朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -30ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

 

人は、いずれ死に逝くのは確実なことだが、その心構えはいまからではできない。

夫婦のどちらが先に逝くのかわからないがあとに残された場合の心構えをしておきたいと思った。

どのような心境になるのか。失った悲しみはどうなっていくのか、独りどう生きていくのか、毎日は寂しくはないのか、日々何を思って生きていくのか……など、その時になってしかわからないことをここから学んでおきたいと高尚に思ったのだったが。

 

ぺこりーのさんからぼくの心に届いたことばたちを取り上げてみた。

 

7P

この本を読んでいるあなたに、今気づいてほしい。

あなたの夫が、あるいは妻が、恋人が、もしも元気で生きてくれているなら、あなたはそれだけで幸せ者だということを。

 

58P 食べて寝る、結局人間はこのふたつで生きている

食べて寝ればそれで幸せ

悲しくても……腹は減る

 

128P

亡くなった妻との長い結婚生活を振り返ってみて、幸せを実感したのはふたりで行った海外旅行でもなければ、贅沢な外食でもない。

毎日のささやかな日常だったのだ。

妻の手料理で晩酌をする、きょう一日の出来事をふたりで話す。ふたりで行ったワンコたちの散歩、休日に出かけた公園で飲んだビール。

 

140P 老後の心配は「そのとき」になってからすればいい

 

なくさないうちに当たり前が幸せなのだと気づけたのはよかったなと。

 

 

 <目次>

はじめに ようやく妻が死んでくれた、ついに自由を手に入れた ほか

第1章 男の台所は秘密基地(男の台所は秘密基地、今日も台所から朝が始まる ほか)

第2章 築40年ボロマンションを城にする(今日から自宅は小さなテーマパーク、想像力は情報が少ないほうが鋭利になる ほか)

第3章 年金11万円で人生を楽しむ(老後の貯金、あなたは老後をどう生きる、年金11万、自由であることが一番の幸せ ほか)

第4章 老後は小さく豊かに暮らす(老いの美学、友だちはいらないとずっと思っていた ほか)

第5章 夫婦について(あなたの人生を後悔で埋め尽くさないために、タイムスリップ、贈り物、いつか天国で再会した時のために)

おわりに

思えばひどい妻だった

 

 

ぺこりーの さん

1957年生まれ、熊本県天草出身。長いサラリーマン生活を経て、60歳でフリーのコンサルタントとなる。現在は、東京で愛犬とふたり暮らし。好きな言葉は「人生とは今日1日のことである」

 

 

【No1675】妻より長生きしてしまいまして。金はないが暇はある、老人のひとり愉快に暮らす ぺこりーの 大和書房(2024/05)

公園でスケッチブックを下げた老人とある女子高生との出会いから物語が広がっていく。

関わりのあった人物たちの視点で少しずつ闇が明かされていく。

そして関係する人たちのそれぞれの思いが縺れた糸を少しずつ解くように進んでいく。

人は独りではけっして生きていけない。頼り頼られて生きていけるもの。

不幸やタイミングが悪くてどれだけすれ違っても、弱く細い糸でも切れずにちゃんと繋がっていく。人と人とがつながっていくのは読んでいても心が動かされるものだ。

一生における出会いと別れや繋がりの意味を問われるおはなしです。

 

主人公ではない登場人物に、こういうかっこいい内容を言わせれるところがとてもにくいほど素晴らしい。

177P 

「男とか、女とか、意識しなくてもいいんじゃないか」

不思議そうに、瀬尾が俺を見た。

「お前に男らしさを求めている相手と一緒だと、生きづらいかもしれない。だけど、お前のその細やかさや丸みのあるやさしさを必要とする誰かはどこかにいるはずで、そういう相手と生きていけばいい。これだという相手に応えれば、お互いに、しあわせになれるんじゃないか」

 

 <目次>

一章 ひまわりを花束にして

二章 クロッカスの女

三章 不器用なクレマチス

四章 木槿は甘い

五章 ひまわりを、君に

エピローグ

 

町田そのこ さん

1980年生まれ。「カメルーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞。2017年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。『52ヘルツのクジラたち』で2021年本屋大賞を受賞した

 

続編の「成瀬は信じた道をいく」を先に読んでいたので、また成瀬あかりに会いたかった。

成瀬は、他の女の子とは違って断定的な物言いをする。しゃべることばと書き言葉には彼女らしい特徴がある。頭を坊主にしてくるなど彼女の普段の行動は他の人よりはっきりと目立っている。突拍子もないことを真面目に考えて、それが天然であり冷静であり胸に秘める熱量がものすごくて応援したくなる。一度近づいてみたら彼女に目が奪われてしまう。

