ラストスキー・イン・白馬の最終日にして今シーズン最終日の11日も好天に恵まれました。

 

 雪が重たくて疲れるので、ターンの練習はほどほどにしてエア練習に専念する予定でしたが、いくら一人で練習するのに慣れているといっても、スキーをかついでハイクアップを繰り返す気にはなれず、こぶを滑る誘惑に負けてリフトで循環しました。

 

 前日、DPT(ディプト)が利かないと思ったのは勘違い。DPTの動作ができていないだけでした。春雪のレスポンスの遅さに合わせて、落ち着いてタイミングをとったところ、不完全ではありますが、DPTで細かくターンを刻むことができました。

 

<天気がいいので昼食はほぼ貸し切りのゲレンデのエア台食堂で。メニューはザ・ビッグ白馬店で買った焼きそば>

 

 滑っているときにときどき、左膝の外側が痛くなることがあります。ぼくの滑りの悪い癖で、特に難しい局面になると、左の股関節が動かず、右脚だけでターンしてしまうようです。右外足荷重→左外足荷重となるべきところが、右外足荷重→右内足荷重という具合です。左足は放っておかれているので、体の真下から離れて、ねじられるのだと思います。

 

 ぼくの腰は数年前から左右の形が違います。右の骨盤の外側だけ筋肉が分厚く付いて膨らんでいます。スキーなのか農作業なのかわかりませんが、右の股関節ばかりを働かせてきた結果なのだろうと思います。骨盤の左の出っ張りのあたりで左のスキーを踏むように意識したら、左右不均等なターンが改善されました。脚の力で踏むのではなくて、体の重心をスキーに乗せる感覚が大切なようです。

 

<エア台からの景色。着地後のターンはだいぶできるようになりました>

 


<スタートからエア台まで浅いこぶになりました>

 

 今シーズンの雪上練習はこれで終了。モーグル、スキークロス、アルペンと課題が山のように見つかりました。できなかったことができるようになるのは、何歳になっても楽しいことです。来年もまた大会に出て、少しでも成績が上がるよう、シーズンオフのトレーニングに励みたいと思います。

 ラストスキー2日目の10日は朝から快晴。早くも緩み始めたバーンで大回りの練習をした後、エア台の前にネトロンパイプ(ショートポール)を12本、10mのランディングバーンの次に3本、どれも3.3m間隔で立てました。

 

 ネトロンパイプはフォールライン(中心線)の左右にジグザグになるように立てます。ネトロンが立っていないところの雪を削って、ネトロンが立っているところに寄せます。田植え前の代かきに使うアルミレーキ(幅80cm)を使うと、圧雪車で作るようなこぶが効率的に作れます。

 

 圧雪車で作るこぶというのは、バンクのこぶ(いわゆる受けこぶ)ではなくて、逆バンクのこぶです。フォールラインよりターン弧が下がっています。しっかりエッジングしないと、スキーのテールが外側に落とされてしまって、カービングターンになりません。ターンの質を上げるためのいい練習になります。

 

 代かき用レーキを持ってこなかったので、持参した長柄のアルミスコップで削りましたが、時間がかかりすぎるし、疲れるので、スタート直後の2、3こぶと、エア台の手前だけをちょっと削ってやめました。

 

<何本か滑ってラインが出てきたところ>

 

 不十分ながら準備が整ったところで、練習開始。前日は、エア台の手前から直滑降してのジャンプで、フェイキーのこぎ動作でうまく飛べました。こぶを滑ってからのエア台への進入は、タイミングが合わせづらく、高さが出せませんでした。着地後のターンは緩斜面ということもあって、なんとかできるようになりました。

 

<青空をバックに映えるエア台>

 

 その後の急斜面にも自分のターンでこぶを作ろうとがんばって細かく刻もうとしましたが、雪が重くて、ターンできません。板が細いので、緩んだバーンでは沈んだり、流されたりして、思うようにコントロールできません。雪面に圧力を加えても、反応が返ってこないのです。

 

 劇画風に言うと、DPT(ディプト)が利かない!

