「メッセージ」(2016年 原題「Arrival」 監督/ドゥニ・ヴィルヌーヴ 主演/エイミー・アダムス)
118分

原作はテッド・チャンのSF短編「あなたの人生の物語」。
――世界各地12か所に突然巨大な未確認飛行物体(UFO)が出現した。宇宙人の襲来だとパニックに陥った人々が暴動を起こしデマが広がり各地で集団自殺が起こった。
言語学者のルイーズの元にアメリカ軍のウェバー大佐がやって来た。実は彼女は以前軍に協力して外国語の解読をしたことがあり、その関係でまた依頼したい案件があるというのだ。それは宇宙人語の解読だ。あのUFOに乗っている宇宙人が何らかのメッセージを我々に向けて発しているというのだ…!
ルイーズにまず示されたのはそのメッセージの録音。何かくぐもった響きの音が二種類録音されていたが、さすがにこれだけでは解読のしようもない。これを発する相手の表情、動きなどがなければ…。するとウェバー大佐はルイーズに一緒に来て宇宙人に会ってくれという――
[ここからネタバレ------
ルイーズと物理学者イアン、そして特殊部隊がUFOに接近する。宙に浮いているその真下にぽっかり穴が開いており、そこからクレーンリフトで上昇して進入すると、どういう仕組みか途中で重力が90度回転し、彼らは歩いてUFOの内部へと進む。奥にはガラスのようなものでできた窓があり、そしてしばらくすると煙のようなものがその向こうに立ち込め、そして何か黒い動く物体の姿が見えた。それはいくつもの足を持つ巨大な蛸のような蜘蛛のような生き物だった。それは何か鳴き声のような独特の音をいくつか発するとまた姿を消してしまった。
宇宙人の存在を目の当たりにした彼らは戦慄するが、ルイーズは言語学者として彼らとのコミュニケーションに強く引き付けられた。
二度目の面会で彼女は音ではなく文字でコミュニケーションをとることを提案した。
三度目の面会ではホワイトボードに名を書き、これが自分だと指し示した。イアンもそれに倣う。その後ルイーズは彼ら二体をゆっくり指示した。すると彼らは各々が黒い液体のような物を放出、その液体は円形の模様を形どった。これが彼らの名前のようだ…。
彼ら…7本の足のようなものを持つためヘプタポッドと名付けられた宇宙人が示した文字らしきものの意味を読み取るためあらゆる言語学者が動員された。ルイーズらとヘプタポッドの交流の中で少しずつその文字は解析されていった。
その単語がいくつか解析され、いよいよルイーズは彼らになぜ地球にやって来たのかと尋ねた。するとその答えは「武器を与えるため」だった…。
単語の細かいニュアンスが判明しているわけではない。武器と訳したが、だからといって地球を侵略したり損害を与えると決まったわけではない、そうルイーズは説くが軍部はヘプタポッドへの警戒の色を強める。
世界各国が同様にヘプタポッドとの交流を試みていたが、中国が彼らの目的が「武器を使う事」だと判明したため交流を中止し攻撃対象とすると発表した。各国も中国に倣い攻撃態勢となった。そしてアメリカ軍も宇宙人を敵とみなし交流を中止することとなった。だがヘプタポッドに悪意がないと信じるルイーズは単身UFOに近づく。するとUFOから小さな輸送物体が現れルイーズを乗せてUFO内部へと運んだ。UFO内でルイーズは巨大なヘプタポッドと相対する。
彼らはルイーズに武器を与え人類が3千年後に彼らを救うと伝えて来た。彼らの言う武器とは…言語のことだった。ヘプタポッドの使用する言語は時間の概念を飛び越える。彼らと交流を始めてからルイーズは夢のような映像がフラッシュバックするようになっていた。それは彼女の一人娘との幸せな日々、そして病に冒され死へ向かう娘の姿…ルイーズはまだ結婚していないし子供も産んでいない、なのにまるで体験したかのようにはっきりとした映像が頭に蘇るのだ。それはヘプタポッドの言語を解読するうちに彼女が時間の概念を飛び越えて物事が見えるようになったからだ。彼女の未来がフラッシュバックしていたのだ。ヘプタポッドは人類に武器…この言語を与えるためにやってきたのだ、3千年後に彼らを襲う危機を人類に救ってもらうために。
12あったUFOは突然、何の前触れもなく空気のように消えてしまった。ルイーズの傍らにイアンが寄り添う。彼女は後にイアンと結婚し娘のハンナをもうける。だがイアンとは離婚しそしてハンナは病に冒され若くして亡くなるのだ。その未来がルイーズにはすでに見えてしまっていた。未来は決まってしまっているのだろうか、娘が死んでしまう事は避けられないのだろうか、だとしたらイアンと結ばれることは結局不幸になることなのだろうか…だがルイーズは彼を受け入れる。つらい事以上に幸せな時間が沢山ある事を彼女は既に見て知っているからだ。(終)----ここまで]
前半はがっつりSFなのに後半はいつの間にか人間ドラマ。サスペンスでもあり序盤から仕掛けられている大きなトリックを持つミステリでもある。
日本公開当時「世界中が感動の涙!」みたいなアオリがついてたけど、テーマ自体はさほど驚くようなものでもなくベタだったりする。ただSFを手法にして、宇宙人まで出してきておいて描くのは普遍的な人間性のテーマだというのが面白いところ。
物語は目で見られる分原作よりはわかりやすくはなっているけど、それでも1/3くらいの人は最後意味がわからないのではないかと思う。[ここからネタバレ含む-----ルイーズの回想シーンだと思われていたものが実は予知夢的なものだったと解るかどうかがカギで、これが分からなければ「バツ1で娘を亡くしたルイーズが過去の悲しみを乗り越えて再婚する話」になってしまう。ラストにハンナの父がイアンだということも示してるけど、「イアンと再婚して娘にまたハンナと名付けた」とも捉えられかねない。----ここまで] 脚本すごく頑張ってるけど話が難しすぎてキビシイかもなー。
ストーリー以外としては、序盤の宇宙人との対面シーンの緊迫した空気感がすごくハラハラして面白かった。実際未知の脅威…今までにない大災害などに直面した時の世界は確かにこうなるだろうというリアルさも含めて。
宇宙船通路内で重力が変わって上部へ向かって歩いていくというアイディアも面白い。
原作ではヘプタポッド言語の性質を追及していくことと主人公の生き方がリンクするところに重きを置いてて映画とは主眼が違うけど、この作品はこの作品でテーマが絞られててよくまとまっているので原作ファンの方もただの実写作品ではなく別視点から見た別の物語として楽しめるのではないかと思う。
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