朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -112ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

父親の大澤正樹は、歯医者だ。

長男の翔太には、普通の医者になることを小さい頃から強制していた。

長男は、二十歳を超えている。中学でのいじめが原因で7年間引きこもり中。

妻の節子は専業主婦。息子が引きこもりになった責任を仕事にかこつけて妻におしつけていた。

長女の由依の結婚を機に、他人がこの家庭に関わることで状況が動き始めた、

始めは長男の家庭内暴力という波紋から、いじめをしていた当事者3人や周りの傍観者への浪風、そして大澤家族全員の裁判での戦いといった嵐へと変化していった。

 

久々になかなか読み応えのある素晴らしい作品でした。

これは面白くて、昨日の夜中までぶっ通しで一気読みでした。

 

ある家庭の物語ではなく、どこにでも起こるべき当事者として考える問題ではないかと感じています。

 

愛する家族で何か問題が起きたら、他人事ではなく、また妻に任せっきりにするのでもなく、自分自身のこととして考えて直面し悩み、相手に心をぶつけて腹を割って対処していかなければ解決できないことをはっきりと強く心に止めました。

 

391P

「今。全国の、不登校に悩んでいる多くの親御さんに伝えたいことはありませんか」

「子どもと一緒に戦ってください」

あたりを見渡す。そしてゆっくりと繰り返した。自分の声が震えているのがわかったがもう仕方がない。

「子どもを信じて、お前を守ってやれるのは世界中でお父さんとお母さんなんだと言い続けてください。いじめは簡単に解決できることじゃありません。裁判はお金も時間もかかりました。ですが、真実はわかったんです。息子は、自分が悪いわけではなかったと確信を得ました。私たち親子にはそれで充分だったんです……」

 

 <目次>

第一章 はじまり

第二章 苦悩

第三章 決起

第四章 再会

第五章 再生

第六章 裁判

 

1954年山梨県生まれ。「最終便に間に合えば」「京都まで」で直木賞、「白蓮れんれん」で柴田錬三郎賞を受賞。

 

【No.881】小説8050 林 真理子 新潮社(2021/04)

老年期にトラブルに巻き込まれないための方策、また巻き込まれた際の冷静な解決策について説明がありました。

3P

新常識は「定年70歳、人生100年の人も珍しくない」、いや、「働けるまで働く、人生100年は当たり前」が真実かもしれません・

 

衣食住が足りて礼節を知る、普通に暮らせる当たり前の日々はかけがえのないものです。

202P

平凡な毎日こそ最高の人生であること。大喜びするような出来事が何も起きない日々はつまらないかもしれません。でも、大きな問題が起きない日が続くことほど、幸せなことはありません。

 

出世や収入の増加、良い会社に入るといった「成功・達成」より、知り合いや友人が多いなどの「愛情・つながりよりも、ストレスやイライラを感じずに生きていけるような「心身の健康」が大事になります。

198P老後は(現役時代と比べて)優先順位を逆転させるとうまくいく!

老後の人生は、まずは自分の幸せから、次に他者とのかかわり、最後に趣味でもスポーツでも何でもいいので目標達成という優先順位で生きることが、無理なく幸せになります。

まずは「セロトニン」を分泌させる「心身の健康」、次に「オキシトシン」を分泌させる「愛情・つながり」、最後に「ドーパミン」を分泌させる「成功・達成」という生き方が理想となります。

 

ブルーゾーンとは、沖縄などの健康長寿の住民が多いエリアのことを指します。

長寿になるかどうかは別として、健康的に生きていきたいのでこの9つは参考にしたいものです。

182P健康長寿のエリアの住人が心がけている9つの習慣

アメリカの研究者ダン・ベットナー率いる専門家チームの調査による

1 日常生活で規則正しく、よく体を動かしている(座る時間が多い生活様式とは無縁である)

2 生きがいがあり、毎朝起きるための目的がある

3 ストレスが少ない生活習慣となっている(祈りの時間、ティータイムなどが組み込まれている)

4 腹八分目

5 野菜中心の食事

6 適量の酒を楽しむ(地中海であればワイン、沖縄であれば泡盛)

7 健康的な習慣を促進するような社会的なグループに参加する

8 宗教グループの活動に参加して、お互い助け合う環境で過ごす

9 家族間の絆が深い

 