 

 DPT(ディプト)とはダイナミック・ポジショニング・ターン(Dynamic Positioning Turn)。いつまでたっても幻なので、誰からも相手にされない秘密兵器です。

 

 ぐさぐさの重たい春雪で無理にDPT(ディプト)でこぶのラインを付けようとして、疲労困憊してしまいました。最終日の11日も天気がよさそうです。ターンの練習はほどほどにしてエア練習をメーンしようと思います。

 

<Facebookのskicross.jpでスキークロスの情報発信をしている山本浩也さんがスキークロスの全日本選手権が10回になったのを記念して特注してくれたTシャツ>

 

 昔、『ラストタンゴ・イン・パリ』というエッチな映画がありました(1972年、イタリア、ベルナルド・ベルトリッチ監督)。ぼくが中学生のときで、同級の女子生徒との休み時間の会話で、見てもいないのに話題になったのを思い出します。

 

 雨模様の9日未明に家を出て、土砂降りの北陸自動車道を走ること6時間。「一番よく当たる」というウェザーニュースの天気予報では、9日午前10時ごろの白馬は、ふもとでも雨が「大雪」に変わっているでしょう。「それはいくらなんでもうそやろ」と思いながら、白馬に『たどりついたらいつも雨降り』(1972年モップス、作詞作曲・吉田拓郎)ではありませんが、雨はまだ降り止んでいませんでした。

 

 まず、スキーショップ「500マイル」白馬五竜店に寄って、SG(スーパー大回転)の白馬八方尾根リーゼンスラローム大会とスキークロスの全日本選手権大会などで使ったGS(大回転)用のフォルクルの板、RACE TIGER(2016年、191cm)をチューンナップに出しました。

 

 スキークロスは今シーズンも板が全く走らずに公式戦、草大会、体験会とも惨敗続き。リーゼンスラローム大会も60代の部でトップとの30秒の差が縮まらずじまいです。今まで競技用のワックスかけをした経験が全くないので無理もありません。この機会に店長の林さんに基本的なことを尋ねて、よく売れているワックス、業界で話題になっているワックスなど、ワクシングの本当のところを教えてもらいました。ワックスも競技用となると高価です。無駄のないよう、いちから勉強したいと思います。

 

 そうこうしているうちに雨が上がって、昼食をとってから白馬八方尾根スキー場の上部ゲレンデに上がり、いつものようにパトロール本部でエア練習の申請して、いつもの場所にエア台を作らせてもらうことになりました。

 

 雨をたっぷり吸い込んだ雪は重く、固まりやすくて、午後1時からの1時間でほぼ完成。ここ数年、まともなジャンプができていなかったのですが、インラインスケート(ハーフパイプ)の世界チャンピオン、安床栄人さんに教えてもらったハーフパイプのフェイキー動作(漕いで前進・後進)を思い出して飛んでみたら、いい感じでテイクオフすることができました。

 

<雨で濡れてぐさぐさの雪ですが、冷えて固まるでしょう>  <テーブルテップトップ形状にしました>

 

 あとは懸案の着地後の直滑降からのターンへの入り。ラストスキー3日間の残り2日間は晴れ予報。ウェザーニュースが間違っていなければ、汗だくのエア練習になりそうです

 SAJ(全日本スキー連盟)主催の第1回スキークロス体験会の模様が「Sportsnavi(スポーツナビ)」でリポートされています。

 

<【スキー】駆け抜けるスキークロスジュニアたち!笑顔あふれる未来の選手 全日本スキー連盟第1回スキークロス体験会>

https://sports.yahoo.co.jp/official/detail/2024032600115-spnaviow

 

ぼくも動画と静止画の両方にちょこちょこっと写っています。

 

ドローンで空からも撮影されました。

 

<【スキー】スキークロス日本代表コーチらの滑走!空からの映像で疾走体感>

https://sports.yahoo.co.jp/video/player/13551839

 

コースがどうなっているのかよくわかります。

 

スタートセクションを抜けた後、

0:03 左にターン

0:05 右にターン

0:07 ウェーブ(8連?ローラー)

0:12 右にターン

0:14 ウェーブ(2連ローラー)

0:16 大きな左カーブ

0:19 右にターン

0:21 ウェーブ(2連ローラー)

0:23 キッカー(ダブル)

 

0:16の大きな左カーブは逆バンクで、カーブの外側が低くなっています。スピードが出ているので、しっかりとカービングしないと、勢いで下に落とされてしまいます。先頭の西沢さんはクラウチングを組んだまま通過しましたが、バランスを保つために体を起こしてしまいがちなところです。

<0:15 大きな左カーブに入っていくところ。勢いで木の方に体が落とされます>

 

スキークロスのコースは、スピードが上がったところに、このような逆バンクの大きなカーブが設けられていることが多いようなので、スキーがずれてスピードが落ちないようにカービングで滑りきる練習が必要なようです。

