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「瘋狂的外星人」の主役格・大飛を演じるシェン・トン(沈騰)が主演の、同時期に公開された映画。

「ペガサス-飛馳人生-」(2019年 原題「飛馳人生」 監督/韓寒 主演/沈騰)
98分


ポスターからは何の話なのかさっぱりだけど、中身は過去の栄光を取り戻すためカーレースに挑む中年男性を描いたコメディ。
原題は疾駆する人生という意味になるけど、主人公の名が馳で彼の息子の名が飛であることにもかけてるのかなぁ。

――かつて中国No.1の名をほしいままにしていたカーラリーレーサーの張馳はある時罠に嵌められ公共の場で暴走し逮捕された。5年の拘留の後、彼は再びレース界への復帰を目指す。
というのは彼はシングルファーザーで、幼い息子の張飛は父の栄光の姿を知らない。息子にぜひ自分の活躍する姿を見てほしいというのが唯一の願いだ。
だが実は張飛は誰の子なのかわからないのだ。ある日赤ん坊が張馳の車のボンネットに放置されていた。最盛期の彼には沢山の恋人がおり心当たりがありすぎた、片っ端から聞いて回ったが結局母親は見つからなかった。そして最近DNA鑑定したところ彼自身の子でもなかったことが判明したのだった。それでも張馳は張飛を可愛がりチャーハン店を営みながら男手一つで一所懸命育てているのだ――

[ここからネタバレ-----
張馳が表舞台から姿を消した後レースに参戦したアメリカ帰りの若きレーサー・林臻東が連続優勝を続けていた。張馳がレースに復帰すると聞いた林臻東は彼に会いに行く。中国ラリーレース界を牽引してきた張馳と戦い勝つことで真のNo.1として歴史に名を刻まれることになる、そのためにもレースに出場して戦ってくれと言うのだ。必要なら金も貸してやると言うのだが見栄っ張りの張馳は大丈夫だと笑って断った。

張馳はまず同乗レーサーの孫宇強と再会。免停になっているので自動車教習所へ行って免許を再取得した。車を手に入れるため以前世話になっていた車整備工場へ行くが、張馳が逮捕されたせいでこの工場も評判を落としたため、手伝えることはないと断られる。だが昔の仲間である整備士の記星が彼らが昔使っていた車のフレーム…もう廃棄寸前だったものを持って来てくれた。だがここからレースに使える車に戻すためには莫大な資金が必要だ。張馳と孫宇強は走り回ってやっとのことで強力なスポンサーを見つけた。
そしてついに車が完成した。さっそく試乗し乗り心地を確かめる。記星の整備は完璧で、さらに張馳の腕はまったく落ちていなかった。

レースの行われるバヤンブラクへ向けて孫宇強は車を乗せたトラックを走らせていた。張馳は息子と一緒に飛行機で現地入りする。だが宇強のトラックがパンクして横転し、積まれていた車も大破してしまった。今から直すためのパーツも資金もなかった…張馳は出場辞退の申請書にサインするしかなかった。
その手を林臻東が止める。張馳はやはり5年という歳月は長く自分の時代はとっくに終わっていたのだと、これからは君たち若い人の時代だと苦笑を返す。しかし林臻東は5年という年月の意味は別にあると言って指を鳴らす。それは技術の進歩だ。彼の整備チームそして最先端のロボットが現れ、ぺしゃんこになっていた張馳の車はみるみるうちに元通りに。そしてレースの日を迎えた。

ナビゲーターの役割を果たす同乗レーサーの孫宇強が負傷しドクターストップがかかったため、張馳は単身でレースに臨む。その殆どが山中で未舗装のコースで占められているバヤンブラクラリーは非常に過酷で事故もハプニングも多く完走すら難しいことで有名だ。張馳は途中にいくつもの事故車を見かける。
だが彼はこのレースに賭けて来た…車に乗れなかった5年間ずっとこのコースを何度も何度も頭の中でシミュレートしてきたのだ。

