RYUJIのサブカル批評 -538ページ目

101回目のプロポーズ

ブログ101回目突入記念。

「101匹わんちゃん」とどっちにしようか迷いましたが、ドラマ「101回目のプロポーズ」について取り上げてみたいと思います。


僕はこのドラマ、12話を通して5回位観ています。

このドラマは、「恋愛に関する逆説」を描いています。

「言葉よりも心が大事」ではなく、「心よりも、寧ろ、言葉の方が大事」。

「男だから潔く諦める」のではなく、「男だからこそ不屈の精神で諦めない」。

野島伸司は、こういう意外性を突くのが本当に上手いですね。


武田鉄矢、物凄くうざい。けど、武田鉄矢をキャティングした事で、このドラマが成功したのは事実だろう。


僕はこのドラマの脚本も読んでいるが、脚本だけ読むと、主人公の星野達郎は、武田鉄矢のような脂ぎったオッサンじゃなくて、もっと地味な感じ、例えば「大杉漣」のような男性がイメージされました。


興味深いのは、浅野温子が「最近の男性は、女性に優し過ぎて、バージンの女性が増えている」という台詞。18年も前(このドラマは1991年の放送)から、草食系男子が増えている点をこのドラマは指摘しています。

つまり、「草食系男子」という言葉自体は、最近使われだした言葉だが、実は「草食系男子」はずっと前から増え続けている。いや、増えていると言うより、割合から言うと、昔から、恋愛に関しては「草食系男子」の方が多いんだと思う。

「最近、草食系男子の方が多くなってきた」のではなく、「今も昔も、恋愛に関して男は、草食系の方が多い」のだ。

昔のドラマを観かえすと、時代と共に変わっていくものと、そうでないものが見えてきて面白い。


未婚の男性諸君、「男はハートだ!」なんてのは通用しないですよ。「言葉が大事」なんだってさ、「言葉」が。それは、昔も今も変わっていない気がします。


採点/90点


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100/松本大洋

ブログを始めて100日が経ちました。

という訳で、今回は「100」という数字に因んで松本大洋の作品集「100」を取り上げたいと思います。


大洋は、子供の表情を描くのが上手い。「鉄コン筋クリート」は、その事を証明する作品でもある。

僕は特に、大洋の描く「子供の泣き顔」が好きだ。

子供の泣き声を聞くと、胸がキューンとなりません?

それと似たような感覚ですが、僕は大洋の描く「子供の泣き顔」を見ると、胸がキューンとなります。


松本大洋の出版する本は、とても価値のある一冊だと思う。ただ、それにしても値段が高すぎる。

僕は大洋の本を全部持ってるから、買っちゃったモンは仕方ないけど、これから出版される本(出版社)は、若い読者の事も考えて価格を決定して欲しい。

大洋の描く子供達。そんな子供達の中にも、大洋のファンは居る。彼等は、少ないお小遣いを貯めて、大洋の本を買っていると思う。子供を描く事の多い大洋は、子供に優しい「太陽」でなくてはならないと思う。


採点/75点


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歩いても歩いても

映画「歩いても歩いても」について。


海外では「おくりびと」より、評価が高い国もあって、かなり注目された作品です。


僕は、是枝裕和監督の長編映画は全て観ていて、中でも「誰も知らない」は傑作中の傑作だと思います。


この「歩いても歩いても」も、何と言う事のない家族の話なんですけど、そこはかとなく悲しく、何処となくユーモラスな感じがとても心地良い作品です。日本の「帰省」という習慣を、丁寧に描き出しているのも、海外での評価が高い一つの要因だと思います。


それにしても、是枝作品に出てくるYOUは、物凄く良いですね。彼女が出演しているだけで、作品の色が違ってきます。そこに目を付けた是枝監督はやはり凄い監督だと思います。


新作の「空気人形」にも期待しています。


採点/85点


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BLUE SONG WITH BLUE POPPIES/the pillows

家に帰ったら、amazonで予約してあったthe pillowsのアコースティックライブDVD「BLUE SONG WITH BLUE POPPIES」が届いていたので、早速、視聴した。


はっきり言ってあまり期待していなかったが、新曲も入っていたりして、予想以上に良かったです。


山中さわおは、何か、年々良くなっていきますね。「どんどん歌が上手くなっている」なんて言ったら、失礼だけど、正にそんな印象を受けます。


「最新のthe pillowsが、最高のthe pillows」


バンド結成20周年なんて時に、そんなフレーズが似合う、不思議なボーカリスト。進化し続けてる稀有なバンドです。


ゲストミュージシャンのテルミン奏者、Rom Chiakiさん。格好良かったです。演奏も素晴らしかったし、素敵でした。はっきり言って、他の演奏を喰っちゃってました。それでも「私はあくまでもthe pillowsの引き立て役ですよ」という、一歩引いた「しおらしさ」が感じられ、非常に好感が持てました。

テルミンって「何か、楽器としてどうなんだろう」って思ってたけど、なかなか良いですねぇー。来るんじゃないですか?テルミンブーム。


採点/80点


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バカリズムライブ 宇宙時代 特大号

「バカリズムライブ 宇宙時代 特大号」のDVDを鑑賞した。


兎に角、面白い。

バカリズムと言ったら、「トツギーノ」しか思い浮かばない人は、是非観てください。

彼の、人とはちょっと違った物の見方が、とても面白いです。

「色々と考えてんだなぁー」と感心しました。


採点/80点


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シッコ SiCKO

マイケル・ムーア監督の映画が好きだ。と言うよりは、マイケル・ムーア本人が好きだ。


映画「シッコ」は間違いなく、マイケル・ムーア監督の最高傑作だと思う。

僕はマイケル・ムーアを映画監督としてではなく、優秀なジャーナリストとして見ている。しかも、ただアメリカの現状を報道するだけのジャーナリストではなく、アメリカの政治を動かしていける力を持った数少ないジャーナリストだと思う。