 SAJ(全日本スキー連盟)主催の第1回スキークロス体験会が24日、長野県上田市の菅平高原ハーレスキーリゾートでありました。

 

 対象者は「スキークロスに興味がある人、練習してみたい人」。スキークロスを昨年から始め、コースを少しでも多く滑って練習したいぼくにはもってこいのイベントです。

 

 参加条件は「急斜面をカービングターンでスムーズに滑ることが可能」「傷害保険に加入している}。どちらもクリアしています。年齢制限はありません。

 

 講師陣がとっても豪華。

 

河野健児(スキークロス日本代表コーチ)

古野哲也(スキークロス日本代表コーチ)

西沢勇人(スキークロス日本代表コーチ)

福井五大(スキークロス元日本代表選手)

 

 菅平高原はうちから遠く、行ったことがありませんが、またとない機会なので、妻に付き添ってもらって参加しました。

<菅平高原の圧雪された一枚バーン>

 

 小学4年生から社会人まで約40人が参加。アルペンレースのトレーニングに励んでいるジュニア選手が多く参加しました。

 

 スキークロスコースのインスペクション(下見)の後、かつてワールドカップを転戦した講師陣によるクロスレースのデモ滑走を観戦。シークレットゲストの2010年バンクーバー五輪代表、福島のり子さんが、参加者にコースの滑り方を教えてくれました。

<豪華講師陣によって開催された体験会>

 

 全力滑走の前に、まずは5割くらいの力で、コースの状況を確かめながらのウォーミングアップラン。一人ずつ滑ります。スタート直後のでこぼこになったスタートセクションをこなすと、波板のような起伏になったウェーブや、競輪場のように傾いたバンクがあります。

 

 コースはモーグルのように左右対称ではないので、モーグルのように同じリズムでターンしたら間違います。左ターンの後の右ターンで回りすぎて、旗門の右側を通過してしまいました。本番でこれをすると一発アウトでDNF(途中棄権)となり、完走できません。その次の練習滑走でも同じところで間違えて、あわてて軌道修正を図ったものの間に合わず、旗門に突っ込み、旗を引っかけて外してしまいました。

 

 なんとかコースを覚えたところで、4人同時スタートの滑走です。小学生3人と一緒に滑ることになりました。スターターは昨シーズンまでW杯を転戦していた古野哲也さん。子どもたちにスタートグリップの握り方や、スタートの姿勢を教えています。

 

 古野さんが「ゴーと言う前にスタートしたらフライングだからね」と注意してから、「スキーヤーレディ」「アテンション」と声をかけました。そしてちょっと長い沈黙。隣の小学生が待ちきれずに飛び出しました。案の定のフライングです。

 

 やり直しのスタートは、「ゴー」できれいに4人そろってスタート。体を曲げ伸ばししながら、でこぼこにスキーを合わせ、ストックで漕いで、乗り越えていきます。スタートダッシュの後にぼくがインを突いて先頭に立ちました。やったー。生まれて初めての先頭での滑走です。

 

<一番手前がぼく。膝が硬い?>

 

 後ろから抜こうとする選手の進路をさえぎって、気持ちよく先頭を滑走。前を滑る選手は誰もいません。生まれて初めての1着かと油断した途端、コーナーでわずかにふくらんだ隙を突かれ、後ろに付いていた小学生に抜かれてしまいました。しまったと思う間もなく、小学生はウェーブでパンピング(*1)で加速して前方に滑り去っていきました。気温が上がってバーンが緩み、最短の滑走ラインを少しでも外れると、もさもさの雪にスキーをとられて減速してしまうようです。

 

 *1 Pumping 体を曲げ伸ばしして、上下動による漕ぐ動作をすること。ストックが使えないスノーボードのクロスやバンクドスラロームでは特に重視されるが、スキークロスでもスタートセクションやウェーブなどで加速できるかどうかを決める重要な動作。

 

 その後も、弱そうな相手を選んで、というわけではありませんが、子どもたちに相手をしてもらって4人同時スタートで練習。スキークロスは初めてという選手が大半でしたが、いつもアルペンレースのトレーニングで鍛えているだけあって、みんな高速ターンが上手です。ぼくの今の実力では、小学生の女子には勝てそうでしたが、男子は勝てるかどうか怪しいです。中学生、高校生にはたいていスタートセクションで置いていかれました。

 