「レッツゴーミシガン」の西浦航一郎君のように目についたら気になって仕方がない存在になるだろう。

 

「西武大津店の営業終了まで毎日通う」という目標を立ててもそれっきりにせずに、すぐ行動するところが好きになる。

祖母のためにも挑戦し続けた成瀬。

いつか大津にデパートを建てる成瀬の目標が叶うような気がしてしまった。

 

世の中には思っていてもやらないとか、思っていてもやれない人がいるのにもかかわらず。挑戦はできるようでなかなかできないものだ。

小さい目標の達成の積み重ねがいつかの大きなことを成し遂げる糧や経験となる。

何か大きなことを成し遂げる人は、こんなような感じかもしれない。

成瀬あかりは、ほんとうに天下を取るかもしれない!そんな予感がした。

 

154P

「成瀬さんの目標は?」

「わたしは二百歳まで生きようと思っている」

「さすがに二百歳……大変そうだね」

「昔は百歳まで生きると言っても信じてもらえなかっただろう。近い将来、二百歳まで生きるのが当たり前になってもおかしくない」

成瀬さんは生存率を上げるため、日ごろからサバイバル知識を蓄えているそうだ。

「わたしが思うに、これまで二百歳まで生きた人がいないのは、ほとんどの人が二百歳まで生きようと思っていないからだと思うんだ。二百歳まで生きようと思う人が増えれば、そのうち一人ぐらいは二百歳まで生きられるかもしれない」

唐突に、成瀬さんが好きだ、と思った。認めた、と言ったほうが正しいだろうか。もっとそばにいて、もっと話を聞いていたい。このままずっと、ミシガンが琵琶湖の上を漂ってくれればいい。

 

 <目次>

ありがとう西武大津店

膳所から来ました

階段は走らない

線がつながる 

レッツゴーミシガン

ときめき江州音頭

 

宮島未奈さん

1983年静岡県富士市生まれ。京都大学文学部卒。2018年「二位の君」で第196回コバルト短編小説新人賞を受賞(宮島ムー名義)。2021年「ありがとう西武大津店」で第20回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞、読者賞、友近賞をトリプル受賞。同作を含む本書がデビュー作。

子育ての施策で全国に先駆けて「明石モデル」で成功を収めたことを聞いていた前明石市長の泉房穂さん。

かれは、政治家や議会、官僚、マスコミなどの四面楚歌の中でも、明石市のために変革を断行した人だった。

また、特定の集団への利益誘導ではなく、サイレントマジョリティーの一般市民の生活目線に合った政策を強行にすすめたことにあったことがわかった。

 

177P ものを買う側に光を当てる

今、政治に一番求められていることは、ものをつくる側に偏ることなく、ものを買う側にも光を当ててお金を回していくことです。市民がお金を使えるようになって初めて、社会全体で経済が循環していくのです。

モノを作る側だけで潤沢に資金を回して内部留保で肥太り、需要側であり働き手でもある一般市民のお金がむしろそちら側にグーっと引っ張られ続けて疲弊してきた。そういう状態です。

だから、一般市民にとっては、物価が上がり保険料も上がる、負担は上がるけれども給料は上がらない、使える金がないから物を買わない、その結果、社会全体にお金が流れないという負の連鎖。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 理不尽な社会に「復讐」を誓った日(人生の原点は「貧困」と「差別」、障害を持って生まれた弟 ほか)

第2章 役所という伏魔殿(漫然とした「官僚政治」が続いてきた悲劇、官僚に寄生する政治家とマスコミ ほか)

第3章 議会は本当に必要なのか?(「三権分立」はフィクション、議会は「個別利益」代表者の集合体 ほか)

第4章 国民不在のマスコミ報道(「財務省は正義」という幻想、マスコミが維新の会を批判できない理由 ほか)

第5章 「常識」という言葉に騙されるな(「ものを買う側」に光を当てる、「子育て支援策」重視への異議と抵抗 ほか)

おわりに

 