少子超高齢化時代は、先があまり見えないと言われています。

老年期や老後と聞いて不安に感じる人も多いのではないかと思います。

趣味に生きるにせよ、仕事をするにせよ、地域に関わるにせよ、いずれにしても何かしら考えているのならば、定年後ではなく今から行動に移すべきです。

老後で大きなカギとなるのが、両親や自分の認知症やお金の問題です。

日本の後期高齢者の3人に1人が要介護認定者であり、女性の場合では、介護の原因として最も多いのが認知症です。また更年期を過ぎると、男女ともにホルモンが減少してストレス耐性が低下するため、更年期障害やうつ病にも気をつけねばならない。

お金に関しては、同じ会社に長年勤めて定年が近づく前に役職定年を迎える。役職定年を迎えると仕事は変わらずとも収入が減ります。そのまま会社に留まるのか、転職するのか、独立するのかを考えておかないといけない。

繰り上げ支給も考えられますがいまの年金受給開始年齢は65歳からです。人生100年時代を見据えて健康に留意しで、できるだけ長く働けることが必要であると思います。例えば、68歳に年金を繰り下げして増加させてもらうことが想定されます。

この人生100年時代、いまからあと何年生きるのかと逆算し想定しながら、趣味や仕事、社会とのつながりを持ちながら人生を謳歌していこうと思っています。

 

 <目次>

はじめに 

第1部 老後の年表(50歳 親の介護で「介護うつ」と「介護離職」が忍び寄る、51歳 更年期障害で、妻の長年の怒りが爆発、53歳 親が亡くなり、遺産相続の争い勃発、55歳 役職定年。働き盛りに給与もやりがいもカット、56歳 熟年離婚予備群に仲間入り ほか)

第2部 老後の生活が豊かになる3つの視点(自分はどうなると一番幸せか?すべては、この「問い」から始まる、「労働収入」「年金収入」「不労収入」の3収益を確保する、不動産投資にお勧めなのは「東京×中古×ワンルーム」、家族との付き合い方は優先順位が案外大事、収入アップと仕事の成功で、本当に幸せになれました? ほか)

おわりに

 

1972年生まれ。オランダ、スペイン、北海道のニセコなどを転々とし、現在は東京在住。現在は、老後問題解決コンサルタントとして活動。不動産会社の日本財託に勤務し、相続など資産の問題をはじめ、数多くの老後問題に遭遇、解決に導いてきた。特に家族信託のアドバイスに定評がある。メディアに多数出演

 

【No.810】老後の年表 人生後半50年でいつ、何が起きるので、私はどうすればいいの横手彰太 かんき出版(2021/04)

徳川家康はここでは紹介されていませんでした。

彼には失敗はかったのではなく、将来的にその失敗を生かし成功したからだと思います。

平清盛や源義経、源頼朝、上杉謙信、武田信玄、武田勝頼、浅井長政、織田信長、豊臣秀吉、石田三成、伊達政宗、毛利輝元等々、大河ドラマの主人公となるような、そうそうたる戦国武将たち。

英雄たちが選択するときに失敗を犯したのだ。

日本史を彩る英雄たちが起こした数々のしくじりを検証してそこからの学ぶことが未来の子孫の役目であろう。

 

成功よりも失敗が教訓とすることが多い。

人物掌握術や社交儀礼、後継者問題、遠交近攻などの戦術まで、歴史の中から現代に換骨奪胎して役立てる豊かな学びがあるのではないでしょうか。

これは歴史を学ぶメリットと言ってもよいものです。

いまに同様の事例があったら、日常の小さな問題から仕事の大きな決断まで生かせます。

 

また、もしもあのとき成功していたならば、歴史はどう変わっていたのかなどと想像したりできたら面白い。

 

4P

本書の試みとしては、歴史上の失敗を取りあげることで、その時代の特徴を分析しながら、なぜそれが失敗だったのかをあきらかにする。そしてもし失敗がなかったら、歴史はこう変わっていたかもしれないと推測する。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 鎌倉時代の失敗

第2章 南北朝時代の失敗

第3章 室町時代の失敗

第4章 戦国時代の失敗

第5章 安土桃山時代の失敗

第6章 関ヶ原の失敗

 

1960年東京都生まれ。東京大学史料編纂所教授。文学博士。専門は日本中世政治史、古文書学。著書に「日本史のツボ」「承久の乱」「軍事の日本史」など。

 

 