 スキークロスは基本がかけっこです。陸上競技の100m走の場合、中学生、高校生の速い選手は10秒台、11秒台で走ります。ぼくはもともとそんなに速くはありませんが、50代のときに100m走のタイムを測ったら18秒かかりました。今は20秒以上かかるのではないでしょうか。敏捷性、瞬発力が若い選手の半分くらいのレベルだということかもしれません。

 

 高校2年の秋から3年の春まで在籍していた野球部で、25mダッシュを部員同士で競走しながら練習して、それまでより足が速くなりました。一人で走っていたのではなかなか速くはなりません。同じコースを4人同時に滑る練習会や草大会は、人と競争しながらレベルアップする貴重な機会です。

 

 スキークロスのターンで素人にとって難しいのが逆バンク。ターン弧の内側が高く、外側が低くなっているカーブです。ゴール前の直線コースに入る手前に大きな左カーブがあります。右側が下がっていて、スキーが浮いていると重力と慣性力(そのままの速度で進もうとする力)で下に落とされるので、しっかりと踏み込まなければならないのですが、どうしても体が起きて、何重にもなったカービングの轍(わだち)の上をがたがたを横滑りすることになってしまいます。

 

 リフトから見ていると、選手と一緒に滑っていた福島さんや上手な選手はクラウチングを組んだまま、カービングターンでスムーズに逆バンクを通過しています。やはり選手と一緒に滑っていた河野さんに、逆バンクもクラウチングで滑るのかを尋ねたところ、クラウチングを外すと風圧でスピードが落ちるので、できるだけクラウチングのままで滑るようにということでした。

 

 上手な選手のクラウチング姿勢は背中が水平です。ぼくは30度とか45度とかの角度で体が起きていることが多いので、スタートセクションを抜けてクラウチングを組むときに、背中が水平になるよう習慣づけて、そのままの姿勢でターンできるように練習する必要がありそうです。

 15日は前日の全日本選手権大会に続いて、FIS(国際スキー・スノーボード連盟)公認大会が開催されました。

 

 FIS公認大会での成績によって各選手が保有するFISポイントが決まります。今シーズンの2大会のポイントの平均がシーズンポイントとなって来シーズンのベースポイントに持ち越されます。1大会しか出場しなかった場合は、そのポイントの60%が来シーズンのベースポイントになるので、FIS公認大会である全日本選手権とFIS大会の両方でポイントを獲得しておく必要があります。

 

 今年のFIS大会の予選ラウンドは全日本選手権と同様、4人1組または3人1組で3回滑って、それぞれの順位点の合計点数が多い順に男子は上位8人が決勝ラウンドに進出する方式で行われました。

 

 ぼくは3回とも4人1組で滑ることになりました。まず第1回。スタートそのものは去年よりはうまくできるようになりましたが、最初のこぶを乗り越えるところから差が付き始め、でこぼこのスタートセクションを滑り終えたときには、他の3人は前方に滑り去っていました。

 

<今回の大会コースのレイアウト>

 

 ところが、競り合っていた3人のうちの1人が、スタートセクションの後の最初のバンクに入るところで転倒しました。ラッキー! 生まれて初めて、前の選手を抜けそうです。最初のバンクは右カーブ。右側のイン(内側)を突くか、左側のアウト(外側)から回り込むか。転倒した選手がすぐに立ち上がり、インからスケーティングして再スタートしそうなので、大事をとってアウトから大きく回り込みました。

 

 やったあ、生まれて初めての追い越しが成功しました。ところが、続く第2バンク、第3バンクを抜けて、その次のでこぼこが5つ並ぶ5連ロール(ウェーブ)に入るところで、後ろから人影が見えたと思ったら、あっさり抜き返されてしまいました。追い越すために回り込んだところに雪が掃き寄せられてたまっていたので、減速してしまっていたようです。

 

 転倒した選手に抜き返されるとは、なんという屈辱。しかも、ウェーブの吸収、加圧動作がぼくよりうまく、差がどんどん開いていきます。結局、先頭の2人と転倒した3人目の選手との差と同じくらいの大差を付けられて4着でゴールイン。いつもの4着よりも悔しい結果となりました。

 

 国際競技規則(ICR)によると、完全に停止した場合はDNF(不完走、途中棄権)となり、最終着よりも低い点数になりますが、コースの要所要所にいるレフリーは、転倒した選手がすぐに体勢を立て直して動きを止めずに滑り続けたので、完全停止とはみなさなかったようです。

 

