SAJ(全日本スキー連盟)主催の第1回スキークロス体験会が24日、長野県上田市の菅平高原ハーレスキーリゾートでありました。

 

 対象者は「スキークロスに興味がある人、練習してみたい人」。スキークロスを昨年から始め、コースを少しでも多く滑って練習したいぼくにはもってこいのイベントです。

 

 参加条件は「急斜面をカービングターンでスムーズに滑ることが可能」「傷害保険に加入している}。どちらもクリアしています。年齢制限はありません。

 

 講師陣がとっても豪華。

 

河野健児(スキークロス日本代表コーチ)

古野哲也(スキークロス日本代表コーチ)

西沢勇人(スキークロス日本代表コーチ)

福井五大(スキークロス元日本代表選手)

 

 菅平高原はうちから遠く、行ったことがありませんが、またとない機会なので、妻に付き添ってもらって参加しました。

<菅平高原の圧雪された一枚バーン>

 

 小学4年生から社会人まで約40人が参加。アルペンレースのトレーニングに励んでいるジュニア選手が多く参加しました。

 

 スキークロスコースのインスペクション(下見)の後、かつてワールドカップを転戦した講師陣によるクロスレースのデモ滑走を観戦。シークレットゲストの2010年バンクーバー五輪代表、福島のり子さんが、参加者にコースの滑り方を教えてくれました。

<豪華講師陣によって開催された体験会>

 

 全力滑走の前に、まずは5割くらいの力で、コースの状況を確かめながらのウォーミングアップラン。一人ずつ滑ります。スタート直後のでこぼこになったスタートセクションをこなすと、波板のような起伏になったウェーブや、競輪場のように傾いたバンクがあります。

 

 コースはモーグルのように左右対称ではないので、モーグルのように同じリズムでターンしたら間違います。左ターンの後の右ターンで回りすぎて、旗門の右側を通過してしまいました。本番でこれをすると一発アウトでDNF(途中棄権)となり、完走できません。その次の練習滑走でも同じところで間違えて、あわてて軌道修正を図ったものの間に合わず、旗門に突っ込み、旗を引っかけて外してしまいました。

 

 なんとかコースを覚えたところで、4人同時スタートの滑走です。小学生3人と一緒に滑ることになりました。スターターは昨シーズンまでW杯を転戦していた古野哲也さん。子どもたちにスタートグリップの握り方や、スタートの姿勢を教えています。

 

 古野さんが「ゴーと言う前にスタートしたらフライングだからね」と注意してから、「スキーヤーレディ」「アテンション」と声をかけました。そしてちょっと長い沈黙。隣の小学生が待ちきれずに飛び出しました。案の定のフライングです。

 

 やり直しのスタートは、「ゴー」できれいに4人そろってスタート。体を曲げ伸ばししながら、でこぼこにスキーを合わせ、ストックで漕いで、乗り越えていきます。スタートダッシュの後にぼくがインを突いて先頭に立ちました。やったー。生まれて初めての先頭での滑走です。

 

<一番手前がぼく。膝が硬い?>

 

 後ろから抜こうとする選手の進路をさえぎって、気持ちよく先頭を滑走。前を滑る選手は誰もいません。生まれて初めての1着かと油断した途端、コーナーでわずかにふくらんだ隙を突かれ、後ろに付いていた小学生に抜かれてしまいました。しまったと思う間もなく、小学生はウェーブでパンピング(*1)で加速して前方に滑り去っていきました。気温が上がってバーンが緩み、最短の滑走ラインを少しでも外れると、もさもさの雪にスキーをとられて減速してしまうようです。

 

 *1 Pumping 体を曲げ伸ばしして、上下動による漕ぐ動作をすること。ストックが使えないスノーボードのクロスやバンクドスラロームでは特に重視されるが、スキークロスでもスタートセクションやウェーブなどで加速できるかどうかを決める重要な動作。

 

 その後も、弱そうな相手を選んで、というわけではありませんが、子どもたちに相手をしてもらって4人同時スタートで練習。スキークロスは初めてという選手が大半でしたが、いつもアルペンレースのトレーニングで鍛えているだけあって、みんな高速ターンが上手です。ぼくの今の実力では、小学生の女子には勝てそうでしたが、男子は勝てるかどうか怪しいです。中学生、高校生にはたいていスタートセクションで置いていかれました。

 

 スキークロスは基本がかけっこです。陸上競技の100m走の場合、中学生、高校生の速い選手は10秒台、11秒台で走ります。ぼくはもともとそんなに速くはありませんが、50代のときに100m走のタイムを測ったら18秒かかりました。今は20秒以上かかるのではないでしょうか。敏捷性、瞬発力が若い選手の半分くらいのレベルだということかもしれません。

 

 高校2年の秋から3年の春まで在籍していた野球部で、25mダッシュを部員同士で競走しながら練習して、それまでより足が速くなりました。一人で走っていたのではなかなか速くはなりません。同じコースを4人同時に滑る練習会や草大会は、人と競争しながらレベルアップする貴重な機会です。

 

 スキークロスのターンで素人にとって難しいのが逆バンク。ターン弧の内側が高く、外側が低くなっているカーブです。ゴール前の直線コースに入る手前に大きな左カーブがあります。右側が下がっていて、スキーが浮いていると重力と慣性力(そのままの速度で進もうとする力)で下に落とされるので、しっかりと踏み込まなければならないのですが、どうしても体が起きて、何重にもなったカービングの轍(わだち)の上をがたがたを横滑りすることになってしまいます。

 

 リフトから見ていると、選手と一緒に滑っていた福島さんや上手な選手はクラウチングを組んだまま、カービングターンでスムーズに逆バンクを通過しています。やはり選手と一緒に滑っていた河野さんに、逆バンクもクラウチングで滑るのかを尋ねたところ、クラウチングを外すと風圧でスピードが落ちるので、できるだけクラウチングのままで滑るようにということでした。

 

 上手な選手のクラウチング姿勢は背中が水平です。ぼくは30度とか45度とかの角度で体が起きていることが多いので、スタートセクションを抜けてクラウチングを組むときに、背中が水平になるよう習慣づけて、そのままの姿勢でターンできるように練習する必要がありそうです。