泉 房穂 さん

1963年、兵庫県明石市生まれ。兵庫県立明石西高校、東京大学教育学部卒業。NHK、テレビ朝日でディレクターを務めたあと、石井紘基氏(2002年、衆議院議員在任中に刺殺される)の秘書を経て、1997年に弁護士資格を取得。2003年に民主党から出馬し衆議院議員に。2011年5月から2023年4月まで明石市長を務めた。18歳まで医療費無料など「5つの無料化」や養育費立替に代表される子ども施策のほか、障害者支援、高齢者福祉などにも注力し、市の人口、出生率、税収などを伸ばして「明石モデル」として注目される、社会福祉士の資格も取得している。

 

感性が研ぎ澄まされたセンスがよい生き方の知恵のようなものが語られていました。

このなかで自分にとって良いと思われたことを早速取り入れていきたい。

 

 

150P 64「みんなと仲良くしない」

気持ちがいい人は、人づき合いがシンプルです。人間関係で悩んでいるというイメージがありません。

自分にとってなにが大切かわかれば、おのずと人つき合いも絞られます。

まず自分の思いを大切にする人が、ほんとうの意味で人も大切にできるのです。

 

 

 

170P 73「書類はA4用紙1枚にまとめる」

時間をかけるべきことと、捨ててもよいことがわかるようになります。自分の時間だけでなく、仕事相手の時間も労力も節約することになります。センスというのは、「なんでも自由に」ではなく、何かの節約や目的があるからこそ方向が明確になり、研ぎ澄まされていくのです。

 

 

178P 77「なるほど、そうきましたかとピンチにつぶやく」

ピンチのときに人は劇的に成長し、感覚が研ぎ澄まされる。

ピンチで光が見えないとき、どうすれば光を取り戻すことができるか、1300年以上の前の(天照大神が天岩戸に隠れた)神話が教えてくれています。そう、ピンチのときは笑い、踊りましょう。

困難を楽しみ、面白がったときに、最大の結果がもたらされるのです。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 センスのいい暮らし

第2章 見た目で感じるセンス

第3章 センスのいい人のお作法

第4章 言葉が伝えるセンス

第5章 センスのいい人は遊びがうまい

第6章 センスのいい人づき合い

第7章 仕事だってセンスよく

おわりに 

 

有川真由美さん

作家、写真家。鹿児島県姶良市出身。台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程修了。化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性のアドバイザー的存在として書籍や雑誌などで執筆。46カ国を旅し、旅エッセイも手がける

将来の介護や看取り、相続問題の対処のために、もったいない世代の親が元気なうちに取り組めることが理想です。

片づけのプロでも実家を片づけるのは勝手が違ったというが。

モノを片づけると家の中の安全性が高まります。つまづきや転倒などけがのリスクが減ります。思い立ったら吉日。いきなりではなく、親と十分話し合ってからやり始めるのです。

実家片づけは、「大事なモノは捨てない。大事なモノを知るために片づけをする」という観点が気に入りました。

 

親からの三大言い訳に対しての子どもからの説得の言葉です。

自分自身もこんな風に周りに言っているのかもしれません。

「もったいない」→「売れるかどうか、調べてみよう」

「いつか使う」→「誰がいつ、どんなときに使うの?」

「置けるから置いている」→「ごみの処理費が上がっているよ」

 

また、絶対に言ってはいけないNGワードです。

これらを言ったらトタンに前に進めなくなります。

「(頭ごなしに)捨てて!」

「こんなの、いらないでしょう」

「なんでこんなことをしてるの?」

 

「終活」ではなく、これからの人生を楽しむために片づけるのです。

実家片づけは、暮らしを再構築するためです。

親が新しい思い出をまだまだたくさん作って、さらに充実した人生を送ることができます。

 

101P

最低限、「親が安全に暮らせるスペースを確保できる」「(いつか将来の相続のため)子どもが金目の紙やモノを選別・把握できる」という目標さえ達成すれば、押し入れの中が詰まっていても、物置状態の部屋があったりしても問題ありません。愛着のある服や、思い出の紙まで捨ててもらう必要はありません。

 

 

 <目次>

はじめに

第1章 他人ごとではない!「実家片づけ」を甘く見てはいけない

第2章 「片づけたくない」親との向き合い方

第3章 親が元気なうちにやっておく「実家片づけ」基本の7ルール

第4章 いざ実行!実家片づけ「モノ」篇

第5章 いざ実行!実家片づけ「紙」篇

第6章 こんなときは、どうすれば?Q&A

第7章 実家片づけで「介護・看取り・相続」の不安が消える!