 続く第2回。スタートグリップに左のストックのストラップが引っかかって、ストックが置き去りになってしまいました。初日の公開練習で同じようにストラップが引っかかったことがあり、ストラップが緩いと引っかかるので、しっかり締めておくようにアドバイスをもらったのですが、同じミスをしてしまいました。体は既にスタートゲートから飛び出しています。ストックを取りに引き返せば大きなタイムロスで、転倒した選手を抜くことさえできないでしょう。しかたがないので1本のストックを両手で握ってスタートセクションのでこぼこをなんとかこなしましたが、大差をつけられての4着でした。

 

 レース中にストックを落とした場合、失格になるのか心配でしたが、国際競技規則にはストックのことは何も書かれておらず、問題はなかったようです。わざとストックを落として後続の選手の妨害をした場合は違反行為になるでしょう。スキーは片方でも外れると、その時点でDNFになります。ただし、フィニッシュラインの手前など、片足でも安全に滑ることができると判断された場所で外れた場合は、片スキーでもゴールすれば完走になります。

 

 最後の第3回。泣いても笑っても今シーズンの公式戦はこれが最後。前日の全日本で優勝した高橋大成選手と同じ組になりました。高橋選手は2020年、スーパー大回転(SG)の全日本チャンピオン。昨年、スキークロスに彗星のごとく現れ、いきなりヨーロッパカップに参戦し、初めての全日本で9位。今シーズンもヨーロッパカップを転戦して、デビュー2年目で全日本チャンピオンになりました。トップ3がワールドカップ出場のために不在とはいえ、26歳にしてベテラン、若手の強豪を抑えての初優勝でした。

 

 ぼくは今回も大差を付けられて4着でゴールし、先にゴールして待っていた3人と健闘をたたえ合うグータッチ。予選ラウンドの3回とも4着で、最終リザルトは出走15人中15位でしたが、笑顔で今シーズンの戦いを終えることができました。

 

 2大会の公開練習とレース本番で、難しいコースを思う存分滑ることができて、課題が明確になりました。

 

(1)吸収と加圧

 スタートセクションの細かいでこぼこは、下り坂の加圧動作だけでなく、上り坂の吸収動作を大きく素速くしなければならないようです。こぶの頂点でタイミングを合わせて体をいかに素速く小さくできるかでしょうか。

 

 ウェーブも有力選手はアクセルをふかすように加速していきます。ぼくより脚力がないと思われる女子選手やジュニア選手も速いので、やはりタイミングを合わせた素速い動きができるかどうかが問題のようです。

 

(2)滑走速度

 転倒した選手に抜き返されたことで、全力で飛ばしているときのスピードがあまりにも遅いことが証明されました。クローチングがしっかり組めていないことが第一に考えられます。スキーのトップ側に体重をかけすぎて、前を押さえるようにして滑っているのも減速要因になっているかもしれません。大きなカーブで体を先に曲がる方向に向けず、スキーの方向と一致させたままでターンすることも心がけなければならないでしょう。

 

 細かい凹凸にスキーを同調させなければならないスタートセクションや、ハイスピードで進入するウェーブでは、素速い動きが必要です。年を取るとどうしても敏捷性が衰えます。シーズンの残り、大会での教訓を生かすことを念頭に練習するとともに、オフシーズンには敏捷性トレーニングにも取り組みたいと思います。

 

 24日、長野県の菅平高原ハーレスキーリゾートで、SAJ(全日本スキー連盟)主催により、無料のスキークロス体験会があり、日本代表コーチの指導を受けることができます。

http://www.ski-japan.or.jp/game/62174/

 14日はいよいよ大会本番。公開練習の後、予選を4人1組または3人1組で3回滑りました。いずれも大差を付けられてのビリでしたが、最終成績は23人中21位でした。

 

 やはりスタート直後のセクションで差を付けられてしまいます。他の選手はスタートセクションをものすごい勢いで乗りきって、そのスピードでその後のバンクに入っていくのに対し、ぼくはスタートセクションの終わりでいったん止まって、そこから時速0kmで再スタートになります。その後に続くウェーブでも差を広げられてしまいました。

 

 雪面の縦の変化によってスピードを落とすのではなく、逆に加速していくことが必要なようです。

 

 15日は同じコースでFIS大会が開催されます。こんな難しくて面白いコースを滑ることができる機会は他にありません。凹凸にうまくタイミングを合わせて、一つでも順位を上げたいものです。

<スタートセクション直後のバンク>

 