【No.809】「失敗」の日本史 本郷和人 中央公論新社(2021/03)

それまでは、社員を大事に扱う会社だった。

赤字経営ではないのに、管理職の副社長の命令によりリストラを断行したのであった。

1993年のパイオニアでの指名解雇が元となっている。

高杉良さんの取材力を活かしたリアルな小説だ。

日本的な経営の特徴は、企業内労働組合や終身雇用だと呼ばれて久しい。

このころから、もうそうではなくなってきたのだ。

外からは見えにくい人事の内部の動きや考え方、社内のなかでの対立場面などサラリーマンならではの苦悩と葛藤を如実に描き、あの時代を感じることができた秀逸な作品だった。

 

「副社長から、あなたの肩を叩くように命じられたんです」―吹き荒れるリストラの嵐は管理職へ冷たい刃となって突き刺さる。指名された課長が直面する非情な企業論理。終身雇用の神話が崩れ、生き残りを賭けて繰り拡げられる、企業の凄絶な戦いの内幕を綿密な取材でリアルに描く長篇モデル経済小説。

 

 <目次>

第一章 厭な予感

第二章 ”ドサ回り”

第三章 副社長の独断

第四章 解雇通告

第五章 騒然

第六章 組合の反発

第七章 新年会で

第八章 批難囂々

第九章 社長の謝罪

第十章 日々に疎し

解説 佐高 信

 

【No.808】指名解雇 高杉 良 講談社(1999/02)

5P これまでの10年よりこれからの10年の方が世界は大きく、早く変わるだろう。

 

幼い頃、強い人造人間キカイダーや百万力の鉄腕アトムなどの人間型ロボットに真剣に憧れていた。現代ではペッパーくんのように話しかけるとおしゃべりしてくれるAIロボットが実現して、ある程度可能な限り人間型のものが作られてきている。

また、いつか将来、宇宙戦艦ヤマトのように人が乗船して宇宙を旅したいなと思っていた。

ロケットで飛び立ち宇宙ステーションに滞在し帰って来られるような時代となった。

夢は、地道に実現してきた。夢は成長するために大切なのだ。

 

トンネルなどの土木工事に使われるため開発されたダイナマイト。これを人を殺す武器として使用したように、現代では無人偵察機や爆弾として殺人を想定しているドローン機のように、不幸な出来事で使用されないよう危惧するところだ。

テクノロジーの予想を超えるスピードでの進化が社会を大きく変えることを予測する一方、日本の高齢化、年金、教育、災害、食料危機など、暗くなってしまうほど既にかなり高い確度で予見されている未来予測が述べられていた。

 

6Gなどの時代に向けて空飛ぶクルマの運用など、想像できる楽しい発想が人間を豊かにしてくれるから、将来の明るい夢の実現に貢献できるような素敵な未来を描いてみたいと思った。

 

270P 

環境に適応するには環境を知ることが不可欠だ、人間は想像力を超えた現実には太刀打ちできない。最悪の事態が想定できていれば、右往左往することはない。

最悪の事態を想定しながら未来を描いておけば、あなたの人生はそれよりも悪くなることはない。そして、そのシミュレーションができていれば、あなた個人に待ち受ける未来は、何も知らずにいたときの景色とは違ってくるはずだ。

 

28P アインシュタインの例を引かなくても、新しい技術は突然現れない。すでにある技術の改良や組み合わせで登場することがほとんどだ。

 

 <目次>

はじめに

#01 テクノロジーの進歩だけが未来を明るくする(たった100年前から信じられないほど世界は変わっている、新しいテクノロジーが登場したとき、人間はその普及に反対する ほか)

#02 あなたの不幸に直結する未来の経済―年金、税金、医療費(2040年の日本は老人ばかり、老人が増え、それを支える若者が減る ほか)

#03 衣・食・住を考えながら、未来を予測する力をつける(衣食住の未来は、短期的にコロコロ変わる、不測の未来を予測する力をつけよう ほか)

#04 天災は必ず起こる(このまま温暖化がすすむと、飢餓に満ちた世界が必ずくる、まず自分のいる場所がどんな水域か知っておくべき ほか)

おわりに

参考文献

 

1955年北海道生まれ。元日本マイクロソフト代表取締役社長。1986年マイクロソフト株式会社入社。1991年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。現在は、書評サイト「HONZ」代表も務める。著書多数

「人間として一番大切なことは嘘をついてはいけないことだよ」

 

