GANTZ 25巻/奥浩哉
マンガ「GANTZ」の25巻を読了。
次の巻から、新たな展開に入りそうな気配。
僕は、この手のマンガがあまり好きではないが、「GANTZ」だけはずっと読み続けている。
「GANTZ」は、エログロを描くと同時に、読者に感動を与える事も出来ている稀有なマンガだと思う。連載当初から壮絶な殺戮シーンが繰り広げられているので、さすがに25巻まで来ると、そのグロさに慣れてきてしまい、バトル自体に新鮮さは感じられない。
ただ、この作品が指示されているのは、そのエロさや、グロさ、CGを使って描かれた大胆な手法などではなく、登場人物のドラマがしっかりと描かれている点だと思う。
これはすべての創作品(映画、ドラマ、小説、マンガ、音楽など)に言える事だと思う。「人間」という不可解な存在がしっかりと描かれている作品に駄目なものはない。
採点/65点
PLUTO 7巻/浦沢直樹×手塚治虫
マンガ「PLUTO」の7巻を読了した。
僕は第1巻を購入する際に、豪華版を購入してしまったので、ずっと1,500円前後のお金を出して、豪華版を買い続けている。
通常版が550円で買えるのに比べて高過ぎる。そう思っている読者は多いと思う。
付録がしっかりしていれば、文句も言わないが、1,000円も高いお金を出してわざわざ豪華版を購入するほど価値のある付録は今のところ見当たらない。
次の第8巻で完結するとの事なので、僕は少しほっとした。
作品自体は、とても良く練られていて、「浦沢直樹・長崎尚志チームは流石だなぁ」と感心している。
特に、この作品は手塚治虫の原作「鉄腕アトム/地上最大のロボット」も面白いし、息子の手塚眞が監修をしているのも作品の出来に大きく関わっていると思う。
浦沢直樹、井上雄彦、松本大洋、尾田栄一郎、佐藤秀峰の5人は、画力が優れていて、マンガを芸術にまで昇華させている数少ない漫画家だと思う。
採点/90点
スカイ・クロラ
DVDにて映画「スカイ・クロラ」を鑑賞。
僕は、かなり前に小説も読んだが、このアニメは原作本とはかなり違ったテイストに仕上がっていると思う。
押井守監督の凄いところは、どんなテーマを扱っても、その作品全体に押井ワールドが展開されている事だ。
押井監督の作品に、納得する結末を求めてはいけない。その世界観に入り込めるかどうか。
作品全体の雰囲気と、挑戦的なアニメの表現力と、CGの技術力で勝負。
ストーリーの整合性に重点を置いていない。そこのところを理解し、納得出来るか。それがこの作品を楽しめるかどうかのポイントとなる。
従って、この作品を受け入れられない人は、押井監督の作品すべてを受け入れられない可能性が高い。
実は、僕も押井監督の作品を手放しで評価する側ではない。
但し、押井監督の独自性には一定以上の評価をするべきだと思う。
あと、この作品での谷原章介の声はとても良かったです。存在感がありました。
採点/65点
実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)
DVDにて「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」を鑑賞。
若松孝二監督の本領発揮、面目躍如と言ったところか。まあ、気味の悪い映画でした。二度は見れません。(これは誉め言葉です)
若松監督は、あの時代の若者を肯定しているわけではなく、寧ろその滑稽さを前面に押し出しているように、僕には感じられた。
何かと言えば「総括」だ、「自己批判」だ、「共産主義」だ。見ていて気分の悪くなる言葉のオンパレード。高尚な思想とは矛盾した、その狂気じみた行動。
「言葉遊び」、「革命ごっこ」と言ったら、当時の連合赤軍の人達はお怒りになるだろうか?否、それを今一番解っているのは、今は夢から醒めているであろう本人達だと思う。
権力に抗う集団の中に、また新たなる権力が生まれ、恐怖に打ち勝つ為に、仲間を処刑し、より一層の恐怖を心に植えつけてしまう。
考えてみると、僕は1971年生まれなので、この時代に生まれている。つまり、僕の両親が正にこの時代、この映画の主人公達と同じ世代に当たる。会社で言えば、この時代の若者達は、丁度、定年退職を迎えたような人達だろう。考えさせられるなぁー。
「革命」という言葉に陶酔し、集団催眠のようなものに掛かってしまった若者達の悲喜劇。
この映画を見た人達は、若松監督の情熱に圧倒される事だろう。これだけパワフルな映画には滅多に出合えるものではない。因みに、若松監督は70歳を超えている。
採点/85点
椿山課長の七日間
テレビで放映していた映画「椿山課長の七日間」を鑑賞した。
死後の世界がどうなっているのか、生きている人間は知る事が出来ない。
僕は、死後の世界は「知ってしまったら早く死にたくなってしまう程素晴らしい世界」なので、神は死後の世界を人に見せないようにしているのだと思っている。
天国も地獄もない。「パーフェクト・ワールド」が待っていると信じているのだ。
「死後の世界」への考え方は人それぞれに違う。
死んだら「無」になるという人もいれば、すぐに生まれ変わるという人もいる。
僕は原作は未読だが、この映画を見て浅田次郎の優しさに触れた気がした。
浅田次郎の小説の根底には、いつも「性善説」が流れている。
この作品に限らず、僕は西田敏行のその演技力にいつもやられてしまう。
あと、志田未来って、何か変な存在感あるよね。
浅田次郎の考える死後の世界に、そうであったら良いねと思うし、また、そうであってほしいと思った。
採点/70点
あしたのジョー/高森朝雄・ちばてつや
今まで読んだマンガの中で一番好きなマンガは何かと問われたら、僕は迷わず「あしたのジョー」と答える。「ドラゴンボール」でも「ワンピース」でもない。
「あしたのジョー」はマンガも勿論読んだが、僕はどちらかと言うとアニメの方が好きだ。
男とか女とか関係ない。果たしてどれほどの人間が、死に際に「真っ白に燃え尽きた」と言える人生を送る事が出来るだろうか?
「俺はいつ死んでも良い」などと嘯いてみても、実際のところは大抵の人が、未練たらたら「俺はまだ死にたくないよぉー」などとジーパンみたいな事を言いながら死んでいくのではないだろうか。
ジョーのように格好良く生き、ジョーのように人生に納得して死んでいきたい。僕は小学生の頃からそう思っていた。
現代の若者の中には、「あしたのジョー」を知らない人もいるだろう。
絶対、損してると思う。
小説や映画や音楽だけじゃない。人生を変えてしまうマンガは確かに存在する。
第81回 米アカデミー賞
ニュース・ワイドショー等で、散々報道しているので、あまり多くは語りませんが・・・・・・。
「おくりびと」、「つみきのいえ」の受賞は、同じ日本人としてとても嬉しかったです。おめでとうございます。
そして、ヒース・レジャーにおめでとうと、有難うを・・・・・・。「ダークナイト」の演技は最高でした。ヒースが亡くなっているからお情けで賞を与えたという訳ではなく、あの素晴らしい演技なら、彼が生きていたとしても、最優秀助演男優賞は獲れていたでしょう。
「スラムドッグ$ミリオネア」が8部門で受賞したのは意外でした。
まあ、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」は特撮を使ったシーンが多いので、賞を獲るのは難しいとは思ってましたけど。
予想通りだったのは、ショーン・ペン、ヒース・レジャーの受賞位でした。
色々と黒い噂の多い、米アカデミー賞ですが、今回は、公平な評価がなされていたような気がします。