<スタートセクション全景>


<スタートゲートからの眺め>

<スタートゲートを飛び出した直後>

 

<ステップダウン>

 

<下から見たスタートゲート>

 

 

 

 

スキークロスの全日本選手権に出場するため、新潟県のかぐらスキー場に来ています。

 

今日は公開練習で明日が本番。コースインスペクション(下見)の後、午前11時半~午後2時半の3時間、ぶっ通しで滑りました。

 

スキークロスのコースは緩斜面ですが難しいです。スタート直後のセクションはいくつもの山と谷が連続していて、体の曲げ伸ばしをしながら越えていきます。加圧と吸収のタイミングを間違えないようにしないと止まってしまいます。

 

<スタートゲートから見たスタートセクション。ほとんど水平です>

<凸凹の下り坂の次にある山を飛び越えなければなりません>

<スノーボードの選手が山を飛び越えようとしているところ>

<スタートセクションの全景。右から左に滑っていきます>

 

途中にあるウェーブも難しいです。最後の山が少し高くなっていて、ここもうまく越えないと大きく減速して止まってしまいます。

 

今回の予選は一人ずつ滑るタイムトライアルではなく、4人1組で3回滑って、その成績で決勝ラウンドに進む選手を決める方式です。タイムトライアルは1発勝負ですが、どの選手も3回は滑ることができます。3回のうちの1回だけでも4位ではなくて3位になるのが、今回の目標になりそうです。

 白馬八方尾根リーゼンスラローム大会が終わった後の23日~25日の3連休は、白馬に居残り、モーグルとスキークロスの猛特訓をしました。

 

 23日は濃霧で視界が悪い中、八方尾根のいつものゲレンデで、パトロールの許可をもらってエア練習。2時間余りでエア台が完成し、エアの前後にそれぞれ2本のネトロンパイプを立てて、ターンからエア台への進入と、着地後の直滑降からこぶのターンへの入り方の練習をしました。

 

 リーゼンスラローム大会第1日の雨で濡れたバーンが凍って急斜面のゲレンデは一面のアイスバーンです。滑って降りるとそれだけで体力を消耗してしまうので、ハイクアップしながら、スタートの直滑降→ターン→アプローチの直滑降→ジャンプ→着地→ランディングバーンの直滑降→ターンの練習をしました。

 

 翌24日も晴れていたのは朝のうちだけで、すぐに濃霧に覆われてしまい、終日、エア台の前後の練習。、霧の中のアイスバーンのこぶでけがをするのもばかばかしいので、ひたすらハイクアップしました。

 

 3連休の中日とあってスキー場はにぎわっているのに、ぼくが練習しているゲレンデにはほとんど人が来ません。孤独な修行のように、ああだこうだと試行錯誤しましたが、わかりかけているようで、わかっていなくて、満足のいくジャンプも、着地後のターンもできずじまいとなりました。

 

 23~25日は白馬乗鞍スキー場でSAJ公認B級のモーグル大会が開催されていました。定員オーバーで出場できませんでしたが、仮に出場していたとしても、いつものように第1エアの着地後のターンに入れず、完走者中の最下位に近い成績になっていたと思います。

 

 3連休最終日の25日は雪降り。前日までのモーグルとは打って変わって、白馬さのさかスキー場でスキークロスの無料体験レッスンに参加しました。主催は白馬村スキークラブ。講師はさのさかスキー場の常設クロスコースで大会を開いたり、レッスンをしたりしているSnowM(スノーム)代表の森山文彦さんと、長野県連コーチの塚田大介さん。

 

 森山さんはかつてヨーロッパカップなどのコンチネンタルカップ(大陸別選手権)を転戦していた現役のスキークロスレーサー。塚田大介さんはモーグル、アルペン、スキークロスで活躍したオールラウンドレーサー。2人とも昨年の全日本選手権で会って顔なじみです。

 

 緩斜面にウェーブやキッカーが設けられた会場には、クロスコースを滑ってみようというおじさん、おばさんや子どもたちが続々と集まり、コーチの説明を聞きながら、どんどん滑っていきます。

 

 ぼくがコースを滑って抱いた疑問は、最後のキッカーの手前で、大きく横に振られた2つの旗門でスキーが横滑りして失速しないようにするにはどうすればいいのか。2人のコーチに尋ねました。

 

 その答えは、最後から2つ目の旗門に近づいて急いで回ろうとせずに、ぎりぎりまでがまんして大きく回る。スキークロスのターンは、モーグルや大回転(GS)と違って、ダウンヒル(DH、滑降)やスーパー大回転(SG)のような高速系のターンなので、大きな弧を描いて深く回らないといけないということでした。

