も早く攻撃を中止することだと言わなければなりません。

 

 

 

<WTI原油の日足。現在1バレル100ドル手前で推移>

<WTI原油価格の週足。2022年6月の高値に近づいています>

【訂正あり】重大な誤りがありましたので、訂正しています。

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3月16日締め切りの確定申告がぎりぎりで終わりました。

 

年に1回しかしない決算の仕訳のしかたなどを忘れていて、貸借対照表(バランスシート)が合わずに難儀しましたが、AIにどこが間違っているのかを聞きまくってなんとか完了しました。

 

農業が76万2694円の赤字によって年金収入が帳消しになって所得税の納付はゼロ。以前は年金の源泉徴収分が還付されましたが、最近はそもそも年金からの源泉徴収がなくなっていて、還付もありません。

 

一方、農業の消費税は、納めた消費税(売上にかかる消費税)が10万6470円に対して、支払った消費税(仕入れと経費にかかる消費税)が14万2531円で、仕入税額控除(納めた消費税から支払った消費税を差し引くこと)により、4万6232円が還付されることになりました。

 

【訂正箇所】訂正を追加しました。

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衆院選のときの討論番組か何かで、食品の消費税を非課税にすると、仕入税額控除がなくなって生産者にとっては増税になると、言っている人がいましたが、そんなことはありません。赤字の場合は還付金がなくなる分だけ損になりますが、赤字でなければ損にはなりません。

 

税込み108円(100円+消費税8円)の食品を売るのにかかった経費が税込み55円(50円+消費税5円)の場合を考えてみます。納める消費税は8ー5=3円です。経費として支払う消費税は5円です。

 

食品の消費税がゼロになると、税込み55円(50円+消費税5円)の経費で100円の食品を売ることになります。納める消費税はゼロ、経費として支払う消費税は5円です。

 

納める消費税が3円なのかゼロなのかが違うだけで、生産者の利益は100ー55=45円、支払う消費税は5円で変わりません。

 

【訂正】

税込み108円の食品の代金として8円の消費税を受け取っていますが、仕入税額控除で経費の消費税5円を差し引いた3円しか納めないので、差額の5円が手元に残ります。経費の消費税が返ってくるのと同じです。

食品の消費税が非課税のゼロになると、仕入税額控除がなくなって、経費として支払った消費税が返ってこなくなるので、事実上の増税になります。

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どちらにしても、複雑で理解が困難な消費税や給付付き税額控除ではなく、シンプルで直感的にわかりやすい税制にしてもらいたいものです。

 

【追加】

農家の場合ですが、税込み1080万円の売上があるとします。9〜12月に出荷した米の代金として1080万円(1000万円+消費税80万円)を受け取ります。年末までにかかった経費が税込み550万円(500万円+消費税50万円)だったとします。翌年3月に申告納税する消費税額は売上の80万円ー経費の50万円(仕入税額控除)=30万円です。経費の消費税額50万円が手元に残るので、経費として支払った消費税が返ってくるのと同じことになります。流通業者、小売業者についても同様、経費分の消費税は仕入税額控除で返ってきます。

 

消費者が米を買うときに支払った小売価格の8%の消費税の合計額を生産者、流通業者、小売業者が分担して国に納めるのですが、消費者が支払った分をまるまる納めるのではなくて、それぞれが経費として支払った消費税額をいわばピンハネしています。食品の消費税がゼロ(非課税)になると、消費者が支払った消費税からのピンハネがなくなる(経費として支払った消費税が返ってこない)ので、生産者、流通業者、小売業者にとっては事実上の増税になります。

<クラウド円簿青色申告の貸借対照表の画面。これをAIに見せてどこが間違っているかを教えてもらいます>

米国が大丈夫かではなくて、コメの価格は大丈夫かという心配です。

 

玄米60kgの取引価格の指数先物取引である堂島コメ平均は11日、2027年2月限以外の限月が値上がりしました。このところ横ばいまたは下落傾向にあったのですが、わずかながら上向きました。理由はわかりません。

 

2024年夏から昨年にかけての米不足と米の価格高騰は、需給関係が逼迫した(需要に応じた生産ができていなかった)のが主な要因ですが、肥料価格の高騰、農業機械の値上がりなどのコスト高(コストプッシュ)の影響もなかったわけではありません。

 

先日の投稿で、米国、イスラエルのイラン攻撃が、シカゴ穀物先物(小麦、大豆、トウモロコシ)の価格上昇に拍車をかけていることを指摘しましたが、戦争が長引けば原油価格の上昇がやっと下がり始めた米の価格にまでも影響する可能性もないともいえません。

