すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなります。
既に分かっている人、経験している人にはわかってもらえる話だと思います。
一生学び続けなければいけない。
これで終わりと思ったらここで終わり。
芸事と同じようにずっと死ぬまで続くものだと。
すぐに役に立たないかもしれない毎日の学びの積み重ねが、将来大輪の花が開くようにして、人間力を高めることに繋がるものだと思うのです。
81P
すぐに役立つことばかり考えるのではなく、いまおもしろいこと、知りたいことを一生懸命に学ぶ。それがいつか必ず、何らかのかたちで生きてきます。それこそが大学で学ぶことの意義だと思うのです。
知らないことを知るのは楽しい。もっと知りたくなります。
今までやったことがない新しいことをするときにはワクワクします。
19P
一度学びの楽しさを味わってからは、やみつきになりました。学べば学ぶほど、いままでわからなかったことがわかるようになり、それによって自分の視野が広がります。知らないことや新しいことに出合うとかえって好奇心が刺激され、もっと多くのことを学びたくなります。学ぶことに知的スリルを覚えるようになるのですね。好奇心が満たされれば、大きな喜びにひたることができます。
基礎ができるから応用につながる、勉強やスポーツなどあらゆる事例に当てはまります。
21P 一流の人ほど、基礎的な知識を大事にしている。基礎があるからこそ、それを応用していろいろな試みができる。それを繰り返すうちに正解にたどり着けるというわけです。
出口さんは、一万冊以上の読書量を誇る方です。
発言に対して行動が伴っているので言葉には信用がおけます。
181P
教養とは、「人生におけるワクワクすること、面白いことや、楽しいことを増やすためのツール」です。これこそが教養の本質であり核心であるというのが出口(治明)さんの見方です。
213P 学ぶとは、決して人に取られることのない財産
上からの先生や家族などからの押しつけでない、自主的な学びの楽しさを知ったらしめたものです。
222P
知識を伝えるのではなく、何よりも楽しさを伝えることです。これまで知らなかったことを知ることによって視野が広がっていった体験を子どもたちに伝えて、子どもたちにも同じ体験をさせていく。そうすることで、学ぶことは楽しいと実感させてあげることが大切です。
別々に学んだ教養がそれぞれリンクしてくるということ。
自分の頭の中で知識が繋がった瞬間、ときに感動に近い面白さがあるのではないでしょうか。
225P
教養を身につけると、何気ない出会いが豊かな出会いに変わります。別々だった世界は、実は何層にも重なり合っていることに気づきます。その深く味わいある喜びを、ぜひ体験してください。
<目次>
はじめに これからを生きるあなたたちへ
1章 勉強が好きじゃなくてもいい―おもしろいことが一つあればいい(「明日死ぬことがわかっていても勉強したい」、高校生の時に知りたかった「対数は役に立つ!」 ほか)
2章 どうして勉強しなくちゃいけないの?―学校で学ぶということ(上から押しつけても勉強しない、大学で学ぶとはどういうことか ほか)
3章 失敗・挫折から学ぶ―こうして「池上彰」ができあがった(なるべく早いうちに挫折を経験しておく、自動車免許の学科試験に落ちた ほか)
4章 読書が好き―よい本との出合いは人生の宝だ(『読書について』ショウペンハウエル、『君たちはどう生きるか』吉野源三郎 ほか)
5章 生きることは学び続けること―なぜ、私が学び続けるのか(そもそも人間って、どういうものだろうか、人間がわかっていないと、AIも役に立たない ほか)
おわりに 一緒に「知の宇宙」に旅立とう
1950年、長野県松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、NHKに記者として入局。1994年4月から11年間にわたり「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。2005年3月、NHKの退職を機にフリーランスのジャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広いメディアで活動。名城大学教授、東京工業大学特命教授など、9大学で教える