不安や迷い、抱える悩みや心配事が、枡野さんの著書である「心配事の9割は起こらない」のスッと軽くなる言葉で助けられたことがあります。
「いま、ここで、精一杯」生きるという禅の鉄則や流儀について、日常の暮らし方に活かしていきたいものです。
6P「即今、当処、自己」
いま、このとき、自分がいるその場所で、やるべきことを精一杯やっていく。そのことが一番大切である、という意味です。これは禅の原点であり、鉄則でもあると言っていいと思います。
本分をまっとうすることだけに努めていれば、余計な考えが入り込んでくる心の隙がなくなります。逆境にあっても、不安にかき立てられたり、心配事で心がいっぱいになったりすることがないのです。
7P「禅即行動」
とにかく動くこと、行動することが、(心配事がある)その状況から抜け出す最良の方法、もっといえば唯一の方法だと考えるのです。
動くということは、まさしく、いま、その場所(状況)で、やるべきことを精一杯やっていくということです。
そのために必要なのは、状況を正しく把握することでしょう。自分の足元をしっかり見据えるといってもいいかもしれません。そうすることで、やるべきことが見えてくるのです。
19P「脚下照顧」
もともとの意味は、脱いだ履物をそろえなさい、ということですが、そこには自分がいま、立っている足元をしっかり見つめ、地歩を固めなさい、という意味合いが含まれています。
厳しい状況に置かれて、不安に押し潰されそうになったり、浮き足立ったりするのは仕方がないことかもしれません。しかし、いつでもそうしていたのでは、事態が好転することはありませんし、そこから前に進むこともできないのです。たとえていえば、ぬかるみに足を取られた状態といっていいかもしれませんね。
それがどれほど不安な状況であっても、目をそむけたりせずに、まず、それを見つめる、つまり、正面から受けとめることです。受けとめたら、やるべきことが見えてきます。
<目次>
はじめに
第1章 不安を除き、煩悩を断ち切る。(不安なときこそ、足元を固める、コロナ禍がくれた大切なものに気づく ほか)
第2章 悲観せず、抗わず、削ぎ落とす。(あらゆるものは移ろいつづけている、すべては関係性のうえに成り立っている ほか)
第3章 暮らし方を整えて、軽々と過ごす。(成功も、失敗も、捨てる、そのときどきの自分を出せばいい ほか)
第4章 図太さと鈍感力だけあればいい。(とどめない習慣をつける、デマ、フェイクニュースを見抜く ほか)
第5章 力を抜いて、無心に暮らす。(力を抜いても手は抜かない、力を抜くと、心がしなやかになる ほか)
1953年生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学環境デザイン学科教授。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本文化に根ざした「禅の庭」を創作する庭園デザイナーとして国内外で活躍。主な作品に、カナダ大使館、セルリアンタワー東急ホテルラウンジ・日本庭園、ベルリン日本庭園など。2006年「ニューズウィーク」日本版にて、「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれる。
【No.802】心がスッと軽くなる禅の暮らし方 心配事を「力」に変える 枡野俊明 光文社(2021/04)
