2015年の安保法制の参院可決の直前、特別委員会の質疑(*1)で、事態対処法(*2)が定義する存立危機事態と武力攻撃事態はほぼ等しいという内閣法制局長官の見解が示され、高市首相の昨年11月7日の国会答弁(台湾有事発言)でも政府見解として確認されました。

 

武力攻撃事態ではないが存立危機事態になることが可能性として否定できない唯一の例外として挙げられたのがホルムズ海峡の封鎖でした。

 

イランの米国に対して武力攻撃をして、ホルムズ海峡の封鎖などによって<我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある>場合、<存立危機武力攻撃を排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない><武力の行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度>とされています。

 

武力行使の<合理的に必要と判断される限度>を決めるのは内閣総理大臣と閣僚(閣議決定)で、それを承認するのは国会。

 

自衛隊の武力行使に必要なのは、内閣総理大臣の出動命令と国会の承認。(*3)

 

国民がそれを止めることはできません。

 

*1

第189回国会 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 第20号 平成27年9月14日

https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/118913929X02020150914/393

 

山口那津男・公明党代表(当時)

(略)武力攻撃事態等と存立危機事態が私はほとんど同じなのではないか、ほとんど重なるのではないかと思うのでありますが、長官、いかがお考えですか。

 

横畠裕介・内閣法制局長官(当時)

(略)いわゆるホルムズ海峡の事例のように、他国に対する武力攻撃それ自体によって国民に我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことになるという例外的な場合が考えられるということは否定できませんが、実際に起こり得る事態というものを考えますと、存立危機事態に該当するのにかかわらず武力攻撃事態等に該当しないということはまずないのではないかと考えられると思います。

 

*2 事態対処法

https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000079

第二条

四 存立危機事態 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態をいう。

 

第三条

4 存立危機事態においては、存立危機武力攻撃を排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない。ただし、存立危機武力攻撃を排除するに当たっては、武力の行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度においてなされなければならない。

 

第九条 政府は、武力攻撃事態等又は存立危機事態に至ったときは、武力攻撃事態等又は存立危機事態への対処に関する基本的な方針(以下「対処基本方針」という。)を定めるものとする。

6 内閣総理大臣は、対処基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

7 内閣総理大臣は、前項の閣議の決定があったときは、直ちに、対処基本方針(第四項第一号に規定する国会の承認の求めに関する部分を除く。)につき、国会の承認を求めなければならない。

 

*3 自衛隊法

第七十六条 内閣総理大臣は、次に掲げる事態に際して、我が国を防衛するため必要があると認める場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。この場合においては、武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)第九条の定めるところにより、国会の承認を得なければならない。