先行していた林臻東はフィニッシュを切った。最後にはエンジンが火を噴くほどで全力の、最高の走りだった。車から降りて来た林臻東は、必ず完走するであろう張馳の姿を待つ。
そしてやはり張馳は現れた!最後の直線を、車の警告音も無視してアクセルを踏み込む。ゴールゲート直前で限界を超えた内部機関が破壊されていく、だがコンマ差で林臻東に勝った!
ゲートを越えても張馳の車は減速しない、ブレーキが破壊されてしまったのだ。さらにハンドルも利かない、車は完全に操作不能に陥った!
タイヤも吹っ飛び車は全速で崖へ、その向こうの海の上に輝く夕陽に向かって一直線に飛んで行った…。(終)

(エピローグ)
数年後、自動車は羽根が生えて空を飛べるようになり、張飛の尊敬するパパは今度はコンコルドと競争してそしてきっと勝つだろう。
-----ここまで]

なんという清々しい物語。大変良うございました。
少年漫画のような、夢を叶えるための熱き戦いの物語。主人公は少年ではなく子持ちのおっさんだけれども。
序盤から中盤まではむしろやんわりとしたハートフルコメディで笑いの匙加減も丁度いいし、終盤のレースシーンは車が走っている映像の凄さは車の知識がないのでわからなかったけど車を走らせるレーサーやスタッフらの心意気がアツい!!多分主人公が勝つだろうなぁとは思いながらもギリギリまでその結末の行方に手に汗握る展開。敵が卑怯な手段を使うわけではなく、名誉のために正々堂々と戦うというプロットは日本人にもめちゃ響くはず。

ドカンとした笑いではなく小出しに小出しに挟んでくる笑いで物語に引き込まれて行くし、その笑いの間合いが絶妙なのはやっぱりコメディ俳優の実力という所だろうなぁ。シェン・トンのちょっとした、一瞬のその表情なんかに笑わされるし、一見イケメン枠かと思うイン・ジェン(尹正)はすました顔でボケもできちゃうのに驚いたし、あの「万万没想到」で濃ゆすぎるボケキャラ演ってたチャン・ベンユー(張本煜)は普通にまともなキャラもできて整備工って似合いすぎじゃんって大笑いしてしまったし、そしてライバルである林臻東を演じるのが韓流スターみたいな顔立ちのイケメン、ホアン・ジンユー(黄景瑜)。イケメン枠はこの彼一人で充分ってくらいキラキラしてるぜ!

約100分というコンパクトさもいいし、気軽に見てもらえる良質コメディ。特に日々に疲れを感じている30代後半から40代の人々に見てもらって若い頃たぎらせた熱い思いというのを今一度思い出させてもらってほしい。


「我不是薬神」のプロデューサーも務めるニン・ハオ(寧浩)監督の、シリーズ最新作。

「瘋狂的外星人」(2019年 監督/寧浩 主演/黄渤、沈騰)
116分

※日本語版はありません。

タイトルは「おかしな宇宙人」。瘋狂的というのはクレイジーって意味。
この監督は「瘋狂的○○」というタイトルのコメディ映画を何本か撮ってていずれも大ヒットしたらしい。

――さびれた世界公園(※東武ワールドスクウェアや犬山リトルワールドみたいなテーマパーク)で細々と猿回しショーを続ける耿浩と兄貴分の大飛。
ある夜突然空からE・Tのような生き物が落ちて来た。耿浩と大飛はいい見世物になるとそのE・Tに首輪をつけて、ムチを打って芸を仕込ませようとした。はじめは抵抗をみせていたE・Tも痛い目に遭うと知って渋々言う事を聞くようになった。
だがある日E・Tが逃走する。耿浩と大飛は懸命に追いかける。E・Tは逃げ回るが最終的に彼らの家へと戻っていく…その狙いは耿浩がキーチェーン代わりにズボンにつけていたバンドにあった。それはE・Tにくっついていたのを耿浩が剥がしたものだった。実はそれこそが重要アイテム…E・Tがバンドを頭に巻くと、周囲の物が突然浮遊し出した。
E・Tは言う、自分は宇宙人で地球人と初めての交流に来たのにこんな仕打ちをするとは許せない!と――