ホワイトハウスのブラックリストに入れられ、政府当局から要注意人物として常に監視されているマイケル・ムーア。それは彼にとっては勲章であり、アメリカ政府が彼の動向に脅威を抱いていて、彼が無視出来ない存在となっている証拠でもある。


マイケル・ムーアのような人間が日本にも現れてくれないかなぁ。

日本人は、どうも「性善説」が先に立って、巨悪に対しても比較的、おおらかな見方をしている気がする。

そこには、アメリカ人と日本人の国民性の違いがあるのかもしれない。


採点/85点


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放送室

祝・松本人志結婚。

19歳も年下をゲット!出来ちゃった婚!お相手は元お天気お姉さん!やってくれました。


ラジオ放送していた「放送室」がCD化されている。

松本人志と、放送作家の高須光聖がフリートークしているこの作品。10枚のCDを1巻として、10巻が発売されている。

僕はその内の最初の1巻(CD10枚分)だけ聴いた。

その中で、松ちゃんが、結婚や子供について話している回(第9回放送分)があり、その中で「50位になってから、30位の女と結婚しようかなぁ」と言っていた。まだ50歳にはなっていないし、細かく言うと19歳の年の差だが、ほぼ言ってた通りになった。「松ちゃんは有言実行の人だなぁ」とつくづく感心した。

本人も言っている通り、松ちゃんの子供は大変だ。他人事ながら心配になってくる。


「放送室」を聴くと、ダウンタウンというコンビが、実は高須も入れたトリオなんだという事を実感出来る。

ボケの松ちゃんがツッコミに転じたり、高須が松ちゃんの役回りをしてみたり。

テレビでは観れない松ちゃんの一面が垣間見れて、とても面白い内容になっています。


僕は通勤の時に、このCDを聴いていたのですが、電車で一人、笑いが止まらなくなってしまい、恥ずかしい思いをした事がありました。なので、これから聴く方は、最初は家で聴く事をお薦めします。


採点/100点満点。おめでとうございます。


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ジュニア千原のすべらない話

僕は「お笑い」大好きなので、「お笑い」のカテゴリーを追加しました。


DVDにて、「ジュニア千原のすべらない話」を鑑賞しました。


「人志松本のすべらない話」のスピンオフとして企画されたこの番組(地上波での放送はありませんでした)。松本人志がいない以外は、いつもの「すべらない話シリーズ」と基本的に同じスタイルです。


あまり期待していなかったけど、とても面白かったです。

最初は、いつもの「すべらない話」と同じような緊張感がありましたけど、松本人志がいる時よりも、多少、リラックス出来ている分、笑いが生み出され易い状況になっていたと思います。


僕は、ピースの綾部祐二の話が一番面白いと思いました。


採点/80点


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四国八十八ヶ所感情巡礼/車谷長吉

「赤目四十八瀧心中未遂」で直木賞を受賞した車谷長吉。

彼を何と呼べば良いのか。小説家、私小説家、エッセイスト、俳人、文芸評論家。そうだ車谷の事をこれからはこう呼ぼう。「物書き」と。


車谷は数々の文学賞を受賞し、文壇に貢献しているのに、実は文壇からは敬遠されているという稀有な存在だ。

僕も車谷の作品は、どれも好きだが、彼と友達にはなりたくない。

それは車谷が、永井荷風や、太宰治や、島崎藤村のように、小説を書く為に自分の人生をわざと破滅させていくと言うスタイルを貫いていたからだ。こういう人の書く小説は読むと面白いが、下手に関わって自分まで巻き込まれるのは御免だ。


「四国八十八ヶ所感情巡礼」には、車谷が奥さんと四国巡礼した時の顛末が描かれている。


車谷が悪人とは言わないが、車谷のような人が、それでも極楽浄土に行きたいと願っているのが、まず面白い。そして、四国巡礼を車などを使わず、真面目に歩いて終えれば、現世で行った数々の罪が浄化され、極楽浄土に行けるという都合のいい考え方も車谷らしいなぁと思った。


「私小説はもう書かない」と宣言した現在の車谷長吉となら友達になれるかもしれない。でも、車谷の人生が破滅しても良いから、彼の面白い私小説を読みたいと思っている僕は、多分、極楽浄土には行けないだろう。


採点/70点


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姑獲鳥の夏/京極夏彦

京極夏彦の小説「京極堂シリーズ」はとても面白くて、すべて読んでいます。

どれを取り上げようか迷ったのですが、どれも甲乙付け難かったので、シリーズ第一作にして、京極夏彦のデビュー作「姑獲鳥の夏」を取り上げようと思います。


京極の小説は、とても長いのが特徴で、その本の分厚さから、どうも読む気になれないと言う人も多いと思います。でも、読み始めると、レトロチックな世界感や、個性的な登場人物に魅了され、あっという間に読み終えてしまいます。まぁ、何人かの人に、本を貸して読んでもらったら、賛否両論ありましたけどね。

小説内に雑学を多く取り入れている事も、京極作品の一つの特徴です。

「姑獲鳥の夏」は、間違いなく「ミステリー」と言うよりは、「推理小説」としての新たな可能性を提示した歴史的な一冊だと思います。ただ、映画は最悪でした。


採点/85点


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