RYUJIのサブカル批評 -539ページ目

ワンピース/ロマンス ドーン ストーリー

週刊少年ジャンプのイベント「ジャンプスーパーアニメツアー」で上映されたアニメ「ワンピース ロマンス ドーン ストーリー」。この作品がDVDで発売されたので、購入した。


僕は映画版も含めて、「ワンピース」のDVDをすべて(100本以上)持っているので、この作品が面白くない事は何となく予測出来たが、DVDをコンプリートしている身としては、これだけを購入しないという訳にはいかなかった。


まぁー、つまらん。子供騙しにもなってない。これでは子供も騙されん。

ルフィーが弱ぇー。敵も弱ぇー。スケール小せぇー。予想以上に面白くなかった。


採点/10点


RYUJIのサブカル批評

ポルノスター

映画監督の豊田利晃が、覚せい剤で捕まった時は、本当にびっくりした。

僕は豊田監督の大ファンだ。

中でも、監督デビュー作の映画「ポルノスター」は名作だと思う。


千原ジュニアの不気味な存在感に圧倒された。(現在放送中のドラマ「ぼくの妹」でも好演しています)

ジュニアには、ビートたけしや、泉谷しげると同じ才能を感じる。

演じていると言うよりは、彼等の中に元々ある「狂気」が、演技の中に滲み出ているような気がするのだ。


この映画を撮っていた時期に豊田監督が覚せい剤を使用していたのか定かでは無いが、僕はこの映画を観た時、「この監督は絶対、クスリをやっている」と周囲に話していた。

空からナイフが降ってくるシーンや、人の胸に何度もナイフを突き立てるシーン等など・・・・・・。「ポルノスター」には、普通の感性では想像し得ない、繊細でいて大胆なシーンが数多く見受けられる。それは本作に限らず、豊田監督の作品すべてに共通している。「狂気」と「ナイーブさ」とが作中に共存しているのだ。


今までに感じた事のない刺激を、豊田監督の作品からは感じ取る事が出来る。

豊田監督の4年振りの新作「蘇りの血」が公開される事が決まった。とても期待しています。


採点/90点


RYUJIのサブカル批評

地球が静止する日

映画「地球が静止する日」をDVDにて鑑賞。


これだけの豪華なキャスティングを揃え、これだけの膨大な予算を掛け、これだけスケールの大きな話を映画にしたのに、何だ、この下らない映画は。


キアヌ・リーブスの出る映画は、当たり外れが激しい。それは、彼が「これはお金儲けの為の映画」、「これは只でも出たい映画」と、はっきり割り切って出演しているからだと思う。まぁ、ある意味、ハリウッドで一番生き残っていけるタイプの役者だと思う。


1951年に公開された映画のリメイク版だそうだが、この作品はハリウッドが大金を掛けて制作すべき映画ではない。ティム・バートンのような監督が自己資金を投入して、洒落で作った方が絶対に面白い映画になる。


下手に家族愛を持ち出したり、特撮に金を掛けたりしてるモンだから、真面目に作っている分、余計に作品そのものが陳腐に見えてしまっている。


ティム・バートンが監督した場合の「地球が静止する日」を観てみたいと感じたのは、多分、僕だけじゃないと思う。


採点/20点


RYUJIのサブカル批評

マークスの山

映画「マークスの山」は、高村薫の小説を映像化した作品だ。

この作品は良くない点も沢山あるけど、崔洋一監督らしい、ハードボイルドな作品に仕上がっている。


特筆すべきは、主役の合田刑事を演じた中井貴一。ドラマ「スマイル」でも、良い味出してます。本当に良い役者になりましたね。


ドラマでは三浦友和が、映画「レディ・ジョーカー」では徳重聡が合田の役を演じていました。

でも、どちらも僕の考えていた合田のイメージには程遠いキャスティングでした。

中井貴一に合田の役を演じさせたのは大正解です。僕のイメージ通りでした。


合田というキャラクターは今までに無い、新しい刑事像です。僕も含めて、合田ファンは多いと思います。

ヒーロー的な格好良さではなく、合田の人間的なところにとても魅かれます。

「人間的」という言葉を言い換えると、「駄目なところ」であったり、「格好悪さ」であったり、「弱さ」であったり。

兎に角、そういうところが丁寧に描かれている作品が、僕はとても好きです。


採点/90点


RYUJIのサブカル批評

バタアシ金魚 全6巻/望月峯太郎

望月峯太郎は不思議なマンガ家だ。

実力は確かにあるのだが、捉えどころが無い感じがする。


出版されている作品は、そんなに多くはないが、望月の漫画は発表される度にいつも話題に上る。

ただ、「万祝」ははっきり言って駄作だと思うし、「バイクメ~ン」は僕にはシュール過ぎた。

「ドラゴンヘッド」は面白かったが、途中、作者自身に「先の展開をどうしようか」という迷いがあるように感じられた。作品への情熱が冷めてしまっているシーンが何箇所か見受けられるのだ。まぁ、それも含めて面白かったけど。

僕は断然、「バタアシ金魚」をお薦めする。

主人公のカオル(男)は、格好悪いし、性格悪いし、自意識過剰の、いわゆる嫌な若者だ。

そんな奴を主役にしようと企画した時点で、この作品の面白さは決定したと思う。


「若者」とか「青春」とか「恋」とかの不条理さを上手く描いています。


映画版も面白かったです。(筒井道隆がこれ以上無いほど、ハマってました)


採点/90点


RYUJIのサブカル批評

ラッシュライフ/伊坂幸太郎

もはや説明不要。出版する小説がいつもベストセラーの上位に食い込み、その作品が次々と映像化されている小説家、伊坂幸太郎。何度も候補作に選ばれながらも、この人が直木賞を未だに獲れていないのが不思議でしょうがない。「そんなんで、日本の文壇とやらは大丈夫か?」と心配になってくる。


