
天然痘を克服してきた歴史から、他国でのパンデミックの結果や約2年ほどの間で自国で対応した事例から学べるのは幸いなことです。
「木を見て森を見ず」ではいけない。もっと森社会全体を観てほしい。
専門家の意見を尊重すると言いながら、決めたことに責任を取らない、他に転嫁しているような風潮が最近よく見受けられます。
全体を俯瞰して判断ができる体制があればという印象を持ちます。
あなたは何の専門家ですか?
当然ながらその専門領域の知識経験は人並み以上に理解をされている専門家。
その意見は尊重すべきです。
それだけでよいのでしょうか。専門領域以外は素人並みではいけないのでは。
池上彰さんや斎藤孝さん、出口治明のように教養がある方で、人の痛みが分かる人間力があればもっとよいのでは。
以下、藤井 聡さんを「藤井」、木村盛世さんを「木村」として発言を取りあげました。
121P 藤井
メディアでの発言や言論をする時には専門家としてでなく、あくまで専門知識を幾分持った常識をベースとした「言論人」として話すことを心がけています。
コロナに関する本はたくさん出ています。
どれが正しいか間違いかは断言できません。
情報に惑わされないためにも多くの情報を知っておいた方がよいと思います。
最終的には自分で判断します。
メディアによる情報を鵜呑みにせず、正確な情報を知り客観的に分析して受け止めたい。
236P 木村
最も大切なことは、国が信頼できる情報を国民に積極的に提供し、国民の新型コロナウイルスに対する不安を払しょくすることです。
正しい情報を持たない国は羅針盤を持たない船のようです。
元厚労省医系技官と元内閣官房参与の対談から引用する箇所が多いことをお許しください。
一部を切り取るので真意が正確に伝わりにくくなるかもしれません。
御本人の主張を伝えるには、その言説を引用するしかないと思うのです。
5P 藤井
事実、我が国は、コロナ対策について「だけ」は過剰との言える程の注意が向けられ、様々な対策が続けられている一方、「自粛」をはじめとしたコロナ対策のために広がった失業や倒産、うつ病、そして数千人とも言われる自殺者の増加に対する対策には、さして大きな注意が向けられず、「コロナ禍」による社会的、経済的被害は、拡大の一途を辿ったのでした。さらには、とりわけ「自粛」だけが過剰とも言える注目を集め、その合理性や有効性などを度外視して、コロナ感染者数が増えれば、「とにかく皆で自粛すれば良い」という論調が世論を支配しました。その結果、コロナ対策として絶対的に必要な、「コロナ対応病床の拡充」や「水際対策」、さらには「高齢者保護」等の基本中の基本とも言うべき対策がお座なりにされ、かえってコロナの感染症被害を拡大するという不条理な帰結をもたらしたのです。
18P 木村
この新型コロナウイルスは、新しい風邪のウイルスであることが分かってきました。コロナウイルスはRNAウイルスの一種で、RNAウイルスは変異しやすいという特徴があります。なぜ変異するかといえば、ウイルス自身が広がりやすくする、すなわち、自分たちのテリトリーを広げるために変異していきます。
当然、感染力は、変異前より強くなります。しかし、現在までの知見では、変異株の感染力は変異前より強くなるものの、致死性が高い、というエビデンスは得られていません。それなのに一年経ってもまだ恐怖を煽っている。
30P 藤井
本来、科学者に求められているのは正確な言説であって、「高齢者は気をつけよう。でも若者は、これまでのデータを見る限り基本的には普通の生活を送ってよい」といった、木村先生のような物言いをすべきです。
37P 木村
繰り返しになりますが、マスメディアは、この新型コロナウイルスがバイオテロのような脅威でないこと、欧米と比して、極めて低い感染者数であり、死亡者数は、季節性インフルエンザを大きく超えるような感染症ではないことは理解してきたと思います。
89P 藤井
医師や感染症学の専門家らがイメージだけで言説を吐き、それをメディアがそのまま報じることで、恐怖感が増幅している現状は、看過すべきでない。
今は感染症との闘いを通り越して、「自粛」によって弱体化した日本経済そのものの息の根が止めるかどうかという瀬戸際のところまで来ています。「自粛」による人との交流の減少や、仕事を失ったことによる自殺者も増えている。
それなのにいまだ日本社会、日本政府は国民に「自粛」を強いて、旅行にも、会食も大学での対面の授業の機会まで奪っている。この現状は極めて非合理的、非理性的で野蛮とすら言いうる状況だと思います。
154P 藤井
私が内閣官房に6年いて、唯一学んだことは、「政府中枢の官僚にこの国を本気で何とかしたいという情熱をもって仕事している人はほとんどいない」という厳然たる事実です。これはホントに残念ですが、断言できる話です。
214P
入国禁止、人の移動制限の徹底は、重症化に対応する医療体制を整えるまで(効果的な薬剤やワクチン開発を含む)の時間稼ぎであって、特効薬ではないことを理解する必要があります。すなれば、新たな感染症がやってきた場合に備えて、国内の医療体制を充実させる、また、ワクチンなどの開発に積極的に取り組む、という根本的、近代的な対策を強化すべきだと思います。日本は、いまだに感染症対策に対して、水際対策、感染症封じ込め、といった前時代的な、精神論的政策に重きを置く傾向があります。
繰り返しなりますが、人の流れを強制的に止めることは永久には難しいし、それによって感染症をゼロにすることは極めて難しい、ということを為政者は正しく理解することが重要です。
228P 木村
新型コロナウイルスをゼロにすればすべてが解決し、人々が幸せになるという幻想は極めて危険だと思います。人の動きを止め続ければ、新型コロナウイルス感染症はゼロに近づいていくかもしれませんが、その代償として、人の幸福、社会活動をすべて犠牲にしなければならない状況を生んでしまいます。
<目次>
はじめに 「ゼロコロナという病」とは何か 藤井聡
第1章 コロナ虚言・妄言・暴言
第2章 コロナ死か、自粛死か
第3章 上から目線と専門バカ
第4章 『シン・ゴジラ』の世界
第5章 コロナでばれた日本
第6章 死を受け入れられない日本人
おわりに 羅針盤を持たない船 藤井盛世
藤井聡
1968年生まれ。京都大学大学院工学研究科教授(都市社会工学専攻)。京都大学工学部卒、同大学院修了後、同大学助教授、イエテボリ大学心理学科研究員、東京工業大学助教授、教授等を経て、2009年より現職。また、11年より京都大学レジリエンス実践ユニット長、12年より18年まで安倍内閣・内閣官房参与(防災減災ニューディール担当)、18年よりカールスタッド大学客員教授、ならびに『表現者クライテリオン』編集長。文部科学大臣表彰、日本学術振興会賞等、受賞多数。専門は公共政策論
木村盛世
医師、作家。筑波大学医学群卒業。米ジョンズホプキンス大学公衆衛生大学院疫学部修士課程修了。同大学でデルタオメガスカラーシップを受賞。米国CDC(疾病予防管理センター)プロジェクトコーディネーター、財団法人結核予防会、厚生労働省医系技官を経て、パブリックヘルス協議会理事長。