ニュースや新聞で、WTI原油の先物価格が大きく上昇したと言っています。確かにこの2日間で大きく値上がりしました。

 

それでも、昨年6月23日の水準に戻ったにすぎません。

 

<WTI原油価格の昨年4月からの日足チャート。昨年6月と同水準にあることがわかる>

 

 

もう少し長いスパンで見ると、2022年3月7日の週の高値126.347ドルに比べて、日本時間3月3日午後9時半現在、76ドル前後と、60%の安値水準にあります。

<WTI原油価格の2022年からの週足チャート。イラン攻撃による値上がり後の価格が4年前の60%前後となっている>

 

世界的に見ると、原油価格は石油輸出国機構(OPEC)の増産などにより、最近の4年間でほぼ半値になっていたのです。日本でそうならなかったのは、円安が進んで帳消しになったからにほかなりません。

 

日本は原油輸入の95.9%を中東に依存しています。中東以外では、かつてはインドネシアやロシアからも輸入していましたが、今は米国1.9%、エクアドル1.2%などとなっています。中東の原油が輸入できなくなると、米国から輸入するしかありません。

 

世界最大の原油輸入国である中国は、42%を中東6カ国に依存しており、ホルムズ海峡封鎖の影響が最も大きく受けるとも言われていますが、最大の輸入先はロシアで、マレーシア(イラン、ベネズエラ産の積み替え)、ブラジル、インドネシアからも輸入しています。昨年12月には有事に備えて最安値になった原油を爆買いしています。また、中国では、電気自動車や液化天然ガスのトラックが普及したことにより、原油の需要が低下しています。

 

米国は2024年に世界最大の産油国になりました。一方で、中国の米国産原油輸入は2024年に半減し、昨年5月以降は途絶えていると言われています。

 

中東からの原油輸出ができなくなれば、日本はもちろん中国も、米国からの輸入を増やさざるをえません。

 

米国の世界戦略として、最も望ましいのは、日本と中国が対立したまま、それぞれが米国に原油を売ってくださいと頭を下げざるをえない状況、逆に最も避けなければならない事態は、日本と中国が連携して、米国に背を向けることです。

 

ヨーロッパは2022年のロシアのウクライナ侵攻以降、原油のロシア依存からの脱却を図り、現在は米国が最大の輸入先です。ノルウェー(北海油田)、カザフスタン、中東諸国、アフリカなどが続いています。

 

こちらもウクライナ和平が実現しない限りは、米国産に頼らざるをえず、中東からの原油輸出が途絶えれば、ますます米国産の比重が高まります。

 

トランプ政権のイラン攻撃の狙いがどこにあるかが見えてくるのではないでしょうか。

 

(参照記事)

原油輸入世界最大の中国、ホルムズ海峡封鎖の影響と思惑

日経ビジネス2026.3.2

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00485/030200132/

 

中国が原油「爆買い」 12月の輸入は最大、有事に備え備蓄か

日経新聞[会員限定記事]2026年1月15日 18:10

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB150GU0V10C26A1000000/

 

中国が米国産原油の輸入停止、貿易摩擦激化で-シェール業界に打撃

Bloomberg日本版2025年5月7日 at 11:58 JST

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-07/SVV6KKDWRGG000?

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Geminiに対する質問「中国の原油輸入先とそれぞれの比率の最新データを示してください」の回答

https://gemini.google.com/share/d9a4b028b2cf