[ここからネタバレ-----
その少し前の話。某C国の選ばれた宇宙飛行士が地球上空で宇宙人との初めての対面を果たした。だが宇宙飛行士が記念の写真を撮ろうと炊いたストロボに宇宙人は攻撃する気かと驚き怒りをあらわにする。誤解だと釈明しようとしたその時デブリが飛んできて宇宙人にぶつかり地球へ落ちて行ったのだった。
C国の工作員は急ぎ宇宙人を探し出そうとするが、不定期に宇宙人から送られて来る映像はコルコバードっぽかったりパリっぽかったりエジプトっぽかったりで工作員は世界中を駆け回ることになる。宇宙人は地球の名所めぐりでもしてるのか!?
そしてやっと行き着いたのは中国の世界公園だった。

宇宙人はバンドの力で地球人と会話したり超能力を使えるのだった。宇宙人は耿浩と大飛に、自分と同じ目に遭わせてやると怒りをあらわにする。その力を目の当たりにして震える二人。なんとか怒りを収めようと御馳走と酒を勧めた。すると宇宙人は酒で酔っ払いご機嫌になった。隙を見て耿浩がバンドを奪う。動かなくなった宇宙人を、大飛はいいダシが出るだろうと(マムシ酒のように)酒に漬け込んだ。
そこへC国の工作員がやってきた。宇宙人をどこへやったと銃を突きつけられ追及される。耿浩は自分の相棒の猿の毛を剃って宇宙人が身に着けていた宇宙服を着せて差し出した。工作員は猿を宇宙人だと思い込んで連行していった。
時をみはからって猿を呼び戻してずらかり、そして宇宙人の証拠を抹消するために穴を掘って埋めようとする。だがその時、相棒の猿が突然宇宙人の声で喋りはじめた。その頭にはあのバンドがまきついていた…バンドを介して猿に宇宙人の意識がのりうつったのだ。猿はその超能力で耿浩と大飛、それに追いかけてきた工作員らをコテンパンに叩きのめす。殺されそうになった耿浩がとっさに差し出したのはバナナ…その刷り込まれた条件反射によって猿は動きを停める。その隙に耿浩はバンドを取り外した。猿は元のただの猿に戻った。

散々な目に遭った耿浩と大飛。しかし宇宙人を猿のように扱ったのは確かに悪かったと反省する。と、後ろを振り返ると酒漬けにしていたはずの宇宙人が座っていた。その頭部にはバンドが巻き付けられている…耿浩と大飛は観念するが、宇宙人は周囲にあるありとあらゆる酒の瓶を超能力で集めると宇宙船に乗せた。そしてご機嫌によっぱらいながら宇宙船に乗り込み、一瞬のうちにその姿を消した…。(終)
-----ここまで]

原案は「流浪地球」と同じ作者・劉慈欣の短編「郷村教師」で、原作者も脚本に参加しているけど物語は大幅に改変されているらしい。
序盤があまりコメディらしくない雰囲気でどうだかなぁと思っていたのが、後半戦に突入すると前半に敷いてた伏線を次々使って笑いの応酬!いや振り返ってみるとすっごくよくできた物語!面白かった!
名作SF映画やらなんやらをとことんパロディにして、でも単なるパクリではなく熱いオマージュであることはその笑いの見せ方からよくわかる。そういう意味でSF好きにおすすめしたいコメディだけど、物語的にはサイエンスの知識は全くいらないし単に宇宙人をモチーフにしただけの普通のコメディ。
耿浩と大飛のコンビと宇宙人が優位を取ったり取り返したりという単純なドタバタ劇だし、子供から大人まで楽しめるシンプルでわかりやすい笑い。この作品は舞台が中国であるというのがすごく重要で、中国だからこそできたコメディ。宇宙人がその力を発揮するためのアイテムが頭に巻くバンドだというのはもちろん孫悟空の緊箍児を意識したもの。BGMがやけに京劇風なのも後半になるとわざとそうした理由がわかる。