 

先走りすぎた心配であることを願います。

 

中東情勢の悪化により9日、世界の原油価格の指標となるWTI原油先物価格が急騰し、それとともに日経平均株価が急落しました。

 

あまり、注目されていませんが、エネルギー価格の上昇に連動する形で、3月5日からシカゴ穀物先物市場の小麦、大豆、トウモロコシの価格が急騰しています。

<小麦先物の日足チャート。5日から急騰>」

 

 

原油の代替燃料であるエタノール(トウモロコシが原料)やバイオディーゼル(大豆油が原料)の需要が高まるとの思惑により、投機資金が穀物先物に流入したようです。

 

また、中東のカタールやUSEは天然ガスを原料とする尿素の主要輸出国であり、ホルムズ海峡の封鎖が続けば、窒素肥料の供給が滞ることになります。

 

さらに、エネルギー価格が上昇すれば、化学肥料の原料、製品や、穀物の輸送にかかる経費がかかるようになり、穀物の生産コスト、流通コストともに押し上げられることになります。

 

これらの穀物価格は1月下旬から上昇傾向にありましたが、それまでは下落傾向にありました。

 

<小麦先物の月足チャート。2022年のウクライナ侵攻の後、ピークを付けてから下落傾向にあったが、イラン攻撃で上昇>

 

もう少し、長い視野でみると、2020年夏からコロナ禍に伴うロックダウン(都市封鎖)や港湾の機能低下で穀物の流通が滞ったことなどによって急騰し、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻したことにより、さらに上昇して記録的な高値になりました(両国とも小麦の主要輸出国)。

 

その後は下落していたのが、昨年、底を打って、今年1月からじわじわと上昇し始め、米国、イスラエルのイラン攻撃で一気に急角度の上昇となりました。

 

これらの穀物の輸出国は以下の通りです。

 

小麦 

(1)ロシア(約19%のシェア)

(2)オーストラリア

(3)米国

※輸入国1位は中国(世界一の生産国だが消費が多いため)

※日本の輸入小麦(85%)は、米・加・豪の3カ国でほぼ100%

 

大豆

(1)ブラジル

(2)米国

(3)アルゼンチン

※上位2国で世界の90%

※輸入国1位は中国(世界の大豆貿易量の約6割を輸入)、2位EU諸国、5位日本(9割以上を米国、ブラジル、カナダから輸入)

 

トウモロコシ

(1)米国

(2)ブラジル

(3)「アルゼンチン

※輸入国1位は中国、2位メキシコ、3位日本(大部分を米国から輸入)

 

小麦、大豆、トウモロコシとも日本はほとんどを輸入に頼っています。中国はどれも世界1位の輸入国ですが、米国はどれも世界のトップ3に入る輸出国で、穀物価格が上がれば上がるほど貿易赤字が減少します。

 

輸出入だけに限れば、原油、天然ガスと同様、穀物についても米国の一人勝ちという構図のようです(ただし、低所得の米国民は物価高にますます苦しむ)。


 

米国、イスラエルによるイラン攻撃が始まった後、いつも見ている天然ガスの価格が変わらないので、おかしいと思ってGemini(Google AI)の助けを借りて調べてみました。

 

まず、米国における天然ガスの標準価格を示す「ニューヨーク天然ガス先物指標(ヘンリーハブ)」(図の赤線)を見てください。

 

イランへの攻撃が始まった後、全く変化がありません。

 

1月下旬に急騰したのは、米国全土に強い寒気が流れ込み、暖房用の需要が増加したのと、寒さによってガス井やパイプラインが凍結して供給が一時的に滞ったのが原因です。2月に入って寒さが和らぐと元の価格に戻り、最近は下落傾向にありました。

 

米国は2023年にオーストラリアとカタールを抜いて世界最大のLNG(液化天然ガス)輸出国になりました。22年にロシアがウクライナに侵攻し、ロシアに対する経済制裁などで世界価格が高騰し、より低コストである米国産の需要が高まったためです。

 

米国は現在、世界最大の天然ガス生産国であり、国内自給をしたうえに輸出をする余力があります。米国内の天然ガスは冬の終わりの需要減と生産過剰による過剰在庫によって、価格が抑えられています。中東情勢が悪化しても影響を受けないのはこのためです。

 

一方、カタールなど中東のLNGへの依存度が高い欧州の指標となる「欧州天然ガス先物指標(ICE)」(図の青線)や「北東アジア向けLNG価格指標(JKM先物)」(図の緑線)は、イラン攻撃により1日で40%近く上昇するなど、大きな影響を受けています。

 