七十八歳で逝去した昭和最後の映画スター渡哲也さんの自叙伝です。

 

彼は、映画やテレビでの日の当たる男気ある姿とは反対に、結婚して十六ケ月目の昭和四七年に葉間肋膜炎で倒れて三カ月入院、その二年後には急性肝炎と左胸膜癒着症で八ヵ月間、そして昭和五十年に慢性肺感染症で三カ月間入院、平成三年に直腸がんになり全摘手術による人工肛門生活、平成二十七年には急性心筋梗塞など、前に進む絶頂期毎に病魔に襲われ闘い克服して何度も生還してきました。

日の当たらないときの家族を含めた苦労は計り知れません。

石原プロに幕を下ろすのと同時に、令和二年八月に別の世界に旅立って行かれました。

 

彼と石原裕次郎さんは、弟と兄のような関係でした。

彼は、裕次郎さんから両手に余るほどのたくさんの夢をもらったとおっしゃっておられます。

 

昭和から平成、令和まで生き馬の目を抜くような業界で、カッコよく駆けぬけました。

銀幕の映画スターから西部警察、太陽にほえろなどの刑事役、くちなしの花での歌手、宝酒造の日本酒のCMなどいろんな姿をこなす器の大きかった渡哲也さん。

 

振り返って見ると、人の記憶にずっと残る花火のように、ぱっと明るく散った潔い生き方だったように感じています。

 

11P 人生

結局、そういうことを考えても、何も結論が出なくて、自問自答の果てに得たのは、結局人生は、なるようにしかならず、どこか天命というものに従わざるを得ないところがあるのでは、ということでした。

自分の病気、これも天命なのかなと。天命なら天命で、あれこれ考えたってしょうがないし、ただ前に進むしかありません。

「なるようになるしかならない」と言うのは自然の流れに逆らわず、余計な執着心を持たないということで、決して諦めであったり、「どうにでもなれ」といった投げやりな気持ちではありません。

健康に中止したからといって、病気を防ぐことは出来ません。それは、「運命」に近いものだと思います。

だから、ただ長く生きることよりも、短くてもいい、後悔のない生き方を大切にしたいと考えてきました。

(中略)

だから、病気をしてこんなことを言うのは、本当に恥ずかしいのですが、自分に合う生き方、自分に納得する生き方を、「自分らしい」と信じて、そういったものを晒ながらこれから生きていくのではないでしょうか。それが人間なのではないでしょうか。

 

 <目次>

第1章 石原プロ

第2章 青春の彷徨

第3章 日活

第4章 運命

第5章 裕次郎に殉じる

第6章 壮絶なる日々

第7章 勇退

付記 青志社社長 阿蘇品 蔵

特別寄稿 側近が語った「渡哲也さん最後の日々」石原プロモーション専務 浅野謙治郎

 

1941(昭和16)年、島根県生まれ。六歳のとき父賢治の故郷兵庫県淡路島へ転居。1965(昭和40)年、青山学院大学経済学部卒業後、『あばれ騎士道』でデビュー。1966(昭和41)年、『愛と死の記録』で第十七回ブルーリボン賞新人賞受賞。以後日活トップスターとして活躍。1972(昭和47)年、石原プロモーション入社。1973(昭和48)年、『くちなしの花』で全日本有線放送大賞金賞受賞。1976(昭和51)年、『やくざの墓場 くちなしの花』でブルーリボン主演男優賞を受賞後、数々の映画賞を受賞。またテレビ界にも進出。刑事ドラマ「大都会」シリーズや「西部警察」シリーズが大ヒット。1981(昭和56)年、石原プロモーション取締役副社長に就任。1987(昭和62)年、石原裕次郎亡きあと石原プロモーション代表取締役社長に就任。2005(平成17)年、紫綬褒章を受章。2011(平成23)年、石原プロモーション代表取締役社長を退任。2013(平成25)年、旭日小綬章を受章。2017(平成29)年、石原プロモーション取締役・相談役就任。2020(令和2)年、8月10日逝去。享年78歳・生涯の出演映画88作品.。

 

教養のひとつには、これがあると思います。

歴史、経験や失敗から学ぶことです。

17P

過去の経験や失敗から学ぶことができれば、突然の出来事が起きたとしても対応することができます。それが未来に備えるということです。

 