主人公の耿浩と大飛を演じるホァン・ボー(黄渤)、シェン・トン(沈騰)はどちらも有名なコメディ俳優らしい。ホァン・ボーは「一出好戯」で主演してた人だね。
でもこの作品で最も目立ち印象に残るのはやっぱりCGで描かれた宇宙人。一見子供向けアニメのようだけど、妙に表情豊かで芸が細かい。お酒を飲んだ時の表情が、もう、ただのおっさんで大笑い。どうやら実際に俳優が演じた表情をキャプチャしてCGを作り出してるらしくて、その元となるお芝居を演ってるのが「我不是薬神」で主演してるシュー・ジェン(徐崢)。道理でおっさんなわけだ!笑い泣き
あとはC国の大統領があからさまトランプ大統領にそっくりだとか、細かいところが笑える。(字幕ではC国って書いてるけど実際はめっちゃユーエスエーって言っちゃってるし!)

若者にウケそうなイケメン俳優はいないのでそういう意味で日本上陸するかは微妙だけど、映画マニア向けなミニシアター系ではけっこうウケそうだと思うんだけどなぁ。
雷米のミステリ「心理罪」シリーズの「城市之光」を元にした映画。

「心理罪之城市之光」(2017年 監督/徐紀周 主演/鄧超、阮經天、劉詩詩)
124分

※日本語版はありません。

原作が同じシリーズなだけで連続ドラマ版や2017年の李易峰主演の映画とは無関係の作品です。

――手足を拘束された全裸の男が巨大な袋に水と共に詰められ廃墟にぶら下げられているという猟奇的な殺人事件が発生。刑事の米楠は犯罪心理学に精通した方木と共に捜査することに。方木は調べるうちにこの犯人が自分に対して挑戦的なメッセージを送っていることに気づいた。方木は久しく会っていない学生時代の友人を一人ずつ訪ねて行った。

ネット上に「城市之光(街の光)」という名の人物による本当とも嘘ともつかない殺人予告が現れた。10万いいねをくれたら今ワイドショーを賑わしている悪徳弁護士・任川を殺すというのだ。警察は任川を自宅へ行くが彼の姿は消えていた。急ぎ町中を探し、拘束され体に爆弾を巻きつけられた任川を発見した。急ぎ現場を封鎖して爆弾処理班を呼び周辺住民らを避難させる。だがネットのいいねの数が10万に達し、大爆発が起こった――

というところまでで45分。無念のリタイア。
理由はもういろいろあるんだけど、この脚本わかりにくい!序盤から何がツカミで何が本筋なのかきちんと整理してほしい、主人公が魅力的でない、ヒロインも目立たない、ゴチャゴチャしてて話に緩急がない…。
この作品なんかすごくデジャヴを感じるんだけど…そう、日本のシリアスな刑事もの映画にトーンが凄く似てる。後半から面白くなるのかもしれないけどそこまで行きつけなかった。

ドラマ版からの流れで見ると仰天してしまうのが、方木が40代白髪頭のおっさん!ゲロー
そしてシーズン2で失踪した亜凡13歳が婚約者。犯罪犯罪!滝汗
邰偉の代わり?に米楠という女刑事がいるけど何の個性もない。
…原作が一体どうなっているのか気になるところ。