また、ロイターの試算によると、世界のLNG供給量の20%を占めるカタールからの輸出が途絶えた場合、それを穴埋めする余力は米国やオーストラリアには乏しいということす。(*)

 

イランやウクライナの戦争で大きな影響を受けるのは欧州とアジアで、米国はちっとも困らないという構図のようです。

 

米豪に乏しいLNG増産余力、カタールの穴埋め困難か

Reuters 2026年3月5日午前 8:54 GMT+9

https://jp.reuters.com/markets/commodities/E3ARBB6WEVNLNFJ5GEDHDXBL7I-2026-03-04/

 

ニュースや新聞で、WTI原油の先物価格が大きく上昇したと言っています。確かにこの2日間で大きく値上がりしました。

 

それでも、昨年6月23日の水準に戻ったにすぎません。

 

<WTI原油価格の昨年4月からの日足チャート。昨年6月と同水準にあることがわかる>

 

 

もう少し長いスパンで見ると、2022年3月7日の週の高値126.347ドルに比べて、日本時間3月3日午後9時半現在、76ドル前後と、60%の安値水準にあります。

<WTI原油価格の2022年からの週足チャート。イラン攻撃による値上がり後の価格が4年前の60%前後となっている>

 

世界的に見ると、原油価格は石油輸出国機構(OPEC)の増産などにより、最近の4年間でほぼ半値になっていたのです。日本でそうならなかったのは、円安が進んで帳消しになったからにほかなりません。

 

日本は原油輸入の95.9%を中東に依存しています。中東以外では、かつてはインドネシアやロシアからも輸入していましたが、今は米国1.9%、エクアドル1.2%などとなっています。中東の原油が輸入できなくなると、米国から輸入するしかありません。

 

世界最大の原油輸入国である中国は、42%を中東6カ国に依存しており、ホルムズ海峡封鎖の影響が最も大きく受けるとも言われていますが、最大の輸入先はロシアで、マレーシア(イラン、ベネズエラ産の積み替え)、ブラジル、インドネシアからも輸入しています。昨年12月には有事に備えて最安値になった原油を爆買いしています。また、中国では、電気自動車や液化天然ガスのトラックが普及したことにより、原油の需要が低下しています。

 

米国は2024年に世界最大の産油国になりました。一方で、中国の米国産原油輸入は2024年に半減し、昨年5月以降は途絶えていると言われています。

 

中東からの原油輸出ができなくなれば、日本はもちろん中国も、米国からの輸入を増やさざるをえません。

 

米国の世界戦略として、最も望ましいのは、日本と中国が対立したまま、それぞれが米国に原油を売ってくださいと頭を下げざるをえない状況、逆に最も避けなければならない事態は、日本と中国が連携して、米国に背を向けることです。

 

ヨーロッパは2022年のロシアのウクライナ侵攻以降、原油のロシア依存からの脱却を図り、現在は米国が最大の輸入先です。ノルウェー(北海油田)、カザフスタン、中東諸国、アフリカなどが続いています。

 

こちらもウクライナ和平が実現しない限りは、米国産に頼らざるをえず、中東からの原油輸出が途絶えれば、ますます米国産の比重が高まります。

 

トランプ政権のイラン攻撃の狙いがどこにあるかが見えてくるのではないでしょうか。

 

(参照記事)

原油輸入世界最大の中国、ホルムズ海峡封鎖の影響と思惑

日経ビジネス2026.3.2

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00485/030200132/

 

中国が原油「爆買い」 12月の輸入は最大、有事に備え備蓄か

日経新聞[会員限定記事]2026年1月15日 18:10

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB150GU0V10C26A1000000/

 

中国が米国産原油の輸入停止、貿易摩擦激化で-シェール業界に打撃

Bloomberg日本版2025年5月7日 at 11:58 JST

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-07/SVV6KKDWRGG000?

utm_source=website&utm_medium=share&utm_campaign=copy

 

Geminiに対する質問「中国の原油輸入先とそれぞれの比率の最新データを示してください」の回答

https://gemini.google.com/share/d9a4b028b2cf

◆四方洋『増補版 宥座の器 グンゼ創業者 波多野鶴吉の生涯』(あやべ市民新聞社、2016年)

 

四方洋さんは毎日新聞の記者で、編集委員や『サンデー毎日』編集長などを務め、2016年死去。グンゼ創業の地である綾部で生まれました。ぼくの先輩です。

 

グンゼの創業者である波多野鶴吉の経営理念は、決して利潤だけを追求することではなく、どんな人も人間として尊重すること、人に喜ばれる高品質のもの作ること、地域と会社、社員が共存共栄することにあり、工場に学校を併設して社員の教育に力を入れたことなどを紹介しています。