天然痘の歴史、韓国や台湾での感染症を克服した他国の経験から学ぶこと、また一年前の新型ウイルスの対応体験などを活かして、これから迅速な対策を取っていただきたい。

98P

近い将来、いつ新たな感染症が襲ってきてもおかしくありません。そのとき、ウイルスや感染症に対する科学的な知識をもっていることも大事ですが、被害を徒に拡大せず、適切に封じ込められるかどうかは、過去の感性症の歴史や今回の経験を未来に生かせるかどうかにかかっています。

台湾は、過去にSARSが流行した際に失敗した経験を糧にして、今回、迅速な対策を行うことができました。新たな感染症の危機が訪れた時、日本もまた今回の失敗から多くを学ぶことができれば、しっかりとした対策を取ることができるはずです。

 

さて、特別定額給付金の支給時だけでなく、新型コロナウイルス対応でデジタル化が進んでおらず、日本がDXの後進国である事例の紹介がありました。

集計作業がFAXでのアナログのままでデジタルのシステムを使えないのは宝の持ち腐れ状態で勿体ない。

114P システムは使わなければ意味がない

新規感染者の集計作業です。新型コロナウイルスの感染が広がり始めた時期は、新規感染者の集計にはもっぱらFAXが使われていました。

医師は、新型コロナウイルスの感染者だと判明すると、「新型ウイルス感染症発生届」という用紙に必要事項を記入し、FAXで最寄りの保健所に届け出ます。保健所はそれをチェックして、やはりFAXで自治体に送るわけです。

政府は、2020年5月に、医療機関が感染者の発生届をオンラインで入力できるシステムをつくりました。感染者の多い自治体では入力作業に負担がかかってしまうため、なかなか普及が進まなかった。その結果、コロナの第三波がやってきた時期でもまだ、FAXで集計している自治体がありました。

新システムは、個々の医療機関が入力すれば、それを同時に保健所や自治体、厚生労働省が共有できることを目的につくられたものです。それが実現できれば、国が自治体の新規感染者数や重症者数などを、まとめて把握することができます。

いくらデジタルのシステムを開発しても、そのシステムが現場で使われなければ、デジタル化が進んでいきません。

 

次に、医学や医療の分野の社会的共通資本に、経済的合理主義を短絡的に導入してはいけないという主張がありました。ぼくも共感します。

230P

社会的共通資本は、一つの国ないし特定の地域に住む人々が、豊かな経済生活を営み、優れた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能とするような社会的装置を意味する(宇沢弘文)

大気や森林、河川、土壌などの自然環境と、道路や交通機関、上下水道、電力、ガスなどの社会基盤、そして教育や医療、司法、金融などの制度資本から成りたちます。

診療実績が乏しい地方の病院の統廃合問題があります。

既に、保健所が統廃合されていました。その結果コロナが起きたときどうなっていたのか。

231P

目先のコスト削減や効率化だけを進めると、コロナ禍のような有事の際に溜めがなくなってしまいます。

効率化が必要であっても、私たちの生活や健康、命が効率化でおろそかになってはいけません。平時の延長上だけでものを考えると、何かあったときに対処しきれなくなり、大変な事態になってします。そうならないように、変化の予兆を敏感に察知し、一方で過去の失敗から、私たちだったら逆に何ができただろうか、と今から未来に備えておくことが大事です。

 

 <目次>

序章 私たちは、どんな未来を生きるのか?

第1章 気候変動―地球はもう限界なのか?

第2章 ウイルスと現代社会―人類は感染症を克服できるか

第3章 データ経済とDX(デジタル・トランスフォーメーション)―生活や仕事はどう変わるのか?

第4章 米中新冷戦の正体―歴史は何度も繰り返すのか?

第5章 人種・LGBT差別―アイデンティティ政治とは何か?