米楠を演じるのがリウ・シーシー(劉詩詩)ちゃん。ばっさりショートカットで登場。デキるクール系女刑事かと思ったら彼女はやっぱり女子力溢れ出るキュートな女刑事…ごくごく普通というかただの脇役に甘んじている。ヒロインが彼女ではなく亜凡にしか見えない。中国ドラマはおっさん×若い女の子の組み合わせが大定番とはいえ、おっさん×13歳少女はさすがにやりすぎでは?
そしてそのおっさん主人公を演じるのがチャン・イーモウ監督の「影」で主人公二役を演じてるデン・チャオ(鄧超)。この人憎らしい人物が似合うのかしら、この方木はとにかく好感が持てない。クセのあるキャラだとしてもちょっとは光るものがないと。目が死んでるよ…。チーン

実は李易峰主演の「心理罪」(2017年)も見たんだけど30分でリタイア。こっちはアイドル映画で、李易峰のお芝居が見ててイタくてねぇ…。
「流浪地球」(2019年 邦題「流転の地球」 監督/郭帆 主演/呉京、屈楚蕭、李光潔、呉孟達)
125分

※日本語版はまだありません。(2019.4追記:日本語版作られました)

原作は中国SF界のヒットメーカー劉慈欣の同名の短編小説。

――近未来。太陽が膨張を始め地球は様々な天災に襲われるようになった。数百年もすれば太陽銀河系の惑星は全て太陽に飲み込まれてしまうだろう。未曽有の事態に世界中の国々が団結し、4.2光年離れたアルファケンタウリ銀河系へ向かって地球ごと移動するという案、その名も「流浪地球計画」が採択された。
地球が太陽銀河系を離れるための動力システム「地球エンジン」を各地に建設し、同時に地球から10万キロの宇宙空間に先導のための宇宙ステーションが作られた。地下にシェルターを建設し全人類が避難した。そしていよいよ、地球は銀河の外を目指し出発した…。

17年後。最初の宇宙ステーション職員として赴任した劉培強はやっと地球へ戻ることになった。地球を出発した時4歳だった息子は大きくなっていることだろう…17年ぶりの息子との再会をずっと待ちわびていたのだ。
その頃、北京シェルターに住む劉啓と従姉妹の韓朶朶は祖父のIDキーを盗んであこがれの地球表面上へ。だがすぐに警察に見つかって牢へぶち込まれた。祖父の韓子昂がすぐに迎えに来てくれたが、その時突然地震が起こる。地球が木星の引力圏内に入ったのだ。
木星の引力は想像以上に強く、地球エンジンの半数がダウンしてしまった。推力が得られなければ地球は木星に墜落してしまう…!劉培強は義父の韓子昂と交信し息子・劉啓の無事が確認できたが、地球が非常事態に陥ったため宇宙ステーションは低動力モードへと切り替えられることに。劉培強の帰還は中止となり他の職員同様コールドスリープに入らなければならなかった――

[ここからネタバレ-----
祖父の操縦する車で崩れ落ちる建物をなんとか脱出した劉啓ら。中国の救援隊171-11隊に保護されたが、隊長の王磊は特殊車両が運転できる韓子昂の腕を見込んで同行してほしいと言う。彼らの急務は地球エンジンの動力源である"火石"を回収しに上海へ行く事。
上海へやってきたが木星の引力の影響で気圧が下がり飛行機が次々と墜落していく。その機体がぶつかり171-11隊の車輌は壊れて動かなくなってしまったが幸い火石は回収できた。王磊は上海の地表に凍り付いたままのビルディングをこじあけ避難する。エレベータ跡を利用して最上階へ向かうが、途中で韓子昂と隊の一人が犠牲となってしまった。

宇宙ステーションを統括するコンピュータMOSSによって強制的にコールドスリープに入らされそうになった劉培強は機械を壊して強引にスリープ状態から抜け出した。異常事態を感知したMOSSは劉の上官であるマカロフを覚醒させた。起こされたマカロフは劉の身勝手な行動を怒るが、MOSSが地球を見捨ててステーションのみを木星軌道から脱出させようとしていると知らされた…。