 

 具体的なターンの方法も教えてもらったのですが、それはここでは置いておいて、素人考えかもしれませんが、自分なりの理論的考察を述べることにします。

 

 物理学に入射角と反射角の法則というのがあります。鏡に斜めから当たった光線と鏡の間の角度と、反射する光線と鏡の間の角度は等しいということです。壁に斜めにボールをぶつけたとき、ボールが壁に当たった角度と、ボールが壁から跳ね返る角度は等しいということです。

 

 これは作用反作用の法則の変化系と考えることもできます。壁に正面からボールをぶつけたとき、ボールを強くぶつければぶつけるほど強く跳ね返ります。ボールの変形による衝撃の吸収や空気抵抗などを無視すれば、ボールが壁にぶつかる力(作用)と、ボールが壁から跳ね返る力(反作用)は同じです。

 

 ボールを斜めに壁にぶつけた場合、壁に正面から加わる力は、斜めになった分だけ少なくなります。壁に当たったボールは正面からの反発が少なくなった分だけ斜めになって跳ね返ります。こういう理由で入射角と反射角は等しくなるのです。

 

 モーグルではスキーヤーは常にフォールライン(スタートとゴールを最短で結ぶ直線)の上を移動しなければなりません。ターン弧はフォールラインに沿って波線を描きます。波線の出っ張ったところの手前半分がターンの後半(山回り)、その次の半分が次のターンの前半(谷回り)になります。

 

 波線の一番出っ張ったところにスキーが来たとき、スキーのトップはフォールラインと平行でゴール(谷方向)を向いていなければなりません。左右のこぶの大きさが違うとき、小さなこぶのターン弧は小さく、大きなこぶのターン弧は大きくして、常にスキーのトップを下に向けておかなければなりません。

 

 ところが、旗門のセットがSGに近い八方尾根リーゼンスラローム大会や、スキークロスでは、スキーヤーは体全体を左右に向けながら旗門を通過していきます。体が谷方向を向いたままで旗門を回り込もうとすると、スキーが横ずれして減速してしまいます。

 

 谷方向の直滑降からスキーの向きを90度変えて、真横にターンしなければならない場合について、図を描いて考えてみました。

 

 まず、直角のコーナーに入射角30度で進入した場合。スキーがコーナーに来たとき30度、横を向いています。このスキーをボールがぶつかる壁と考えると、反射角は30度で、ボールに相当するスキーヤーがスキーに跳ね返されて進もうとする方向(反射角の方向)と進みたい方向である真横とは30度の開きができます。さらにスキーヤーには、それまで進んで来た方向に進み続けようとする力(慣性力)と、谷方向への重力加速度がかかります。その力をスキーのエッジングで食い止めようとしても、スキーの向きはいっぺんには変わりません。

 

 スキーが描くターン弧に近いと考えられる円を描いてみると、スキーヤーは大きく下に落とされ、通りたいラインに復帰するにはかなり時間がかかることがわかります。

 

 次に入射角が45度になるようにスキーを向けた場合。反射角は45度で、進みたい方向である真横との開きは45度になります。ここに谷方向への慣性力と重力加速度が加わって、スキーヤーが真横に進むようになるのは、旗門よりかなり下になることがわかります。

 

 最後に入射角を60度にした場合。旗門までのふくらみが大きくなりますが、スキーヤーが真横に進むまでの時間はこの中では最も短くなります。カーレースで言うアウト・イン・アウトですね。コーナーで急に曲がろうとして急ハンドルを切ると、車が尻を振って横滑りやスピンをしてしまうので、あらかじめ膨らんでおいて、緩やかで大きなカーブを描くということです。

 

 

 ただし、旗門の手前で大きく膨らむには、それだけのコース幅が必要で、旗門の位置によっては山側に向かって斜面を登らなければならないこともあります。スキークロスでは、旗門の通過後に膨らむでけでなく、手前でも膨らみすぎると後続の選手に内側を突かれることにもなるそうなので、コーナーの角度、大きさ、バーンの傾きなどをよく見て、臨機応援にライン取りをしなければならないようです。

 

 この日のスキークロスレッスンでは、もう一つ、クロスで難しいと言われるスタートの方法を教えてもらいました。ぼくのスキークロス大会出場は昨年の全日本選手権と、今年の氷ノ山国際ドリームクロスだけですが、本番前の公開練習でけっこう滑りました。