原作は未読だが、映画「アヒルと鴨のコインロッカー」はとても面白かった。(因みに85点)

原作を読んで、とても面白かった「重力ピエロ」も映画化されたので、そちらの方も期待している。(キャスティングは僕のイメージと違ったけど・・・・・・)


問題は、この「ラッシュライフ」だ。僕はこの小説が面白かった分、映画化する事には異を唱えたい。

いくら僕の好きな俳優、堺雅人主演と言っても、映像化して面白くなる作品とはとても思えない。

やるんだったら、原作とは、かけ離れた脚本で作る他ないと思う。まぁ、もう作ってしまったものはしょうがない。

僕もなんだかんだ言って、映画がDVD化されたら借りてしまうと思うし・・・・・・。


「ラッシュライフ」は是非、読んでほしい一冊です。自分が伊坂幸太郎ワールドを受け入れる体質か、否か、一番はっきりと分かる作品だと思います。


採点/90点


RYUJIのサブカル批評

邪魔/奥田英朗

奥田英朗の小説は大好きで、殆ど読んでいるのだが、中でも一番好きな小説は「邪魔」だ。


僕はこの小説を読んでいる間中、変な緊張感を覚えて、ずっと胸が高鳴っていた。

つまり、かなりスリリングな気分にさせられる作品という事だ。


人間の中にある「欲望」とか、「性(さが)」とか、あらゆる嫌な面を浮き彫りにしていく展開に、読者はヒリヒリするような緊張感を強いられる事となる。


比較的多い登場人物を、ここまで掘り下げた力量は賞賛に値する。


気分が良い時に読む事をお薦めする。鬱の時に読むと、かなりブルーな気分になってしまう恐れがあります。


あと、タイトルが秀逸。


採点/90点


RYUJIのサブカル批評

リアル鬼ごっこ

DVDにて映画「リアル鬼ごっこ」を鑑賞した。


僕は何年か前に原作を読んでいて、この作品をどう映像化するのか、とても興味があった。

まあ、原作も設定の奇抜さだけで勝負している感があり、あまりお薦め出来るものではない。


この作品を監督した柴田一成監督は、はっきり言って駄目だ。

稚拙な原作を更に低俗なものにしてしまった。


柴田監督は、あまり映画を知らない(観ていない)人のような気がする。

そうでなければ、こんな「仮面ライダー」のような作りにはならなかったと思う。


低予算を言い訳にされそうだが、そんなのは観客には関係ない。

観客は同じお金を払って映画を観ている。それはDVDレンタルにしても一緒。

「2001年 宇宙の旅」も「レッドクリフ」も「リアル鬼ごっこ」も、同じ土俵で勝負しているのだ。

制作者サイドは、それだけの責任と覚悟を持って映画制作に取り組むべきだ。


採点/10点


RYUJIのサブカル批評

ワールド・オブ・ライズ

DVDにて映画「ワールド・オブ・ライズ」を鑑賞。


リドリー・スコット監督の凄さは、どんな題材の映画を撮っても、そこそこの作品に仕上げる事が出来るところだろう。それはリドリー監督の長所であり、また欠点でもある。


この作品も、そこそこ楽しめるが、突出した何かが足りない。

「エイリアン」、「ブレードランナー」、「グラディエーター」を撮った監督が、「ブラック・レイン」、「テルマ&ルイーズ」、「アメリカン・ギャングスター」を撮っているのだ。単純に凄い事だと思う。しかも、すべての作品で、彼はそつ無く監督としての役割を果たしている。

しかし、リドリー監督しか撮れなかったというシーンが、僕にはあまり思い浮かばない。

監督としての手腕は最高。でも、独自の世界観が足りない。


ラッセル・クロウは、なかなか良かったです。今までに描かれた事の無いキャラクター像を、見事に演じ切っていました。現代のアメリカの象徴が、この役に詰め込まれていると思います。採点の内、20点位は、このキャラクターへの得点です。


最近のハリウッド映画は、「アメリカイコール正義」という捉え方から漸く脱して、自国の政治批判も出来るようになりました。僕は其処にハリウッド映画の新たな可能性があると感じています。


採点/75点


RYUJIのサブカル批評

AKIRA 全6巻/大友克洋

マンガ「AKIRA」を全巻読破した。

丁寧に、少しずつ読み進めていたので、6巻を全て読むのに、約1ヶ月も掛かってしまった。


アニメ映画版「AKIRA」は何度か観ていて、あの独特な世界観が好きだったので、今更だけど、雑誌位の大きさのコミックス版をすべて買い揃えた。


映画版では詳しく説明されていなかった部分が、マンガでは分かり易く描かれていた。

ただ、映画の方が難解な分、作品自体の魅力が大きかったように思う。分かり易いイコール面白いという単純な図式は、映画では成立しないのだ。


この作品が「マンガ」の新たな可能性を広げた歴史的な作品である事は間違いないだろう。勿論、映画の方も、世界的に評価を受けた歴史的な一作だ。・・・・・・あれ?そう考えると、改めて「AKIRA」って凄い作品だよな。


大胆な構図や、独特のタッチ、描き込みが多く丁寧な描き方は衝撃的で、絶賛する他ない。

ただ、大友克洋は、実写映画の監督はやめた方が良い。何度も言っている事だが、違う分野で活躍している芸術家が映画を作って失敗する例は少なくない。大友の監督した実写映画は正にそれなのだ。


採点/80点


RYUJIのサブカル批評