祖父の死を受け入れられない劉啓と韓朶朶はまだ助けに行くと言い張る。王磊ら171-11隊は火石を運ぶため彼らを置いて行ってしまった。
劉啓らは墜落した飛行機の中に生存者を発見する。幸い彼はエンジニアで、壊れた車を復帰させることができた。そこへ飛び込んできた通信は、抗州シェルターに閉じ込められた人々の救援要請。171-11隊が運んでいる火石が無ければ彼らの生存は絶望的となるのだ…。劉啓は祖父のIDキーを使って車を走らせる。
歩いて火石を運んでいた171-11隊だが、抗州シェルターはすでに崩落していた。絶望した隊員が銃を打ち放し火石を壊してしまった。そこへ劉啓の車が追いつく。王磊は任務は失敗し隊は解散だと告げるが、劉啓はこの車に積まれている火石をスラウェイシへ運ぼうと提案する。スラウェイシにある第三エンジンを稼働させるために…。

劉培強とマカロフはMOSSのコントロールを解除するため管制室へ向かう。通路はMOSSによって封鎖されているため強引にステーション外へ出て外から侵入を試みる。が、突如起こった爆発によって飛んできたデブリによりマカロフが飛ばされ宇宙の彼方へ消えて行った…。
なんとか管制室に入った劉培強にMOSSはこれが裏切り行為ではなく、流浪地球計画で最初から想定されていたパターン通りの任務を遂行しているだけだと告げ主要五か国の署名を表示してみせる。

劉啓らがマニラに到着した頃、世界各地の地球エンジンが復帰し始め90%が再稼働に到った。だがすでに空一面に木星の薄気味悪い縞模様が大きな目玉のようにこちらを見ているのだった。

MOSSはあらゆる演算を試みたが地球が木星に墜落することは免れず、「流浪地球計画」が失敗した時のための「ヘリオス計画」へ移行したと劉培強に告げる。地球と人間の文化を可能な限り存続させるために、ステーションには30万人の受精卵、一億以上の農作物の種子、そして地球上のあらゆる動植物のDNAマップがストックされていたのだった。いつかステーションが人類が住めそうな星にたどり着いた時のために…。
「流浪地球計画」の失敗はMOSSから地球にも伝えられた。7日後には木星の引力に引かれて地球はばらばらになってしまうだろう、それまで各々が大切な家族と暮らしなさい…MOSSのアナウンスはそう告げていた。
地球は絶望に包まれる。劉啓は小さい頃父と一緒に望遠鏡で木星を見た夜の事を思い出していた。木星には目があるね、そう言うと父は笑って、それは大嵐なんだよと言った。木星は大量のガスに覆われた星なんだと……そうか!木星の大気を燃料にして地球の推力にすれば!
地球エンジンに火石を使って木星の大気に着火させる、その爆発を推力にして木星の引力を逃れるのだ。どうせこのままでは死を待つのみ、皆は劉啓のその案に賭ける。

スラウェイシの第三地球エンジンへやってきた劉啓らは協力を要請するが、職員は皆家族の元へ戻るかあるいは絶望して自殺を選んでいた。自力でプログラムをインストールし火石をエンジンにセットしようとするがうまくいかない。韓朶朶が救援隊のIDを使ってステーションに助けを求め、それをキャッチした劉培強が連合政府を説得し広範通信の許可を得た。韓朶朶の言葉はシェルターの全市民に伝えられた。残された7日間のその先をまだ諦めきれない人々が次々とスラウェイシエンジンへとかけつけた。
ようやく火石をセットし、皆が協力して力技でエンジンを稼働させる。巨大な光の柱がまっすぐ天…木星へと伸びて行った。だが…あと5千キロほどで届かなかった。
その様子を見ていた劉培強はうなだれる。この方法は既にMOSSが計算し成功確率は0%だと結論付けていたのだ。だが…このステーションには着火のために充分な燃料がある!劉培強は酒瓶を手にすると思い切りMOSSの中枢部に投げつけた。火花がアルコールに点火し炎を上げる。劉培強は沈黙したMOSSからコントロールを奪い操縦室へ。職員の休眠室を切り離し、そして木星へ向けてステーションを全速力で飛ばす。息子よ、すまない。これはパパの一番大切な任務なんだ…劉啓へ最後の通信を送った。