 

 スタートはいつも失敗。全日本の公開練習で4人同時にスタートしたときも、ぼくがスタートセクションでまごまごしていて、前を見ると、他の3人ははるか前方の見えないところにまで滑り去っていました。いくら相手が歴戦の勇士ぞろいとはいえ、これでは話になりません。スタートの遅れをなんとかしたいと思っていたところだったので願ったりかなったりのレッスンでした。

 

 手作りのスタートゲートが設置され、両側にあるバーを握って、両腕を引いて勢いよくスタート。しかし失速。飛び出す力がうまく推進力につながっていないようです。

 

 ぼくが練習しているダイナミック・ポジショニング・ターン(DPT、ディプト)は、ヒマラヤの高山にいて、急斜面の岩場を猛スピードで駆け下りるユキヒョウの走りのコピーです。モ-グルのターンはユキヒョウが速歩またはゆっくり走っているときの動作、直滑降はユキヒョウが全力疾走するときの動作をコピーすればいいのではないかというのが、最近考えていることです。スキークロスのスタートはまだ練習を始めたばかりなのでよくわかっていませんが、ユキヒョウが獲物目がけて全力で駆け出すときの動作になるのかもしれません。

 

 このようなことを帰りの車中で考えているとき、モーグルの直滑降とターンの切り替えもユキヒョウのようにすればいいのではないかということを思いつきました。両方の前足を前に出しながら、両方の後足で地面を蹴って飛び出すのが直滑降のスタート。エアの着地後の直滑降からターンへの入りは、ユキヒョウのように全力疾走から、前足、後足を交互に動かす速歩に切り替えればいいのではないかということです。

 

 ユキヒョウの速歩の動きはとても複雑で、頭で考えてもなかなか理解できません。しかし、人間も同じ脊椎動物なので、ユキヒョウにできて人間にできないはずがありません(たぶん)。

 

 スキークロスのレッスンを受けたおかげで、永遠に不可能かと思われたディプトの直滑降とターンの切り替え、ターンと直滑降の切り替えという難問の解決に一筋の光明が差してきたように思います。

 

 さのさかのクロスコースでは今週末の3月2日、3日、初心者も参加できる大会が開催されます。

https://lit.link/snowm

 

 ぼくは同じ日に、菅平高原ハーレスキーリゾートで開催される長野県スキー連盟主催の初心者も参加できるスキークロス体験会(無料)で、3月13日~15日の全日本ならびにFISレースに向けた強化練習をしようと思います。

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 22日に予定されていた第78回白馬八方尾根リーゼンスラローム大会第2日は、大会コースのリフトが凍結して動かず、中止になりました。

 

 八方尾根のリフトは下部ゲレンデしか動かず、スピード練習もこぶの練習もできそうにないので、隣の白馬五竜・HAKUBA47スキー場を久しぶりに訪れて、193cmのGS(大回転)の板でダイナミック・ポジショニング・ターンの見直しをしました。

 

 リーゼンスラローム大会の第1日でスピードが上がらなかった原因の一つは、ターンするときにスキーがくるっと回って横を向いてしまうということでした。先日の氷ノ山国際スキー場のスキークロスなど人に見てもらったときに、何回か指摘されていたことですが、ダイナミック・ポジショニング・ターンには、スキーの向きを変えるときに板が必要以上に回りすぎて、テールが本来のターン弧の外に飛び出してしまいがちであるとうという問題があります。「ピボットずらし」のスライドターンと同じような動きです。

 

 ターンの前半、斜滑降の斜め下を向いていたスキーが谷方向(真下)を向くところまではいいのですが、そこから逆の斜め下に向くときに一気に回って、ほとんど真横を向いてしまいます。

 

 今日の練習では、ターンの後半でスキーができるだけ回らないようにするにはどうすればいいかを考えて、「スキーが谷を向いたときに思い切りテールに体重をかける」という結論を得ました。

 

 3月8~10日に予定されていたハチ北高原スキー場のSAJ(全日本スキー連盟)公認のモーグル大会も雪不足ために中止になりました。その直後の3月13~14日に早まったスキークロスの全日本選手権と翌日のFIS(国際巣スキー・スノーボード連盟)公認大会が今シーズン、ぼくが出場する唯一の公式戦になりました。

 

 白馬滞在は残り3日間。モーグルの練習もしつつ、スキークロスの全日本に向けて練習に励もうと思います。