「黄金大劫案-Guns and Roses-」(2012年 監督/寧浩 主演/雷佳音)
108分

※日本語版はありません。
タイトルは「黄金略奪大作戦」みたいなニュアンスかな。
――満州国。スリやサギで生計を立てている小東北はある日神父を騙して警察に捕まった。入れられた拘置所では日本軍によって捕らえられた革命党の男がひどい拷問を受けていた。だが小東北は自分には関係ないとその男が身に着けていた上等な衣服を奪って拘置所を出た。
…だが実は奪った靴の中には革命党の秘密の手紙が仕込まれていた。小東北の住処に革命党の男らが押しかける。革命党に捕まった小東北は彼らのアジトへと連行された。そこで待っていたのは銀幕のスター、女優の芳蝶だった。実は彼女は革命党の志士として密かに戦っているのだ。
彼女らが日本軍の資金となる金塊を強奪しようと計画していると知った小東北は自分も仲間に入れてほしいと懇願する――
[ここからネタバレ-------
芳蝶らははじめ相手にしなかったが、日本軍に追いかけられているところを小東北の機転で助けられ、ようやく参加を認める。
金塊を運ぶトラックのルートを知るため芳蝶らは銀行頭取の顧憲明のパーティへ。運転係を言いつけられた小東北だがこっそり中へ入る。豪華な料理にキラキラ光る銀の食器…小東北はあさましくもフォークを片っ端から懐に入れて後で換金しようと目論む。だが若い女性に見つかり騒ぎ立てられたため逃げ出した。
後日街中でその女性を見かけた。その時突然空襲が始まる。立ちすくんでしまった女性を助けて物陰に隠れるが、着弾の衝撃で飛んできたガレキがぶつかり気を失ってしまった。
気が付くと豪華なベッドに寝かされていた。なんとあの助けた女性は顧憲明の一人娘の茜茜だったのだ。ここが顧憲明の屋敷だと知った小東北は芳蝶らが捜している地図を求めこっそり書斎へ忍び込む。そして目的の地図を発見するが茜茜に見つかった。小東北は茜茜の事が好きで君の写真が欲しくて探してたのだと言い繕った。すると茜茜はすっかりその気になってくっついて来るようになってしまった。
夜中に行われた金塊の運搬を襲って強奪に成功した革命党。芳蝶は革命党に入ることを勧めるが小東北は分け前の金塊を貰うとさっさと帰っていった。
だがコソ泥の小東北が金塊を持っていたという噂はあっという間に警察の耳に届き小東北は捕まり日本軍の鳥山大佐の前に引き出された。父親を人質に取られた小東北は革命党のアジトの場所を吐く。金塊は日本軍に回収され銀行の地下金庫に厳重に保管された。小東北や革命党らを助けるために小東北の父が体を張って追っ手を阻止したが力尽き命を落とした。小東北は父の仇を討つため革命党入りしたいと申し出るが、芳蝶らは小東北の裏切り行為に腹を立て彼を追い返すのだった。
小東北は地元の義侠団から銃を手に入れ顧憲明の屋敷へ。今日はここで顧茜茜の結婚式が行われる。日本軍の横路将軍や鳥山大佐など多くの要人が集っていた。そしてそこには彼らを狙う芳蝶らの姿もあった。
小東北が鳥山大佐を狙って発砲し、芳蝶らもその後に続き、激しい銃撃戦となる。だが日本軍の応酬に革命党の志士は次々と倒れて行き、屋敷は日本軍が制圧した。
顧茜茜に助けられた小東北。茜茜は一緒に逃げようと言うが、小東北は目の前で死んでいった芳蝶ら革命党の遺志を継いで日本軍と戦うために、彼女にはわざと冷たい言葉を言い放ち立ち去った。
小東北は義侠団の力を借り、王水を積んだタンクローリーで銀行へ突っ込む。タンクから流れ出た王水は地下へと流れ込みあらゆる金属と金塊を溶かしていく。義侠団と日本軍の激しい銃撃戦。かけつけた茜茜は鳥山大佐の銃弾に倒れる。激高した小東北は銃を打ち放し鳥山大佐を追い詰め、大佐は踊り場から転落し王水のプールへと沈んで行った。
そして幾日かが経った。
革命党の志士となった小東北は仲間との連絡のために映画館へと来ていた。上映されている映画にはあの芳蝶が出ていた。そして顧茜茜の姿もそこにあるように見えたのだった。(終)------ここまで]
なんか支離滅裂な作品だった…。
コメディぽいんだけど煮え切らないギャグ、笑いどころのようなBGM流れてるけど全く笑えないシチュエーション、存在意義が不明なカットの数々、結局何があったのかわからない急すぎる場面転換。最後は強引に英雄譚にまとめ上げようとしてるみたいだけど…これ何かのパロディなのか??
物語自体は「水滸伝」に代表されるような中国に昔っからある「義侠を自称する強盗団が悪代官の賄賂金等のあくどい金を奪うため知恵と力を絞る」というプロット。この作品では悪代官が日本軍で義侠強盗団が共産党員。最初は金のために共産党員に協力してた主人公のコソ泥が彼らの必死な姿に心打たれて自ら国のために日本軍と戦う、というベタベタな展開。たぶんこのプロットは中国では大定番の英雄譚だと思う。
で、この作品何を描きたかったのかというのがまったくわからない。クライマックスにまでビミョーすぎる笑いをひねりこんでて共産党員らが真面目に国のために戦ってるように見えないし…。コメディとして作ったのだとしたらハッキリ言って面白くない。本気で英雄譚として描いてるのだとしたら馬鹿にしてるのかって怒られそう。
でも主演のレイ・ジァインはやっぱり芝居が上手かった…序盤は若手がやりそうなあるあるなコメディキャラだなと思ってたけど、だんだんとその心境が変化していくさまが、特に終盤はその表情に逐一引き付けられた。
そして悪役を演じる山崎敬一がこれまた上手すぎで!キャラが濃くて最初はむしろコメディらしい笑いをリードする役割だったけど単におおげさに演じてるわけじゃなく、鳥山幸之助というクセがあるけど矛盾のない一個人としてのキャラクターが出来上がっててめちゃくちゃ魅力的だった!
この二人が「コメディなのに」シリアス劇のような本気のお芝居を見せつける。でもこの作品にそんな本格的な演技力は求められてないような気がするんだけど…。そういう意味でこれはコメディにしたかったのか英雄譚を描く気だったのか、監督の意図が読めない。
この時代を描いた中国ドラマのお楽しみ…日本人と日本語の描き方については、おそらく日本人アドバイザーがちゃんとついてたんだろう、おかしな点がなく吹き替えもちゃんとした日本語になってたし台詞の表現も不自然ではなく、ある意味ガッカリ。
(伊達政宗公の像が建てられてるのとかは意図したギャグなので不自然とか言わない!)