おわりに

 

 

石阪京子さん

片づけアドバイザー。宅地建物取引士。JADPメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。大阪で夫と不動産会社を起業、夢のマイホームを手に入れても片づかないことで理想の暮らしができないと諦めている多くの人に出会い、家の片づけを提案。独自のメソッドは、一度やれば絶対にリバウンドしないのが特徴で、これまで様々な方法を試したり、プロに頼んではリバウンドを繰り返してきた人たちの「最後の駆け込み寺」となっており、直接指導した人は1000人を超える。現在は、収納監督、片づけレッスンほか、片づけ、家事、お金、メンタルなどくらしまわりにかかわるトークイベントやオンラインセミナーを開催の説得方法から実践スケジュールまで親が元気なうちに片づける完全ノウハウ。

 

【No1670】実家片づけ 介護看取り相続の不安が消える! 石阪京子 ダイヤモンド社(2024/08)

 

 

ぼくは、こんな先生に出会いたかったし教わりたかったな。

勉強が楽しめたし面白そうだから。

◎33P 楽しさを教えることこそ教師の役割なのだが

私は教えることが好きですが、それは、知識を学生に伝えたいからではありません。それよりも、「私が教えている内容はこんなに面白い」と学生に伝えたいからです。それを学生が知って驚くのを見たいからです。私が一番聞きたい反応は、「こんなことだったとは知りませんでした。目からうろこが落ちました。驚きです」というものです。

 

全く同感。知らないことを知ることは楽しい。まさに好奇心が勉強をさらに促進するんです。

57P 勉強している状態ほど、幸福な時はない

勉強すれば知識が広がる。好奇心が満たされる。ただそれだけの理由で勉強する。研究者が研究するのは、まさにこのためです。

ところが、多くの人は必要性で勉強を捉えています。勉強は、何か仕事のために必要だと思うから、こういう発想になります。しかし、勉強は、それ自体が楽しいから、やらなければ損だろうというのが、本書の立場です。

 

ウォーキングをしているとき、なにか大切なヒントがひらめきます。

散歩は、こころとからだの健康にもつながるベストな運動だと。

哲学者など古今東西の著名人がそう言っているし実感していることなのだから。

128P 歩きながら脳を刺激した人たち

江戸時代の儒学者貝原益軒は、「養生訓」でよく歩くことを進めています。雨の日は部屋の中でもよいから、毎日歩く。そうすれば、薬に頼らなくとも病気にならないと言っています。松尾芭蕉が「奥の細道」で歩いた距離は、約2400キロメートルと言われます。約150日間かけているので、一日平均約16キロ。移動しない日があったことなどを考えると、50キロも歩いた日もあります。

ウォーキングや散歩は、脳を刺激し活発化させる働きを持っています。歩くことは、優れたひらめきや直感を生み出す可能性を有していると思われます。

古代ギリシャのヒポクラテスは「歩くことは人間にとって最良の薬」と言いました。哲学者プラトンは、オリーブの木の下を歩きながら抗議したと言われています。プラトンの弟子アリストテレスは、学校の廊下を歩きながら授業をしたと言います。18世紀の哲学者イマヌエル・カントは、散歩を欠かさず、歩きながら思索を深めたと言われます。ワーズワースは、「書斎はどこにあるのか」と尋ねられた時に、「ここにあるのは図書館で私の書斎は戸外だ」と答えました。ニュートンやアインシュタインも散歩が好きだったそうです。

 

 <目次>

はじめに 勉強をシニア生活の中心に据えよう

第1章 勉強こそ最高の贅沢

第2章 楽しいから勉強する。目的は要らない

第3章 記憶力の衰えでなく、好奇心の衰えこそが大問題

第4章 学び続けるために知っておくとよいこと

第5章 定年シンドロームに陥らないため勉強する

第6章 歩くことのさまざまな効用

第7章 講義を受けるのでなく、自分で学ぶ

第8章 デジタルはシニアの最強力の味方

第9章 ChatGPTが高齢者の世界を変える

第10章 ChatGPTとの会話

第11章 シニアのコミュニケーションはデジタルで

第12章 「時間旅行」という究極の楽しみ

索引

 

野口悠紀雄さん

1940年、東京に生まれる。63年、東京大学工学部卒業。64年、大蔵省入省。72年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専攻は日本経済論。著書に「「超」創造法」「生成AI革命」など。

 

