住まいは借りて住むという賃貸派のメリットとデメリットがあるのと同様、買って住む購入派にもメリットとデメリットがあります。
購入した場合の最大のメリットは使い方が自由なところでしょう。
戸建て住宅の場合、土を掘って畑で作物を育てたり木を植えたり、ペットを飼うなど、公序良俗に反しない事であれば比較的自由に行えます。
マンションの場合は共有部には管理組合で定めた利用方法に制約がありますし、共益費・管理費・修繕積立金の負担という縛りはありますが、ドアを入った居室内、いわゆる専有部分に関してはかなり自由に使う事が可能です。
室内のようですがベランダ、窓サッシは専有部ではなく共有部扱いなので、勝手に造作をいじったりすることは出来ませんけど。
子どもたちにとっては、生まれ育った家がそこにあるという故郷のような安心感はあるのでしょう。
反対にデメリットといえば、まずは住宅ローンの支払い負担リスクでしょう。
長期住宅ローンを組んだ場合、最長35年も支払い続けるのですから、収入が安定していれば問題はありませんが、勤め人の場合、職場環境が変わるリスクだけはどうしようもありません。
例えば転職して収入が減少、勤務先の倒産、給与の不払いや遅延、病気やけがで入院手術をした等の理由で一時的に収入が大きく減少したり、途絶えたりするような事態に陥った時、手元に預貯金等の余裕資金が無いと、住宅ローンの支払いが難しくなり、最悪の場合不動産を売却して返済しなければなりません。
しかも、住宅ローンの残高が多い場合は、売却しても残債の整理が出来ず、不動産を手放した上に売却損分を債務として抱えるという羽目になる可能性もあるのです。
そうなると、引っ越し先の賃貸住居などに支払う住居費用と、従来の住宅ローンの残債を支払う二重ローンを抱えることになります。
この問題は、ここ数年起きている大規模な地震などの自然災害でも起きている事ですが、借金に関するリスクの問題は、すでに支払い不能などの危機的状況になってしまってからでは借り換えや支払条件変更など金融機関への依頼も難しくなるので、早めに手を打つことが重要です。
ここ数十年続く長期金利の低い時は、頭金を少なめに借入限度額いっぱいに住宅ローンを組む人も少なくないので、収入の減少に対応できない方も少なくありません。
しかも子どもたちが大きくなると、教育資金等の支出は思っている以上に重い負担です。
以前から、住宅ローンを組む方にはボーナス払いを設定しない平準払いをおススメしていますが、企業の業績によって変動するボーナスを住宅ローンの返済のアテにすると、毎月の返済額が軽くなる一方、ボーナスがもし減った場合に穴埋めする資金の手当てが難しくなりますから、いざという時に使えるもう一つの財布として貯蓄しておいて繰り上げ返済に回すとか、家電品買い替えやリフォーム費用、学費、保険料の年払いなど、支出を減らす目的で使うと家計負担がとても軽くなりますから情報収集は必要です。
生命保険は保険料支払いを月払いから年払いに変更するだけで3~5%安くなる場合があります。
自動車保険や火災保険が月払いと年払いや長期一括払いで保険料に差があるのと同様、生命保険もまとめて支払った方がお得ですよ!(元生命・損害保険代理店なので)
勤務先で保険料を給与天引きしている場合は、団体割引が適用されていることもありますから、この場合は保険料の支払い条件変更がどうなるかは保険会社や代理店に確認することは必要です。
また転勤族にとっては、購入したのに転勤で引っ越しを余儀なくされた場合、単身赴任をするか家族で引っ越して空き家にして手入れだけするか、仕方なく賃貸として貸し出すというのは不本意でしょう。
定年後に戻ってきた時に、終の棲家にするには、屋根や外壁、水回りに電気設備など大規模な改修やリフォームが必要になるという金銭的な負担が待っています。
もっとも、子どもいない夫婦だけならいっそ減築や建て替えで平屋にするという選択肢もありますし、夫婦が高齢化して片方が先に無くなって独居老人になってしまうと、郊外の庭付き一戸建てなどに住み続けるのは維持管理費と手間を考えると結構大変です。
ここ最近は、公共交通機関の利用が便利で役所や病院へのアクセスも良い駅前マンションなどに引っ越す都市部回帰が高齢者の間に起きているのも頷けます。
リタイアしたら庭付き一戸建てで家庭菜園でもやりながら自給自足で・・・などという老後の計画は、夫婦揃って健康に問題がない元気な時だけですから、庭の手入れや農作業の経験もないサラリーマンが思っているほど簡単で現実的ではありません。
最後に、外的要因で非常に困るのがご近所問題です。
騒音、臭い、ゴミ散乱や庭の雑草や植樹の侵入にペットなど、ご近所トラブルにはいろいろあります。
賃貸住宅なら多少の出費を覚悟で引っ越しするという選択肢もありますが、購入している場合は簡単に引っ越せないのが悩ましいところです。
特に後から近所に引っ越してきた方とは、人間関係が出来る前にトラブルが起きるので相当ストレスになるようです。
度を越した騒音や、車や外構などを壊したり汚したりする器物損壊を起こす悪質な場合は、警察に被害届を出す事になりますが、それが解決になるとは限りませんから。
私が保険代理店時代に顧客だった方が住む分譲マンションの階下に賃貸として引っ越してきた住人は、ベランダでサンマやイワシを七厘で焼いて大量の煙を出し、煙で洗濯物に臭いが付くのでやめて欲しいとお願いしても聞き入れず、何度も繰り返していたところ、ある時誰かが煙を火事と勘違いして消防署に通報、消防車が駆け付ける騒ぎとなりました。
これが上階に住む私の顧客が通報したと思い込まれ、しばらくは近所に悪口を言われ三昧、恨まれてしまうという事がありました。
犯人は分かりませんが、エントランスの郵便受けにはしょっちゅうゴミを入れられたり、郵便物や新聞が意図的に外に捨てるように放り出されたりする事が頻発したのには相当困ったようでした。
そこで管理組合の理事会に共同ポストに防犯カメラを設置することを提案、管理組合がそれを承認して設置した後は、さすがにこの悪さもなくなりましたが、どこに近所トラブルが起きるスイッチが潜んでいるかは分かりませんから注意したいですね。
近所の住民は自分では選べませんから、何かしらのトラブル対応が必要な場合は。一人で行かずに複数人で交渉するようにするか、早めに弁護士に相談、文書などで法的措置の可能性を伝えて釘を刺しておくと、泥沼にならずに鎮静化することもありますから、まずは第三者への相談をオススメします。
住民同士のトラブル回避に有効なのは、知る事と知られる事です。
顔と名前と住んでいる家がお互いに分かっていると、ご近所付き合いは随分と和やかになります。
毎朝挨拶を交わす程度で十分、良くも悪くも近所中が知り合いになると、お互いに印象も変わりますし、付き合い方や付き合わない距離感も自然と身についてきます(私は実証済み)