第6章 ポスト資本主義―なぜ格差や貧困はなくならないのか

おわりに 

文献案内

 

1950年、長野県生まれ。慶應義塾大学卒業。NHKで記者やキャスターを歴任、94年より11年間『週刊こどもニュース』でお父さん役を務める。2005年より、フリージャーナリストとして多方面で活躍中。東京工業大学リベラルアーツセンター教授を経て、名城大学教授、東京工業大学特命教授、東京大学客員教授など9つの大学で教える

 

【No.805】おとなの教養3 私たちは、どんな未来を生きるのか?池上 彰 NHK出版(2021/04)

齋藤孝さんらしい噛み砕いて含蓄のある言葉で書かれてあって読みやすい。

テーマを絞って書かれてあります。

例えば読書の分野では、実践を移すためのアイデアが魅力的です。

 

116P 読書は知を鍛える最適な手段。読書は脳の全体を鍛えてくれる

たとえば、作者の意図や気持ちを知ろうと意識して読むと、理解系が働いて発想が生まれやすくなりますし、気持ちを乗せて小説に触れると、感情系が揺さぶられて認知予防につながるといいます。また、声に出して音読すると運動系が刺激され、さらには本をいったん閉じて思い出す行為を繰り返すと、長期記憶が鍛えられるのだそうです。

読書は私たちの知的水準を上げてくれるだけでなく、時間的かつ空間的な視野を広げ、心を豊かにしてくれるのです。

豊かな心と知識とは、すなわち教養です。

 

130P 小説を読むことで情感が豊かになる。感情を乗せやすい。感情を揺り動かす術にも長けている。

 

156P ひとつのテーマにつき5冊の本を読む

読み終わる頃には、その分野の知識をかなり深めることができます。

特定の分野の本を繰り返し読むことで、その分野の「考え方」を学ぶことができます。

作者はこんな考え方をするのか、こういう理論に基づいて物事を紐解くのかなど、新しい視点を養うことができます。

読書を繰り返し重ねることで、知性の勘を鍛えることができるのです。

 

頭がよいとは、こういう人を言います。

3P

頭がいい人は情報を整理する力や要約する力、構成する力、説明する力などが備わっている人です。

5P

頭がいい人というのは、物事の何が重要か、あるいは重要でないかと、自分の視点で理解できている人です。

(中略)

得た知識を頭の中で整理し、再構築し、体系化できる人。

頭がいい人は、この情報の整理力があるから正しいアウトプットができるわけです。

教養とは、知識を身につけることで養われる心の豊かさだと言う人がいます。

 

器用貧乏にならないよう、ぼくのような凡人にとっては、ひとつに絞って傾注することがよいと思います。

214P ひとつに絞って才能を結実させる

才能とはひとつのことにエネルギーをぶつけると、やがて突出するものです。

自分の得意なことに集中する。一面化は、自分の得意なことがわかっている人におすすめです。

 

物事を継続できることそれ自体が才能だと。

218P 才能とは物事を続けられる能力だといえます。

 

はじめに 「頭がいい人」はどのように思考するのか

序章 頭がいい人はどのように考えるのか

第1章 情報を整理するための思考習慣

第2章 会話を知的にするための思考習慣

第3章 頭をよくする本を読むときの思考習慣

第4章 生涯、頭をよくし続けるための思考習慣

第5章 天才たちの真似したい思考習慣

 

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー作家、文化人として多くのメディアに登場。NHK Eテレ『にほんごであそぼ』総合指導を務める。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞、『声に出して読みたい日本語』(草思社)で毎日出版文化賞特別賞受賞

ピラティスの考案者、ジョセフ・H・ピラティス氏はこう説きました。

「正しい運動で矯正すると、自分の体が正しく機能するようにより、身体的健康が生まれる。コントロジー(現在のピラティス・メソッド)により血流や呼吸、背骨が正常になり、体、頭、精神の調和が保たれすべての人が健康で幸せになる。」

 

形に拘泥するままに無理な姿勢や体形で息を止めて動いていたので、新陳代謝を促進する流れが損なっていました。これはヨガにも通じるところの呼吸の大切さです。

またこの教科書には、骨の種類や骨格や筋肉の名前の説明がありました。その意味は、動かす体の部位に気をつかい留意しながら、体を動かすということが重要だと思ったのです。

 

つまり、闇雲に動くのではなく、自分の行動に意味をもたせるのです。

例えば、ゴルフのスイングを練習している人が、何も考えずに何千回振っても、筋力はつきますが上達はしません。

上半身は腕とクラブを同調させるように意識して振っている人は、そのひとふりひとふりに意味をもたせています。

上達は練習の質と量で決まります。

質がゼロならばその答えは限りなくゼロに近くて、意味を持たせて練習をすればさらに上達します。

畢竟、自分のやるべきことを鮮明にして行うということです。

 

