世の中の男女はいろんな生き方があることに気付かされます。
この物語のなかで強く印象に残った文。
211―212P
父と母は、ひとりを持ち寄ってふたりになり、三人を経て再びふたりを歩いている。姑のテルは、ひとりになってもふたりぐらしを続けていた。岡田と百合は、つよくひとりを意識しながらふたりを生きる。
信好と自分は―
出会ってからはいつだって、信好が紗弓の「答え」だった。
ひとりではうまく流れてゆけないから、ふたりになったのではなかったか。
こころ温かくなる物語。
「たまには男二人で昼飯でも食べよう」
義父と信好が2人でランチをするシーンは何気ないのだけれども。
お互いすごく心通う良いシーンだと思った。
豊かさとは、当たり前の毎日の生活にあるのかな
幸せな人生とは、夫婦とは、家族とは。
なんなの?と優しい声で問いかけてくるような感じ。
ささやかな喜怒哀楽とともに、このゆったりと進んでいく物語に心地良さを感じました。
メリハリがないわけでもない。
大きな展開があるわけでもない。
でも心地の良いこの流れに身を任せれました。
<目次>
こおろぎ
家族旅行
映画のひと
ごめん、好き
つくろい
男と女
ひみつ
休日前夜
理想のひと
幸福論
1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞。07年、同作を収録した『氷平線』で単行本デビュー。13年、『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞、『ホテルローヤル』で第149回直木三十五賞を受賞
※
直木賞の「ホテルローヤル」を読んだときから、ぼくは彼女のこと(作風)を気になってしょうがなくなってしまった。
なぜなら読んでいてほんのりと心地ちよかったから。
どちらかといえば青い空ではなく曇天の水平線の下、小船でただよっている感じ。
モヤモヤとした霧が立ち込めた雰囲気の中でその霧が少し晴れたところに答えが見つかるところがうまい。
文章の間に人間の本音が見え隠れするところもよい。
命を懸けたヤクザのような明るくない作風に惹かれてしまったのだ。