歴史を知ることや学ぶことは、面白いし楽しくワクワクする。

歴史家の呉座勇一さんや本郷和人さん、磯田道史さん、小和田哲男さん、城郭考古学者の千田嘉博さんなど、それぞれの方がそれぞれの手法で調べ考え抜いたことから、日記、手紙、城壁の証拠・事実や結論に至った経緯などを聞いているのはとても楽しい。また、磯田道史さんのように古文書を実際に紐解いて語られる真の歴史を聞くことは純粋に面白いし、三英傑や坂本龍馬、後白河法皇らなどの傑出した人物を翻訳された書物を通じて出会えるのも楽しい。

歴史は、起こった結果「点」だけを見ているようでそれが起こるまえからの布石や流れがある。歴史は点だけでなく数多くの点が繋がって「線」となっている。成功した事例よりも、失敗した事例から学ぶべきことが多い。このようなことを井沢元彦さんの逆説の日本史などの著作から教えていただいたのはよかったと思う。

以前呉座勇一さんが、井沢元彦さんに反駁し井沢さんを取り上げ厳しく鋭い指摘をしていたのを思い出す。井沢さんに対して、歴史研究家や歴史小説家ではなく、「推理小説家」と紹介していたのは少々驚きだった。

歴史は、史実に書かれているものだけが正しいとか、書かれていないから推論できないというわけでない。日本史のほか世界史を通じて歴史全体を見渡す必要があるかと。古代から現代まで学生時代から歴史を専門に学んできた人であってもなくても、大人から学んだ人でもどちらでもよい。些細な間違いをあげへつらい信用ができないではなく、お互いに歴史を学ぶことが好きであればそれらの遍歴はどんな形であってもよいかと思う。

市井で日ごろの読書会や朝活に参加しているときのように、色々な人や立場で参加しているので、相手の意見を否定しない、いろいろな考えがある、こんな考えもあるんじゃないかというようなスタンスを取れたらどうかと思う。自分たちの考えとは全く違っていても一応一旦受け入れるのだ。そんな大局観を持った大人の対応していくことができないかと思うのだ。

 

158P

私はひとりの歴史家として、日本通史「逆説の日本史」に取り組んできました。

その中で、これほどの学者も見いだせなかった歴史の真実をいくつも発見できたという自負もあります。しかし、ほとんどの歴史学者は、在野の歴史家の説を「外野の声」とか「素人の言説」と決めつけて無視してきました。

私は長い年月、たったひとりで日本通史と向き合いながら、一つの夢を持っていました。

それは、自由な発想で歴史と向き合うことができる私のような在野の歴史家と、豊富な専門知識を持つ歴史学者が、対等な立場で語り合い、ともに歴史の真実を探求することでした。しかし残念ながら、いまだこの夢は叶っていません。

 

88P 信長を理解することは日本史を理解すること

確かに大河ドラマの中には、歴史的事実、史実を大きく外れたものも少なくありません。歴史学者の中にはこうしたところを強く批判する人もいます。歴史学者の使命は真実を明らかにするところにあるのですから、明らかに歴史と違うところは指摘すべきだと思っています。しかし、だからといって大河ドラマに価値はないと否定するのは間違っています。私は歴史学者ではなく歴史家と名乗っています。

 

7P 世界と比較し、時間軸で比較し、日本固有の宗教を知れば、日本史ほどユニークで面白い歴史はない。

64P 史料に書かれていることだけが、そのまま史実とは限りません。世界史の常識と比較し、人間社会の常識と比較し、史料の中から真実を読み取ることこそが、歴史学者の務めだと私は思う。

 

 <目次>

はじめに 教科書を何度読んでも日本史はわからない

第一部  「比較」から日本史を読み解く

第一章  「世界と日本」はこんなにも違う

第二章  「長期の時間軸」で見ると歴史はわかる

第二部  「宗教」から日本史を読み解く

第三章 日本人の宗教の原点は「穢れ(ケガレ)」

第四章 日本人はなぜ「怨霊」を神として祀るのか

第五章 日本人はなぜ「和」を一番大切にするのか

第六章  「言霊」に縛られる日本人は不吉なことを口にできない

第七章  「穢れ」忌避信仰が武士を誕生させた

第八章  「朱子学」という外来宗教が日本にもたらした毒

終章 歴史をいかに読み解くか

おわりに 日本の未来のために

 

井沢元彦さん

作家。1954年、愛知県名古屋市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、TBSに入社。報道局在職中の80年に、『猿丸幻視行』で第二六回江戸川乱歩賞を受賞。退社後、執筆活動に専念

 

ことしの真夏8月の日中には、40度ぐらいで燃えるような災害級の暑さを経験しました。

これまでの過去の暑さとは違うオカシイ暑さを実感していて、地球温暖化ではなく地球熱帯化ではないかなと思っています。30度以上の真夏日は春先から頻繁にありますし、夏になると35度以上の猛暑日が連日のようにあります。