骨盤、背骨、肩甲骨、首、肋骨が正しい位置にある状態、ニュートラル・ポジションが基本姿勢。そして、あおむけのニュートラル・ポジションのテーブルトップ。

背骨を伸ばしながら上半身を上げていく、スワン・プレップ。

軸を意識して上半身をねじり、わき腹を意識する、スパイン・ツイスト。

上体を持ち上げて腹筋に負荷をかけていく、チェスト・リフト。

横向きに寝た状態で、腹筋の力を使って肋骨を引き上げる、サイド・アップ。

チェスト・リフトで腕を伸ばしキープする、ハンドレッド・プレップ。

これで腕を振る強化バージョンのハンドレッド。さらにテーブルトップで行うと腹筋への負荷が増えて強度が上がります。

バック・エクステンション、スイミング、レッグ・サークル、フロッグ、プリエ、サイド・キック、サイ・ストレッチ、スクワット、サイド・プランク等々。

今まで何回も教えていただいたことの一部です。

 

インストラクターの石黒さんとの出会いは、20年ほど前のエアロビクスの教室からです。

彼女のピラティスのレッスンは、5年以上前から継続して受けています。

明るくて気軽に話せる気さくな性格であり、レッスン参加者みんなから好かれています。

県内外のインストラクターと連携し指導者との交流を図り、指導内容の充実、質の向上を図っておられるのを直接聞いたりSNSから仄聞をしています。

ピラティスと彼女との出会いに感謝しています。

 

習うより慣れろのように、理論より実践をしてきました。

レッスンを受けているときに感じてきた差異や体の感覚の変化については、この本を読むことで気づかされることが多々ありました。

「体、頭、精神の調和」と「無意識の自然リズム」

正しい体の使い方を意識するようにして、これからもピラティスを継続していきたい。

 

2P 体との対話のために 石部美樹、高橋なぎ

ピラティスは、「体が本来持っている機能を正しく使うためのエクササイズ」であり、「そのためのコントロール法」でもあります。

ゆっくりとした静かな動きで、筋肉を正しく使うことを学びます。

すべて「呼吸」と連動させていきます。

なぜなら私たちは普段、常に呼吸をしながら体を動かしているからです。

ピラティスを学ぶと、自分の体に備わった機能的な動きを取り戻すため、姿勢、身のこなしが美しくなります。

美しく動くために必要な筋肉が、必要な分だけ発達するため、全身が自然と美しいフォルムになっていきます。

骨格や筋肉の付き方、関節の可動域などは人それぞれ違います。

つまり、自分にあった体の使い方、動かし方を知ることができるのです。

ピラティスを学ぶことで得られるのは、自分ならではの美しさ。必要な筋肉を必要なだけ動かす、理にかなった美しさです。

ピラティスのエクササイズを深めていくとき、どこをどう意識するのか、骨や筋肉の状態はどうか、関節の動き方はどうか、呼吸の状態はどうかなど、一つ一つ問いかけていきます。

見本となる先生の動きをただ真似するのではなく、自分自身の体と対話をしながら行うことが重要です。

体との対話は、毎日行うもの。

回数を重ねるごとに、気分がよくなったり、見た目が変わってきたり、集中力が増したり、といった変化を感じられるようになります。

私たちもピラティスに出会ってから、身も心も入れ替わったかのように変化しました。

 

 <目次>

体との対話のために

01 現代人にピラティスが必要な理由―ピラティスとは?(その姿勢、いつからラクだと思うようになりましたか?、クセが偏りを生み、痛みのサイクルに ほか)

02 ニュートラルを感じて姿勢を整える―ピラティスの姿勢(ピラティスで大事なポジションとは?、背骨の感覚をつかもう!)

03 すべては正しい呼吸から始まる―ピラティスの呼吸(ピラティスで大事な呼吸とは?、胸式呼吸の感覚をつかもう! ほか)

04 体が生まれ変わる目的別エクササイズ(背骨―背骨の準備運動、お腹―お腹の筋肉を動かす ほか)

05 理想の体になるためのプログラム(体幹強化、下半身強化 ほか)

効かせたいところINDEX

監修者&著者プロフィール

 

石垣英俊

静岡県出身。臨床家の父に鍼灸治療を師事。2004年に開業。神楽坂ホリスティック・クーラ代表。「NURTURE(ナーチャ)」校長。「アラウンドセラピー」主宰。鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師。オーストラリア政府公認カイロプラクティック理学士(B.C.Sc)、応用理学士(B.App.Sc)。中国政府認可世界中医薬学会連合会認定国際中医師。全米ヨガアライアンス200h修了ヨガインストラクター。日本ヨーガ療法学会認定ヨーガ教師

