シグルイ 12巻/南條範夫・山口貴由
マンガ「シグルイ」の最新刊を読了。
このマンガも最初は良かったんだけどなぁー。
同じ絵柄、同じテーマで他の対決(エピソード)に話を移した方が良いんじゃないか。
さすがに12巻まで来ると、もうこの2人の話は完結して良いと思う。
しかし、人というのはつくづく好奇心旺盛な生き物だ。
読者はこのグロいマンガに何を求めているのか?
僕は「シグルイ」を、「はだしのゲン」を読むのと同じ感覚で読んでいる。
「おぞましい物への好奇心」とでも言おうか。
人は触れてはいけない物に触れたがり、恐ろしい世界を覗き見たりして、やがてそれらに関わった事すべてを後悔する事になる。
「見なきゃ良かった心霊写真」って感じだ。でも、また見たくなっちゃうんだよねぇー。
採点/60点
デトロイト・メタル・シティ
DVDにて映画「デトロイト・メタル・シティ」を鑑賞。
僕はマンガの原作もすべて読んでいるのだが、この映画はまあまあ上手くまとめている方だと思う。
キャスティングも良い。松ケンは、やり過ぎ位に頑張っていた。
ただ、マンガを実写化して、原作より面白くするのはなかなか難しい。
僕の中で、マンガの原作を実写映画版が越えたと思う作品は「オールド・ボーイ」位のものだ。
挿入歌、エンディングに使われているカジヒデキの「甘い恋人」は、予想外に良い曲だ。
主人公の根岸が、趣味でダサーい曲を作っているという設定なのだろうが、そこはやはりカジヒデキはプロのアーティスト。根岸をイメージして曲を書いても、かなりの完成度を持った曲になってしまったのだろう。
今更だけどCD買おうかな。
採点/60点
闇の子供たち
DVDにて「闇の子供たち」を鑑賞。
日本映画、やるねぇー。
江口洋介、妻夫木聡、宮崎あおい、佐藤浩市というキャスティングに惹かれて、中途半端な気持ちでこの映画を見るとかなりの衝撃を受けると思います。
幼児売春、臓器売買などの実態は、ある程度報道されている事なので、その事実自体に新鮮さはない。
それよりも問題なのは、梁石日の原作がどれだけのリサーチの下で書かれた小説かは知らないが、臓器を取り出す為に、生きている子供を殺してしまうという事実が本当にあるとするならば、衝撃的な事実だと思う。
この作品の凄いところは、幼児性愛者の犯罪に対して、その根の深さに言及しているところだろう。
現代では、性同一性障害者や、同性愛者への理解は年々深まっているが、同じ障害として考えると、幼児に性的興奮を覚えてしまう人間に対してのケアや、理解は全く示されていない。
幼児性愛者を障害として認識し、犯罪に向かわせないように矯正する社会的なケアが確立されていないのだ。幼児性愛者イコール犯罪者という考え方は間違っていて、持って生まれてしまった性癖をいかに矯正していくかという課題に社会が向き合っていかなければ、犯罪は増える一方だし、犯罪者を取り締まったところで、根本的な解決にはならないと思う。
この映画は、その部分の問題提起もしっかりとしている。
エンディングに流れる桑田佳祐の歌はミスマッチに思えた。僕は桑田佳祐のファンだが、桑田と映画の相性は決して良くない。桑田の声の存在感が強すぎて、映画本来のメッセージが伝わり難くなってしまっているように感じた。
採点/85点
おくりびと
DVDにて映画「おくりびと」を鑑賞した。
いやぁー、大したモンだ。
世間の評価が高い映画を見る時、他の人はどうか知らないが、僕は何の情報もなくまっさらな気持ちで見る時よりも、見る目が多少厳しくなってしまう。
「おくりびと」はこれだけ世間が騒いでいる作品なので、「どれどれ、ちょっとばかりプロ的な目線で意見してやろう」と少し意地悪な気持ちを持ちつつ、鑑賞したのだが・・・・・・これは良い、とても。
「納棺」という神聖な儀式を映画の主軸に置いた時点で、この作品の成功は半分以上決まっていたと思う。
原作に着目し、企画の段階からこの作品に関わったという本木雅弘の功績は大きい。
滝田洋二郎監督に関して言えば、「コミック雑誌なんかいらない」、「秘密」などの作品で、その才能は証明されているので、今更「滝田は凄い」などと言うのは失礼な話だ。一般的に評価されるのが遅すぎたというところだろう。
確かな演出。役者も皆んな良かった。
脚本も素晴らしい。何よりテンポが良く、飽きさせない。
吹雪の中から車が現れるという冒頭の画は、何と素敵な画なんだと思った。
凄く良く出来た映画です。アカデミー受賞も納得。
文句の付けどころがなくて、何か悔しい。
「じゃあ何故100点満点じゃないの?」と言う人がいるかもしれないが、100点満点の映画は有り得ない。あるとしたら、自分自身が監督した作品だけだろう。
採点/95点
ワンピース 53巻/尾田栄一郎
マンガ「ワンピース」の最新刊を読了。
鳥山明は「ドラゴンボール」の連載をやめたくてしょうがなかった。
それでも「ドラゴンボール」は最後まで楽しめたから、やはり鳥山明は天才なんだろう。
ついに「ワンピース」は「ドラゴンボール」の連載期間を超えた。
それでも尾田栄一郎のアイデアは尽きる事がない。
特にこの巻は面白い。この先の展開の大きな分岐点となる話が詰まっている。
世界政府を敵に回したルフィ海賊団の物語をこれ以上膨らませるのは難しいのではないかと思っていた僕の不安は杞憂に終わった。
でも、何となく尾田栄一郎は「ワンピース」を纏めに入っているような気がしているのは僕だけだろうか。どうせなら100巻を目指して、長く続けていってほしい。
尾田の「ワンピース」以外のマンガを読んでみたい気もするけど・・・・・・。
採点/90点