ステーションの燃料が加わりついに木星に点火された、7分後には衝撃が地球に届く。すぐにシェルターへと避難しなければならない。劉啓は急ぎ戻るが韓朶朶をかばって王磊が瓦礫の下敷きとなる。シェルターへのエレベーターには間に合わない、劉啓らは地球エンジンの下へと急ぐ。すさまじい衝撃が地表を襲った。劉啓は車外へ放り出された。ヘルメットが損傷し、徐々に体温が下がっていく…。
地球は木星の引力から逃れ、少しずつ離れていった。

三年後、太陽は膨張し地球があった場所も飲み込まれてしまった。もし「流浪地球計画」が執行されていなければ今頃地球は消滅していただろう。劉啓と韓朶朶、他生き残った人々は皆今日も地球エンジンを動かすため働く。新たな太陽となる恒星を見つけるまでこの「流浪地球計画」は何代、何百代にも渡って続けられていくのだ。(終)
-----ここまで]

冒頭の「地球自体にエンジンつけて宇宙船代わりにして航行する」というトンデモ設定には呆れてしまったのだけど、でもその設定を大真面目に考えて練られたハードSFだったのには驚いた。地球自体に帰る場所がなく具体的な目的地もない以上どう考えてもハッピーエンドにはならないんじゃないか…最初から追い立てられるようなディストピア感に首を絞められるような息苦しさが続き見ててしんどいんだけど結末が気になって…。

欧米のSF映画だと主人公とその相棒か恋人という極めて小人数の物語になりがちだけど、この作品はこれといって主人公らしい主人公がおらず、強いて言えば劉培強と劉啓の親子の物語だけど前半はどう見てもおじいちゃんの韓子昂がカッコ良くて大活躍だし後半は王磊隊長やティム、李一一とかいろんな人が同じくらい活躍し重要な役割を果たす。こういう風にヒーロー一人を立てるわけではなく"人々の協力"に視点を置いた描き方はつくづくアジア映画だなと思う。ハリウッド映画慣れしてる人にとっては視点がバラバラなこの作風には戸惑いを覚えるだろうけど、色んなドラマが込められていて個人的には好き。
そして結末…どうしてもこの設定上このオチしかないという不可避な結末が待っているのだけど、しんどいとわかっていても最後まで見て良かったというすっきりした気持ちになる。100%ハッピーには決してなれないけど、不幸のどん底を知れば少しくらいの不幸はむしろ幸せだと感じるという不思議な現象に包まれる。序盤に学校の先生が韓朶朶に「希望とは何か」と問う、その答を観客はこの映画を見終えた後に各々考えることになる。

先述した通り主人公らしい主人公がおらず、特に目を引いたキャストと言えば韓子昂を演じるン・マンタ(呉孟達)かな。劉培強の息子を思う気持ちにも泣けたけどそれは物語の上であって、韓子昂はその表情…つまりン・マンタのお芝居に泣かされた。
劉培強を演じるウー・ジン(呉京)は中国で大ヒットした戦争映画「戦狼」シリーズで主役を張ってる人。王磊隊長を演じるリー・クァンジェ(李光潔)は「和平飯店」主演のイケメン。同じく「和平飯店」主演のレイ・ジァイン(雷佳音)も冒頭の北京シェルターの裏の顔役で出てくる。あと原作者であるリウ・ツーシン(劉慈欣)もモブ役で出演しているという隠し要素付き。