 

高橋なぎ

Pilates Studio Rebirth主宰。PMA認定ピラティスティーチャー。シルク・ドゥ・ソレイユ公認ピラティストレーナー。ピラティス専門スタジオで6年間インストラクターの経験を積み、2013年独立。自身のスタジオ『Pilates Studio Rebirth』をメインに活動している。2011年アメリカで人気のピラティス動画配信サイト『Pilates Anytime』に初のアジア人として出演。2014年に月刊NEXTインストラクターオブザイヤー審査員特別賞を受賞する

 

石部美樹

BASI Pilates comprehensiveインストラクター。NURTURE認定アラウンドセラピーアドバイザー。NURTURE認定アラウンドセラピーインストラクター。NURTURE認定背骨整えメソッドシニアインストラクター。大阪府出身。3歳よりクラシックバレエ、10代から声楽、演劇を本格的に始める。20代ミュージカルを中心に舞台で活躍。30代よりピラティスインストラクターの道へ。ピラティス専門スタジオにてさまざまな経験を積み、現在、神楽坂ホリスティック・クーラ(Active care studio)をメインにフリーランスとして活動中

不安や迷い、抱える悩みや心配事が、枡野さんの著書である「心配事の9割は起こらない」のスッと軽くなる言葉で助けられたことがあります。

 

「いま、ここで、精一杯」生きるという禅の鉄則や流儀について、日常の暮らし方に活かしていきたいものです。

 

6P「即今、当処、自己」

いま、このとき、自分がいるその場所で、やるべきことを精一杯やっていく。そのことが一番大切である、という意味です。これは禅の原点であり、鉄則でもあると言っていいと思います。

本分をまっとうすることだけに努めていれば、余計な考えが入り込んでくる心の隙がなくなります。逆境にあっても、不安にかき立てられたり、心配事で心がいっぱいになったりすることがないのです。

 

7P「禅即行動」

とにかく動くこと、行動することが、(心配事がある)その状況から抜け出す最良の方法、もっといえば唯一の方法だと考えるのです。

動くということは、まさしく、いま、その場所(状況)で、やるべきことを精一杯やっていくということです。

そのために必要なのは、状況を正しく把握することでしょう。自分の足元をしっかり見据えるといってもいいかもしれません。そうすることで、やるべきことが見えてくるのです。

 

19P「脚下照顧」

もともとの意味は、脱いだ履物をそろえなさい、ということですが、そこには自分がいま、立っている足元をしっかり見つめ、地歩を固めなさい、という意味合いが含まれています。

厳しい状況に置かれて、不安に押し潰されそうになったり、浮き足立ったりするのは仕方がないことかもしれません。しかし、いつでもそうしていたのでは、事態が好転することはありませんし、そこから前に進むこともできないのです。たとえていえば、ぬかるみに足を取られた状態といっていいかもしれませんね。

それがどれほど不安な状況であっても、目をそむけたりせずに、まず、それを見つめる、つまり、正面から受けとめることです。受けとめたら、やるべきことが見えてきます。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 不安を除き、煩悩を断ち切る。(不安なときこそ、足元を固める、コロナ禍がくれた大切なものに気づく ほか)

第2章 悲観せず、抗わず、削ぎ落とす。(あらゆるものは移ろいつづけている、すべては関係性のうえに成り立っている ほか)

第3章 暮らし方を整えて、軽々と過ごす。(成功も、失敗も、捨てる、そのときどきの自分を出せばいい ほか)

第4章 図太さと鈍感力だけあればいい。(とどめない習慣をつける、デマ、フェイクニュースを見抜く ほか)

第5章 力を抜いて、無心に暮らす。(力を抜いても手は抜かない、力を抜くと、心がしなやかになる ほか)

 

1953年生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学環境デザイン学科教授。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本文化に根ざした「禅の庭」を創作する庭園デザイナーとして国内外で活躍。主な作品に、カナダ大使館、セルリアンタワー東急ホテルラウンジ・日本庭園、ベルリン日本庭園など。2006年「ニューズウィーク」日本版にて、「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれる。

 

【No.802】心がスッと軽くなる禅の暮らし方 心配事を「力」に変える 枡野俊明 光文社(2021/04)