さて、被害者に菓子折りを持って謝罪するも、事故時の相当厳しい剣幕でやりあったせいか、あーそうですか謝罪に来たのね・・・というしらけた感じなので話もロクに交わせず早々に引き上げ、改めて通院する病院で待ち合わせをして、被害者と話し合いをする事に。
そこで、今後の賠償などについての説明を時系列に沿って話し始めると、やっと聞いてくれる状況になりました。
ケガの治療費は直接病院に支払いますが、通院交通費は別途清算が必要な事。
治療終了後に全学まとめて請求しても、毎月のように請求する期間を区切って請求書を作成すれば、都度払いが可能な事、仕事を休んだ分の休業補償には有給休暇も算入できる事などを説明すると、それまでの疑問に思っている事や不安な点がある程度解消したようで、会話の内容をメモに取ることを伝え、一問一答式でやり取りをしました。
それからは、医療機関の事、休業損害や交通費の請求の仕方に書類の書き方等々、事ある度に相談を受ける世になったので、コミュニケーションも取れ、ケガも回復に向かっていったのです。
加害者は、過失割合100%であれば、そのまま保険会社に任せておけば、金銭的な心配はせず、次回の自動車保険の満期による更新時には、割引(または割増)等級が変更となり、保険料が高くなりますが、あとは何する訳でもないのですから、放っておけばそのうち終わるのです。
ところが、保険会社が100%過失は加害者の自分にあるという事には納得がいかないようで、時々電話をしてきては、自動車の修理費用はもちろん、通院なのに治療期間が長くなるのはどうして?本当に治療が必要なの?仕事を休む程ではないのでは?などと、とても被害者には聞かせられないような不満を口にするのです。
事故の当事者は契約者の子どもですが、これにはいささか困ったものだなぁと思いつつ、しばらく様子を見守りましょうね、と諭しました。
それから数日後、相談があるから親戚のところに行ってくれとの事。
何故親戚に?とはいえ、お願いだからと言われ、土曜日の午後仕方なく行ってみると、そこは建設関連会社の事務所で、6人の強面のオジサン連中が大きな声で私を取り囲み、保険会社の対応には納得がいかない、責任者を出せなどと凄んできたのには、もはやマンガみたいと思わず笑ってしまい、オジサンたちの怒りの炎に油を注いでしまったようで、まあ騒ぐ事。
社長らしき偉そうな方に、このような強要行為は恐喝罪になること。
民亊に関する交渉事に、当事者と弁護士以外で保険会社が出来るのは、案件が多すぎて弁護士だけでは処理が出来ない故、自動車事故に関する賠償に限って保険会社が相手または相手保険会社との合意の上で示談交渉を行える事。
保険会社が契約者または被保険者の物的・人的損害による損失を保険契約で補償するのは、法的に支払い責任が生じる事由に限る事などを説明したのですが、それが納得できないからと契約者に代わって俺が話を付けてやる!みたいに出て来られてもね・・・
本当は、こんなしょうもない連中には、110番通報して恐喝罪で現行犯逮捕してもらった方が良いかとも思いましたが、相手の剣幕などお構いなしに淡々と事実関係を話していくと、その怒りもだんだん治まって話を聞くようになってきたので、私が「そもそもの目的は何?」と尋ねると、過失割合が100%というのがどうにも納得できないとの事。
改めて、どのような話を聞いて私を呼び出したのかと聞いてみると、それは随分事実とは異なるよう脚色して話をしているようで、親などに怒られるから相手の事や保険会社を悪く言ってしまったのかなという感じも伺い知れます。
こういった事故の経緯を整理して伝えると、聞いていた話と違う・・・
車も買ってもらい、保険料も負担してもらっている親(契約者)に説教を食らって責められたくないからか、相手も多少は悪い筈なのに、保険会社は私が全面的に悪いとした事に納得できないと他人のせいにしたのを親バカが血の気の多い知人に相談した結果がこれですか・・・
オジサンたちとはここでやっと打ち解けて、世間話ができるようになって、話は分かったという事で私も引き上げてきたのですが、世の中には厄介な人が多いのですね。
子どもの一方的な主張を信じるのは悪い事ではありませんが、保険会社の判断に納得がいかなければ、示談交渉を保険会社に任せないで、自分で弁護士を立てて、保険会社や相手と交渉すればよいのです。
保険会社の示談交渉“サービス”は、被害者・加害者双方が、保険会社の交渉に同意をしなければできないのですから。
保険会社が出来るのは、契約者と交わした契約内容の範囲で、民事訴訟法(法律)上、契約者(保険料を払っている個人・団体・法人)が、被害者などの相手に支払い義務が生じるまたは生じた損害の金銭的な補償をするのが大前提なので、契約している補償範囲や法律上支払い義務が生じると認められる部分に対して、保険金等で補償するもので、弁護士が依頼人の利益を最大限尊重して、依頼人の意向に沿って相手と交渉するのとは違います。
そもそも保険代理店は、保険会社と代理店契約を結んでいる、自動車メーカーと販売契約を結ぶ販売店・ディーラーのような関係です。
しかも、個人の保険代理店の場合、第三者の連帯保証人を二名用意して、もし保険会社に金銭的な損失を与えた場合の担保となる人的保険まで付けているのですから、そうそう勝手なことはできません。
販売する保険商品は、金融庁の認可が必要で、1円も値引きもできないうえに、保険金などの支払いに関しては、保険代理店の関われるところは、請求に仕方や請求書類の出し方までで、それ以降は保険会社の意向に沿った対応しかできないのです。
事実は小説より奇なり。
それでも保険会社や保険代理店が絡んだ保険金・給付金詐欺は起きるのですけどね・・・
面倒見が良い代理店は、素早い対応や速やかな保険金支払いなどの手配が上手いのですが、その手柄を代理店のおかげにしている面もあるのです。
もちろん、素早い事務処理や示談交渉に関する報・連・相がしっかりしている代理店には安心して任せられますけどね。