 

日本には素晴らしい四季がありますが、最近では夏と冬が長くて春と秋はあっという間に過ぎていく短かさを感じています。

だから日本は、温帯ではなく、いまでは亜熱帯化しているのではないかなと。

これからも災害級ともいえる暑さのなかで過ごしていくために、日ごろから熱中症などの予防を考えていくべきだと思います。

 

この本では、科学的な猛暑対策を簡単に楽しく学べるような内容になっていました。

また暑さの各種状況によっておこる諸事情に対していろいろな対策を講じてあり、過酷な夏を少しでも快適に過ごせる知恵がありました。

 

24P 「暑熱順化」からだが暑さに慣れてラクに感じてくる現象のことをいい、実際にからだが暑熱ストレスに耐えられるように、発汗や皮膚血流といった熱拡散の機能が向上する適応を起こしている。熱中症予防に大きな効果が期待される。ほどよく深部体温を上昇させ、発汗状態を長時間維持することで起こる。

 

59P 帰宅したら汗で濡れた服を着たままクーラーに当たると、汗で濡れている気化熱で冷えやすい。汗を乾かすと深部体温を下げやすい。汗が乾いてから着替えるのがおすすめ。

 

81P 経口補水液と同じく保水効果の高いのが牛乳。タンパク質やナトリウムも豊富でゆっくり回復する時に飲むのに適している。吸収が遅いので、急いで水分補給が必要なときはほかの飲料が好ましい。

 

105P もし熱中症になったら応急措置の正解

からだの広範囲の冷却が最優先、できるだけ体表の広い範囲を冷水や氷水などで冷やす。そして救急車の要請を。

 

 <目次>

はじめに 

1 猛暑対策は「体温調節のしくみ」を知ることから始まる!

2 朝昼晩にできること!日常生活の猛暑対策

3 ちょっとした意識で変わる!衣食住にまつわる猛暑対策

4 愛するものを守るための猛暑対策

5 暑くてもカラダを動かしたい!運動時の猛暑対策

6 猛暑対策のウソ?ホント?

おわりに 

参考文献一覧

 

 

藤井直人さん

筑波大学体育系助教。博士(学術)。専門分野は運動生理学。1981年6月24日大阪府生まれ。筑波大学体育専門学群卒業。大学在学中は陸上競技部に所属。その経験を活かし、運動時の呼吸・循環・体温調節に関する運動生理学的研究を数多く行っている。さらに筑波大学体育系の特色を活かし、競技パフォーマンス向上のためのスポーツ科学研究も進めている。アメリカとカナダでの海外留学の経験を活かし、複数の国の研究者と共同研究を精力的に進め、国際的な賞も複数受賞している.。

 

【No1667】猛暑対策BOOK 日本のヤバい夏を最新科学の力で乗り切る!藤井直人 小学館(2024/07)

 

ツボはからだの調子を表す「全身の手鏡」。

ツボとは東洋医学の考えに裏打ちされた内臓などのからだの各器官とつながっている反射点(ゾーン)のこと。

特に手と足は、第二の心臓と脳とも呼ばれ、内臓、首、腰といった全身のツボが密集している大事な場所。

 

手足同時のツボ押しで、やんわりリラックスできただけでも、健康のための手軽なセルフケアとになります。

自分の力でからだの不調をらくらくすっきり整えていこうと。

 

ぼくは、首と肩こりの軽減と眼精疲労の改善のため、手の甲とひらのツボの箇所を覚えました。

さっそく気軽にツボ押しだ。

 

 

 <目次>

はじめに 

第1章 いちばんよく効く!ツボの押し方

第2章 からだの痛みの不調

第3章 すぐに治したい不調

第4章 日常でよくある不調

第5章 心と内臓の不調

第6章 加齢による不調

五十嵐康彦さん

1941年、横浜生まれ。指圧・マッサージ師。本格的なヨーガの指導を受けたのち、ヨーロッパ、アジア諸国で修行。反射ゾーン治療(ゾーン・セラピー)に出合う。豊富な経験をもとに反射ゾーン刺激療法を確立し、リフレクソロジーの先駆けとしてテレビ、雑誌などで活躍。現在は後進の指導と研究に邁進している

 

【No1666】手ツボ・足ツボ大全 よくある不調が即ラクに!五十嵐康彦 河出書房新社(2024/05)