原作の小説の英語訳版。日本語訳版は「さまよえる地球」のタイトルで雑誌掲載されたが単行本としては出版されていないようです。
ドラマ「心理罪」の続編。

「心理罪 2」(2016年 監督/程浩 主演/陳若軒、王瀧正)
全25話

※日本語版はありません。

――ユーチューバーの女が何者かに殺される事件が発生。被害者の知人であるユーチューバー桑楠楠が疑われたが、彼女のチャンネルには彼女自身が拘束されゆっくりと薬物を注入され殺されそうになっているライブ映像が映しだされていた。緑藤市の警察官となった方木は犯人は25歳前後の男だと推定する。すぐに邰偉が桑楠楠のマンションへ直行した。だがマンションには誰もいない。映し出されていた映像は彼女の部屋に見せかけた別の場所だ…。
川で溺死体が見つかった。死体は沈湘という女で桑楠楠の同級生、そして桑楠楠が拘束されていた機械と同じようなものを描いた絵を所持していた。彼女が犯人だというのか…?いや、違う、彼女は真犯人をかばって死んだのだ!
方木は真犯人の元へ行きその動機を問うた。真犯人は沈湘が負った辛い過去と桑楠楠の所業を明かす――

今作は原作である雷米の「心理罪」シリーズの「教化場」「暗河」の二作をベースにしているらしいけど、一貫して「教化場」の物語のように見える。「暗河」の要素は中に組み込まれていたようだけどこのドラマを見る限りは大きな一つの事件を最初から最後まで追っている。
主人公の方木と警察の面々以外のキャスト&スタッフは総入れ替えで前作とはまったく違った雰囲気。やけに古くさかった画面はそれなりに現代らしく洗練され、キャストも今時のドラマらしい顔重視なメンツに。

今作は方木と邰偉の刑事コンビが凶悪な連続殺人事件に立ち向かっていくというよくある刑事ものの体を成していて、やはりトラウマをテーマにした物語ではあるけど前作ほどヘビーではなくなっている。
方木と邰偉は同じ人が演じているけどキャラ設定が変わっており、心理的に不安定で危なっかしい方木とその彼を支える保護者的存在だった邰偉が、今作では普通の同僚…冷静沈着でツッコミ担当の方木と熱しやすく暴力的でボケ担当の邰偉という、若干漫画みたいなわかりやすいキャラになっててなんだか安っぽいなぁ。方木はもちろん、邰偉も前作では壮絶な過去を負っているという設定だったのにそういうのがきれいさっぱりなくなっている。つまり前作は人の深層心理を描くことに重点を置いていたのに対しこちらは純粋にミステリ、事件の推理を描くことに重点を置いているのだと思う。だから刑事役は変に過去を背負ってない普通のキャラでやった方が話が盛り上がってよかったのになぁと、それが残念。むしろ前作を見ないでこちらを先に見た方が楽しめたと思う。
でも推理重視だからこそ良かったと思うのが、方木の推理の過程がきちんと視聴者に説明されていた所。前作では天才プロファイラーという肩書だけで何を根拠に推理しているのか一切知らされず、ただの勘で押し通してるみたいで凄さが全くわからなかったから。今回の方木は名探偵ぶりを遺憾なく発揮していてミステリ好きにも納得のいく作品となってる。トリックもこれでもか、さらにこれでもかと何度も予想をひっくり返してくる。
そしてなんと最終回が2パターンあって、真犯人が捕まるエンドと、真犯人が逃げてしまうエンド。多分後者は続編を作ることが決まって急遽追加で撮ったのだと思う。面白いとは思うけどどちらも最終回らしい余韻がなくて…なんか腑に落ちないまま終わってしまったような。

前作では手堅い芝居をする人ばかりで良かったんだけど、今作は全般的に"軽いお芝居"な人ばかりで、特にちょっとした犯人役は手抜き過ぎじゃないかなぁと思うほど。方木は前作ではきちんとキャラが作られてたのに今作ではキャラがブレまくっててシーンごとに別人みたいになってる…。正直邰偉を演じるワン・ロンジョン(王瀧正)と刑局長を演じるウー・グォホア(呉国華)以外はウーンって感じ。チーン

今作は恋愛要素もないので純粋に推理もの、刑事ものが好きな人だけにおすすめします。