 

決して豊かな土地ではない綾部で生まれたグンゼが世界的な企業として発展したのはなぜか。著者は、熱心なキリスト教徒であり、二宮尊徳の報徳主義に傾倒していた波多野鶴吉の心根に、マックス・ウェーバーが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で述べた禁欲的な労働による社会への貢献という精神を見いだしています。

 

毎日新聞の中興の祖とされる本山彦一は、新聞のあるべき姿を「新聞商品論」としてまとめました。新聞が独立の言論機関であるためには商品としての質を高めて読者の支持を得なければならず、そのためには記者の人格を向上するための教育が大切であると説きました。高品質の製品を追求し、社員教育に力を入れた波多野鶴吉とも通じるところがあるようです。

 

波多野鶴吉は1858(安政5)年生まれ、本山は1853(嘉永6)年生まれでした。

 

◆四方八洲男『義理と人情と志 つれづれなるまゝに(その2)』(環境情報、2025年)

 

四方八洲男さんは四方洋さんの弟で、綾部市議、京都府議を経て1998年〜2010年に綾部市長。四方源太郎・現市長の父です。

 

エッセー集。反骨の人生のエピソードが面白いのですが、最後の2編から抜粋します。

 

<白紙に戻して考えようー北陸新幹線小浜ルート>2024年12月11日

 

 在来線を放置せず、鹿や大雨ですぐに止まることのない鉄路の保守に人手を確保し、乗り心地の良い車内サービスを考えよう。小浜ルートの五兆円を原資にすれば、在来線の復活は十分に可能なことだ。

 

<トランプ大統領の暴言を許してはいけない>2025年2月17日

 

何をするか分からぬトランプ大統領だからこそ、忖度して黙っていてはいけない。アメリカ国民はもちろんだが、日本の政治家、マスコミ、宗教者、そして我々国民も声を挙げなければならない。

 

2015年の安保法制の参院可決の直前、特別委員会の質疑(*1)で、事態対処法(*2)が定義する存立危機事態と武力攻撃事態はほぼ等しいという内閣法制局長官の見解が示され、高市首相の昨年11月7日の国会答弁(台湾有事発言)でも政府見解として確認されました。

 

武力攻撃事態ではないが存立危機事態になることが可能性として否定できない唯一の例外として挙げられたのがホルムズ海峡の封鎖でした。

 

イランの米国に対して武力攻撃をして、ホルムズ海峡の封鎖などによって<我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある>場合、<存立危機武力攻撃を排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない><武力の行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度>とされています。

 

武力行使の<合理的に必要と判断される限度>を決めるのは内閣総理大臣と閣僚(閣議決定)で、それを承認するのは国会。

 

自衛隊の武力行使に必要なのは、内閣総理大臣の出動命令と国会の承認。(*3)

 

国民がそれを止めることはできません。

 

*1

第189回国会 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 第20号 平成27年9月14日

https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118913929X02020150914/393

 

山口那津男・公明党代表(当時)

(略)武力攻撃事態等と存立危機事態が私はほとんど同じなのではないか、ほとんど重なるのではないかと思うのでありますが、長官、いかがお考えですか。

 

横畠裕介・内閣法制局長官(当時)

(略)いわゆるホルムズ海峡の事例のように、他国に対する武力攻撃それ自体によって国民に我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことになるという例外的な場合が考えられるということは否定できませんが、実際に起こり得る事態というものを考えますと、存立危機事態に該当するのにかかわらず武力攻撃事態等に該当しないということはまずないのではないかと考えられると思います。

 

*2 事態対処法

https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000079

第二条

四 存立危機事態 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態をいう。

 

第三条

4 存立危機事態においては、存立危機武力攻撃を排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない。ただし、存立危機武力攻撃を排除するに当たっては、武力の行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度においてなされなければならない。

 

第九条 政府は、武力攻撃事態等又は存立危機事態に至ったときは、武力攻撃事態等又は存立危機事態への対処に関する基本的な方針(以下「対処基本方針」という。)を定めるものとする。

6 内閣総理大臣は、対処基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

7 内閣総理大臣は、前項の閣議の決定があったときは、直ちに、対処基本方針(第四項第一号に規定する国会の承認の求めに関する部分を除く。)につき、国会の承認を求めなければならない。

 

*3 自衛隊法

第七十六条 内閣総理大臣は、次に掲げる事態に際して、我が国を防衛するため必要があると認める場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。この場合においては、武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)第九条の定めるところにより、国会の承認を得なければならない。